とある外星人と禁書目録【シン・ウルトラマン×とある魔術の禁書目録】 作:ジョニー一等陸佐
推奨BGM:ウルトラQのメインテーマ、または初代ウルトラマンのテーマ
無限に広がる宇宙。そこに浮かぶ星々の一つ、地球という惑星に一つの国が存在している。
日本。
1億2000万人近くが住むその国は何十年か前に大戦を経験し、その後も紆余曲折あったが現在では平和と繁栄を謳歌していた。
そして、その島国の首都近郊に一つの特異な都市が存在していた。
学園都市。
東京都西部を丸ごと開拓して作られたその巨大都市はあらゆる研究学術教育機関が集結し且つ周囲を壁に囲まれた、閉鎖性の高い独立した科学都市である。内部の技術は外の世界の2,30年は進んでいるとされ、また、その名にあるように230万人の人口の8割近くが学生で占められそれらがこの学園都市の特殊性を高めていた。
だがこの都市の特異な部分、本質は別にある。
「超能力」。
長らくおとぎ話、SFの産物と考えらえていた超常現象であるそれを、学園都市は開発に成功し、その年に住まう学生たちを対象に超能力者の育成と研究に邁進していた。
とはいえそうした要素を除けばそこに住まうのは普通の青春を謳歌する学生たちである。
日本も学園都市も、平和と繁栄を謳歌し、多くの人々は日々の日常を何事もなく普通に過ごしていた。
日本に奴らが、「禍威獣」が現れるまでは。
そしてあの日、宇宙からとある来訪者が来るまでは――
20XX年。
東京都西部、学園都市付近に巨大不明生物出現!
政府と学園都市は巨大不明生物を「ゴメス」と命名。
その破壊活動により、学園都市を含め周辺に想定をはるかに超える甚大な被害が発生。
自衛隊が出動し、総力戦でついにゴメスを駆除。
再び巨大不明生物、出現。
巨大不明生物第2号 命名「マンモスフラワー」。
官民学の総力を上げマンモスフラワーの弱点を発見、炭酸ガスと火炎放射の両面攻撃により駆除に成功。
三度巨大不明生物、出現。
巨大不明生物第3号 命名「ぺギラ」。
ぺギラは冷凍ガスを放出、東京及び学園都市氷河期!大パニック!都市機能がマヒ!未曽有の事態に。
その後、女性生物学者の弱点発見が決め手となりぺギラを駆除。
超自然発生巨大不明生物から敵性大型生物「禍威獣」と改名。
敵性大型生物第4号 飛翔禍威獣「ラルゲユウス」。
学園都市の部隊と自衛隊が出動するも、ラルゲユウス、取り逃がす。
現在も消息不明のまま、禍威獣にステルス機能か。
日本政府、学園都市と共同で防災庁を設立。
同時に禍威獣災害対策復興本部を設立。
防災庁内に5名の専門家による禍威獣特設対策室、通称「禍特対」を設置。
敵性大型生物第5号 溶解禍威獣「カイゲル」。
禍特対初出動。
自衛隊との連携攻撃によりカイゲルの駆除に成功 禍特対に称賛の声。
敵性大型生物第6号 地底禍威獣「パゴス」。
パゴス、放射性物質を捕食 放射性物質捕食禍威獣と改名。
禍特対の指揮により、パゴスの駆除に成功。
そして、現在…
「…不幸だ」
学園都市。
七月半ばのとある日、空の真上から太陽が街をその強烈な光と熱で照らし、熱波と行き交う人々で覆われた街中に一人の少年の独り言が静かに響く。
ため息をつきふらふらと歩く少年の名は上条当麻。高校一年生の学生である。時期的には終業式と夏休みが近づき、本来なら明るい顔をしていそうなものだが実際には非常に切実な問題が切迫しておりそれが前述した彼の独り言に繋がっていた。
「…まさか奨学金の支給が突然先延ばしになるなんて。それまでの数日をどうやって過ごせばいいんだ…」
生活費である奨学金の支給が、諸事情により先延ばしにされたのである。平凡な学生である上条に支給される奨学金ははっきり言って貧相なものであり、それは節約生活、貧乏生活の強制という形で彼を圧迫していた。
ここ数日もやしやくず野菜ばかりの食事の生活が続いていた上条にとって、今日この日は本来、待ちに待った奨学金の支給日のはずだったのだが、胸を弾ませてATMを見れば残高は増えておらず、スマホで学校からのメールを見れば、システムエラーだか何だかで支給が先延ばしになったという。
おまけに絶望とショックと共に銀行を出た途端、知り合い…というより因縁のある電撃系の能力者の女子中学生に出くわし、追いかけられ撒いたと思ったらいつの間にか、わずかな頼みの綱の財産が入った財布を無くし…もう、散々である。
そういうわけで自宅である学生寮へ向かってトボトボ歩いていた上条。
赤信号で立ち止まった拍子にふとある光景が目に留まる。
「数日前も見かけた気がするけど。まだ治ってなかったのか。珍しいな…」
目の前にあったのは防音シートで覆われた工事現場。正確には鉄筋コンクリートの残骸が大量に山積みになり、その隣で残骸の運搬や、新しい資材の運び込みが行われている。
元はアパートか何かのビルがあったのだが、ある出来事によって見るも無残に粉砕され撤去と修復の真っ最中だった。
「禍威獣」。
その出現と破壊活動によって。
どれくらい前のことだっただろうか、それが現れたのは。
その時この区画では大規模な工事が行われていたのだが。
地面の大規模な掘削を行った拍子に、まるで火山の噴火のように地面を割って、巨大不明生物が出現。まるで数億年前の恐竜を思わせる巨大なそれは、出動した部隊の応戦をものともせず周囲の町を破壊して回り、壁の外、東京西部まで侵攻。人的物的共に甚大な被害をもたらした。後になって「ゴメス」と名付けられたそれは結局、出動した自衛隊の総攻撃によって駆除されたのだが、その時ゴメスが暴れまわって破壊されたのが今上条のいるこの区画なのだった。
その後また別の巨大不明生物が現れたとか、その巨大不明生物が「禍威獣」と命名されたとか、政府と学園都市が共同で防災庁と禍特対を設置したとか色々な動きがあったのだが。
とにかく、街が破壊され人々は復興に着手しなければならなかった。
周囲より科学技術の進んでいる学園都市である。
街の復興と建設は凄まじいスピードで進み、本来なら完全に復興しこうした建築現場は見られないはずだが。
まだちらほら復興の工事最中の場所があるようだ。後回しにされたのか、それともその後続々と現れた禍威獣が影響しているのか――
(まさか奨学金の支給が遅れてるのも禍威獣が原因じゃねえだろうな…)
なんてことを上条がぼんやりと考えていた時だった。
ブー!ブー!!ブー!!!
と。
上条のスマホがけたたましく鳴り響いた。
「ッ!?」
一瞬驚く上条。
が、周囲の人々も怪訝そうな、驚いた表情を見せるが次の瞬間次々と、人々のスマホのアラートがけたたましく響く。その時になって上条はこのアラート音が警報を表すものであることを思い出す。
慌ててスマホを取り出し画面を見る。
そこにあったのは、「禍威獣」の文字と、避難指示の文章。
それが意味するものを理解するのと同時に、巨大な揺れが襲い掛かった――
学園都市第7学区のとある学校。
普段なら学生たちの騒がしい声が響くその場所は現在非常に騒がしい喧騒を見せていた。
体育館には仮設の避難所が設けられ、グラウンドには無数のテントや装甲車が並び、あるいはヘリコプターがしきりに離着陸を行っている。テントと校舎の間を学園都市の治安組織である警備員(アンチスキル)や迷彩服を着た自衛隊員がしきりに行き来し、さながら学校はまるで仮設の駐屯地の様相を見せていた。
本来学びの場である施設がなぜこのような喧騒を見せているのか。学校から数キロ先に目をやればその答えと明らかだった。
――禍威獣が現れたのだ。
校舎から数キロ離れた場所、そこでは建物が次々と倒壊し粉々になっていた。いや、正確にはされていた、というのが正しい。一見すると巨大な建物が次々と、勝手に煙を立て粉々に粉砕し倒壊しているように見える、よくよく目を凝らせばその破壊は一直線に進むように行われており、「巨大な何か」が進撃してそれゆえに破壊が進められているのだと分かる。
異変が起きたのは数時間前。
学園都市の近郊、山間部に巨大な何かが現れた、地響きや雷が発生した…そんな通報と共に目に見えない巨大な何か、が進路上の施設を破壊しながら学園都市内を進撃しているのを確認。禍威獣が出現したと判断され直ちに周辺に避難指示を発令。同時に学園都市の治安部隊及び付近の自衛隊が出動し現場に対策本部を設置、そして現在に至る。
既に対象地域における避難はほぼ完全に完了しており、学区内はほとんど無人だ。しかし脅威が消え去ったわけではない。
グラウンドに設置された無数のテントの一つ、内部には無数のパソコンや機器が設置され警備員や自衛隊員の指示や報告が飛び交い相変わらず喧騒に包まれている。
そんなないささか異彩を放つメンバーがテーブルとパソコンを囲み喧騒の中に加わっていた。
彼らは4名、うち3名が男性1名女性。周囲が迷彩服か装甲服を着用する中、全員スーツを着用し胸には流星をかたどったピンバッジを、腕には「SSSP」と記された腕章を身に着けている。
彼らは「禍威獣特設対策室専従班」――通称、禍特対。この国に禍威獣が現れて以来、その対処のために設立された専門の組織。その少数精鋭のチームが現場にて禍威獣の分析を行い、時には部隊の指揮を行い現在の事案の対処にあたっていた。
今回現れた禍威獣は巨大だが光を透過しているのか電子イオンの働きか、巨大であることは分かっているが透明で肉眼では姿が見えない。だが…
「サーモグラフィーにはばっちり姿形が映ってるわね…」
メンバーの一人、汎用生物学者の船縁由美がパソコンを見ながらつぶやく。
画面には上空からサーモグラフィーで街を撮影した画像が映っているが、そこにはトカゲか恐竜のような巨大な赤い影がはっきりと映りこんでいる。
どうやら自身の体温まではごまかせないようだ。
「それって透明の意味ないじゃん…」
この事実に非粒子物理学者の滝明久が思わず突っ込む。
「とにかく、実体が確認できる以上は対処しやすい。問題はどのような攻撃が効くかだが…」
「陸自の特科部隊か警備員のヘリ部隊による攻撃を検討しましょう」
答えたのはチームの長、専従班班長の田村君男だった。
田村が周囲の隊員に指示や受け答えをする中、向かいに座る作戦立案担当官、神永信二が彼に答える。
「室長から連絡です、先ほど禍威獣の正式名称が決定したとのことで…」
「どんな名前だ?」
「透明禍威獣ネロンガと」
「由来は?」
「防災大臣の趣味だそうです」
「…」
一瞬白けた空気になるが気を取り直し再び画面に見入る。
禍威獣ことネロンガは変電所施設に到達していた。サーモグラフィー画面に映るその姿に動きは見られない。
「?動きを止めた?」
瞬間、変電所の周囲の空気がバチバチと大規模な放電を見せた。直後、今まで透明だったネロンガがその巨体の透過を解き、その実態を肉眼に露にする。その全体像は鈍重なトカゲのようであり、頭には際のような角と二本の触角が確認できる。
ネロンガが姿を現すと同時に、再び放電が発生、その稲妻は巨大な角に吸い込まれていく。これではまるで――
「こいつ電気を食っているのか!」
田村が驚きの声を上げた。
どうやら電気がエネルギー源のようだ。同時に、電気を吸うと姿を現す性質があるらしい。
「ますます透明の意味ないじゃん」
そのことに滝が思わず突っ込みの言葉を言い、
「エネルギーを奪った上で巨大な姿を現して威圧するのは理にかなっている」
神永が別の評価をする。
そんな中、陸自のMLRSによる攻撃が開始されたと報告が入る。
パソコンの画面にはネロンガ目掛けて発射されたロケット弾の弾道と上空からの監視映像が映し出される。
空を切るような音が迫り、ロケット弾がネロンガに着弾する寸前、ネロンガが触覚から電撃を放射。ロケット弾が空中で次々と炸裂する。
「放電か…この分だと空中からの攻撃は迎撃されそうだな…」
「班長、行動シミュレーションの結果が出ました。このままだとネロンガは日本中の電力を吸収し、一気に放電を行う恐れがあると…」
「ますます厄介だな…!」
田村がうめきながら天を仰ぐ。
頭を抱えているのは禍特対の面々も同様だ。
「自身への感電による自滅を狙うか、満腹になるのを待つのは…」
「そもそもどれくらい電力を吸収するのかわからん、猶予はないぞ」
「今まで禍威獣に麻酔が効いたためしはないし、体に穴は開けてくれそうにないし」
「今までの禍威獣も、物理攻撃はおろか、学園都市ご自慢のレーザーもなかなか効かなかったし…」
禍特対の面々が議論をする中、表情一つ開けずにパソコンを操作していた神永がふとある映像に気付く。学区内の監視カメラの映像だ。
映像には小学校低学年らしき少年とその手を引いて走るツンツン頭のが特徴的な高校生らしき少年が映し出されていた。その様子や焦った表情などからして避難に遅れたらしい。
「避難が遅れた民間人がいます、確保しに――」
神永が立ち上がったその時だった。
自衛官の慌てた様子の声が響いた。
「峯岡山のレーダーサイトより報告、大気圏外より飛来中の飛翔体あり…こちらに向かっています!!速度、時速12000キロ!」
「飛翔体急速に減速!」
上条当麻は焦っていた。
手には見知らぬ、全く関係のない小学生の手が握られており、彼を連れて上条は全力疾走の真っ最中だった。
「ああクソっ、ここもがれきで塞がれてやがる…」
上条は小学生を連れ、学区からの脱出と避難場所への到達を目指して全力疾走していたが、行く先々でネロンガの破壊活動(といってもその巨体で進んでいただけだが)による瓦礫で道が塞がれるという事態に陥っていた。
本来なら上条はあスマホの警報が鳴った時点で学区を離れ避難場所にいたはずだった。
だが、緊急事態が起こると人というのはパニックになりやすいし、すぐには体が動かない。群衆ならなおさらだ。
それに彼にはお人よしの性格があった。
逃げ惑う人々の波にもまれ、倒れた人を抱き起したりしているうちに結果として彼は――逃げ遅れた。
気付いた時には人がほとんどいない街中に残されていた。とはいえその時点でもまだ全力で避難していれば間に合っただろう。
だが彼はその道中で、道に迷ったか群衆にもまれて転んだりでもしたのだろう、その場にうずくまり泣きじゃくって逃げ遅れてしまった小学生を見かけた。あるいは見かけてしまった。
こうなるとその性格上彼は放っておけない。
気付けば彼のもとに駆け寄り、どうにか介抱し色々駆け回っているうちに、とうとう本当に逃げ遅れてしまった。
(クソ、どこの道も瓦礫で塞がって、その上どこがどこだが分からねえ…このままじゃ本当に)
地図を開こうにもどういうわけかスマホが正常に動かない。
上条が舌打ちをして空を仰いだ時だった。
「!?」
忌々しいほどに雲一つない快晴の空。その青空の一点、何かが光っていた。それはますます輝きを増し。空を切るような、ゴォッという爆音を響かせ、それはますます大きくなってく。例えるなら、まるで隕石かミサイルが猛スピードで落下してきているかのような。
そしてそれは、上条の目にはこちらにめがけて落下してきているかのように見えた。
「やばい…!」
何かが猛スピードで落下していると悟った上条がとった行動はシンプルだった。
彼は素早く小学生の小さな体を抱きかかえると、そのまま彼に覆いかぶさるようにその場にうずくまった。
その瞬間。
ドォンッ!!
と。
凄まじい衝突音が響いた。
同時に全身に響くような内臓ごと揺れているかのような強烈な振動、そして猛烈な爆風と破片が飛び交うのをを感じる。
「ぐあっ――」
これは、まずいと感じた瞬間。
何かの瓦礫が猛スピードで飛んできたのだろうか、上条は後頭部に何かの物体が衝突したような、何本もの金属バットで一気に殴られたかのような衝撃を感じ。
そのまま意識を失った――
同時刻、対策本部。
大気圏外からの飛翔体の報告。
それからほとんど間を置かずして突如として爆音が響き渡り、衝撃と強烈な振動がテント内にかけわたる。
天井の蛍光灯が大きく揺れ、テーブルから備品が落下する。
突然の事態にテント内の喧騒はさらに激しくなり悲鳴を上げるものさえ出た。
監視映像には街中に何かが衝突したかのような、あるいは噴火のような巨大な煙と粉塵が巻き上がっている様子が映し出されている。
「何が起こった!?状況は!?」
テーブルにしがみつきながら叫ぶ田村に滝と船縁が必死にパソコンにしがみつきながら叫ぶ。
「ネロンガの付近に飛翔体が落下した模様!」
「新たな飛行禍威獣か!?」
「分かりません…いえ、待ってください!降着です、対象物が動いています!」
振動が収まると同時に映像のぶれもおさまる。粉塵の中から何かがうごめいているのが確認できた。
「これは…何だ?」
「さあ…巨人としか言いようが…」
粉塵が薄れていき同時に中でうごめいていたものの姿が明らかになる。
それは、人の形をしていた。
大きさは5,60メートルはあるだろうか。前身は銀色に光り、さながら神話の時代に出てくる巨人のようだ。アーモンドのような目、頭にはとさかのようなもの――全体的な形こそ人型、巨人だがそれでも異業と呼ぶに十分なものだった。
だが同時に田村はその巨人にこれまでの禍威獣とは違う何かを感じた。
まるで知性を持っているかのような印象。
そして何より。
美しいとどこかで感じる自分がいた。まるで仏のような優しさと美しさを感じさせる優美な姿形。
一瞬見とれる。
「…?」
一瞬田村は違和感を感じた。
巨人がその首を少し回しどこかを見つめるような様子を見せた。それに違和感を感じた。
その巨人が何か気になるものを見つけたかのよう
一体、彼は何かを見たのだろうか。そうだとすれば、何を?
巨人が再び正面を向く。その視線の先にはネロンガの姿。
ネロンガがその巨人目掛けて触覚から放電を放つ。が――
「嘘だろ、効いてないのか!?」
驚愕の声を上げる滝。
明らかに数億ボルト以上はあるであろう放電。その直撃を巨人が胸部に受け続けるも、その巨体の表面に傷ひとつ見受けられず。全くの無反応であった。
「ネロンガ、再び透明化、後退します!」
長時間に渡る放電ののち、全く無反応の巨人に危険を察知したのだろうか、ネロンガが再び透明化する。
次の瞬間、巨人が動きを見せた。
巨大な右手を構え、左腕を伸ばす。
「巨人の腕に高エネルギー反応!」
「今度は何を…?」
田村が怪訝な顔するなか、映像の中で巨人は伸ばした腕を曲げクロスさせる。
次の瞬間。
巨人の右腕から、巨大な光線が放たれた。
瞬時に光線は、先ほどまで目視でネロンガのいた場所に着弾、同人に連続するように当たり一体が爆発に包まれた。
先ほどの飛翔体の衝突時に匹敵する衝撃が響き渡る。
「今度は何だ!」
耐え兼ねたのか、光線を受け続けた場所からネロンガの姿が再び露になる。どちらが優位であるかは明らかだった。そして、次の瞬間。
ネロンガの巨体が爆発。
当たり一体に爆煙と粉塵が上がる。
やがて煙が薄れていくとそこにあるのは爆心地のような瓦礫跡だけでネロンガの巨体は跡形もなく消滅していた。
その事を確認したのだろうか、銀色の巨人は再び首を回し何かを見るかのような仕草をした後、両手を上げた。
直後、その巨体が浮かび上がったかと思うとそれは急速に高度を上げ、天空へと上っていく。
白い傘のようなもので一瞬覆われたと思ったら、遅れてドンという音が地上に響く。音速を越えたのだ。
そのままあっという間に巨人は大空へと去っていった。
「…対象、レーダーからロストしました」
「何だったんだ、あれは…」
本部が混乱に包まれる中、田村の言葉が響く。それはその場にいる全員の総意だった。
それからしばらくして、学校に設けられた避難所に二人の人物が訪れた。
避難し遅れた上条と小学生だった。
二人に異常は見られなかった。
あえて奇妙な点をあげるなら。
小学生を抱き抱える上条の体に傷は一つもなく。
その顔は妙に無表情で、まばたき一つしていなかった。
こうしてこの日、また一つの怪獣が現れ、駆除された。しかし人間の手によってではなく、とある来訪者の手によって。
その出会いが何をもたらすのか人々はまだ知らない――