とある外星人と禁書目録【シン・ウルトラマン×とある魔術の禁書目録】   作:ジョニー一等陸佐

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第5話 二度の邂逅

 学生寮前の路地で二人の男が対峙している。

 一人は長身の神父のような黒服をまとった赤毛の男。もう一人はスーツ姿にグロック拳銃を構えた男、禍特対に所属する神永信二だ。神永の背後には血まみれの修道服姿の少女が倒れている。

 眼前の男に拳銃を構え警戒する神永に対し、拳銃を向けられている当の本人はニヤニヤ笑いながら、神永に興味はないといった風に背後の修道服の少女に視線を向けている。

 

 「あーあ、ずいぶんと派手にやっちゃって…」

 

 「…君が彼女を?」

 

 「おいおい、そんなに睨まれても困るな…。言っておくがやったのは僕じゃない。といっても、神裂もこんなに深手を負わせるつもりはなかったんじゃないかな?でもどういう訳か、その子が身にまとっている『歩く教会』、何故か力を発揮しなくてね…」

 

 「一体何者だ」

 

 「だからさっきも言っただろう?魔術師だって」

 

 歩く教会、魔術師…一体先ほどから彼は何を言っている?神永は聞きなれない言葉に困惑する一方で、冷静にわずかな情報で対峙する男の分析を行っていた。

 相手の弁を信じるならば、少女を血まみれにしたのは神裂なる人物だろう。単独ではなく複数で行動しているのか。彼女が狙いで、ここまでするつもりがなかったというならば目的は殺害などではなく生け捕りや誘拐ということなのか。魔術師と名乗っているが、どこかのカルト教団にでも所属しているのか、あるいは超能力のことをそのように表現しているのか…

 

 「さて、そろそろそれを回収させてくれないかな?時間もないしね」

 

 「断る」

 

 やはり狙いは背後の少女のようだ。神永は拳銃を相手に照準したまま即座に拒否の言葉を発した。

 以前は警察官として日本の治安と秩序を守る任に就いていた身だ。禍特対に出向した現在でもそれは変わらない。治安と秩序を守る責務を託された者として、そしてこのような状況に遭遇した以上、少女を見捨て相手に従うつもりは神永にはさらさらなかった。

 

 「そのまま両手を後ろ手に組んで壁を向け。それとも、これ以上やるというなら、実力で阻止させてもらう」

 

 「言いたいことはそれだけかい?」

 

 拳銃を構える神永に対し、丸腰のはずの男はしかし笑いながら余裕そうに答える。

 

 「やれやれ、正直その子にこれ以上怪我はさせたくはなかったが…仕方ない」

 

 男が面倒くさそうに手を構える。

 何をする気だ。神永に緊張が走る。拳銃を構える手の握力が自然と強くなる。

 

 「『Fortis931』…炎よ、巨人に苦痛の贈り物を!」

 

 「!」

 

 次の瞬間。

 男の手から文字通り、巨大な炎の塊が神永に向かって吐き出された。

 そしてそのまま炎の塊が神永に直撃しようとする寸前。

 神永の目前に銀色の何かが炎を阻むように飛び込んできた――

 

 

 

 

 

 「…やりすぎたかな?」

 

 男、ステイル=マグヌスは路地をふさぐように眼前に広がった炎の壁を見つめながら呟いた。

 先ほども自信が名乗ったように彼は『魔術師』である。無論、いかれたカルト教団の人間でも、超能力者でもない。イギリス清教という公然の組織に所属する、れっきとした文字通りの正真正銘の魔術師である。

 一口に魔術といっても様々なものがあるが、彼、ステイル=マグヌスはルーン文字を利用したルーン魔術、その中でも炎を利用した魔術を得意とする。先ほど神永に向けて放ったのもその一つだ。

 放たれた炎の温度は実に摂氏3000度。ここまで高温ならばもはや相手の体は燃えるどころか『融ける』あるいは『蒸発』しているかもしれない。いずれにせよ神永が絶命したのは確実だ。わざわざ確認するまでもないだろう。

 さて、このまま少女の回収に向かうとしよう。

 

 「まあ、しょせん君程度じゃ何度やっても無駄だよ」

 

 そうせせら笑いながら、振り返ろうとして。

 

 「…え?」

 

 次の瞬間、ステイルの目に信じられない光景が写った。

 瞬時に消え去る炎。

 そこに現れたのは無残な焼死体などではなく、変わらず五体満足のままの神永の姿と、倒れる少女の姿。

 そして守るかのように二人の前に立つ、赤いラインの走った銀色の人型の何かだった。

 

 

 

 

 

 「あれは…」

 

 突如として放たれた炎の塊。しかしそれが神永の体を焼き尽くすことはなかった。

 気づけば眼前には人が、正確には人型をした何かが炎から神永たちを守るようにたたずんでいた。

 それは一般人と同じ背丈と人型の形していたが、外見は明らかに人間ではなかった。

 銀色に輝く体表、その体の表面を走る鮮やかな赤いライン、アーモンドのような目に頭にはとさかのような突起物。

 神永はその姿に見覚えがあった。

 

 「…ウルトラマン!」

 

 その姿は透明禍威獣ネロンガが出現した際に突如として天空から飛来しネロンガを撃破、その後再び天空へと去っていった、謎の銀色の巨人――ウルトラマンそのものだった。体表の赤いラインや大きさなど差異はあるがそれ以外は全く、あの時の巨人と同じだった。

 突然の異形の乱入者に神永もステイルも言葉を失い動きが固まる。

 ウルトラマンがゆっくりと神永に向けて顔を回し、その目が神永とインデックスを捉える。まるで二人が無事であることを確認するかのように。

 神永と目が合う。

 もしかしてアイコンタクトを?

 神永がそう思った時、ステイルが何かを呟いているのに気付いた。

 

 「世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ。それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり。それは穏やかな幸福を満たすと同時、冷たき闇を滅する凍える不幸なり」

 

 「!」

 

 「その名は炎、その役は剣。――顕現せよ、我が身を喰らいて力と為せ!」

 

 新たな攻撃だと悟ったのと同時に、強烈な熱気と共に、異形の怪物が現れた。

 一言でいえばそれは炎の巨人だった。

 重油のような黒くどろどろとした人型の芯を軸に、その周囲を深紅の炎が燃え盛っている。その手には巨人の武器なのかこれまた炎で出来た巨大な十字架が握られている。

 巨人の付近の標識が溶けていることから、その巨人のまとった炎が尋常でないすさまじい高温であることはすぐに察せられた。

 どう考えても生身では勝てない。

 神永の額を汗が伝う。それは熱気だけによるものではなかった。

 巨人がその炎の十字架を振り下ろした。その先にはウルトラマンがいる。

 

 「避けろ!」

 

 思わず神永は叫んだ。

 しかしウルトラマンは避けるのではなく、代わりに腕を十字にクロスさせて身構えた。

 摂氏3000度の炎と、ウルトラマンの腕が衝突する。

 一瞬の爆発の後、そこにあったのは侍同士のつばぜり合いのように、巨人の炎の十字架をその腕で受け止め続けているウルトラマンの姿だった。常人ならば一瞬で蒸発するだろう攻撃を受け止めながらも、その銀色に輝く体表に傷らしきものは一つも見当たらなかった。

 何というすさまじい耐久力。

 攻撃を受け止めながらウルトラマンが神永の方を向いた。

 その視線の先には倒れ伏すインデックスがいた。

 ――もしかして、自分たちを守ろうと?インデックスを連れて早く逃げろと言っているのか?

 神永はウルトラマンを見つめ返した。

 ウルトラマンが頷いたように見えた。

 一瞬の思考の後、神永はインデックスの方に駆け寄った。傷ついた少女を抱きかかえ、駆け出す。

 離れていく神永の背中をウルトラマンは確認するように見つめていた。

 

 

 

 

 

 ステイルは困惑していた。

 その理由は無論、突如として現れた銀色の人型だ。異形の存在が突然現れて驚かない人間はそうそういない。

 それでも流石トップクラスの実力を持つ魔術師というべきか、ステイルの行動は早かった。

 魔女狩りの王、イノケンティウス――彼が使用する術式にして、切り札。十字峡トルーン魔術を組み合わせた、『必ず殺す』という意味を冠した、摂氏3000度の炎の巨人を出現させ意のままに操る魔術を彼は繰り出した。

 常人ならば間違いなく死ぬ魔術。

 繰り出された最強の魔術は、しかし新たな驚きをステイルにもたらした。

 振り下ろされた3000度の炎の十字架を、その銀色の人型――ウルトラマンは十字にクロスした腕で受け止め、そしてそのまま鍔迫り合いをする剣士のように防ぎきっているのである。その銀色に輝く体表に、傷や火傷は、一つとして見受けられない。

 

 「嘘だろう…?耐えているのか?」

 

 思わず呆然とつぶやくステイル。

 ふと、ウルトラマンの後ろで神永がインデックスを抱きかかえて逃げるのが見えた。

 対象に逃げられステイルが思わず舌打ちすると、ウルトラマンは一歩後ろに下がりイノケンティウスから離れる。

 それからウルトラマンは右手を勢い良く突き出し、イノケンティウス目掛けパンチを繰り出す。

 一瞬、その巨大な炎の体躯が飛び散る。

 そのまま消え去るかのように思われたが、再びその巨大な炎の体躯が現れた。

 再生する炎の巨人を見てニヤリと笑うステイル。

 この術式の本質は巨人そのものではない。この術式は周囲にルーンを刻むことで――ステイルの場合はあらかじめルーンを刻んだカードを置くことで――炎の巨人を出現させる。ルーンこそが本体であり、巨人は水面に映る月に過ぎない。水面に映る月を切ったところで本物の月には何ともないように、巨人を攻撃しても意味はなく再生を繰り返す。本質であるルーンを攻撃しなければ意味はないのだ。

 ウルトラマンは何度か右手でパンチを繰り返す。

 そのたびにイノケンティウスは四散し、そして再生する。

 ステイルはそのやり取りを見る一方で一旦この場を離れることを考えていた。

 目的であるインデックスは突然の乱入者であるウルトラマンと神永によって逃げられてしまった。そのウルトラマンも、自身の切り札であるはずのイノケンティウスの攻撃に耐え、互角に戦っている。事前の情報や対策もなく正体不明の敵と戦い続ける愚を犯すつもりはステイルにはなかった。

 その上、これだけの魔術を繰り出したのだ。すでに炎は学生寮や付近の建物にも延焼し始めていた。

 このままでは間違いなく、消防や救急、人が集まるだろう。騒ぎや人目に映るのは避けねばならない。

 いったん撤退しようとステイルがその身を翻した時だった。

 ステイルの眼前に映ったのは拳をこちらに凄まじい勢いで突き出すウルトラマンの姿だった。

 何かしらの行動をとろうとする前に、ステイルの顔を強い痛みと衝撃が走り、そのまま自身の体がバランスを失うのを感じたのち、彼は急速に意識を失った。

 

 

 

 

 

 ウルトラマンのとった行動は単純だった。

 彼は超能力のことはもちろん、魔術に関する詳しい知識は持ち合わせていない。当然、ステイルの操る炎の巨人の本体・本質が巨人そのものではなく周囲のルーンにあり、攻撃すべきはルーンであることも知らない。

 ウルトラマンがその体を借りている上条当麻という人間がもともと持っていた『幻想殺し』の能力はウルトラマンに変身した状態でも使えるようで、試しに右手を繰り出したところ炎の巨人は四散したがすぐに再生された。

 だが巨人との応酬を繰り返すうちに、魔術に関する知識のないウルトラマンも巨人そのものへの攻撃は意味がなく、それを操るもの・生み出すものを攻撃すべきだとすぐに悟った。

 とはいえ、流石にルーンの存在やそれを消すことまでには思い至らなかった。ウルトラマンは背後のステイルが炎の巨人を操っている何かしらの能力者だと考え、まず彼を無力化すべきであると判断した。

 再び右手で巨人を四散させると、巨人が完全に再生するより前にウルトラマンは素早くその場から跳躍し、ステイルの背後に着地し――そのまま彼にパンチを食らわせた。

 その威力は彼から意識を刈り取るには十分なものだった。

 殴り飛ばされたステイルはそのまま路地に大の字になって転がり気絶した。

 ウルトラマンは炎の巨人がいるであろう場所を見やった。

 そこでは不完全ながらも再生仕掛けの炎の巨人が佇んでいた。術者を失ったとはいえルーンそのものは未だ健在である。不完全な形ながらも、炎の人型がゆっくりとウルトラマンの方を向こうとする。

 身構えるウルトラマン。

 だがそれ以上戦いが繰り広げられることはなかった。

 段々と、炎の巨人の姿が崩れていったのだ。まるで燃料を失って縮んでいく炎のように、どろどろと少しずつ小さくなって崩れていく。

 気づけば学生寮では延焼した炎を探知したのだろう、非常ベルがけたたましく鳴り響き、寮のあちこちから消火用のスプリンクラーが作動し寮を水浸しにしていた。

 ステイルのルーン魔術はルーンを刻んだ紙のカードをあらかじめ配置するもので今回は学生寮やその付近に配置していたが、それが仇となった。一連のルーン魔術によって建物にまで広がった炎は警報装置とスプリンクラーを作動させた。スプリンクラーから大量に噴出した水はあらかじめ張られていたルーンのカードも水浸しに、刻まれていたルーンのカードを滲ませ、洗い流し、あるいはカードそのものをぐしゃぐしゃにしてしまった。

 もとになるルーンがこうなっては正常に術を発動できない。その上術者は意識を失っている。本体が少しずつ失われ、主人も意識をなくした中、イノケンティウスはゆっくりとその凶暴な炎の体躯を再生させようともがき、しかしぼろぼろと、どろどろと崩れていき。そして、そのまま姿を消した。

 ある意味では自滅したともいえるイノケンティウスが消えたのを見届けると、ウルトラマンは再び周囲を見やった。

 路地は炎が未だ広がり、建物にも延焼している。とはいえスプリンクラーが作動している以上、これ以上被害が拡大することはなさそうだ。

 そう遠くない場所からは消防車のサイレンが鳴り響いている。到着するのも時間の問題だろう。

 

 「…」

 

 あたりを見渡し、それから目の前に転がる気絶したステイルをしばらく見た後、ウルトラマンは両手を高く掲げ、その場から跳躍し。そのまま音速をはるかに超えるスピードで天空へと飛び去っていった。

 

 

 

 

 

 「何だって、ウルトラマンが!?」

 

 「はい、前回と外見が異なる部分がありましたが…あれは間違いなくウルトラマンでした」

 

 第7学区のとある大学病院。その一室に禍特対専従班班長田村の驚きの声が響いた。それに対し神永が頷き答える。

 あれから神永は重傷を負ったインデックスをかつての上司、村松が営む喫茶店「アミーゴ」まで運んだ。突然運び込まれた怪我人に村松は当然ひどく驚いたが、事は早急な対応が必要だった。

 簡単な応急措置の後、村松が呼んだ救急車に彼女を運び込み、神永も同伴、そのまま付近の大学病院まで彼女は搬送された。彼女が手術を受けている間、神永は禍特対に連絡、病院に集まった禍特隊のメンバーに一連の報告をし現在にまで至る。

 

 「ちょ、ちょっと待ってください、整理させてくださいよ」

 

 メンバーの一人である滝が若干混乱気味に口を開く。

 

 「関係者に証言を聞きに行こうと学生寮に向かっていたら、血塗れの少女と魔術師とか名乗る不審者が現れて、その不審者に炎で攻撃されたと思ったら、突然人と同じサイズのウルトラマンが現れて…神永さんを守っている間にその少女をここまで搬送して…ちょっと、いくらなんでも色々起きすぎですよ!」

 

 「そもそもそれは本当にウルトラマンだったのか?何かの見間違いということは?」

 

 田村が疑問の声を上げる。神永は単独行動が目立つ正直変人というべき部分がある人間だが、同時に元は公安に所属し、禍特隊の作戦立案担当として数々の活躍をした有能な男だ。そんな彼がでたらめなことを言うとは思えない。だが同時に、あの正体不明の巨人が人間サイズになって関係者の目の前に現れたというのも信じ難いことだった。

 一方で船縁や滝、そして浅見はまた違う反応を見せていた。

 

 「もし神永さんの言うことが本当で、現れたウルトラマンがネロンガの時のと同一だとすれば…ウルトラマンが自身のサイズを変えることが出来るってことになるわね…一体どうなってるのか、ますます気になるわぁ…ひょっとした人間サイズが本体、本来の可能性ってことも…」

 

 「サイズ変化のメカニズムもそうですし、金属を溶かすほど高温の炎に耐えたメカニズムも気になります。ネロンガ戦でも巨人は推定50万ワットはある電撃に難なく耐えていましたが…周囲の電子や空気を操っているのか、それとも体表そのものが何かしらの未知の物質で出来ているのか…」

 

 「確かあなたの話ではウルトラマンはこっちに目を向けたって話よね?アイコンタクトをとるように…そして攻撃を防ぐかのような行動…もしかして、ウルトラマンは一定の知性や意思、そしてコミュニケーションをとれる可能性が…」

 

 メンバーが各々の意見を述べ議論をする中、リーダーである田村が口を開く。

 

 「正直なところ信じがたいがしかし…神永、君がでたらめな報告をしたとも思えない。確かに見た通りの事実なら、そして神永が目撃したものがあのウルトラマンだとすれば…いずれにせよ、これは重要な案件だ。改めて各自調査を進めると同時にこの一軒に関しては他言無用だ。私から室長に改め報告と相談をする」

 

 「了解」

 

 田村の言葉にメンバーは頷いた。

 そこへ部屋の中に看護師が入ってきた。

 

 「あの…田村さんはいらっしゃいますか?」

 

 「私が田村ですが…」

 

 「岩本博士が、田村さんをお呼びです。先ほど運び込まれて執刀を担当した例の修道服の少女のことでお話があるそうで…」

 

 「分かりました。すぐ向かいます。…いったん休憩にしよう、解散だ」

 

 田村の言葉に、看護師に呼ばれた彼が部屋を出るのと同時に他のメンバーも部屋から続々と出ていく。

 それにしても、と神永は思った。今日は色々ありすぎた。

 重要な情報を持っていそうな人物から証言を聞き出そうと学生寮に向かったら、血塗れの少女が倒れ、魔術師と名乗る謎の人物に摩訶不思議な超常現象による攻撃を受け、そこへさらに人間サイズのウルトラマンが登場し…まさに非日常、非常識の連続。公安警察で、かつての上司村松率いる科学特捜隊で活動していたころを神永は思い出した。あの時も、摩訶不思議な異常現象や怪奇現象を相手に捜査し、戦っていたものだ。

 あの修道服の少女は大丈夫だろうか。少し様子を見に行こうか…

 そう思いながら大学病院のホールに足を向けると、目の前に一人の人物が佇んでいるのが神永の目に入った。

 

 「君は…」

 

 「…」

 

 ツンツン頭に半袖の学生服。年の割には妙に大人びた落ち着いた雰囲気の無表情の少年。

 神永を見てペコリと頭を下げたその少年に彼は見覚えがあった。

 ネロンガ戦の後、被災地の付近にいながら無傷・無表情で小学生を連れて避難してきたツンツン頭の高校生、神永が証言を聞こうとした少年、上条当麻が目の前に立っていた。

 それは二度目の彼との邂逅だったが、そのことをこの時の神永は知る由もなかった。

 

 

 

 

 

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