まるで夢を見ているかのような感覚。
町の中で呆然と立ち尽くしていた。
何か夢を見ていたような……
”お○○み、○○夢○○て○○さい”
「っ……!」
思い出そうとすると、強烈な頭の痛みが襲う。
最近こんな事が多いような気がする。
――そうだ、買い物を終わらせないと。
私は再び歩き出した。
―――
――
―
昔から私は引き籠る事が多かった。
対人恐怖症、とまではいかないがコミュニケーションが苦手だった。
だからこそゲームをハマっていた。
特に躍起になったのがオンラインゲームだ。
面と向かって話す必要の無い対話。
それは、私にとって唯一可能なコミュニケーションだった。
しかしMMORPGには終わりがある。
その時は永遠に続くと思っても、仲間達の引退、サービスの終了等は起こり得る。
現実に居場所が無い私の唯一の居場所……
それが無くなるのはとても悲しかった。
次へ、また次へと繰り返していく。
ネカマを始めたのもその頃だ。
こうしていればみんな優しくしてくれる、現実では得られない幸福感で満たされる。
ネカマを続けていくうちに、現実とゲームのどっちが本当の自分か分からなくなっていった。
だからこそ過ちが起きてしまったのだ。
”気持ち悪い”
”どうせ貴方は一人になるのよ”
あの時の言葉が私を現実に引き戻した。
所詮はゲームの世界など幻でしかないと。
現実での価値が本当のお前なのだと……
あれ以来、私の居場所は無くなった。
新しいゲームに乗り換えてもソロばかり。
私は、孤独だった。
―――
――
―
「遅かったな。」
「ごめん、ちょっと迷っちゃって。」
買い物を終わらせて町の入口に戻ると、二人は既に待機していた。
私は適当に笑って誤魔化す。
「体調が悪いなら、ここで中断してもいいんだぞ?」
ディリスタさんが心配そうに私を見てくる。
確かに白昼夢を見たような感覚と、昔の嫌な記憶を思い出してしまって気分は悪い。
それでも、二人に迷惑はかけたくない。
やっと手に入れた、新しい居場所なのだから……
「大丈夫ですよ、それよりどんどんメインクエ進めちゃいましょ!」
「おう! そうこなくっちゃな!」
卍エクスカイザー卍もやる気に満ちた声をあげる。
今は彼の明るさがありがたい。
「わかった、異変を感じたらすぐに言うんだぞ?」
「分かりました。」
昔なんて、もうどうでもいい。
現在は、確かにここにあるのだから。
幸せなこの時間が……
それだけが私を私でたらしめる概念。
だから、だから……
こんな時間が永遠に続けばいいのに……