人通りの多い中、僕はひっそりと道の端を歩く。
目的のスーパーに辿りつき中に入る。
中は多くの主婦達で溢れている。
こういう雰囲気は苦手だ。
週末の連休に備えて、しばらくの食事の確保のために我慢する。
目的は当然カップ麺。
早くて手間いらず、洗い物も出ない優れものだ。
連休中は廃プレイ予定なので、迅速な食糧摂取は重要だ。
流石に食べないわけにもいかないし。
僕はそのままカップ麺コーナーに向かう。
――そこには意外な人物がいた。
「よぅ。」
そこにいたのは勇だった。
「……」
「なんだ、お前もカップ麺買いに来たのか?」
予想外だった。
まさかこいつ、家の近くに住んでるわけじゃ……
カゴを見ると、大量のカップ麺が入っている。
「そうだけど……」
「流石オタク、連休も引き籠りか?」
明らかに嘲るような声音。
僕はこいつが嫌いだ。
「……」
「まぁ、俺には関係ないがな。」
なら話しかけるなよ……
「大事なパシリに何かあったら困るのは俺だからな、連休で病気なんてなるなよ?」
「うん……」
そう言うと勇はカゴを持ってレジに歩いていった。
正直関わりたくない。
連休が明けたら嫌でも会う事になるが……
さっさと買って帰ろう……
安売りコーナーのカップ麺を無造作にカゴに詰める。
「oリ~ナo――ちゃん♪」
「ひっ!」
耳元で急に声がして驚いてしまった。
決して変な声は出ていない。
「可愛いねぇ……、こんな所で戦の準備かい?」
「優さんもですか……?」
「まぁねぇ~」
予想通りというか、優さんのカゴの中身もカップ麺だらけだ。
というか、家近い?
「連休こそ廃プレイのために存在しているのよ。」
確かにそれには同意である。
なんだろ、でも何か優さんに聞きたい事があったような……
”こ○○現○○○ないわ”
そう、何か――
「大丈夫? 顔色悪いけど。」
「だ、大丈夫です。 またゲームの中で。」
そう言って、僕はレジに向かった。
今日はやけに顔見知りと出会う気がする。
流石にみんな近所だとは思いたくない……
そう考えながらオートロックを解除してマンションの中に入る。
全てが機械で管理された城。
親から離れ、一人暮らしをしている身としては安心できる設備だ。
買って来たカップ麺を、袋ごと無造作に床に投げる。
そのままソファーに腰かけた。
慣れない事はするものじゃない、買い出しだけでこれだけ疲れるとは。
今度からは通販で取り寄せようか……
時計を見ると、既にお昼の12時を過ぎていた。
僕は床に放り投げたカップ麺を1個取り出すと、早速準備してお湯を注ぐ。
こういう時に電気ポットを置いておくと便利だ。
――
―
「頂きます。」
3分が立ちカップ麺の蓋を開ける。
”失踪事件が多発しており、警察も――”
何やら物騒なニュースが流れている。
やはり何年立っても犯罪は無くならないものだなぁ……
そうしみじみ思いながらカップ麺を啜る。
そんな時事等より、僕は早くゲームをやりたいのだ。
あくまでもニュースなどBGM代わりだ。
そういえば今日は他のメンバーと一緒にIDに行く予定だったなぁ~
右手で箸を持ったまま、左手でPCのキーボードを叩く。
”ベリカ遺跡”
”制限レベル15-25”
メンバーは――
ファイター、アーチャー、キャスター、ヒーラー。
フルPTには1人足りないが、実にバランスがよろしい。
一旦箸を置いて、MAPを画面に表示させる。
前回と同様、1本道のIDのようだ。
ボスは2体で、弱点はギガオークが炎、防衛装置が雷か。
道中は機械系の敵が多いから、この前覚えた"エレクトロショット"が役立ちそうだ。
そのままラーメンを食べつつ、情報を読み漁った。