Another line   作:空野 流星

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4章 マザーと真実編
深淵の森


「遅いわよ。」

 

 

「――すみません。」

 

 

 

ユキさんに呼び出されて、急遽リクセント城下町の路地裏にやってきた。

 

壁に手を触れると、グラフィックが裂けてポータルが出来る。

 

 

 

「さあどうぞ。」

 

 

 

ポータルにアクセスする。

 

移動先は文字化けで読む事はできない。

 

 

――

 

 

 

 

移動した先は、いかにも作戦室といった雰囲気だ。

 

中央の長テーブルの上には電子の地図が広がっており、奥には巨大なモニターがある。

 

周りには、他にもユキさんが呼んだであろうプレイヤーが数人いる。

 

 

 

「全員そろったわね。」

 

 

 

テーブルの真ん中に来ると、ユキさんはとある場所を指さした。

 

地図には×印がつけられ、名称が書き足されている。

 

 

 

「深淵の森……」

 

 

「私が現地で確認してきたから間違いないわ。 今回はこの森の対応をどうするかの話し合いに呼んだの。」

 

 

 

その言い方からすると、恐らくは”マザー”の仕業なのだろう。

 

ついに表立った干渉を始めたという事だ。

 

 

 

 

「新イベントとして運営側は発表して誤魔化したけど、実際に入ってみないと分からないわね。」

 

 

「ちなみにどんな扱いのMAPになってるんですか?」

 

 

「インスタンスダンジョン扱いね、しかもソロ入場限定。」

 

 

 

中々に面倒な仕様のようだ。

 

つまり中を調査するにも、一人で行動しなければならない。

 

それなりの危険も付いて回る中の単独行動だ。

 

 

 

「ともかく、一度入ってみない事には何も分からないわ。」

 

 

『……』

 

 

 

周りも無言の肯定――

 

危険だろうと入るしかないのだ。

 

それは勿論私もである。

 

 

 

「私とoリナoがそれぞれ入るから、残りはバックアップをお願い。」

 

 

『了解です。』

 

 

「――了解です。」

 

 

 

当然の如く潜入するメンバーにされている。

 

監視対象である私が動いた方が、何かしらのアクションを期待できるという意味もあるだろうし。

 

 

 

「では2時間後に現地集合で、いいわね。」

 

 

 

2時間もあれば準備しても余りある時間だ。

 

覚悟を決めて来いって意味なのだろうか……?

 

 

 

 

ギルドルームの自室にて、私は預けたアイテムの確認をしていた。

 

情報が何も無い場所に行くならば、多くの状況に対処できる装備品が必要だ。

 

属性耐性のアクセサリー各種、対物理と対魔法用の防具、消費アイテムetc...

 

 

 

「何をガチャガチャやってるんだい?」

 

 

「あ、サブマスター、お疲れ様です。」

 

 

 

サブマスターが部屋を覗きに入ってくる。

 

そう、ドレイクさんだ。

 

ここは”紺碧の猟団”のギルドルームなのである。

 

 

 

「ははん……さては抜け駆けする気だね?」

 

 

「何のことです?」

 

 

「隠したって無駄だよ、あんたあの森に行くんでしょ。」

 

 

 

別に隠すつもりも無かったが、どうやらバレバレのようだ。

 

その様子から察するに、ドレイクさんはまだ挑戦しないようだ。

 

 

 

「えぇ、そのつもりです。」

 

 

「その心意気、アタシは好きだよ? まぁ帰ったら中の様子を教えておくれ。」

 

 

「分かりました。」

 

 

 

青空教室を卒業したのち、私はしばらくソロでの活動を続けていた。

 

確かに紺碧の猟団には誘われていたが、たかだか50レベル台で入るのも気が引けた。

 

しかし、レベル80にもなるとドレイクさんに強制的に連れてこられてしまったのだ……

 

まぁいつかはって思っていたわけで、それが早まっただけだが。

 

 

私はアイテムをバッグにしまいこみ、立ち上がる。

 

 

別に恐怖は無い――と思う。

 

 

確かにいつか我が身だ、彼らと同じようにならないとは限らない。

 

特に今回は罠の可能性も高い。

 

明らかに私達と誘っているのだ、あの森は。

 

 

私は深呼吸をして、部屋を出た。

 

どの道、選択肢など前から無いのだ。

 

 

 

 

現地に着くと、何人かのメンバーが機材を設置していた。

 

現実で言うモニターだ。

 

見た感じ、1台がもう稼働している。

 

 

 

「ユキさんは?」

 

 

「もう先に入られました。」

 

 

 

ユキさんが見当たらないのは、やはりそういう事らしい。

 

つまりこの映像を映しているのはユキさんだ。

 

 

 

「ユキさん、中の感じはどうです?」

 

 

「”なかなかハードよ、ソロ用に敵のHPが調整されているとはいえ、レベルは皆100”」

 

 

 

カンスト相手は、自分のレベルでは少々辛い……

 

最悪様子見だけで撤退するという手もある。

 

 

 

「”取り合えずこのまま進んでみるわ”」

 

 

「分かりました、私も入ってみます。」

 

 

 

メンバーの人に受け渡されたブローチを装備する。

 

どうやら中にカメラがついているようだ。

 

流石にユキさんの同僚達なだけあって、規格外の装備を作るとは流石だ。

 

 

私は最後に装備品とアイテムの確認をする。

 

――よし、行こうか。

 

 

”深淵の森”

 

”制限レベル無し”

 

 

森の前でポップアップが表示された。

 

制限レベル無しという見慣れない表示がある。

 

 

敵にレベルが100なのに制限なし?

 

疑問は尽きないが取り合えず中に入ろう。

 

 

私は謎多き森に足を踏み入れた。

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