太陽の光が眩しい……
暗い洞窟に慣れた目が日光を拒絶する。
逆に言えば、やっと地上に帰ってきたという事だ。
あれから私達は、ボスのドロップ品を回収して戻ってきた。
他のMMOにあるような、IDをクリアしたら入口に! なんて事は無かった。
道中でモンスターがリスポーンしていたため、余計に時間がかかった。
何故こんな面倒な仕様にしたのだろうか……
「お疲れさま、二人共。」
入口で待っていたユキさんが労ってくれる。
私はスマホを返して礼を述べた。
時刻を確認すると22時を過ぎていた。
「貴方達、まだ時間あるかしら?」
「一応まだ大丈夫です。」
「俺もです。」
「おk、ならついて来て。」
そう言ってユキさんはチームを組み直してから歩き始める。
他に何か用事があるんだろうか?
そもそも、ユキさんは何故こんなにも親切にしてくれるのだろうか?
「なぁ、oリナo。」
「ふぇ!?」
考え事の最中に、急に話しかけられて変な声がでる。
「お前さ、昨日に比べてだいぶ砕けた感じになったよな!」
「えっと、その……」
――先程の戦闘の最中の事を思い出す。
確かに……
「俺はその方が気楽でいいぜ? 距離が縮まったみたいで俺は嬉しいよ。」
眩しい程の笑顔だ。
一方の私は、恥ずかしくて俯いている。
「だからさ、もっとお前らしさが見たいって思うよ。」
「それって、口説いてる……?」
「いや! そういうんじゃないから! 俺は――」
彼のこういう部分は可愛いと思う。
これが仲間ってものなのかな……?
私達3人はエルシャの町まで戻って来た。
そのままユキさんについていくと、町のポータルの所に辿り着いた。
このポータルは、戦闘不能時の復活場所であったり、ギルドルームへの移動に使われる。
先程、町を出る前にこのポータルを登録していた。
「ディリスタ、連れて来たわよ」
「うん、いつも助かるよ。」
ディリスタと呼ばれた男が、私達に近づいてきた。
「こんにちわ、初心者さん達。
僕はディリスタ、ギルド青空教室のギルドマスターだ。」
そう名乗った男、ディリスタは微笑んだ。
「ギルドって、なんだ?」
予想通りの疑問を卍エクスカイザー卍がぶつける。
流石に無知にも程があるが……
「ははっ、元気がある初心者さんだ。」
そう言いながら笑うと、ディリスタさんは分かりやすいようにギルドの説明を始めた。
卍エクスカイザー卍はその話を熱心に聞いている。
「ユキさん、もしかして……」
「えぇ、そうよ。 最初から貴方達を勧誘するつもりだった。」
「やっぱり……」
最初の接触から持っていた疑問が解けた。
彼女は初めから私達をギルドに勧誘する予定だったのだ。
「oリナo、俺このギルドに入るよ!」
卍エクスカイザー卍の返答は即答だった。
あまりの即断に私は苦笑いを浮かべるしかない。
「もちろん、oリナoもだよな?」
彼はこう言っているが、どうするべきだろうか?
正直、ギルドに加入した方がメリットは高い。
「……」
「oリナo?」
元々ソロプレイでやるつもりだったけど……
私は――
”どうせ貴方は一人になるのよ”
嫌な言葉が記憶から蘇る。
どうせ一人になるなら、最初から一人でいればいい……
そう思ってMMORPGを渡り歩いてきた。
これからもそうするつもりだった。
しかし、現実に近いこの世界では、私は何かに依存しようとしている。
現実の寂しさを埋めたいとでもいうのだろうか……?
でなければ、初対面の彼にフレンド申請などしなかった。
その彼が行くというのだ、ついていっても問題ないはず。
昔のような事はもう起こらないはず――
「うん、私も入る。」
「だそうよ、ディリスタ?」
その言葉を聞いたディリスタさんは微笑んだ。
「ようこそ、青空教室へ。」