oリナoちゃんの大冒険?
来てしまった……
やはり断っておくべきだったか?
話は昨日に遡る。
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「今日はもう遅いし、日曜日に他のギルドメンバーとの顔合わせにしようか。」
時刻を確認すると、もう23時半を過ぎていた。
明日は土曜で休みとはいえ、流石にそろそろ眠い。
「そういえば、明日は臨時メンテよね?」
「だなぁ、珍しく半日メンテだ。」
ディリスタさんとユキさんが何やらメンテの話をしている。
休日にメンテは辛いなぁ……
「じゃあ俺は落ちるっす! みんなお疲れ!」
「お疲れさま。」
「日曜日待ってるよ。 じゃあ僕もお先に。」
卍エクスカイザー卍とディリスタさんがログアウトする。
私とユキさんの二人が残される形となった。
「ねぇoリナoちゃん?」
「は、はい?」
ニヤニヤしながらユキさんが話しかけてくる。
何か嫌な予感がする。
「明日メンテだし、リアルで会わない?」
「え……えぇ!?」
―――
――
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そして、今に至る。
予定の時間から10分が過ぎている。
先にカフェの中で待てば良かっただろうか?
「はぁ……」
自然とため息が漏れる。
普段人との接触も少なく、休日は引き籠る事が多い。
だからこそ、この人ゴミの中いるのは慣れない。
「こんにちわ~」
気の抜けた挨拶で急に挨拶される。
目の前には黒髪ロングの美人さんが立っている。
というか、ゲームのユキさんのキャラほぼそのままという容姿だ。
「こ、こんにちわ。」
「遅れちゃってごめんねぇ~」
なんというか、ゲームとはかなりイメージが違う。
しかし、お互いの顔を確認していないのによく分かったものだ。
「とりあえず、中入ろっか?」
「そうですね。」
中に促されカフェの中に入る。
人はそれほどいないが、ざっくり見ると男女のペアが多い。
なんだかこう、恥ずかしい……
「私はコーヒーで~」
「……オレンジジュースで。」
注文を終えると、ユキさんがこちらに向き直した。
「私は伊織 優、ゲーム内ではユキよ~」
「僕は早瀬 理樹です。 ゲーム内ではoリナoです。」
「ふふっ、やっぱり可愛い子だったわねぇ~」
そういえば、初めて会った時もそんな事を言っていた気がする……
私は、運ばれてきたオレンジジュースにストローを刺して一口飲む。
伊織さんは楽しそうに、ミルクと砂糖を入れたコーヒーをスプーンでかき混ぜている。
「そういえば……」
「ん~?」
「どうして、僕の顔が分かったんですか。」
お互い写真は交換していない。
昨日の時点で、伊織さんは見たら分かるからいらないと言ったのだ。
僕にとって、その言葉は昨日からの疑問である。
「女の感。」
「茶化さないでください。」
なんというか、この人は少し怖い。
すごくフレンドリーなのだが、裏で何を考えてるか分からないタイプだ。
「まぁ突っ込まれるのは予想してたしね~」
コーヒーを飲みながら、まったりとした雰囲気は変わらない。
ただ、少し眼光が鋭くなった気がする。
「その理由を教えるためにも、私のホームにご案内しようと思ってね。」
「伊織さんの家にですか?」
「ノンノン、ホームよ。」
どういう意味だろう?
ホーム――家という意味で他に何か?
「この店はね、ウチでちょっとばかし借りてるのよ。」
「……?」
よく分からない。
伊織さんの表情は先程と変わらずにこやかだ。
「”ダイレクトログイン”」
伊織さんは呪文のようにその言葉を唱えた。
視界が溶けていく。
テーブルや椅子、手に持ったコップもぐにゃりとありえない形にねじれる。
溶けて混ぜあい、色の概念が消失して――真っ白になる。
あれ、この感覚は……?
有から無に。
そして真っ白から、時間が逆流するように戻っていく。
テーブル、椅子、コップも……
まるで何事も無かったかのように元に戻った。
ただ、一つを除いて。
さっきまで目の前にいた伊織さんがいないのだ。
代わりにそこにいるのは。
「ここのコーヒーは相変わらず美味しいわね。」
ユキさんだった。
間違いない、エレウシスオンラインのキャラクターであるユキさんだ。
しかし、ゲームには似合わない白のワンピースを着ている。
「え、えぇ?」
頭が混乱する。
落ち着け、ここはゲームの中じゃない現実のはずだ。
なら目の前にいるのは、このユキさんは誰だ?
「流石に驚いてるみたいね。」
そう言いながらユキさん?はバックから手鏡を取り出した。
「さあ、これが今の現実よ。」
僕はゆっくりとその鏡を覗き込む。
そこにいたのは、紛れもなく私だ。
oリナoの姿が映ったのだ……
「これはね、今開発中のシステムなのよ。 グラは本家から借りてるけどね。」
戸惑う私を見ながらユキさんは説明を続ける。
「簡単に言うと、ここはPCのデスクトップなのよ。
ここからゲームに入るのもよし、仕事をするもよし。」
そう言いながら、何やら指を動かす仕草をすると、目の前にエレウシスオンラインのタイトル画面のポップアップウィンドが現れる。
「仮想世界だからなんでも出来る。 このカフェだって自分好みに見た目を変更出来るのよ?」
再び指を動かすと、周りの風景が一瞬で砂浜に変わった。
「どう? すごいと思わない?」
「もう何がなんだか……」
正直、理解が追いつかない。
「私の会社はジェネラルコーポレーションの下請けでね、上から命令で色々開発してるのよ。」
そう笑顔で語るユキさん。
ジェネラルコーポレーション。
世界規模の超大手企業であり、最近ではゲーム業界にまで進出している。
エレウシスオンラインの開発、運営のバックにいるのもこの会社だ。
「最終的には、VRヘッドを小型化、ナノマシンサイズにして体内に入れるって計画もあるのよ。」
何か恐ろしい話を聞いている気がする。
こういうのって、俗に言う企業秘密ってものではないのだろうか?
それを知ってか知らないでか、話は続く。
「こうなると昔あったSF映画みたいね、ある意味人類の進化とも言えるわ。」
熱く語るユキさんは、恍惚な表情を浮かべているようにも見える。
しかし、あまりにも現実の伊織さんとはイメージが違う。
私は適当に相槌をうって笑うしかない。
「oリナoちゃんのリア情報は会社のデータべースで見たから知ってたのよね♪」
「ちょっと、それ情報漏えいになりません?」
「私がプロテクト超えて見ただけだから大丈夫よ。」
もしかしたら、ユキさんってヤバイ人なのかもしれない……