メイド長春雨   作:緑雨

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 私の名前は雨野春陽。25歳にして命を落とした。だけど私は、その記憶を持ったままに第二の生を受けた。それも、元の世界とは別のよくわからない世界に。

 新たな私に付けられた名前は雨宮春夏。偶然にも、前世の名前に似ている。まぁ、ただの偶然だと思うが。

 雨野時代は小学を陸上、中学を剣道、高校大学を弓道に捧げ、大人になってからはとある大富豪の家で雇われた。所謂、メイドというやつだ。ただ、待遇が良かったとは言えなかった。高校の途中からだろうか、男子に呼び出されては非力な私は抵抗できずに強姦された。大人になってもそれは変わらず雇い主に立場を利用され強姦されていたが、それも途中からなれた。

 本当は途中で心が折れて自殺してやっても良かった。でも、生きることを諦めきれなかった。ただ、そんな私の人生も25回目の夏に終わりを告げる。

 雇い主と二人で南国に向かう途中、船が転覆した。そのまま体は浮かぶことなく水底に沈み溺死した。これが、私の人生の終わりかと思われた。

 しかし、私は雨宮として生まれ変わった。第二の人生ではこんな生活を送らぬよう、幼稚園時代から格闘技を習った。小学は前世で一番充実したときを過ごした陸上に捧げ、中学を中退。

 私は、14歳という若さで就職することに決めた。でも、中々仕事は見つからなかった。親は私を進学させようとしたが、その手は払い除けた。

 やっとこさ見つけた仕事の紹介文をそのまま読み上げよう。深海棲艦という未知の敵から国民を守る仕事。だそうだ。なんとも胡散臭いが、それに私は頼るしかなかった。

 そして今日、私は面接を受けに来ている。家がある横須賀に支部があるようで、そこに向かった。海から吹き付ける風が髪に当たりベタベタとするが別に気にしない。中学生だがちゃんとスーツを着込んだ私はその建物に入った。

 建物の入口にはデカデカと横須賀鎮守府の文字が書かれ、かつての大戦中を思い返させる。これでも世界史は得意科目なんだ。

 まるでかつての海軍を彷彿とさせるような建物に入り、指定された面接用のプレハブ小屋に向かう。中に入ると、面接官らしき人が座っていた。その隣には偉そうにいかにも権威がありそうな服を着た男性が佇む。

 私以外には面接を受ける人はいないようで、会場は貸し切り状態だった。広い空間に上司と二人というのは前世を思い出す。今となっては笑える思い出だ。あのデブのおかげで強姦にも慣れた。

 面接官らしき人物は私の前に立つと、私の腕に砲を取り付けた。重たいが、剣道着ほどではない。それでも、何も言わずに行動するのは辞めてもらいたかった。指示があるならはっきりしてたほうがこちらとしても効率的に仕事できるのに。ろくに常識も知らないいい家系の子供と見た。

 面接官は私の手を無理矢理引っ張ると、アーチェリーの的から50cmほど離れた場所に連れ出した。普通なら勝手に体を触り勝手に動かすのはやめてほしいことだが、私は別に気にしない。それが人生だと思っている。

 さて、面接官は何も指示を私に出さない。飽きられたのだろうか? まぁ、せっかく砲を持たされているんだし的を狙おうか。撃ち方はわからないしぶん投げよう。

 軽く振りかぶって投げたら思ったよりも空気抵抗を受けずに進み的の根本に直撃してへし折った。備品壊しちゃったかな? まぁ、指示を出さなかった面接官が悪いということで。

 面接官はひどく驚いたようで偉そうな人の方を見ている。偉そうな人は笑いだして私の方を見つめた。

「君、面白いね。」

 褒められたって全く嬉しくはないのだが、そういうということはきっと私の行動は間違っていたのだろう。私、猛省。

 次に私が渡されたのは円筒状になった中身の入った容器だった。これも使い方がわからない。取り敢えず振りかぶってみると、面接官が流石に私を止めた。

 説明を受けて私は理解する。これは横のボタンを押すと中身が発射されるらしい。ただ、多少時差があるんだとか。投げたほうが早くね?

 そう思った私はボタンを押してからぶん投げた。中身は空中で発射され、的に着弾。水飛沫を上げた。

 そうして私の極々普通に全うした面接は終わり、正式に採用が決まった。まさかあんなにふざけて合格だとは思わなかったけど、これは嬉しい。さぁ、明日からの仕事頑張るぞ〜。

 最後に、私にはこの職場での名前が付けられた。私はここでは春雨と呼ばれるらしい。これまた名前に似ていて何かしらの因果を感じるが別に偶然だろう。なにせ私は名乗ってすらいない。

 今日は家で一日休むぞ〜。明日からの仕事に向けて、ちゃんと休まないと!

 

 

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