暗いけど、暗い場所は慣れてる。周りの様子を見てみようかな。
上を見る。すぐ近くに天井がある。
横を見る。少ししかスペースはなくて、近くに壁がある。
後ろを見る。謎の機械が見える。
「そこで止まっててね」
指示に従って待っていると、後ろの機械が動き出す。機械から凄い速度で何かが飛んできた。取り敢えず屈んでよけた。
何かが壁に当たって轟音がする。いったい何だったのかな。
「なんの音なの!? 大丈夫だよね、ね?」
「何か飛んできたのでよけました」
「…え?」
よけたものを見てみる。なんだろう、見たことない形。中から蒸気が出てる?
「これなんですか?」
「…春雨ちゃんの艤装だよ」
「艤装? 何のために?」
「えっと、それ背中につけるやつなんだけど… ね?」
わけがわからない。取り敢えず背負ってみるけど… なんも変わった感じはしないな。
「背負ってみましたが…」
「背負う? えっと、ここの扉開けるから見せてもらうね?」
扉が開いて、由良が入ってくる。
「えっと、奥の機械で取り付けるんだけど… こんな重いの、どうやって背負ったの?」
「普通に背負いました」
「こんなに重いのに?」
「軽かったですよ」
「…軽い?」
「1キロぐらいですかね」
「詳しくはわからないけど、人が背負える重さじゃないよ?」
「別に重い軽いはどうだっていいんですけど、これなんですか?」
「奥の機械で勢いよく射出して、背中に当たると装着できるの。 わかる? ね?」
「わかりません」
「…試しにやってみよう? ね?」
「わかりました」
渋々艤装を奥の機械の場所まで運んで部屋の真ん中に立つ。天井も低いし横も人数人分しかないけど無駄に奥が長い。零距離のほうが強く背中に当たりそうだけど。
「それじゃあ行くよ? ね?」
「…覚悟はできました」
後ろの機械が起動した音がする。風を切って艤装が飛んでくる音がする。その刹那、体に何かがぶつかる感触がする。不思議と痛みはしな…くわない。少し痛い。
「どう? 大丈夫? ね?」
「…痛いです」
「まぁ、結構いたいと思うけど… でも、艤装があると水に浮けるんだよ」
「何を非科学的なことを」
「物は試し、行ってみよう?」
「えぇ」
海まで連れてこられた。また私は海で溺れることになるのかな。さよなら命、さよなら世界。
「私もここで死ぬのか…」
「死なないよ? 水に浮けるんだよ?」
「そんなわけがありません。そう言葉巧みに騙して私を海に沈めるつもりなんですよね?」
「大丈夫だって。信じて? ね?」
「信じません。本当に海に浮けるのなら、ニュースにでもなっているはずです」
「国の極秘裏の研究だから…」
「絶対に海になんて飛び降りませんからね」
「…そんなに怖いなら押してあげようか?」
「やめてください。絶対に押さないでくださいよ!」
「…えぃ」
海に突き落とされた。終わった…
「…あれ?」
本当に、海に浮いてる…?