メイド長春雨   作:緑雨

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2話 艤装

 暗いけど、暗い場所は慣れてる。周りの様子を見てみようかな。

 上を見る。すぐ近くに天井がある。

 横を見る。少ししかスペースはなくて、近くに壁がある。

 後ろを見る。謎の機械が見える。

 

「そこで止まっててね」

 

 指示に従って待っていると、後ろの機械が動き出す。機械から凄い速度で何かが飛んできた。取り敢えず屈んでよけた。

 何かが壁に当たって轟音がする。いったい何だったのかな。

 

「なんの音なの!? 大丈夫だよね、ね?」

「何か飛んできたのでよけました」

「…え?」

 

 よけたものを見てみる。なんだろう、見たことない形。中から蒸気が出てる?

 

「これなんですか?」

「…春雨ちゃんの艤装だよ」

「艤装? 何のために?」

「えっと、それ背中につけるやつなんだけど… ね?」

 

 わけがわからない。取り敢えず背負ってみるけど… なんも変わった感じはしないな。

 

「背負ってみましたが…」

「背負う? えっと、ここの扉開けるから見せてもらうね?」

 

 扉が開いて、由良が入ってくる。

 

「えっと、奥の機械で取り付けるんだけど… こんな重いの、どうやって背負ったの?」

「普通に背負いました」

「こんなに重いのに?」

「軽かったですよ」

「…軽い?」

「1キロぐらいですかね」

「詳しくはわからないけど、人が背負える重さじゃないよ?」

「別に重い軽いはどうだっていいんですけど、これなんですか?」

「奥の機械で勢いよく射出して、背中に当たると装着できるの。 わかる? ね?」

「わかりません」

「…試しにやってみよう? ね?」

「わかりました」

 

 渋々艤装を奥の機械の場所まで運んで部屋の真ん中に立つ。天井も低いし横も人数人分しかないけど無駄に奥が長い。零距離のほうが強く背中に当たりそうだけど。

 

「それじゃあ行くよ? ね?」

「…覚悟はできました」

 

 後ろの機械が起動した音がする。風を切って艤装が飛んでくる音がする。その刹那、体に何かがぶつかる感触がする。不思議と痛みはしな…くわない。少し痛い。

 

「どう? 大丈夫? ね?」

「…痛いです」

「まぁ、結構いたいと思うけど… でも、艤装があると水に浮けるんだよ」

「何を非科学的なことを」

「物は試し、行ってみよう?」

「えぇ」

 

 海まで連れてこられた。また私は海で溺れることになるのかな。さよなら命、さよなら世界。

 

「私もここで死ぬのか…」

「死なないよ? 水に浮けるんだよ?」

「そんなわけがありません。そう言葉巧みに騙して私を海に沈めるつもりなんですよね?」

「大丈夫だって。信じて? ね?」

「信じません。本当に海に浮けるのなら、ニュースにでもなっているはずです」

「国の極秘裏の研究だから…」

「絶対に海になんて飛び降りませんからね」

「…そんなに怖いなら押してあげようか?」

「やめてください。絶対に押さないでくださいよ!」

「…えぃ」

 

 海に突き落とされた。終わった…

 

「…あれ?」

 

 本当に、海に浮いてる…?

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