「ねぇ、約束しよ!」
「約束?」
「うん!大きくなったら、私と結婚しよ!」
「僕と君が?」
「うん!今よりもっと綺麗になって君とずっと 一緒にいるの!」
「うん!僕もずっと君と一緒に居たい!
僕ももっとかっこよくなって君の隣に
居ても恥ずかしくない男になるよ!」
「約束ね!」
「うん!約束だ!」
そう言って俺はその子と指切りをした。
……………………………………………………………………
ピピピッピピピッピピッ!
懐かしい夢を見た。
確か小学生くらいの時の記憶だ。
あの時仲の良かった女の子。
綺麗な瞳に咲くような笑顔。
今思えばどこにでもある、ガキのころの約束。
時間と共に風化して、お互い忘れてそれぞれの
人生を歩んでる。
何故、今になって何年も見てなかったあの夢を
見たんだろうか?
少し物思いに耽ってみたが、答えなんか出るはず
もなく、起床を知らせるアラームのスヌーズ機能
が働きまた鳴り出す。
俺はアラームを止め、ベットから抜けて一度大きく背伸びをした。
そして、不意に約束した女の子の名前を呟いた。
今はどこで何をしてるかも分からないその子の名を。
「今ごろどこでなにしてるんだろうな?」
「ニ乃」
‥‥………………………………………………………………
「焼肉定食焼肉抜きで!」
「俺は唐揚げ定食増し増しで!」
「あいよー!」
「お前は相変わらずへんな頼み方をするな」
「知ってるだろ?俺の家庭事情を」
「まぁーな!俺の唐揚げ分けてやるよ!」
「助かる!」
今変な頼み方をしたのは俺の友達の上杉風太郎
家庭の事情でいつも変な頼み方をしているが、
成績は学年一位を取るガリ勉である。
勉強の虫と言っても過言ではない。
注文した品を受け取りいつも俺達が座ってる席に
向かうと風太郎と他にもう一人誰かがいた。
見るからに女子なんだが。
「私の方が先に席をとりました。隣が空いてるので移って下さい」
「じゃあ俺の方が先に座りました!はい!俺の席!」
「ちょっ!」
・・・何やってんのこいつ?いい歳してガキか?
しかし、この女子の制服黒薔薇女子か?俺がそんな事を考えていると。
「お前も早く座れよ、飯冷えるぞ?」
「あぁ、悪い隣座るな。」
俺はそう言って見知らぬ女子生徒の横に座った。
「あっ、はいどうぞ!」
許可をもらい俺も頼んだ飯に箸をつける。
風太郎に唐揚げを分けてやり、箸を進めていると、風太郎がテスト用紙を出しながら飯を食っていた。
「行儀が悪いですよ」
確かにこの子言う通りだ、しかし・・・
「何?なら見ながら勉強した二宮金次郎は許されるのか?」
「状況が違います!」
うん、そうだね!状況が違うね。
「テストの復習をしてるんだ、ほっといてくれ」
「食事中でも勉強なんて、よほど追い込まれてるんですね」
違うこいつの場合は逆だ
「何点だったんですか?」
「あっ!おい!」
「上杉風太郎君、点数は・・・100点!?」
女子生徒が点数に驚いていると
「あぁー、めっちゃ恥ずい!」
顔半分を隠してそんな事をのたまう。
「お前ぜってーわざとだろ?」
「何のことだか分からん」
確信犯だなこいつ、女子生徒もプルプル震えてるじゃないか
「お前はどうなんだ?礼央」
「俺はいつもと変わらんよ」
「私は勉強が得意ではないので、羨ましいです。
そうだ!これも何かの縁です!勉強を教えて
くださいよ!」
「ご馳走様」
「って、早っ!それぽっちで足りるんですか?
なんなら、私の分分けましょうか?」
「満腹だね。むしろあんたは食い過ぎだ。太るぞ?」
「ばっ!お前それは!」
「ふ、ふとっ・・・!」
「お前よー、そんな事言ってるの彼女できねぇーぞ?」
「彼女?恋や、恋愛など学業から最もかけ離れ最も愚かな事だ!」
「・・・はぁぁー」
風太郎の言葉に俺は軽く頭を抱えてため息をつく。
こいつは本当に勉強の虫だなと改めて思う。
「彼は、かなり拗らせているようですね・・・」
「分かるか?」
「えぇ・・・」
「くだらないな!すまん電話だから先に戻るぞ」
そう言って風太郎は席を離れ食堂を出て行った。
電話はおそらく、らいはちゃんだろ。
何かあったのか?
「なんですか、あの人は!デリカシーがなさすぎます!」
「俺のツレが悪かったな、あんなんでも根はいい奴なんだ
あいつの代わりに謝るよ、悪かったな。」
「いえ、貴方は悪くありません!本当にあの人のご友人なんですか?」
「中学からの友達だよ。見ての通り拗らせていて、デリカシーの欠片もないが家族思いのいい奴なんだよ。」
「そうは見えませんが・・・」
ですよねー。俺がどうやって風太郎の印象を回復させようかと頭捻っていると、俺の携帯にも着信が入った。
「すまん!俺も電話だ。あんた転校生だよな?
同じクラスになったらよろしくな!」
「あっ、はい!よろしくお願いします!
あの、お名前を伺っても?」
「そういえば自己紹介がまだだったな。
俺は橘礼央だ。」
「私は中野五月です。よろしくお願いしますね!」
「あぁ、じゃあまたな!」
「はい!さようなら」
俺は別れの挨拶をして席を外し、誰からの着信か見てみると
スマホの画面には母と表情されていた。
Sid五月
本当にデリカシーのない人でした!
あんな男性がいるなんて信じられません!
私は先程会った男性に言われた事に怒りが治りません。
でも、もう一人の方は凄く紳士的で、自分は悪くないのに友達だからと
私に謝罪してくれました。
あんな、男性ばかりなら争いのない平和な世界になるんでしょうね。
しかし、彼の名前に私は少し違和感を覚えました。
立花礼央、前にニ乃が話していた約束した男の子とは名前が一緒でした。
偶然?それとも本当に・・・
私はもやもやした気持ちのまま昼食を食べ終え、食堂を後にしました。