YMO ー黄色い変身ヒロインの秘密を僕だけが知ってしまってー 作:豚煮真珠
「シンダーエラ! ターンイントアドヴァンシング!」
「シンダーエラ! ターンイントジョイフルネス!」
手鏡をそれぞれ手にした慧と潤奈が変身を宣言した。
鏡が手から離れ、まばゆい光をそれぞれに向かって放つ。そして――。
「夢に向かって走る青雲の志を未来に! 光の戦士セントレアアーチェリー!」
「笑顔あふれる穏やかな喜びを未来に! 光の戦士オータムシアリーズ!」
二人のコスモスが現る。慧と潤奈が光の戦士に変身した。
慧、もといセントレアは、弓道着に似たドレスを身にまとい、左手には弓が握られている。そして潤奈、もといオータムは、茶色を基調とした華やかで裾の長いスカートを履き、へそを出したトップスの上に薄布をショールのように羽織っていた。
オータムの衣装を端的に表すならば、インドの伝統的な衣装「レヘンガ」に似ている。変身を済ませて臨戦態勢に入ったオータムとセントレアが、黒いサルの仮面をかぶる男に身構える。
「よしよし。無力な女をいたぶるのはさすがに趣味じゃないからな。では、俺も精霊の力を借りるとしよう。〝
サンダルを脱ぎ捨てた男の胸から光が放たれた。
男が御辞儀するように上半身を前に
脚は瞬く間に
鳥の体に人間の頭を持つ伝説の怪物「ハルピュイア」の
「行くぜ! ヒャッホウー!」
男が奇声を上げながら飛び上がり、その両翼を使って空へ羽ばたいた。
コスモス二人が空を舞う男を見上げる。そのうちセントレアが先手必勝と、右手に光の矢を生み出して
両の目で狙いを定めるセントレア。その口をキュッと引き締め、空を舞う男のみに意識を集中し、
「そこっ!」
右手を放して光の矢を撃つ。
セントレアは以前、
放たれた光の矢が上空の男に向かって突き進む。このまま真っ
「食らうか!」
しかし、男は闇の者として履歴は長く、数々の交戦経験を積んでいる。緒戦で撃ち落とされるような素人ではなく、翼を仰いで突風を生み出し、迫る矢の軌道を
風の反動で僅かに浮き上がった男がセントレアを凝視する。自らを撃ち落とそうとした女を先に始末せんと
「俺のターンだな! さあ、その命を俺によこせ!」
頭を前に突き出して滑空する。
まさに獲物を見つけた猛禽類の如く迫る男。この速さにセントレアは矢を生み出す間を見出せず、そして、男がセントレアに接近したところで翼を仰ぎながら両肢の
男の反撃は計算高かった。仰いだ翼が突風を生んでおり、それがセントレアの行動の自由を奪っている。逃れられない硬質の鉤爪が、動けないセントレアを捕らえんとする。
「危ない!」
オータムが横から飛び込んでセントレアを押し倒した。
間一髪ことなきを得たセントレア。空振りした結果に男が舌打ちし、再び翼を仰いで空へ戻る。
「セントレア、大丈夫ですか?」
「うん。……あの人、ものすごく強いかも」
「はい」
見上げる二人が額から汗を垂らす。空を舞う男を強敵と認識する。
男が二人の頭上をトンビの如く輪を描いて飛んでいる。これに二人が、目を合わせて手立てを講じる。
「そこっ!」
弦を放して再び撃ち落とさんとする。
「チッ、懲りないな! 何度やっても同じだ!」
やはり突風で男が矢の軌道を逸らすが、地上のコスモス二人を見据えると、うち一人の手ぶらだった方が消えている。
一人を男が急いで探す。後ろに気配を感じ、
「たあああっ!」
後ろから迫るオータムの拳を、男がすかさず回避した。
かわされたオータムが振り返って男と
オータムは男が矢を逸らしに翼を仰いだ隙を突いて空に飛び上がっていた。空を飛べるのはあなただけじゃない、と言わんばかりに構えるオータム。しかし――、
「フハハッ! 俺の
男が歓喜し、構えるオータムを笑う。
コスモスとの
空を舞っていたのもコスモスを空におびき寄せるためである。男は実のところ地上から矢を放つセントレアに多少の苦々しさを感じていたのだが、その弱点を突かず自らのフィールドに勇ましく躍り出るコスモスに、男は笑いが止まらなかった。
もう一度述べるが、男は数々の経験を積んでいる。その洞察力はそれなりの物であり、男は以前葦ヶ久保でセントレアとオータムの二人を物陰から見たとき、旧知の死を嘆きながらも二人に弱さを感じていた。そして、
「空は俺の独壇場だ! さあ、風に踊りな!」
「う、ううっ」
翼を仰いだ男がオータムに突風を吹き付け、この風にオータムは踏ん張れる足場がないために押されてしまう。
飛ばされてなるものか、とオータムが堪えている。だが、これも男の狙いである。男が耐えるオータムの隙を突き、
「……うわあっ!」
「捕まえたぜ!」
飛び掛かって両肢の鉤爪でオータムを捕らえた。
そのまま飛行する男。セントレアが撃つ矢の邪魔が入らぬようにひたすら遠くへ滑空する。そして、
「砕けな!」
「ああっ!」
オータムが、地面に
背を強く打ったオータムは立ち上がれずにいる。滑空した男は地面スレスレでオータムを放すと同時に翼を仰ぎ、生まれた突風を以てオータムを叩きつけていた。
仰向けに苦しむオータムの上に男が、脚を大きく開いてまたがった格好で着地し、そして馬乗りになる。
「さあ、お前に恨みはないが、その命
「え……、やああっ!」
男がオータムのトップスを嘴で
オータムの、僅かに膨らんだ成長途上の乳房が露わになる。その乳頭はほのかな桃色を
乳房を見られて恥ずかしがると共に恐れるオータム。しかし、男は
男の曲がった嘴が、オータムの
「やだ、やめてえ!」
遠慮せずに引きちぎった。
柔肌が破け、鮮血と共に桃色の肉が露わとなるが、それにもかまわず男がついばむ。まるで腐肉に群がるカラスのように何度も何度も嘴を突き立てる。
「いやっ、やああ、あああっ、ああああ!」
胸がぐちゃぐちゃと音を立てて食い荒らされている。この捕食行為を
自らの体を貪られるあまりの凄惨な光景に、オータムが白眼を剥いて気を失う。体に力が入らず、股からは
そして、男の宣言は実現する。男が血まみれの嘴でオータムの胸から、脈打つ心臓を引きずり出し、
「……フン、これでアイツをようやく」
唾を吐くように放り捨てた。
オータムが光に包まれ、丙山潤奈に戻る。だが、心臓と分離されたその体は既に死体と化していた。