YMO ー黄色い変身ヒロインの秘密を僕だけが知ってしまってー 作:豚煮真珠
「へぇーくしゅっ」
ベッドの上であぐらをかくパジャマ姿のコスモスの戦士、
コスモスとは、地球を我が物にせんと
コスモスの戦士は例外なく変身する。変身することで現代の科学では説明のつかない超常的な力を身に付け、その力を
「陽。鼻水たれてるわ」
同じコスモスの戦士、
ティッシュを丸めてゴミ箱に捨てる美月に、
「うー、寒い」
陽がうつろな目で鼻水をすすりながら告げる。
「布団をかけて寝てなさい」
「うん、そうする」
布団をかぶった陽は風邪をひいており、これを親友にして腐れ縁の美月が看病していた。
昨日、美月が宇宙海賊に襲われた。宇宙海賊は強く、窮地に追い込まれた美月だったが、陽が風邪の病身を押して駆けつけ、何とか事なきを得ていた。
陽は無理をした
「ねー美月さー」
「なにかしら?」
「
「そうみたいね」
布団をかぶりながら尋ねる陽。中学二年生の陽と美月には一つ下の後輩が二人おり、名前をそれぞれ
一つ下の二人もコスモスの戦士であり、この後輩の戦士二人が、昨日美月を襲って逃げた宇宙海賊を追い詰めるために明日東京へ行く旨を陽と美月に伝えた。
前話の黒い衣装の少女が昨日美月を襲った宇宙海賊にあたり、東京から引っ越して来た坎原環は、この黒い衣装の少女と抜き差しならぬ因縁がある。
「東京って行ったことないんだよね。あたしも東京行きたかったなぁ」
地方都市に住む陽が大都会への憧れをぼやく。
「バカ、戦いに行くのよあの子ら。大丈夫かしら」
「うーん、昨日の子がいくら弱っているからとは言え、心配だよね」
美月が物憂げに尋ね、陽が布団の中で腕を組む。
確かに美月は宇宙海賊が血を吐いたところを見ており、後輩二人もその旨を証言していた。乗じるのは悪くないが、先輩ゆえに心配してしまう。
美月が呼ぶ。何を考えているか分からないが、的確な意見を得られることは間違いない
「〝べーちゃん〟」
「なんだベエ?」
背に透明な
断っておくが、この陽の部屋に先まで陽と美月以外はいなかった。美月が呼んで初めてウサギは姿を現した。
まるでテレポートのように現れたウサギ。人の言葉をしゃべられるのもさておき、美月がウサギに見解を求める。
「べーちゃん。紬実佳と環、二人だけで大丈夫かしら?」
「心配は要らないベエ。あの二人ならきっとやり遂げて帰ってくるベエ」
ウサギが短い腕を組み、ドヤッとした顔で問題ない旨を返答した。この奇妙な謎のウサギは、光の戦士をサポートする「妖精」であり、陽や美月を始めとするコスモスの子たちは、この妖精に選ばれて戦士となっている。
選ばれた女の子は妖精から変身するための鏡・ハロウィンズミラーと、時を止めるための装置・ユニヴァーデンスクロックを託される。そして女の子は止めた時の中で変身し、宇宙海賊と人知れず戦っている。
妖精はなぜか日本語をしゃべれ、語尾になぜか「ベエ」と付けることから、陽や美月たちから「べーちゃん」と呼ばれている。
「二人が心配するのももっともだベエが、トゥインクルの潜在能力はコスモスでも随一だベエ」
「そうね。私たちも紬実佳には度々助けられてるわ」
「そしてリングレットは、そんなトゥインクルの色々足りないところを補うことができる戦士だベエ。だからボクはリングレットにトゥインクルを紹介したんだベエ」
妖精が心配は無用な旨を主張した。
今しがた妖精が「トゥインクル」「リングレット」と言ったが、これはコスモスの子が変身した姿の名称である。トゥインクルとは「トゥインクルスター」と言って紬実佳の変身した姿を指し、リングレットとは「リングレットアーク」と言って環の変身した姿を指す。
陽と美月にも名称がある。陽は変身した姿を「サンシャイン」と言い、美月は変身した姿を「ムーンライト」と言う。そんな戦士二人に妖精が続ける。
「あの二人はムーンライトとサンシャインに劣らないバディになるベエ。だからどかーんと任せておけだベエ」
「分かった、その言葉を信じるわ。ありがとうべーちゃん」
「どういたしましてだベエ」
妖精が消えた。
問題ないと告げた妖精だが、それでも気にかかる。 後輩は何度も言うが一つ下の中学一年生であり、コスモスの戦いは死と隣り合わせなのだ。
宇宙海賊は確かに弱っていた。だが、弱っていようがいまいが、上級生として保護者役を買って出るべきであろう。
「美月ー、やっぱりあたしらも行こうか?」
不安をぬぐえない陽が、体を起こして親友に
しかし美月は
「今のあなたが行ってどうするの?」
「だって、すごく心配じゃん。もし負けたことを思うと夜も寝れないよ」
「バカ。私はあなたが心配なの」
昨日無理をしたのに更に無理をしようとする。そんな陽に美月は反対した。
美月が陽を押し倒し、めくれた布団をかける。本音では美月も後輩が心配である。だが、病身の親友がいる以上うごく訳にはいかない。とても歯がゆいが、後輩を信じて任せるしかなかった。
動けない以上は待つしかない。そう美月は自分に言い聞かせている。
「べーちゃんが言ったんだから二人の無事を祈りましょう。私、信じてる。……でも」
「でも?」
「もし、もし帰らないようだったら、絶対に許さないわ。昨日の子、私たち二人で後悔させてあげましょう」
「そうだね。……あ」
陽が口を開け、むずがゆい顔を浮かべた。
「これは、今までで一番大きなくしゃみの力を感じるですわ。くしゅくしゅしてくださいな」
「くしゅくしゅくしゅ~」
「はぁ~ぷっしょん!」