YMO ー黄色い変身ヒロインの秘密を僕だけが知ってしまってー 作:豚煮真珠
戦士・ブルーマリントリアイナの手に、金色に輝く
ブルーマリンが槍の柄を握り、穂先を前に向かって突き付ける。この鋭く
「トゥインクル」
「うん。りーぶら、って言ってたね。てんびん座」
親友に警戒を促す。
「でもさ、トゥインクル」
「うん?」
「あたしら、二人で
リングレットとトゥインクルの二人は、去年のクリスマスに黄道の精霊・
同じ黄道の精霊ならやれないこともない。そうリングレットが
リングレットが右手を開いて大きな円を描く。彼女が描く円は、主に敵の攻撃を弾く鏡に似たシールドを形成するのだが、この時は異なってガラスのように透き通った
「ダイレクトオービット!」
右足を後ろに振りかぶったリングレットが、形成した透明の球を蹴り飛ばした。
回転を伴った球体がブルーマリンに向かう。質量による単純な攻撃。だが、この球体が先にトゥインクルとその彼・鈴鬼小四郎を救っている。
「そんな攻撃、二度も! ハアッ!」
ブルーマリンが迫る球体を槍で突いた。
槍の先は球の中心を突き、球体が車のガラスを割ったように砕け、粉々に散る。しかし、
「同じ攻撃が二度も通用するなんて思っちゃないよ! たああっ!」
飛び込んでいたリングレットが回し蹴りを繰り出し、これをブルーマリンが槍の柄で受け止めた。
攻め立てるリングレット。右の拳を突き入れ、刈るようなミドルキックを繰り出す。連打でブルーマリンに反撃の余地を与えない。
リングレットの果敢な連撃に、ブルーマリンが防ぎながらも下がり、これを後ろで見守っている葉と果実のような装飾に覆われた黄緑色の衣装をまとう戦士・ハウメアフェーティリティが、
「ねえさん!」
ブルーマリンを心配するが、全て
リングレットとトゥインクルの二人は、確かに
突き入れるリングレットの右拳をブルーマリンが、
「ふん」
鼻で笑ってから手隙の左手で難なく受け止めた。
「あなたの拳は軽い」
「は、離れない……! ううっ、放して!」
告げたブルーマリンに焦るリングレット。ブルーマリンは受け止めた左手で、リングレットの拳を
人が持つ腕力、動体視力、
過去に妖精から
「〝サンダーパルス〟」
「うっ、あああっ!」
ぐったりと伏せたリングレット。これにブルーマリンが拳を捨てるように放す。
「リングレット!」
攻めるリングレットの後ろで、両手を突き出して光線を放つ準備をしていたトゥインクルだが、その親友が倒れたために準備を捨てた。
ブルーマリンが握る槍の刃から、濃い雨雲の中で明滅するような光が籠っている。
「私の
槍より
「〝ミリオンボルト〟」
「きゃあああっ!」
触れた者を焦がす稲妻を浴びたトゥインクルが悲鳴を上げた。
トゥインクルが膝を突き、前のめりに倒れる。
「庚渡さん!」
後方にて戦いを凝視している彼が、好きな子の倒れた姿を目にして思わず声を上げた。
彼が
「トゥインクル」
そして前方では、リングレットが地べたに手をつけて立ち上がる。
戦いに復帰せんとするリングレットだが、先の電撃が響いている。体に力が入らず、膝などは笑っていて気を抜いたら倒れそう。だが、倒れた親友と、ついでにその彼を守るべく己を奮い立たせる。
倒れぬよう足に力を入れて構えるリングレット。しかし、放たれる電気をどうすれば。対抗策が思い浮かばぬリングレットにブルーマリンが、
「しぶとい。そのまま寝てればいいのに。サンダーパルス!」
再び槍をかざし、穂先を煌めかせる。
「〝リフレクティブサークル〟!」
策が思い浮かばなかったリングレットが破れかぶれで円を描き、鏡に似たシールドを張ったが、これが意外にも功を奏して電撃を防いだ。
感電しなかった我が身にリングレットが勝機を見出す。すかさず円を大きく描き、いつかに敵の精霊を押し潰した圧迫する戦法に切り替える。
ブルーマリンより一回り大きい円を描いたリングレットが円を盾に飛び込むが、
「電気が効かなくても」
電撃を防げても刺突は防げず、ブルーマリンの突き入れた槍が円を砕いた。
刺突による衝撃の余波にリングレットが倒れる。すかさず体を起こすが、ブルーマリンが穂先を突き付けて動きを制す。
戦意を絶やさずに
「あなたは一目見たときから感じてた。仲間にならず、敵になるだろうって」
「それは奇遇だね。あたしもあんたとは合わないって感じてたよ」
「この期に及んで減らず口を」
「未来の技術に頼ってこの国を変えようなんて、ホントどうかしてる。あんたあの望搗って人が好きなんだろうけど、はたから見れば変な宗教に入れ込んでるようにしか見えないよ」
「黙りなさい! あなたこそ、忠四郎のイヌのくせに。弱いイヌほどよく
「ふん。……ワン!」
「このっ。……あなたは、今ここで絶対に消す。それじゃさようなら、土星の戦士リングレットアーク」
リングレットの胸を槍で貫かんとしたブルーマリンだが、
「ねえさん!」
「ん? ……ぐっ!」
ハウメアの注意を喚起する声にブルーマリンが手を止めると、視界の上から突如として斬撃が現れた。
縦の斬撃を、ブルーマリンが
下がるブルーマリン。対してリングレットが見上げる。すると、人魚姿のよく知る戦士が真上に浮いている。
「あなたは」
「ブルーマリントリアイナ。私の後輩に何をしてるのかしら」
救われたリングレットが名を呼ぶ。ちょっと怖いけど、とても頼れて料理が上手な一つ上の先輩。
「ムーンライト」
「立てる? リングレット」
「はい。すみません」
後輩を立ち上がらせたムーンライトにブルーマリンが問う。
「あなたも、あの人の邪魔をするつもり?」
「あの人? なんのことか分からないけど、この子を傷付けようとするなら相手になるわ。それに私だけじゃない、もう一匹いるわよ」
「一匹?」
「ほら、やって来てるでしょう? あっちから筋肉モリモリの雌ゴリラが」
ムーンライトが目で指し示す方にブルーマリンが振り向くと、恐ろしいまでに発達した筋肉を備える、まさにゴリラとしか言いようのない女が
オレンジ色のツーサイドアップをなびかせる黒ビキニ姿のゴリラ。ブルーマリンが初めて動揺する。
「ほんとにゴリラ!? ミ、ミリオンボルト!」
焦るブルーマリンが電撃を放つが、これに先んじてゴリラが大きく跳んだ。
電撃が外れる。そして、高く跳んだゴリラが両足の裏を向け、
「ウッホッホー! って誰がゴリラだぁ!」
ゴリラ、もとい
炎をまとった
「くっ」
新たに現れたムーンライトとサンシャインの二人に、ブルーマリンが苦虫を
ブルーマリンは直感していた、二人も黄道の精霊を宿していることを。同じ精霊を宿す者として感じ、そんな二人を相手にするのは、いくらブルーマリンが経験豊富な戦士と言えども難しかった。
覆された形勢にブルーマリンが退却を視野に入れる。
「ねえさん、ダメっス、
するとハウメアが呼びかけたため、ブルーマリンが従った。
リングレットが窮地を救った二人の先輩に、
「二人とも、ありがとうございます。助かりました」
礼を述べるが、
「リングレット、謝る必要はないわ。ハァッ!」
「うわっ!」
急にムーンライトが籠手を払ったため、リングレットが驚きながらも避けた。
なぜムーンライトは攻撃を。理解できないリングレットが戸惑いつつも尋ねる。
「な、なんのつもりですか?」
「私たち、決めたの。もう何も信用できない。だったらこの世界からコスモスとヘイズを無くしてやるって」
「……どういう意味ですか?」
問うリングレットと立ち上がったトゥインクルに、ムーンライトが銀の籠手を尖らせて告げる。
「コスモスとヘイズが無くなれば、もう誰も振り回されることもない。リングレット、トゥインクル、あなたたちにはここでコスモスをやめてもらうわ。もちろん、力ずくで」