YMO ー黄色い変身ヒロインの秘密を僕だけが知ってしまってー 作:豚煮真珠
力ずくでコスモスから
サンシャインにはトゥインクルが、ムーンライトにはリングレットがあたった。だが、今のトゥインクルとリングレットが先輩二人に勝つのは難しいと言えた。
まず素質が違う。サンシャインとムーンライトの二人は、妖精が選んだ戦士の中でも抜きん出た実力を備えている。次に経験も違う。コスモスに選ばれて一年以上戦い続けている二人は、戦士として円熟した時期に差し掛かっている。潜在能力ならトゥインクルも負けていないのだが、それが開花しているとは言い
トゥインクルを、背から捕まえたサンシャインが、自身の左脚を後輩の左脚に絡め、更に自身の左脇に後輩の右腕を挟んで背を伸ばしている。
プロレスのストレッチ技・コブラツイストを、サンシャインがトゥインクルに仕掛けていた。ねじれる右脇の激痛にトゥインクルが、
「いたいいたいいたい!」
涙をあふれさせながら悲鳴を上げ、
「気合いだ気合いだ気合いだぁぁぁっ!」
サンシャインが
「はあああっ!」
一方でリングレットが相対するムーンライトに連打を打ち込んだ。
両拳をマシンガンの
コスモスにある種の生き
諦めずにリングレットが右足を高く上げ、刈るようなハイキックを仕掛ける。だが、それを見切ったムーンライトが体勢を低くしてかわし、そして後輩の軸足である左足を、
「そこっ」
「うわあっ!」
右足で払い、これにリングレットが転倒する。
仰向けに倒れたリングレット。コブラツイストから解放されたトゥインクルも伏せるように倒れ込む。
立ちはだかる先輩二人を、背を向けて伏せるトゥインクルが後ろに振り向いて見上げ、リングレットは上体を起こした体勢で見上げている。
「終わりかしら。なら、今すぐハロウィンズミラーとユニヴァーデンスクロックを出しなさい」
ムーンライトが後輩二人に、コスモスのツールを出すよう強要した。
後輩二人が無言で提出を拒否する。渡してしまったら間違いなく破壊されるだろう。
理解できない後輩二人。なぜ先輩二人は戦いから降ろさせようとするのか。
「なんでですか。こんなの納得できません。なんであたし達が、コスモスをやめなければならないんですか」
承服できないリングレットが先輩二人に
反抗的な表情のリングレット。この後輩を見下ろすムーンライトが答える。
「あなたたちに、普通の生活を送って欲しいからよ」
「……え?」
「だって、ふざけてるじゃない。あなたたちみたいな一年生が、日本の未来だかなんだかよく分からないことに巻き込まれて、命まで失うような戦いを強いられてるなんて」
ムーンライトが、悔しそうに顔をしかめ、涙を流していた。
いつも表情を崩さないムーンライトが
畳みかけるムーンライト。年上として後輩の身を心から案じる。
「リングレット、あなたは友達を亡くしたんでしょう? だったら分かるわよね?」
ムーンライトが涙あふれる瞳でリングレットに訴え、
「お願いだから、私達にそんな悲しい思いをさせないで」
顔を覆ったムーンライトに代わってサンシャインが説明する。
「べーちゃんは、あたしたちにこれからどうするか考えろって言った。だから、これがあたしたち二人の答え」
「……答え?」
「うん。コスモスもヘイズも全部倒して、何だかよく分からないことを一切合切おしまいにするんだ。だからお願い。後はあたしたちが戦って全部終わらせるからさ、ハロウィンズミラーとユニヴァーデンスクロックを出して」
サンシャインが穏やかな口調ながらも真剣な目で後輩二人に優しく要求した。
先輩の気遣いに後輩二人が口をつぐむ。だが、ここで思わぬ者が申し立てる。両手両膝を地面に突け、先輩二人と後輩二人の間に割って入った者。それは――。
「二人とも待ってください! 今とても大変なんです!」
彼・鈴鬼小四郎が、土下座の格好でサンシャインとムーンライトに頼み込んだ。
驚いた先輩二人だが、サンシャインが
「……スズキ君、どいて」
コスモスでも敵でもない彼に不快な顔を浮かべる。
サンシャインは
「二人は今、コスモスすらも味方に付ける恐ろしい敵に目を付けられているんです! いま二人が戦う力を失ったらとても危険です! だから降ろすにしても、もうしばらく待ってください!」
彼は一般人の身ながら敵と話した経験がある。それに、先程は死を覚悟してまでトゥインクルを守ろうとした。臆するわけがなかった。
まさに土下座で頼み込んだ彼に、サンシャインとムーンライトが顔を見合わせる。確かに以前現れた
サンシャインが事情を
「スズキ君。キミ、何か知ってるの?」
「はい。実は忠四郎、あ、いや、べーちゃんから聞きまして……」
顔を上げた彼が、望搗という男が
彼は説得力を持たせるために若干の誇張をした。ただし私事になるため、トゥインクルが自分ではない男と結ばれる未来だけは伏せて。
驚いた先輩の二人。まさかコスモスに接触を図り、コスモスを抱き込む敵の男がいるとは。そして、敵が
「そんな人が」
「はい。その人による国の破壊は、なんとしてでも止めないとならないんです」
説明した彼の左でリングレットが、
「あたしからもお願いします」
「坎原さん」
彼と同じく土下座の格好で先輩二人に頼み込んだ。
「鈴鬼くんが言ったとおり、あたしらすごいヤバい人たちに目を付けられちゃって、それにさっきケンカ売っちゃったんです」
「ケンカ売っちゃったんだ」
「はい。だからお願いします、あたしらを助けてください。それと、やっぱり納得できないです。自分たちのことは棚に上げて悲劇のヒロイン気取りなのが」
「…………」
「年上だからって思い上がらないでください。いなくなったら、悲しいのはお互い様ですから。戦うなら一緒に戦わせてください」
そしてトゥインクルも、彼の右に土下座の格好で座り込み、
「私からもお願いします」
彼と親友に続いて先輩二人に頼み込んだ。
「私はトゥインクルスターになって、初めて、見てもらえました。コスモスじゃなくなったら見てくれなくなりそうで、私、怖いんです」
「…………」
「それに私、お二人が大好きです。だからお願いします。一緒に戦わせてください」
彼とトゥインクルとリングレットが顔を見合わせ、先輩二人に臨む。
「お願いします!」
声を合わせて改めて頼み込む。
「どうしようムーンライト。まさか、あたしらが悩んでる間にそんなことに巻き込まれてたなんて」
「仕方ないわね。コスモスをやめたからって狙われない訳じゃないし、この件は保留としましょう」
折れた先輩二人にリングレットが、
「やった! お二人がいればもう百人力です! ヘイズと今の
立ち上がって喜ぶ一方で、
「鈴鬼くん」
「か、庚渡さん。ちょっと」
「ごめんね、
立ったトゥインクルが彼によろよろと抱きつき、これに彼が照れながらも困った顔を浮かべた。
親友と先輩二人は分かっていた。トゥインクルがいま彼に言った弱音は全て口実であり、ただイチャイチャしたいだけなことを。
だが、すごく幸せそうに抱きつくトゥインクル。こんな幸せこそ守らなければ。そう親友と先輩二人が、頭にハートを浮かべて幸せそうなトゥインクルに息を