その女の先生に魔力量が無いと言われ、暫く立ち尽くし放心状態のケイアに追い打ちをかけるように先生は口を開いた。
「ケイアさん、貴方には……魔法の才能がありません」
ケイア「えっ……」
ケイアはその言葉を聞いた瞬間、何かが折れるような音が聞こえ動けなかった。このプロネーシス学園は
それにより各地の様々な種族が挙ってこの学園に詰めかけ、通常の倍の倍率になる。この話を知っているケイアは、最初のステップで躓いたと思った。だが、付け加えるようにある提案を先生から告げられる。
「ケイアさん。別に魔法だけが全てではないので、そこまで落ち込まないでください。他にも、剣術やモンスターに関する項目がありますので、そちらに適正があるかも知れませんから。それと、試験はまだ続きますので次に備えて頑張ってください」
ケイア「はい……」
モンスターに関する知識ならある程度は把握しているケイアだが、剣術に関しては全くの素人。それから魔法適性も無いとなると、自分で守る術がない。悲観的になるケイアだが一度切り替え、普通の筆記試験に臨むことにした。
筆記は、読み書きと計算、それからモンスターの種類別に名前を答える問題だった。これは楽々と書くことが出来たため次の項目に移り、外へ移動し別の男の先生が担当した。
「それじゃあ先ず、みんな知っていると思うが、モンスターについて軽く説明する」
大まかに説明すると、モンスターにも13種類存在する。
『悪魔』『魔獣』『魔法生物』『昆虫』『植物』『亜人』
『鳥人』『爬虫類』『水棲亜人』『天使』
『アンデッド』『エレメント』『スライム』。
大半は読んで字の如くだが、魔法生物とは人為的に作られたモンスターを呼称する。例で言えば、ゴーレムやキメラなどがあげられる。そしてそれぞれ、ある一定の条件を満たすと『進化』することができ、進化にも3つ存在する。
1つ目は、『通常進化』。戦闘である一定の経験値を得ることでモンスターの能力が向上することを指す。
2つ目は、『人為的進化』。人の手によってアイテムなどを用いて行われることを指す。
3つ目は、『魔人進化』。詳細は未だ不明だが、ある条件を満たすことによってモンスターが人間の姿に近い進化を遂げ、魔人となったモンスターはドラゴンをも凌駕する。
そして先生は付け加えるように、モンスターの性別はメスしかいないという話をしたが、歴史の話になるから、と省かれてしまった。
「まぁ、こんな感じだ。説明が終わったところで試験の内容だが……お前らには、俺のグリフォンに乗ってもらう。今の説明でわからないと思うが、グリフォンは知っての通り、鷲と獅子の魔獣だ。その気性は凶暴で、飼いならすには手を焼く。ましてや、懐いていない初対面の相手には容赦がない。だからハンデとして、背中に10秒乗ることが出来れば合格とする。ここで不合格でも、試験に落ちることはないがな……」
先生が懐柔しているグリフォンは、通常進化で一般的な見た目、そこそこ大きい。そして試験は始まり、受験者は次々とグリフォンの背中に乗ろうとするが嘴で服を破かれたり、足で踏んづけられたりと大半は不合格となったが数人はクリアすることが出来ていた。
そうしてケイアの番が回ってきた。ケイアはグリフォン自体、初めてだが自然と怖くなかった。そのまま近づいていき、ケイアはグリフォンのお腹の部分と翼を優しく撫でた。
先程まで威嚇していたグリフォンが大人しくなり、ゆっくり腰を下ろしケイアはグリフォンの背中に乗った。しかも、数十分以上乗り続け周りは驚きを隠せずケイアの周りには人集りが出来た。そんな姿を見た先生は、ケイアに声を掛けた。
「凄いな、お前。俺ですら飼い慣らすのに苦労したんだが、ここまでするとは……」
ケイア「ただ、モンスターが好きなだけなので。はは……」
「取り敢えず、試験はこれで終了だ。試験結果は3日後となる、遠方からの生徒は、学園の寮で寝てもらう。そうでない者は、3日後に学園まで徒歩で来い。合格した者は次の日から学園の生徒だ、勉学に励めよ。不合格の者は……まぁ、頑張れ……」
説明を受けた生徒は言われた通り動き始め、ケイアも寮に行こうとした時、とある女性に呼び止められた。彼女は明らかに魔女といった風貌で、ケイアを見ながら微笑み話しかけた。
?「グリフォンを手懐けるなんて。君、やるわね」
ケイア「そ、それはどうも。あの……どちら様ですか?」
ヴィリー「私はヴィクトリア・レイリー。ヴィリーでいいわ、それより貴方には従者としての才能があるわ!是非、テイマーにならない?」
ケイア「テイマー?」
別の呼び方で言えば調教師と呼び、モンスターを使役し味方として戦わせる職業のことを言う。特定の種族をテイムする場合、『魔獣使い』『精霊使い』などと呼ばれることが多い。
ヴィリー「でも、あまりテイマーって人気ないのよね……。剣術とか魔法の才能がない子達が、滑り止めで入る科目だし。加えて言うとモンスター苦手な子が多いのも不人気な理由なのよね……」
ケイア「そうなんですか、僕はモンスター好きですよ?」
ヴィリー「みんながみんな、君みたいな子ならいいんだけど……。あぁ、そういえば興奮してて名前聞くの忘れてた。えぇと……」
ケイア「僕はケイアといいます。ベタ村から来たんですが……」
ヴィリー「えっ、ベタ村から!?ドラゴンに襲われたところの?!」
ベタ村という単語に驚かれたケイアは、ヴィリーにベタ村がどう焼失していったか説明した。ヴィリーは相槌を打ちながら、顎に手を当て考える素振りを見せる。
ヴィリー「そっか……それで家族を亡くしたんだ。少し伝承の話をするんだけど、ドラゴンが何故、村を襲うかわかる?」
ケイア「気まぐれでしょうか?」
ヴィリー「ううん……。これはだいぶ昔のことで、人間とモンスターの話になるんだけど」
遥か昔、まだまだモンスターが多く存在していた頃。人間という種族が生まれ、繁栄していた時、人間は国土や資源を欲しさに森を開拓し、モンスター達を迫害していった。
その減っていった個体数は、オスの方が圧倒的に多かった。それを聞いたケイアはヴィリーに尋ねた。
ケイア「何故この世界はメスのモンスターしか産まれないのでしょうか?」
ヴィリー「記述によれば、メスの防衛本能が有力な説らしいけどね……」
ケイア「防衛本能……」
殺される寸前まで追い詰められたメスのモンスターは、涙を流すと人間は戦意が損失し襲わなくなる。オスがこの行動を示したとしても、なんの効力も無くオスの個体数は著しく減っていった。
そのお陰で同種族との交配が出来なくなり、メスのモンスターは人間に付き従うようになると使い魔として生まれ変わり、テイマーという言葉が生まれた。
そこから人間と交配することで、種族を増やしていったが、オスを産むことによってまた種族を失うというモンスターの本能が働き、オスは産まれずメスばかり産まれることとなる。
ケイア「なるほど。でも、ドラゴンが村を襲うには理由が……」
ヴィリー「そこから最初の話に戻るけど、人間は国土や資源を欲しさに開拓したって言ったわよね?人間は欲深くてね……今度はモンスターを使役して戦争を起こすようになるの。つまり、自分の手は汚さずモンスター同士で争わせる……その場の利益を優先し、破壊の限りを尽くしていた人間に憤怒したドラゴンは裁きの業火で焼き尽くし、夜になっても空が真っ赤に燃えていたっていう話」
ケイア「なんか……お互い可哀想ですね」
ヴィリー「まぁ、最終的に可哀想に思ったドラゴンが各地に祝福を撒いてめでたしめでたしってなるんだけど……ケイア君の村はどうだったの?」
ケイア「僕の村はモンスターに偏見を持っている人は、殆どいませんでした。争いも飢饉に襲われることもありませんでしたし……」
ヴィリー「それだと、ケイア君達が襲撃される理由がますますわからないわね……」
人間がした行いが反映されるとすれば、ベタ村が襲われる理由は他にあるのか、はたまた気まぐれなのか。二人で考えていると、遠くの方からヴィリーを呼ぶ声が聞こえた。
その姿は目を隠し上半身は女性、下半身は蛇に羽毛が生えたような見た目のラミア族で綺麗な女性だった。
?『ねぇ、終わった?』
ヴィリー「あぁ、ゴメンゴメン。お昼の時間過ぎちゃったね」
ケイア「あの……ヴィリーさんこの方は?」
ヴィリー「アタシの使い魔のリス。バジリスクよ」
バジリスクと答えた瞬間、ケイアは固まった。蛇の王を使役していることにただただ驚き、古代の言い伝えでは『死を齎す魔眼』と言われ口からは強力な猛毒、身体的な強さは並のモンスターは歯が立たない。
それでいて、人に近い見た目をしていることから魔人だとケイアはわかった。
ケイア「ヴィリーさん。この方、魔人ですよね。どうやって魔人進化したんですか?」
ヴィリー「わかんないっ!いつの間にかなってた」
ケイア「そんな堂々と言われても……」
魔人進化の詳細を聞こうとしたが、本人もわからないとなればこれ以上聞くことは出来なかった。項垂れていると、バジリスクのリスが近づきケイアをマジマジと見てきた。
リス『ふ〜ん……』
ケイア「な、何でしょうか……」
リス『本当に魔力無いね♪』
少し時間が経ち、ケイア忘れかけていた言葉を言われ再度落ち込む。リスは誂うように、ケイアの頭を突き遊び始めた。そこでケイアの背中に隠れていたライムが、ケイアの頭に乗り威嚇し始めた。
ライム『…………』プルプル
リス『おっ、やるかぁ?』
ヴィリー「この子、ケイア君の使い魔?ゴールドスライム?」
ケイア「ゴールドスライムって言うですか?」
ヴィリー「希少種ね。お金なんかを食べてそうなるらしいけど……数が少ないから詳しいことはわからないわ」
ケイア「ヴィリーさんはここの生徒ですか?色々詳しく教えてもらいましたけど……」
ヴィリー「えっ、私……ここの教師なんだけど……」
ケイアはそう聞いた瞬間、目が点になった。見た目は魔女の格好をして大人びた感じだったが、胸は大人し目だったので高学年くらいかと思った。
そしてヴィリーは、ケイアの目線が気になったのか胸を隠し、少し怒りながら一人で呟いた。
ヴィリー「私……若く見られてるのに全然嬉しくない。何でだろう……」
そう呟くとリスが大声を上げて、笑いだした。
リス『あっはは!胸がないから子供に見られたんじゃない?まぁ、このアタシとは違うからね〜』
リスはそう言いながら、胸を強調するようなポーズを取りながらヴィリーを挑発してじゃれ合っていた。ケイアはこの二人を見て、『強い絆』を感じ羨ましいと思った。
そして言い合いは終わり、二人はケイアに向き直り一先ず別れることにした。
ヴィリー「ケイア君、取り敢えず試験で疲れてると思うから今日はこの辺で。それじゃ」
ケイア「はい、色々ありがとうございました」
別れを告げケイアは寮へと向かおうとした時、後ろからヴィリーの呼ぶ声に反応し振り向くと大きい声で……。
ヴィリー「魔人進化についてだけどー、何事も愛情だと思うよー!」
その言葉を残し、ヴィリーはリスと再び歩き出し学園の中に消えていった。ケイアは先程の言葉を考えながらライムと共に寮へと向かっている途中、ケイアはリスの豊満な胸を思い出していた。
思っていたことが通じたのか、ライムが頻りに頭を叩き機嫌が悪くなった。
ライム『…………』ペシペシ
ケイア「痛っ……」
そうして部屋へと辿り着き、荷物を置いてプロネーシス学園でも食事が出来るということで、ケイアとライムはオリバー王国の食文化を堪能した。
良質なパンに様々な肉料理、魚介ベースのスープを選び思いっ切り頬張った。ベタ村での食事は、野菜がよく採れることからスープにしてお腹を満たすことが大半。
これだけの食材が揃えられているということは、貿易は盛んに行われ国の整備は積極的に進められていることがわかる。
食べ終わった二人はまた寮へと戻り、今日の活動は終えることにした。そして次の日、ケイアはオリバー王国を散策したいと思いライムと出かけようとドアに手をかけようとした時、先にドアが開いた。そこに立っていたのはヴィリーだった。
ヴィリー「ケイア君、出かけるの?」
ケイア「はい、オリバーを散策しようと思いまして」
ヴィリー「行き違いにならなくてよかった。ちょうど誘おうと思ってたの、歩きながら説明してあげる。それじゃ、行こう!」
リス『アタシもいるよ~』
ケイアはヴィリーの誘いを受け、町を散策することにした。そして一緒にリスも付いてくることになり、ライムも含め四人で外へと出た。初めにヴィリーから、国の割合を示す人民や地域性を説かれた。
ヴィリー「先ずは国の人口の話から。国の7割は『人間』、残りの3割は多種多様な『獣人』『鳥人』『亜人』が主ね。100万人近い人口だったような……忘れちゃった」
これらの3種族は、人間に近い姿形をしており顔が動物で魔人とは異なる。
魔人も人間に近い姿で、容姿は人そのもので体の半分がモンスターというのが特徴。そして亜人も一括りにされがちだが、その中にも『エルフ』や『ドワーフ』もその種に該当する。そのままヴィリーは続けて話す。
ヴィリー「これだけの種族が平穏に暮らせてるのは、今の王様のお陰なんだけどね」
リス『リス達が外歩いても、変な目で見られないからね』
リスのように蛇であるバジリスクの姿をしていれば、嫌でも目につき注目が集まる。そんなケイアは、人間とモンスターの間でどんな衝突があるかヴィリーに聞いた。
ケイア「オリバー王国以外は、どんな感じなんですか?」
ヴィリー「殆どは人間側が悪いんだけどね……。よくあるのが、自分とある物とない物。見比べようとするから衝突が生まれて、不安へと変わりストレスを抱えて国全体に不満が溜まっていく。それで争いが生まれて、人間とモンスター同士が別々で暮らさなくちゃいけなくなる。大半はそうなる国が多いわね。まぁ、この国にもよく思ってない人もいるみたいだけど……」
その話を聞き暫く経った後、4人は近くの大衆食堂へと入りお腹を満たすことにした。食べている最中ケイアは、不安に思っていた試験のことをヴィリーに詳しく教えてもらうことにした。
ケイア「ヴィリーさん、僕の試験の結果って大丈夫なんでしょうか……」
ヴィリー「あぁ、大丈夫。私が推薦しといたから」
ケイア「へっ?」
推薦したという言葉にケイアは開いた口が塞がらず、無言の時間が流れた。何も思い浮かばないケイアの顔を見たヴィリーは、話を続けた。
ヴィリー「だって勿体ないじゃない。同じモンスター好きの仲間なのに、不合格にするなんて」
ケイア「それって……職権乱用じゃあ……。それにそんなこと、罷り通るわけ……」
ヴィリー「大丈夫、問題ないって。私、元冒険者だったからそれなりに顔も利くし、何より強いし。厳密に言うと私のモンスターが、だけど」
ケイア「ヴィリーさんって、どんなモンスター使役してるんですか?」
ヴィリー「リスしか紹介してないけど、他にも二人いるわ」
ケイアが一番聞きたがっていることを言い、ヴィリーは自慢げに語り始めた。ヴィリーは俗に言う蛇使い、ラミア族やドラゴンの下位モンスターを使い魔として共に行動している。
先ず1体目は『バジリスク』。2体目は魔力値が高く、生命体を石に変えてしまう能力を持つ『メデューサ』。3体目がドラゴンと似た特徴を持ち、硬い鱗に覆われ怪力の持ち主の『ワーム』。
この3人は魔人進化を遂げている為、普通の冒険者や並大抵のモンスターには負けることはない。そのお陰で、学園でも一目置かれ融通が利くらしい。ある程度説明すると、ヴィリーが使い魔について愚痴を零した。
ヴィリー「3人とも蛇なんだけど、これが嫉妬深くてさぁ……。男と話しただけで、首絞められるから参っちゃうよ。オスのモンスターがいないのが本当に残念ね……」
リス『へぇ~……そんなこと考えてたんだ。もしオスが存在したらどうする気だったの?』
ヴィリー「そりゃあ結婚して幸せな家庭を……」
リス『今のままでもいいじゃん。アタシ達がいれば、結婚なんかしなくても幸せになれるでしょ?』
ヴィリー「えっ……目、コワッ。ケイア君、助けて」
助けを求めるヴィリーだったが、リスの気迫に押されケイアは手は出せず蹂躙されている様を黙ってみることしか出来なかった。
そして流石に店の迷惑になると思ったケイアは、何とかしてリスを止め店を後にした。
ボロボロになったヴィリーを見たケイアは、自分もこうなるまい、と肝に銘じ学園に戻ることになった。帰る道中、付け加えるようにヴィリーが口を開いた。
ヴィリー「言ってなかったけど、在学中でもギルドに登録できるから暇な時間があったら寄ってみるといいわ。クエストに出る時は、注意してね」
ケイア「さも当然のように合格確定、みたいな言い方するの止めてくれます?推薦したとはいえ、まだわからないですからね」
ヴィリー「当日になったらわかるって♪」
ケイアはヴィリーの得意げな顔が妙に引っ掛かり、考えているといつの間にか家路に着き部屋の中でもそのことばかり気になり当日を迎える。学園の玄関口で様々な種族が詰め寄せ、合格発表を今かと待ち望んでいた。
ケイアも同じように顔を強張らせ、緊張した面持ちで発表を待った。そして合格する者には筆記、魔術、剣術、錬成力(テイマーとしての技量)、これら全てが記載されることになる。
不合格の者は何も記載されず、そのまま帰省となり来年の試験まで待つことになる。そして合否の発表となり、テイマー試験で担当していた男の先生が前に立ち、説明してくれた。
「今から合格者のみ、書かれた黒板を提示する。そして学年も振り分けらている為、各教室で待機するように。では、発表するぞ」
先生が黒板の垂れ幕を引くと、一斉に詰め寄り団子状態になった。その中でケイアは、自分の名前を探し見つけた。だが、そこにはあり得ない数字が並んでいた。
ケイア「あっ、あった。…………これで合格ですか?」
ケイアは先生に聞き、確認を求めた。
「あぁ、これで合ってる。不満でもあるか?」
ケイア「いえ、何も……」
結果はというと、筆記0点、魔術0点、剣術0点、錬成100点。あり得ない結果にケイアは教師に確認を取る程、お粗末な結果に呆れていた。この成績で学園に入学出来るのかと、ケイアは鼻で笑った。
そして記載されていた教室に向かおうとした時、ヴィリーと目が合いニヤニヤした顔でこちらを見ていた。
ケイアはヴィリーの仕業だと腹は立ったものの、直ぐ抑え教室へと向かった。教室へと入り、指定された机に座ったケイアは感慨に耽っていた。ここで新しい生活が始まることに。
ケイア「あぁ……ここで新しい生活とモンスター達との新しい出会いが始まるのかぁ。……なんか凄い視線感じるんだけど……」
そんな胸中、ふとケイアは後ろから視線を送られていたことに気付く。その正体は、金髪で育ちが良くお嬢様のような綺麗な女の子なのだが目が怖い。心の中でそう思っていたケイアに、少女は声を掛けてきた。
?「ねぇ、アンタ。錬成で100点取った子よね?」
ケイア「そ、そうだけど……。それがどうかしたの?」
少女が次の言葉を口にしようとした時、教室のドアの音が響き担任の先生が入ってきた。
そしてそれは、見覚えのある風貌で魔女の格好をしたヴィリーだった。ここまでされると流石のケイアも何も思わなくなり、その場の空気に身を任せた。ヴィリーは今後の流れについて、軽く説明した。
ヴィリー「合格おめでとう、諸君。君達のクラスは錬成の評価を受けて、私が担当することになった。説明しておくが、みんなが嫌うテイマーだがこの職業は自分を映す鏡になる。モンスターを蔑ろにすれば、強くはならない、だが逆も然り。モンスターは主によって左右され、術者の力量も図れる。力で抑え込むのではなく、愛情をもって接することこそ強さへの近道、与える愛情は必ず自分に返ってくる。って言うのが私の師匠の受け売りで、みんなもモンスターには家族のように接してあげるように、いいわね?」
その演説を聞いていた生徒は、急に話されてポカンとしていたがヴィリーは常に真剣に話しを説いていた。
時折ふざけた言動を見せるが、こういう場では教師の顔を見せていた。そしてヴィリーは、今日について説明し始めた。
ヴィリー「次は移動になるんだけど、もう少しモンスターについて授業するから10分経ったら闘技場に来てちょうだいね」
ヴィリーの言葉を聞き、生徒は一斉に準備を進め移動した。ケイアも準備して向かおうとした時、例の少女に止められた。
また何を言われるのかと、冷や冷やするケイアに少女はとんでもないことを言い放った。
?「アタシ……全科目、満点に近いのよ……」
ケイア「へぇ……すごいね。僕とは大違いだね」
?「でもアンタ、錬成で満点取ったわよね?アタシ、モンスターが好きだからそれが許せないのよ」
ケイア「平均点高い方がいいと思うけど……」
?「だから、どっちがモンスターが好きか勝負よ!」
ケイア「話聞いてないし……」
会話が一向に平行線のまま流れ、彼女が一方的に話しを進めていると……。
?「アタシが勝ったら、アンタはアタシの奴隷として働いてもらうわ!」
ケイア「冗談だろ?!」