モンスターテイマー   作:泰然

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玄米美味しい……。


3話 攻略の為の特訓 塵埃に塗れる嘗ての国家

 奴隷になれ、ととある少女に言われ困惑するケイア。そんなこと了承出来るわけもなく断ろうとした時、次の授業を知らせる予鈴が鳴りケイアと彼女は慌てて闘技場へと走った。

 

 

 向かうとヴィリーや他の生徒達が二人のことを待って準備していた。そんな二人を見たヴィリーは茶化すように、聞いてきた。

 

 

 

 

ヴィリー「ケイア君、二人で何してたの~?もしかして、いやらしいこと~」

 

ケイア「何もしてないですよ……。それと、遅れてすいません」

 

?「すいません……」

 

 

 

 

 ケイアが謝罪すると少女も同じように謝り、授業が始まった。教諭の内容はモンスターをどう鍛え、どう戦わせるかについての指導となった。先ずヴィリーは、モンスターと術者の契約について述べた。

 

 

 

 

ヴィリー「それでは授業を始めます。先ず初めにモンスター同士の契約は、単純にお互いの『血判』で成立しますが、術者と使い魔の気持ちがとても重要になってきます。戦う際に連携が取れていなければ、それは死に直結する。死を避けたければ、モンスターとは有効な関係を築くべき、と私は考えています。なので今から、みなさんには私のモンスターと戦ってもらいます」

 

 

 

 

 ヴィリーがそう発言した直後、周りの生徒は動揺した。戦う経験のない素人が、元冒険者で魔人モンスターとの戦闘に勝ち目などないことくらいはわかる。誰も申し出ない状況を、鑑みてヴィリーは今後の方針について語った。

 

 

 

 

ヴィリー「負けるのは当然だけど、自分の力量を知るいい機会だからドンドンかかって来ていいよ。ウチの子達と戦えることなんて、そうそうないから」

 

 

 

 

 気軽に誘ってはいるが、それでも周りは手があらずケイアが先ず出ることにした。

 

 戦闘経験もない、ただのモンスター好きの少年がどこまで通用するかわからないが、あの時知り合ったばかりのライムと根拠のない自信により、自分になら何か出来るかもしれないという気持ちが生まれ、ヴィリーに挑むことにした。

 

 

 

 

ケイア「僕からやります……」

 

ヴィリー「おっ、ケイア君からくるか……。戦闘経験が無くても自分なりに動いてみてね。私からは、ドラゴンの化身と呼ばれている……この子と戦ってもらう」

 

 

 

 

 ヴィリーが言うと、後ろから下半身はとても長い蛇の胴体を這い寄らせ紅い色の鱗を持ち、硬い肌を持つワームが姿を現した。上半身は普通の女性で鱗同様、紅い髪でショートヘア。顔は美しいが、闘争心剥き出しで今にも飛びかかろうとしていた。

 

 

 ワームはドラゴンとされているが、翼が退化しており飛ぶことに長けてはいない。だが、それを補う為に発達した屈強な肉体に尻尾から繰り出される攻撃は、大木が簡単に切り落とされる。

 

 

 単純なパワーだけであれば、『ドラゴンと互角』かそれ以上だと云われ、地を這うことから『地龍』と呼ばれている。補足としてヴィリーは、自身の使い魔の説明をした。

 

 

 

 

ヴィリー「この子はワームで、名前がムー。単純な名前でしょ?」

 

ムー『付けたのはお嬢だろ?』

 

ヴィリー「アンタが少し長い名前も覚えられないからでしょ?!こっちの苦労も知りなさいよ……」

 

ムー『あれ、そうだっけ?』

 

 

 

 

 この首を傾げるワームは力こそ強いが、視野が狭く短絡的な思考をする上、怒らせる際止めるのが非常に難しい。だが、単純な思考故に素直な性格で意外と育てやすいモンスターでもある。

 

 

 怒らせなければ……。そしてケイアもライムを前に出し、どちらも戦闘態勢に入った。ムーがライムを尻尾で挑発するような仕草をした。

 

 

 

 

ムー『スライムか。まぁ、打撃が効かない分楽しめそうだな』

 

ライム『…………』プルプル

 

 

 

 

 二人が睨み合い先頭を始める前に、ヴィリーが対戦内容を解説した。

 

 

 

 

ヴィリー「今のケイア君は多分、スライムの技もわからないと思うからお互い指示を出さずにモンスター同士で戦わせて制限時間は10分。それじゃあ、いくよッ!」

 

 

 

 

 開始とともに、ムーが飛びかかり剛腕を繰り出してきた。相手の反撃を許さない連撃で、ライムは受けることしか出来ず一方的に攻撃された。それを見たケイアは、名前を呼ぶことしか出来なかった。

 

 

 

 

ムー『オラ、オラ、オラッ!』

 

ケイア「ライム……」

 

 

 

 

 攻撃をやめたムーは、一歩下がり様子を見た。煙が立ち込める中に、微動だにしないライムの姿があった。

 

 

 ケイアは気付く最初に出会った時、弓矢で撃たれても全く無傷で再生する姿を見ていたからだと。そして吐き捨てるようにムーは、ライムに対して言い放った。

 

 

 

 

ムー『やっぱり、打撃は無理か。なら、これでどうだっ!』

 

ライム『…………ッ』

 

 

 

 

 ムーは拳を溜めるような動作を見せ、大きく体を振りかぶった。そして素早く動くと渾身のパンチを繰り出し、それがライムに当たり液体が飛び散り再生するまで時間がかかり、スライムの中にある弱点の核が露わとなり勝敗が付いた。

 

 

 呆気なく終わり、ヴィリーとの戦力差に落胆し悔しさも同時に込み上げてきた。ケイアはあの時のことを思い出し、あのドラゴンに対して何も出来なかった自分に腹が立ち、歯を食いしばった。

 

 

 そんな姿を見たライムは、ケイアに近づき体を合わせてきた。寄り添うライムに我に返ったケイアは、ライムを撫でた。

 

 

 

 

ケイア「ごめんな、心配かけて」

 

 

 

 

 反省するケイアは、甲斐甲斐しくライムの全体を撫で、落ち着かせようとした。すると、ケイアの『右手が微かに緑色に光り』様子がおかしいと思ったが、気には留めずにいると何処からか声が聞こえた。

 

 

 

 

ライム『ご主人、元気出して。絶対ライム、あのヴァールってドラゴン倒すくらい強くなってみせるから!』

 

ケイア「あぁ、そうだな。って、…………喋った?」

 

ライム『うん?』

 

 

 

 

 首を傾げるような仕草を取るライムに見つめ返すケイアは、口が大きく開き今起きていることに処理が追いついておらず固まっていた。そんな姿を見てライムは、恥ずかしながら身をくねらせた。

 

 

 

 

ライム『ご主人、そんなに見られると照れるぅ///……』

 

ケイア「やっぱり、喋ってるぅぅぅぅ!?」

 

 

 

 

 ライムが話していることを再確認し、ケイアは興奮を抑えられずにいた。その状況を見ていた他の生徒とヴィリーは、取り敢えず授業を終わらせ職員室にケイアを連れて行き状況説明を求めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィリー「ねぇ、ケイア君。スライムは話さないのよ?」

 

ケイア「いやだって、今も喋ってますよ?」

 

ライム『ご主人、何話してるの?教えてよ~』

 

 

 

 

 ケイアの耳にはライムの声は聞こえるようだが、ヴィリーには全く聞こえない。仮に何故聞こえるようになったか、ケイアは先程あったことを話す。

 

 

 

 

ケイア「ライムを撫でた時、微かに右手が光ったんです。それからライムが喋り出したんですよ」

 

ヴィリー「なるほど。他には何か話してた?」

 

ケイア「う~ん…………ヴァールって言ってましたね」

 

ヴィリー「大地の龍ヴァール、そのドラゴンがどうかしたの?」

 

 

 

 

 そのドラゴンの名を、ライムが口にしていたと言うと続けて村を襲ったのは恐らくそのドラゴンではないかと告げた。

 

 ケイアはヴァールの居場所が知りたいと、ヴィリーに聞くが驚愕の事実がわかった。

 

 

 

 

ヴィリー「ヴァールってベタ村の守護するドラゴンだったと思うけど……前にも言ったけど、何故守護するはずの村を焼いたのかしら?」

 

 

 

 

 再度ケイアはそのことについて考え、自分達の暮らしに疚しいこと、人間同士優劣を付けたり差別的なことは決してなかった。ただ慎ましく、幸せな日常を過ごし母と妹ととの時間を大切にしていただけなのにと思索する。自分達は何もしていないのに、この仕打ち。

 

 

 破壊なんて望んでない、祝福なんていらない、ただ家族を返して欲しいと願うがもう帰って来ない。

 

 ケイアはそれでも、そのドラゴンに何か一言いたい、一度ぶん殴りたいと思いヴィリーにヴァールが現時点、何処にいるか聞いた。

 

 

 

 

ケイア「ヴィリーさん、そのドラゴンって何処に居るか知ってますか?」

 

ヴィリー「それはわからないわ。普通、守護する場所に留まるものだから……。他のドラゴンに聞けば、何か掴めると思うけど……」

 

ケイア「他のドラゴンに会うにはどうしたらいいんですか?」

 

ヴィリー「簡単に言うわね……。守護する場所とは言ったけど、人里離れた場所で人間が立ち入らない神域に居るのよ?!人間の体が耐えられるような所じゃあ……」

 

ケイア「耐えることが出来れば、行けるんですか!?」

 

 

 

 

 安易に言葉を続けるケイアの言う事に、心底頭を悩ますヴィリー。

 

 

 そんな彼の決めたら実行に移そうとする姿勢に危険を感じ、授業だけではどうにも出来ないと思ったヴィリーは個人的な特訓が必要だと思い、ケイアに試練を与えた。

 

 

 

 

ヴィリー「そう言えば、在学中にギルド登録出来るって言ったわよね?あれは、学園にもクエスト依頼が来て生徒にも戦闘に慣らしていくっていう方針でやってるの。それで今回、新しいダンジョンの依頼がきてて内容が内部調査なんだけど、出てくるモンスターがスライムとかゴブリンしかいないから危険な仕事ではないわ」

 

ケイア「僕に行けってことですか?」

 

ヴィリー「大丈夫よ、私も付いて行くから。ついでに、ギルド登録も済ませた方がいいわね」

 

 

 

 

 ヴィリーは一日の授業を早く終わらせ言われるがまま、ケイアは登録をする為に集会場へと向かった。訪れた先には、様々な防具や武器を携えクエストの受注や酒を飲み交わす人達もいた。

 

 

 受付へと通され、軽く挨拶を交わしたケイアはギルド登録を済ませ、モンスターとの『血判契約』を交わす事となった。特殊な紙に自身の名前と使い魔の名前を記入し、指を傷付け判を押した。

 

 

 ライムは血が出ない代わりに、粘液であれば契約は受理出来るため、これでパートナー契約は終了した。

 

 契りを交わしたことでお互いの生死がわかるようになり、言葉がわからなくても心が通じ合い何を求めているかがわかる。

 

 

 今のケイアにとっては、ライムの言葉が聞こえるので意味はないが。そして暫く受付から説明を受け、太陽が沈み西日が眩しい時間となり帰ることになった。帰りの道中、ヴィリーからダンジョンについて説明された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィリー「ケイア君。ダンジョンは明後日になるから、その間にモンスター同士の戦闘に慣れる為に明日は、特訓をします」

 

ケイア「一日やったくらいで、どうにかなるもんなんですか?」

 

ヴィリー「ケイア君と契約したライムちゃんは、打撃系のダメージは効かないからよっぽどのことが無ければやられる心配はないわ。それに、魔人相手に無傷なんてありえないしあのレベルのパンチだったらワンパンで終わりよ?」

 

ケイア「確かに……」

 

 

 

 

 普通のモンスターであれば、魔人と対峙した場合負けは確定する。どんなに元からのポテンシャルが高くても、領域が違いすぎる為勝てる見込みはない。

 

 

 もし遭遇したら、逃げるのが賢明である。その話をしながらヴィリーは、自分の師匠の話をした。

 

 

 

 

ヴィリー「でも、私の師匠は魔人化したモンスターに勝ったことがあるのよね……普通のモンスターで」

 

ケイア「す、凄いですね……どうやったんですか?」

 

ヴィリー「私も聞いたのよ、どうやったんですかって。そうしたら、応援しただけだって。可笑しいでしょ?それが大陸に知れ渡って、『変幻自在のノウマッド』なんて呼ばれたりしてるわ。あの人、放浪癖が凄くて色んな所に旅に出てるのよね……私も二年前に逢ったのが最後。今も何処かで自分のモンスターと出歩いてるんじゃないかしら」

 

ケイア「へぇ、僕も一度会ってみたいです」

 

 

 

 

 凄い先生だと知ったケイアは、直ぐにでも会いたい思ったが特定の場所には留まらないとなれば、探すのは至難の業。

 

 そうこうしている内に、学園に着き別れようとした時ヴィリーに呼び止められケイアは立ち止まった。

 

 

 

 

ヴィリー「そう言えば言い忘れてたけど、合格者はそのまま寮で暮らすことになってるから部屋割りが同じの子とは仲良くするのよ。それじゃ、明日ね」

 

 

 

 

 そう言われ、自分の部屋へと急ごうと門を潜り歩いていると少女に声を掛けられた。

 

 

 その少女は今日、教室で自分の奴隷になれと言ってきた彼女だった。何故この場所に居るかわからなかったが、ケイアが考え込んでいると彼女から喋り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「アンタ。こんな遅い時間まで何処にいたのよ?!」

 

ケイア「えっ……集会場まで行ってギルド登録して使い魔の契約してたから、この時間になりました」

 

?「何でこんな暗くなるまで出歩くのよ、どっちが強いか全ッ然勝負出来なかったじゃない!」

 

ケイア「えぇ……そんなこと言われても」

 

 

 

 

 散々切れ散らかしておきながら、戻るまで待っていたことにケイアは健気だなぁと思った。怒り疲れたのか話は終わり、お互い自分の部屋に戻ろうとした。

 

 

 だが、ケイアが部屋に戻ろうとすると彼女も同じ方向に歩いて行き可笑しいと感じた。それも彼女は感じ取っていたのか、ケイアに再び声を掛ける。

 

 

 

 

?「ちょっと、付いて来ないで!」

 

ケイア「そっちこそ早く部屋に戻りなよ!」

 

 

 

 

 そして自分の部屋で立ち止まるケイアと同時に、彼女も立ち止まった。まさかと思い、ケイアは恐る恐る彼女に訊ねた。

 

 

 

 

ケイア「もしかして……君、この部屋なの?」

 

?「そうよ。もしかして、アンタも……」

 

 

 

 

 お互い同じ部屋だと分かった瞬間、部屋の前で発狂してのた打ち回った。通路で騒いでいると、隣の部屋から注意を受け静かに二人は中へと入っていった。

 

 

 ルームメイトという事で、互いの名前がわからないと不便だと思い、先ずは自己紹介から始まった。

 

 

 

 

ミラ「アタシは、ミラ・ル・オリバーよ。ミラでいいわ。因みにミラの意味は、贈り物って意味よ」

 

ケイア「僕はケイア。オリバーってこの国の名前と一緒だね」

 

ミラ「アンタ何言ってるの?アタシが王の娘だからに決まってるじゃない」

 

ケイア「え……えぇぇぇぇ!?娘なの!?」

 

ミラ「知らないで話してたの?」

 

 

 

 

 国の王の娘だという事実を知り、ケイアは詳しく王のことについて聞いた。オリバー王国を統治するリアム・ル・オリバーは、かつて悪事を働くドラゴンがとある村を襲うとした時、若いリアム王は魔人の従者と共にドラゴンに立ち向かった。

 

 

 そして二人は共に戦い、ドラゴンの脅威を退け村に平穏を齎した。死人は出なかったとはいえ、村は壊滅に近い状態でリアム王はその村の復興に努め、大きな都市へと発展させ自分の名前からオリバー王国と名付けた。

 

 

 その後は、王と魔人は結婚し人間とモンスターが幸せに暮らせる都市へと築き上げていった。話を聞いたケイアは、疑問が浮かびミラに訊ねる。

 

 

 

 

ケイア「待って……ミラって人間とモンスターのハーフ?」

 

ミラ「そうよ。お母様はデーモンで、元々人間に近いからアタシは人間に産まれたってお父様が言ってたわ」

 

ケイア「デーモンなんだ……」

 

ミラ「アタシも喋ったんだから、アンタも何処から来たか説明しなさい」

 

 

 

 

 ミラに簡単に自分の説明をして、何故この学園に入学したか説明した。ドラゴンに村を襲われた事や、この学園に入学した経緯などを話しミラは常に険しい顔を見せ、ケイアの話を聞いていた。

 

 

 この経緯を聞いたミラは成績の不満を、ケイアにぶつけた事を詫び勝負の話は一旦置くことにした。そしてお互いのモンスターを紹介した。

 

 

 

 

ミラ「ケイアの使い魔はスライムだったわね。村で会ったのよね?」

 

ケイア「そう。色んなモンスターと触れ合ってきたけど、この子だけ僕のことを怖がったりしなかったんだ。ミラのモンスターは何て言うの?」

 

ミラ「妖狐のモンスターでテンコって言うの。大きい尻尾が特徴なの」

 

 

 

 

 見た目は普通の狐だが、毛並みが真っ白で雪のようだった。茶色や黄色が主だが、ここまで雑味がなく綺麗な妖狐は珍しい。

 

 

 そして何より、小さくて可愛い。触っていても飽きることが無く、触り心地は抜群だった。長く撫で続けていると、ライムがケイアの頭に乗り頻りに叩いて自分も撫でて欲しいとおねだりをする。

 

 

 

 

ライム『ねぇ、ご主人。ライムの頭も撫でてよー』

 

ケイア「あぁ、はいはい」

 

ライム『むぅ……ちゃんと撫でてよ~』

 

 

 

 

 そしてケイアが撫でると、気持ちよさそうに体を震わせ喜んだ。そんな二人のやり取りを見て、ホッコリするミラ。

 

 

 時間は過ぎていき、二人は一緒にご飯を食べてそのまま一日は終了した。次の日、特訓と言われたケイアは朝早く起き、準備して寮の玄関を出てライムと共に闘技場へと向かった。

 

 

 闘技場へ行くと、もう既にヴィリーは立って待っていた。そして隣に居るのは、紹介してもらったバジリスクやワームではなく明らかに違う個体だった。

 

 

 彼女の髪は、紫色で長髪だがまるで生きているように動いていて、よく見ると小さい蛇が蠢いていた。恐らくヴィリーが使役するメデューサだと、ケイアは気付いた。そしてケイアが入る姿を見て、ヴィリーは挨拶を交わす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィリー「お~ケイア君、早いね。それじゃあ早速紹介しよう、メデューサのメイサです」

 

メイサ『ケイアく~ん、よろしく~』

 

 

 

 

 紹介されたメイサは、ケイアに艶やかに微笑みかけ妖美という言葉がとても似合う女性だった。自己紹介を終え、早速本題に入りモンスターへの指示や術者としての役割を教わる中で二つある。一つは、モンスターと対峙した時ただ戦え、と命令すればいい訳では無い。

 

 

 相手の弱点、その場の風土や気候で弱点を探り的確な指令を送ることが求められ、モンスターのスキルや技は経験値などで覚え、その都度進化を遂げていき、使い魔が傷ついた時は魔法での回復が求められる。魔法での処置が難しい場合、アイテムなどが有効的である。

 

 

 そしてテイマーというのは、モンスターがやられてしまえば勝ち目はない、だから殆どのテイマーは敵前逃亡を図る。そうならない為に、援軍を魔法などで要請し、その間の時間を稼ぐか、諦めず己も戦い続けるしかない。

 

 

 この魔法を使えないとなれば、諦めるしかないが後は自身の運に任せるしか方法はない。二つは、モンスターをテイムする際の注意点。一般的な仕方は、モンスターが好む食べ物を与え好感度を稼ぐやり方。アイテムなどを使わない場合、モンスターと会話ができる体質の持ち主は自然と心を通わすことで仲間に加えることが容易であるが、このスキルを持つ者は数少ない。

 

 

 特殊な例で言えば、モンスターから仲間を申し出てくる場合があるが、これはその人間が余ほど魅力的に映っているか、モンスター自身食事に困っているかの二択である。この説明を踏まえた上で、ヴィリーから戦い方を教わることとなった。

 

 

 

 

ヴィリー「先ず、使い魔のライムがどんなスキル、技を保有しているか把握することが重要になってくるわ。自分の技がわからなかったら、相手に有効打なんて与えることは出来ない他に、相手側にいいようにされて終わり。相手を知ることより先ず自分から、大事なことにも順番ってものがあるのよ。地形を把握して、大勢のモンスターを負かしてやることより自分の力量を指し測れるようにしておきなさい」

 

ケイア「はい、わかりました」

 

 

 

 

 ケイアは話の通りに、ライムがどんな技を持っているか検証する為に聞き出すことにした。そしてライムが保有している技は、粘液による絡み付きとゴールドシャワーが主な攻撃になっている。

 

 

 ゴールドシャワーは、ライムが食べたお金を無数に飛ばす攻撃のことである。それがわかった上で、今度は実戦に移り試合が開始された。ヴィリーが試合でのルールを説明してくれた。

 

 

 

 

ヴィリー「私のメイサに攻撃が当てることが出来たらケイア君の勝ち、若しくは術者に攻撃を当てることが出来れば勝ち、これで勝負しましょ」

 

ケイア「お願いします」

 

ヴィリー「それじゃあ……始めっ!」

 

 

 

 

 ヴィリーの合図とともにケイアはライムに攪乱するように動けと指示し、相手にゴールドシャワーを連続で命令した。だが、簡単にはいかずメイサは蛇特有の動きで間を縫うように避けられた。

 

 

 そしてメイサは、避けるだけで一向に攻撃は仕掛けてこなかった。相手なりのハンデだと思ったケイアの次の作戦は、地面に粘液をばら撒き足元の自由を奪おうとした。

 

 

 

 

メイサ『きゃっ!?』

 

ケイア「取った!」

 

 

 

 

 体勢を崩したメイサに好機と見たケイアは、ライムにゴールドシャワーを指示し勝利を確信した。だが、次の瞬間メイサは直ぐ様体を捩じらせ髪の毛の蛇達が一斉に動き出しケイア達に顔が向いた瞬間、攻撃したはずのゴールドシャワーが石に変わっていた。

 

 

 メデューサの特徴として、あらゆる物を石に変えてしまう特有性を持ち、解除するには本人が解くか、死亡することで呪いは解ける。それに呆気にとられたケイアは、油断し対象が近づいていたことに気付かず頭を突かれた。

 

 

 

 

メイサ『わたしの勝ち、惜しかったねケイア君♪』

 

 

 

 

 石化の能力に油断し、後ろから近づいていることに全く気付かず、試合は終了した。そしてこの戦いでケイアが気付いたことは、ヴィリーの指示が無い状態でメイサが動いていたこと。

 

 

 やはりこれ程、経験の差が物語っていることにケイアは口惜しく感じたが、まだまだこれからだと前向きに捉えた。駄目な部分をヴィリーから教わり、明日のダンジョンについてお浚いすることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィリー「明日はいよいよダンジョン調査しに行くけど、くれぐれも気は抜かないように。ゴブリンとかスライムの低級モンスターしか出ないとは思うけど、それで気を抜いて何人も冒険者が亡くなってるから……絶対に慢心はダメ」

 

ケイア「……わかりました」

 

 

 

 

 胸に刻み込むように、間を置きながらケイアは返事をした。その後は、普通の授業を受け一日が終了し寮へと戻ったケイアはライムと共に明日に備え英気を養った。

 

 

 そして朝日が昇り、ダンジョン探索の日が訪れケイアはヴィリーと共に集会場に行き、クエストを受理し目的の地へと歩み出た。ヴィリーは今回、ワームのムーを連れて行くことになり楽しい道中となった。

 

 

 そして場所は、オリバー王国から南に位置する砂漠地帯アネクメ。この大地は人類の永久的居住、経済的活動が困難な場所で灼熱の太陽に晒されるが故に砂に潜るモンスターが多く生息する。だがこの場所は昔、文献によれば水源が豊かで緑豊かに人々が文明を築いていた。

 

 

 そしてケイア達が周辺を見渡すと、遺跡などは残っているが水や草木があったとは考え難かった。

 

 書物の続きとして、そこまで繫栄した背景には、アネクメを統治していた王の御業によるものが大きいと書かれていた。王が力を使い、国を豊かに繫栄させ人々は王を崇め奉り信仰の対象としていき、王は力を付けていった。

 

 

 だが、ある日を境にアネクメは衰退していき水は枯れ、草木は瞬く間に赤く染まり消えていった。文章はそこで途切れ、アネクメがどのような原因で滅んだかはわからない。

 

 

 奥まで進んで行くと、他の遺跡に比べあまり朽ちておらず大きく煌びやかな建造物があった。ここが例の調査対象となっているダンジョンになり、入口は深い闇のように明かりが届いていなかった。そしてヴィリーの魔法の明かりを頼りに、四人は遺跡の中へと消えていった。

 

 

 

 

 

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