モンスターテイマー   作:泰然

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蚊に刺されて痒い~……。


4話 埃を被る棺 300年の封印

 四人は暗い入り口を通り、中へと入っていった。遺跡の中は数千年放置されていたとは思えない程、綺麗に整っていた。そしてケイアは、自分が読んでいた本についてヴィリーに聞いてみた。

 

 

 

 

ケイア「国伝承記を読んだことがあるんですけど、ヴィリーさんはアネクメに関して何か知ってますか?」

 

ヴィリー「確かその本、太古の国について書かれていた本よね。アネクメって王の力で国を治めていた、ってくらいしか聞いた事ないわね。昔は水も緑もあったって言われてるらしいけど」

 

 

 

 

 ヴィリー自身も詳しい訳では無く、一般常識程度の知識らしい。ケイアも本で読んだ程度なので、語れる程ではない。様々な伝承の話をしている最中、分かれ道を見つけた。恐らくこの遺跡は、敵の侵入を妨害する為の構造となっており枝分かれが激しく多かった。

 

 

 

 

ケイア「また道ですね……」

 

ヴィリー「こういうのはダンジョンならではだから、気にしない気にしない♪」

 

ムー『でた、お嬢の適当なところ』

 

ライム『ご主人、なんか居るよ』

 

 

 

 

 ライムが指をさす方向に、スライムが一匹いた。典型的な低級モンスターで、色は水色で大きい個体だった。早速と言わんばかりに、ヴィリーは実戦経験を積ませようとケイアを促した。

 

 

 

 

ヴィリー「ケイア君、いい機会だからライムの実戦経験を積ませよう。スライムだから、動きも単純だろうし倒しやすいと思うから」

 

ケイア「やってみます!」

 

 

 

 

 ライムと相手のスライムを対峙させ、早速戦いが始まった。ケイアはライムにゴールドシャワーを指示し、怯んだところでライムが飛び付きスライムを捕食し始めた。ケイアは、同族同士の争いに罪悪感は無いか尋ねてみた。

 

 

 

 

ケイア「ライム、共食いとか罪悪感とかないの?」

 

ライム『敵は敵だから攻撃しただけだよ?』

 

 

 

 

 敵と認識すれば、同族であっても関係ないらしい。捕食が完了し、ライムが少し大きくなった。この現象に驚いているケイアに、ヴィリーが補足で説明した。

 

 

 

 

ヴィリー「スライムは、捕食して取り込むと相手の性質や特徴に似る事があるのよ。そのお陰もあって、成長する度合いが他のモンスターと比較しても早いのよ。私が使役してる子達は、成長は少し遅いわね」

 

ケイア「へぇ、そうなんですね」

 

 

 

 

 ケイアはまた知識を蓄え、ヴィリーに教えられながら遺跡の中を進んで行った。そして暫くすると、とある部屋から明かりが漏れていた。扉を開くとそこには、黄金に輝く宝石の山々が連なっていた。

 ムーは興奮して金の山にダイブし、ヴィリーに怒られていた。ケイアも金塊を食べようとするライムを制止させ、ここは特に異常は見られない為、他の部屋を散策する事にした。

 歩き始めて数分後に、またモンスターが現れ今度はゴブリンだった。攻撃を仕掛けてくるゴブリンだが、打撃が効かないライムを目の当たりにし焦っている最中、そのまま取り込んで捕食した。

 そこから暫く時間が経ち、下へと下がっていくケイア達は何やら祭壇のような場所へと辿り着いた。ここが遺跡の重要拠点だとヴィリーは話し、安全を確認した上でギルドへ向かおうとした時ケイアは棺のようなに目が留まった。その棺は、とても簡素に作られており中を覗いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケイア「誰か入ってるのかな…………うわっ!?」

 

 

 

 

 ケイアが覗いた先には、包帯を巻いた人が中に収められている。朽ちているからかは分からないが、所々包帯が解けている部分があった。何やら急いで巻いたようにも見え、よく見ると女性だった。

 ミイラとは思えない程、綺麗な女性で保存状態も良かった。暫く見つめていると、なんと彼女の目が開いた。それに驚いたケイアは後退り、身構えた。ミイラはゆっくりと起き上がり、ケイア達の方へと近づいてきた。

 

 

 

 

?『あぁ……うぅ……』

 

ヴィリー「ゾンビっ!ケイア君、構えて」

 

 

 

 

 四人は臨戦態勢に移るがゾンビは全く戦う意志が感じられず、ただ立ち尽くすのみで何もしてこなかった。だが、頻りに自分の体を探り、何かを探していた。そんな彼女を見てケイアは、何を探しているのか尋ねた。

 

 

 

 

?『な、い……ない……』

 

ケイア「何か探してるの?」

 

?『首、飾り……ない』

 

 

 

 

 どうやら大切にしている首飾りが無いらしく、凄く慌てている様子だった。可哀そうに思ったケイアは探すのを手伝うことにしてゾンビと一緒に付いて行った。

 だが、中々見付からず困っていたケイアは先程見つけた宝物庫であれば手掛かりがあると考え、早速向かった。そこで手分けして探すこと数分、それらしき首飾りを見付けゾンビへと渡した。

 

 

 

 

ケイア「もしかして、これ?」

 

?『そう、それっ……見つかって、よかった……』

 

 

 

 

 その首飾りは時計のような物で、石が埋め込まれていた。『ブルーペクトライト』青空に浮かぶ雲のような模様が特徴の宝石が施されていた。石言葉には、『安らぎ 愛 平和』という意味が込められている。彼女は首飾りを大切に抱き締めるように、目を瞑っていた。そして再び目を開けると、ケイアに御礼を述べ驚きの発言をする。

 

 

 

 

?『あり、がとう。……もし、よかったら、私を連れて行って……欲しい。御礼がしたい』

 

ケイア「えっ!?でも、いいの?ここから離れて」

 

?『いい。それに、私……役に、立つ』

 

 

 

 

 そう言うと彼女は、小さい声で難しい言葉を発しその場に水や火を起こした。ケイアが喜んでいると、ヴィリーは不思議そうに呟いた。ゾンビに魔力は扱えない事を知っているからだ。稀少種という言葉で片付ければ簡単だが、ケイアの周りには新種が集まりやすい、とヴィリーは勝手に結論付けた。そしてケイアは、ゾンビを仲間にしようとヴィリーに許可を願った。

 

 

 

 

ケイア「ヴィリーさん、仲間にしてもいいですよね!」

 

ヴィリー「ケイアの好きにしていいわよ」

 

 

 

 

 許可を得たケイアは、早速名前を呼ぼうとしたが興奮して聞くのを忘れていた為お互い自己紹介を済ませる事にした。

 

 

 

 

ケイア「そう言えば、まだ名前聞いてなかったね。僕はケイア、君は?」

 

ホテプ『ホテプ……』

 

ケイア「これからよろしく、ホテプ」

 

 

 

 

 契約は帰ってから済ませようと考えたケイアは、改めてホテプを観察した。髪は青みがかった黒髪をしており、ショートボブのような感じで体形はスレンダータイプ。身体の殆どは布一枚の包帯で隠されているのみなので、乳房や恥部が強調されてケイアは目のやり場に困った。

 

 

 

 

ケイア「あのさ、ホテプ。着るものとか無いの///」

 

ホテプ『うん?……これだけ』

 

ケイア「僕の貸すから、これ着て!」

 

ホテプ『……あったかい』

 

 

 

 

 ケイアは自分が羽織っていた服を、ホテプに掛けてあげた。ケイアの羞恥心を知ってか知らずか、ホテプ自身は服をもらい硬い表情が少し緩み笑顔を見せた。

 その後は、ホテプに付いて行き隠し通路を教えてもらい出口へとでた。ダンジョンの内部調査は完了し、ギルドに報告しようと帰り支度を済ませようとした時、ホテプがそれについて待ったをかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホテプ『あの……あまり、遺跡の中……荒らさないようにしてもらうと、嬉しい』

 

ヴィリー「私達も、ギルドに報告しておかないと」

 

ホテプ『お願いっ……」

 

ヴィリー「はぁ……わかったわ。ギルドには何も触れさせないよう取り合ってみるわ」

 

 

 

 

 ホテプはすごい剣幕で、荒らさないでくれと懇願しそれに圧されたヴィリーはギルドに荒らさないよう取り合ってくれるそうで、ホテプは一安心といった感じで胸を撫で下ろした。するとムーが耳を動かし、何かを察知し声を荒らげた。

 

 

 

 

ムー『お嬢、下だっ!』

 

 

 

 

 その声と共に、みんなその場から逃げ避けた。そして下から、デカいミミズのようなモンスターが出てきた。

 砂漠に多く生息する『サンドウォーム』というモンスターで、普段は砂の中に隠れているが餌を求め地上に這い上がり鳥や弱ったモンスターを喰らう。少し強いモンスターが出た事で、ムーが拳を鳴らし戦闘態勢に入った。

 

 

 

 

ムー『アタイの出番だねっ!』

 

ホテプ『火よ水よ、我が名に応え……』

 

『シャアアァァァァァッ!!』

 

 

 

 

 張り切るムーを余所に、ホテプは何か呪文を唱えモンスターに向かって放とうとしていた。念じ終わりホテプの目の前には、火と水が円を描くように回っていた。

 手を前に翳すと同時に、飛んでいき魔法が交じり合い蒸気となってサンドウォームを襲った。砂に生息しているからと言って、熱に決して強い訳では無いサンドウォームはその場で悶え蒸し殺された。折角の見せ場を取られたムーは、項垂れヴィリーに慰められた。

 

 

 

 

ムー『アタイの出番が~……』

 

ヴィリー「よしよし、アンタは悪くないよ」

 

 

 

 

 ホテプの魔法に驚いたケイアは、唯々圧倒され彼女の頭を撫でた。少し照れながら、それでいて嬉しい感情を隠すように顔を逸らしていた。ホテプは魔法について、付け加えるように教えた。

 

 

 

 

ホテプ『これは祈り、魔法じゃない』

 

ケイア「祈り、祝詞ってこと?」

 

ホテプ『そう。神様に対して唱える言葉だけど、私の場合は……』

 

ヴィリー「ほら、二人共。危ないからサッサと帰るわよー!」

 

 

 

 

 ヴィリーに呼ばれホテプの発言が分からず仕舞いではあるが、ケイアはあまり気には留めなくホテプ自身もそれ以上、口にはしなかったので、この話はその場で流れた。そして一行は早々とアネクメから抜け、ギルドへ向かった。内部調査の結果報告を済ませホテプとの契約も終わらせ金貨を貰い、ギルド長に悪戯に遺跡を荒らさないようにヴィリーが伝え、学園へと戻ろうとした。

 だがヴィリーは、用事があるとの事でケイアは三人で帰る事にした。道中モンスターが多く往来するオリバー国なのだが、包帯ぐるぐる巻きのゾンビが居る事が珍しいのか通りすがる人、皆振り返り恥ずかしくなり急いで学園へと向かった。急ぎ足で向かっていると、向こうからフードを目深に被り口元しか見えない男に話しかけられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「君、珍しい魔法を掛けられているね」

 

ケイア「だ、誰ですか……貴方は」

 

?「名のる者でもないさ。右手を貸してごらん」

 

 

 

 

 男はケイアの右手に自分の手を翳し、光り出した。そして男は光の玉に変え、ライムやホテプに分け与えたように見えた。そして男は、ケイアの右手について話しだした。

 

 

 

 

?「君の右手に宿る魔力を、彼女達に分けてあげたんだ。そうしないと、君が『死んじゃうからね』」

 

ケイア「えっ、どういうことですか!?……あれ?」

 

 

 

 

 ケイアが視線を逸らしている間、男は居なく、何かケイアの右手について知っている口振りだった。考え込んでいるケイアを余所に、ライムとホテプが体に力が漲っているような感覚がある、と訴えた。更に謎が深まり分からないケイアは、そのまま考えながら帰った。ケイアは学園に着き部屋に入ってから、重大な事に気付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケイア「ミラ。ホテプ、どうすればいいの?」

 

ミラ「大きめの部屋に移してもらうしかないわね。先生に話してみたら?」

 

ケイア「部屋移ったら、ミラと同じ部屋じゃなくなるんじゃ……」

 

ミラ「ルームメイトは、変わらないから大丈夫よ」

 

 

 

 

 ミラが当然のように返し、後日ヴィリーに相談し大きめの部屋へと移された。数日経ったある日、学園が休みの日にオリバーをまた散策しようと一人で出向く事にした。何処の通りも活気に溢れ、人間とモンスターの共存する理想郷のように思えた。

 その様子を眺めながら歩いていると、空が曇りだし太陽が遮られた。そして突如、空から一匹のドラゴンが降ってきた。そのドラゴンを目にしたケイアには、見覚えがあった。意識が遠のく前に、飛び去って行ったドラゴンにそっくりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケイア「あのドラゴン、もしかしてっ……」

 

 

 

 

 村人や家族を殺した張本人か確かめる為に、ケイアはドラゴンの傍まで走った。他の住人はドラゴンに驚き、逃げ惑った。ドラゴンの傍まで近付いたケイアだったが、ドラゴンの翼の風圧で近付けずに居ると家屋の木や瓦が飛んできた。

 死ぬと思ったケイアだったが、目の前にヴィリーとメイサが前に立ち守ってくれた。怖がっていたケイアに微笑みかけ、安心させようとしてくれた。

 

 

 

 

ヴィリー「大丈夫、ケイア君」

 

メイサ『お姉さん達が助けに来たわよ~』

 

ケイア「ヴィリーさん……メイサさん」

 

 

 

 

 何故この場にドラゴンが降り立ったのか、気まぐれにしても本来土地を守護する役目のある位の高いドラゴンは勝手に動いたりはしない。ヴィリーはそのように考え、模索していた。

 ヴィリー自身、様々なモンスターと対峙してきたがドラゴンは初めてであった。魔人化したモンスターであれば、ドラゴンと渡り合えるとしても上位クラスの存在を相手に、どこまでやれるか分からなかった。ヴィリーは不安な中、メイサに聞いてみた。

 

 

 

 

ヴィリー「メイサ、この勝負勝てそう?」

 

メイサ『う~ん……今回ばかりは、わたしでも分からないわ~。普通のドラゴンなら訳ないけど……』

 

 

 

 

 だが、こちらが身構えていても浮遊するドラゴンは見向きもせず、空中を見つめていた。その視線の先を見つめると、フードを被った男が空中に浮いていた。ケイアは男を見て、右手について言われた事を思い出し、その男性だと気付いた。そしてその男は、ドラゴンを軽蔑するように目線を配り怒号を飛ばしていた。

 

 

 

 

?「『パズ』……この死にぞこないが」

 

?『その言葉、そっくりそのまま返してくれる。300年の眠りから少し早く起きてしまっただけだ、貴様の使役していたモンスターの封印が脆弱過ぎたのではないのか?」

 

?「お前……俺のミカを……」

 

 

 

 

 嘲笑うようにドラゴンは、男を挑発し過去話を蒸し返し攻撃した。男は怒りが抑えきれず、ドラゴンに攻撃しようとしたが止められた。何でもここに来たのは、争う為ではないらしい。

 

 

 

 

?『我は今回、争う為に此処に来た訳では無い。ヴァールの姿を借りてはいるが、我が姿を知らしめようと顕現したまで。それが終われば立ち去ろう』

 

 

 

 

 ドラゴンは転回し、国民へと向き直った。ケイア達は、今から何が始まるのか戦々恐々として次の言葉を待った。その後から、ホテプやライムが駆け付けてくれた。ホテプはあのドラゴンを見た瞬間、違和感を覚えた。

 

 

 

 

ホテプ『アイツ、もしかして……』

 

ケイア「ホテプ、あのドラゴン見た事あるの?」

 

ホテプ『ドラゴンじゃない。中身の方……」

 

 

 

 

 ケイアは中身の方と言われても、何の事か分からなかった。そしてドラゴンは言葉を発した時、周りの空気が震え地鳴りのように響いた。

 

 

 

 

パズ『我が名は、パズ。300年の眠りから目覚め、この世界を手中に収めんとする天帝だ。貴様達、人間には我を封印した事など覚えいないだろう、最もこの姿では分からんだろうが。この連なる恨みの深さ、長き久遠……貴様達には永遠とも呼べる珠玉の混沌を与えよう。お前達の魂が傀儡と成り果て、残滓となるまで幽閉してやろう。あの村のようにな』

 

 

 

 

 その発言をした瞬間、ケイアは自分の村を連想した。そんな事の為に、母や妹を焼き殺したのか、と考えたケイアはどれほど強大な存在だったとしても親を殺した。家族を失ったケイアに、恐れでは無く怨みが強くなり怒りをぶつけた。

 

 

 

 

ケイア「そんなことで……僕の家族は殺したのかっ!」

 

パズ『お前は、我が祝福を与えた子だな。貴様の言い分だが、我の恨みは1000年もの年月。我と子では時の重なりが違う、貴様では悲しみの余り慟哭を見るだろう。余談だが貴様の右手、祝福では無く『呪い』の一種だ』

 

ケイア「えっ……どういう事?」

 

パズ『魔力を放出しなければ、貴様の体が耐えられなくなり死に至る。話は終わりだ、精々我を封印する準備でも整えておくんだな。まぁ、無理であろうが』

 

 

 

 

 その言葉を残しパズは、飛び立ち空へと消えていった。ケイアは自分の右手に宿る能力が、呪いであることが信じられなかった。虚ろな瞳で右手を凝視し、絶望しているとフードの男がケイアの前に降り立った。そしてヴィリーが驚いた表情で、こちらに駆け付け男のフードを覗き込んだ。

 

 

 

 

ヴィリー「もしかして……師匠?」

 

?「ヴィリーか。久しいな」

 

 

 

 

 再会に喜ぶヴィリーを余所に、男は場所を移し噴水の近くにあるベンチに腰掛け自分の名前やパズとの因果関係を話した。男の名前はアサギリ・ペイン、ハイエルフである。ヴィリーとの関係は、修行をつけて欲しいと頼まれ断り続けたがアサギリの根負けで3年程修練を積ませた。

 パズとの関係性だが、300年前若きテイマーのアサギリはパズの封印を嘗ての恩師と試みていた。封印するには国を守護する五体のドラゴンから、五つの宝玉を手に入れ封印する為の道具を手に入れなければいけない。

 その道具を手に入れ、パズと戦ったアサギリだったが道具を壊され、焦ったアサギリは隙を見せ恩師がそれを庇い亡くなった。手段が無くなったアサギリは落胆し戦う意志を無くしている所に、使役していた幻獣で狼のミカが自ら封印の鍵となる事を決め300年守り続けた。アサギリは、泣きながらその事を語った。

 

 

 

 

アサギリ「ミカはこんな俺と……世界を守る為に。うぅ……」

 

ヴィリー「師匠……」

 

 

 

 

 そんな泣く姿を見たケイアは、意を決した表情を見せアサギリに宣言した。

 

 

 

 

ケイア「アサギリさん、僕に戦い方を教えて下さい。アイツを倒せるくらい」

 

アサギリ「ケイア君。修行をつけるにしても、王からの指令が下らなければ正式に封印や討伐の任には就けない。今恐らく、今後の評定を開き適任者を選別している頃だろう。ランクが青金の君では、選ばれることはないだろう」

 

 

 

 

 クエストに応じて、ランクも存在し順番に『青金(あおがね) 黒金(くろがね) 赤金(あかがね) 白金(しろがね) 黄金(こがね)』。左からランクが上がっていき、黄金ランクは10人程しかおらず王の謁見ではその人数が呼ばれる事だろう。半ば諦めかけるケイアだが、ヴィリーの一声によって希望が見える。

 

 

 

 

ヴィリー「師匠が王に言えば解決するんじゃないですか?どうしても連れて行きたいですって」

 

アサギリ「バカか、まだ戦場も知らない子供なんだぞ!?俺も許す筈無いが、王も決して許すわけないだろ……」

 

ヴィリー「ものは試しですよ、師匠~」

 

 

 

 

 この二人も黄金ランクで、多少の言い分は聞いてくれる見込みがある。そんな期待に胸を膨らませケイア達は学園へと帰る道中、アサギリから右手について詳しく聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケイア「アサギリさん。僕のこの右手の事、詳しく教えてもらってもいいですか?」

 

アサギリ「勿論」

 

 

 

 

 元々アサギリは、特異な体質故に冒険者では無く医者を志していた。その医者としての能力が、人体による魔力の流れが分かる事でケイアの右手に魔力が集中して流れていた事が分かり、その魔力を従者に与え『魔力暴走』を防いだ。

 魔力暴走とは、自分が所有する魔力値を上回ると体が耐えられなくなる現象。だが、アサギリは悪い事ばかりではない、と諭し右手に宿る本来の能力は相手を癒す事。無限に湧く魔力を、使役するモンスターに与え回復する事が出来ればアイテムを使わずに済み、鬼に金棒である。だが、ケイアは魔力の流し方など分からず困り果てるとアサギリが教えてくれるとの事。

 

 

 

 

アサギリ「これを覚えれば、従者の危険も下がる。ケイア君の能力は、決して呪いではないよ」

 

ヴィリー「師匠から教われば回復魔導士になれるわよ、頑張って」

 

ケイア「はい!」

 

 

 

 

 ヴィリーに応援されたケイアは、自分がどうなっていくか楽しみになり早く強くなりたいと願った。守られる存在ではなく、自分の手で自分が守れる範囲は必ず助けると誓うケイアだった。

 そしてアサギリの話では恐らく明日、王都に召集がかかると言われケイアもそこに同行させてもらえるよう頼むとの事。リアム王は、基本的に優しい男だが初対面や得体の知れない存在には警戒心が強く、威圧感に押されないよう気を付けろ、と言われケイアは少し行くのを躊躇ったがドラゴンを倒す為だ、と気持ちを強く持ち王都に赴くその日まで備えた。

 

 

 

 

 

 

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