モンスターテイマー   作:泰然

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たこ焼き食べたい……。


6話 キメラとの出会い 漆黒のオートマトン 

?『誰……?』

 

 

 

 

 彼女が応答するとケイアは動揺してしまい、直ぐに言葉が出てこなかった。暫く沈黙の時間が続くと、彼女からお腹が鳴る音が響いた。

 

 

 

 

?『お腹空いた……』

 

ケイア「これ食べる?」

 

 

 

 

 お腹を空かせた彼女にテイム時に使う、餌を与えた。ケイアが差し出した手に飛びつくように彼女は、勢いよく噛り付いた。手に乗せた食べ物は無くなり食べ足りないのか、ケイアの手に付いた食べかすを舌で舐め取った。

 舐められる事に恥ずかしさを覚えたケイアは、手を引こうとしたが彼女に手を掴まれている為、手を解く事は出来なかった。それから解放されたケイアは、彼女に何をしていたか尋ねた。

 

 

 

 

ケイア「ここで何してるの?」

 

?『わからない。ただここで目が覚めて、食べ物を探してた……』

 

ケイア「そうなんだ。だったら、僕達と一緒に……」

 

ヴィリー「ケイア君~!」

 

 

 

 

 ケイアが次の言葉を話そうとした時、遠くからヴィリーの呼ぶ声が聞こえてきた。それと同時にキメラの彼女が、声に反応しその場から離れて行ってしまった。そのあと数秒遅れてヴィリーが駆け寄り体の心配をした。

 

 

 

 

ヴィリー「大丈夫、ケイア君。怪我とかしてない?」

 

ケイア「大丈夫です」

 

ヴィリー「さっきのモンスター誰?」

 

ケイア「先程知り合ったんですけど、逃げられちゃいました」

 

 

 

 

 キメラと出会った事を話しヴィリーと合流することが出来たケイア達は、再び奥へと歩みを進めた。ふとライムがケイアの頭を叩き、どうしたのか尋ねた。

 

 

 

 

ライム『ご主人、さっきキメラに言いかけてたけど。何言うつもりだったの?』

 

ケイア「一人だったら一緒に仲間になって欲しいって、言いたかったんだけどね……」

 

 

 

 

 内心ケイアは、仲間に出来るのではないかと思ったがヴィリーの声に反応して逃げられてしまった為、それは叶わないがいつか何処かで会えるような気がしていた。

 そしてどんどん進んで行くと、広い部屋を見つけた。だが、そこはゴーレムが沢山徘徊する部屋で五体警戒していた。ヴィリーは得体の知れないモンスターを目にし、少し消極気味だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィリー「訳の分かんないのが五体もいる……帰りたいなぁ……」

 

リス『依頼なんだから、しっかりしてよ』

 

 

 

 

 ヴィリーの態度に呆れたリスは、もう一度気合いを入れ直させモンスターの方を見た。ゴーレムの見た目は、全体的の色は白で光沢が見られる事で全身金属であるのが分かる。形は人に近いが、目は一つしかなくサイクロプスのようなイメージ。

 ゴーレム達は目を光らせながら、侵入者が居ないか探していた。数が多い為、先ずヴィリー達が先行して数を減らす事に決めケイア達とベーアは見つからないように陰に身を隠し見守る事にした。そしてリスを前に出し、魔眼がゴーレムに効くかどうか試した。

 

 

 

 

リス『試してみますか……注目~!』

 

『ッ!?』

 

 

 

 

 リスが大きい声を出し、ゴーレムの注意を引いた。そして仮面を外し、リスは呪文を唱えた。

 

 

 

 

リス『ブリック(災いを招く眼差し)

 

 

 

 

 目を見開き言葉にした瞬間、ゴーレムが一斉に倒れ起き上がる事はなかった。この技は魔力消費が激しく、タイミングが重要になる。リスが一息入れ、安全を確認してケイア達を呼び寄せた。

 

 

 

 

リス『ふ~……終わったよ』

 

 

 

 

 皆リスに駆け寄ろうとした時……。

 

 

 

 

                 ドゴォッ!

 

 

 

 

 音と共に壁が破壊され、現れたのは体格と腕が異様に大きいゴーレムが姿を現した。油断していたメンバーは、ベーアの声により我に返る。

 

 

 

 

ベーア「そのゴーレムが指揮官ですっ!」

 

ヴィリー「みんな下がって!」

 

 

 

 

 ヴィリーが指示を促した瞬間、ゴーレムは近くに居たケイア目掛けて腕を振り上げた。その速さにケイアは反応できず、硬直した状態でいるとリスが尻尾をケイアの体に巻き付け直ぐ様自分の下に引き寄せた。

 パンチは外れ地面に叩きつけられた拳は、床を叩き割った瞬間、もう一度、衝撃が訪れた。腕に付いた『パイルバンカー』のような杭が動き出し、それが衝撃波へと変わり更に地面が抉れた。ゆっくりと状態を戻しゴーレムは、ケイア達の方に体を向け無機質な女性の声で喋り始めた。

 

 

 

 

?『侵入者ヲ即刻、排除シマス』

 

ヴィリー「……これは流石にケイア君じゃあ、手に負えないわね。リス、魔眼は使える?」

 

リス『まだ無理。使えるまで、もう少し時間が欲しいかな……』

 

 

 

 

 ヴィリーはリスに問いかけ、即刻終わらせたかったが魔力が回復するまで相手の出方を窺う事にした。巨体のゴーレムの見た目はベーアの説明通り3、4mはあり、腕が異様にデカく色は黒で先程のゴーレムと同じ見た目ではあるがオートマトンに近い個体である。みんな一か所に固まり、ホテプが何やらケイアに言いたそうな顔をしていた。

 

 

 

 

ケイア「ホテプ、どうしたの?」

 

ホテプ『私に、やらせて』

 

 

 

 

 何か勝算があるのか、ホテプは前に出て小さな声で祈りを唱え始めた。

 

 

 

 

ホテプ『我が神命に法り、我らを守り給え』

 

 

 

 

 口を閉じた瞬間、ホテプの目の前に大きな水の球が出来上がりそれをゴーレムに向けて放った。当然ゴーレムは水を避け、後ろの光っている核のような球体に当たった。その瞬間、ゴーレムの動きが鈍くなり皆はあの核が弱点だと分かりケイアは彼女に問いかけた。

 

 

 

 

ケイア「凄いよホテプ、弱点を一発で見抜くなんて!」

 

ホテプ『…………』

 

 

 

 

 ホテプはケイアの問いかけに全く応じず、ゴーレムをただ睨み付けていた。何か様子が変だと感じたケイアだったが、戦闘不能のゴーレムに対してホテプは再び攻撃を加えようと唱え始めた。流石に主として止めるべきだと感じたケイアは、ゴーレムの前に立ちはだかり庇った。

 

 

 

 

ケイア「どうしたの、ホテプ……なんか変だよ?!」

 

ホテプ『退いてっ』

 

 

 

 

 ホテプはケイアを押し退け、ゴーレムの前に水球を押し付け叫んだ。

 

 

 

 

ホテプ『お前達は、何が目的であの国を滅ぼした……応えろっ!』

 

?『理解不能、言ッテイル意味ガ……分カラナイ』

 

 

 

 

 ゴーレムは苦しみながらホテプの言った事について応えた。立て続けにホテプは意味の分からない事を言い続けた。

 

 

 

 

ホテプ『誰の命令で動いてる……』

 

?『私ハ、コノ施設ヲ守レト言ワレタダケ。命令ハ絶対』

 

 

 

 

 同じ事を言い続けるゴーレムに嫌気がさしたのか、ホテプは水球を放とうとした瞬間ケイアが間を割って入り再び庇った。ゴーレムに味方するケイアに対してホテプは強く苛立ち、またしても怒号が飛ぶ。

 

 

 

 

ホテプ『主、邪魔。これ以上庇うなら……』

 

ケイア「敵対する意思がない相手に、攻撃するのは僕は好きじゃないっ!」

 

ホテプ『……っ』

 

 

 

 

 ケイアの気迫に押され、ホテプは押し黙りケイアはゴーレムに向き直り謝罪した。

 

 

 

 

ケイア「ごめんね、ゴーレムさん。怖がらせるつもりじゃ無かったんだけど、ここにゴーレムさんが居ると困る人達がいるんだ。恐らく君に命令してた人は、ここを捨てて居なくなったと思うから君はもう自由の身だよ。ここを守る必要はない」

 

?『デスガ、何ヲシタラ……』

 

ケイア「森で静かに暮らすとかいいんじゃない?……僕達が人目に付かない場所まで案内するよ」

 

 

 

 

 ケイアはそう言うと納得していない様子でゴーレムは頷き、依頼は完了となり報酬を貰いドワーフの国を出た。町を歩く際、やはりゴーレムの見た目は目立ち擦れ違う亜人やモンスター達が振り向いた。

 ケイア達は馬車へと移動、メタルヴェルクを後にし山を少し離れた場所にある森深い場所までゴーレムを連れて行った。そして別れようとしたが、ゴーレムがケイアを引き留めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?『何故アノ時、庇ッテクレタノデスカ?』

 

ケイア「う~ん……可哀そうだったから?」

 

?『可哀ソウダッタ……ソレダケデスカ?』

 

 

 

 

 ゴーレムは黙り込み、ひたすら首を傾げ考えた。ゴーレム自身、そこには疑問しか浮かばなかった。命令されて動いてきた身からすれば、当然可笑しく感じた。そんなケイアもゴーレムに対して、疑問を投げかけた。

 

 

 

 

ケイア「君だって、動けたはずなのに僕を後ろから攻撃しなかったでしょ?絶好のチャンスだったのに。指示されて動くゴーレムだったら、あそこで僕は殺されてるよ。自分の中で葛藤があったから、君は僕を殺さなかった。だから僕は、君に自由に生きて欲しいって思ったんだ」

 

?『…………』

 

 

 

 

 ゴーレムは自分で気持ちを整理しようと模索するが、自分で取った行動に違和感を覚え何故あの行動をとったのか考えても分からなかった。そしてゴーレムは一つの答えに辿り着く。

 

 

 

 

?『私ヲ仲間ニシテ頂ク事ハ、可能デショウカ?』

 

ケイア「えっ?」

 

ホテプ『ダメッ!』

 

 

 

 

 ケイアが驚いていると、横に居るホテプが即座に否定しケイアの腕にしがみ付いた。ケイアはホテプを宥め、ゴーレムの真意を聞いた。

 

 

 

 

?『自分ノ取ッタ行動ノ意味ヲ知ル為ニ、アナタヲ監視スレバ分カルト思ッタカラデス』

 

ケイア「……じゃあ、一緒に行こう」

 

ホテプ『主っ、そんな簡単に……』

 

 

 

 

 ホテプはどうしても嫌らしく、言う事を聞かせるまで少し時間は要したが晴れてゴーレムを仲間にすることが出来た。そして再び馬車を動かしてもらい、学園へと向かった。

 当然ゴーレムは、体長4mはある為、徒歩での移動となる。一週間が経ち、山を越えた先の向こうには巨大な門が見えオリバー王国が見えた。ケイア達は砦を潜り、懐かしい雰囲気に浸りながら学園へと向かった。校門まで辿り着いたケイアは、ゴーレムに名前を聞くのを忘れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケイア「そう言えば、名前聞くの忘れてた。何て言うの?」

 

?『名前ハ、最初カラアリマセン。付ケテ頂ケレバ幸イデス」

 

ケイア「じゃあ……メニカは?」

 

メニカ『了解。個体名、メニカ……登録致シマシタ。マスター、コレカラヨロシク、オ願イシマス」

 

 

 

 

 ケイアはメニカという名前を付け、部屋に移動しようとしたが流石にメニカは入らない為ヴィリーに相談し校門の門番代わりにとなった。誰も見た事のない見た目である為、一見銅像のように見えて油断を誘うことが出来るのではないかというヴィリーの思惑に、納得いかないケイアはメニカに相談した。

 そしてヴィリーの提案をメニカは快く承諾し、これからは生徒を守る番犬代わりとなり学園に置いてもらう事になった。そして血判契約であるが、血での繫がりを結ぶ儀式が出来ない為、書面でのみの契約となった。長旅に疲れたケイアは、一度ベッドに横になりそのまま眠りに就いた。

 次の日を迎え、ケイアが起き上がろうとした時、胸のあたりが重く感じ眠い瞼を擦りながら見ると、そこにはホテプが俯せの状態で寝ていた。ケイアは何故自分の場所に寝ているのか聞いてみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケイア「何で僕のベッドで?!///」

 

ホテプ『主の側で寝ていれば、あの機械に襲われる事が無いから』

 

ケイア「まだ信用してないの?」

 

ホテプ『主は他人を信用するのが早い。いつ殺されるか、分からない』

 

 

 

 

 頑なにメニカを疑うホテプにケイアは内心、骨が折れそうだと感じつつ、拒む理由が分からなかった。考えても仕方ないと感じ上から退けてもらい、授業を受ける前にメニカに会いに行く事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケイア「メニカ、調子はどう?」

 

メニカ『マスター、問題アリマセン。以前、不審人物ハ確認デキテイナイ為、安全デス』

 

ケイア「辛くなったらいつでも言ってね」

 

メニカ『与エラレタ任務デスノデ、気兼ネナク申シ付ケ下サイ』

 

 

 

 

 メニカは相変わらず、お願いを任務に置き換え淡々と熟すまさにロボットのように返事をした。そんな言動にケイアは少し寂しく感じ、挨拶を済ませ教室へと向かった。久しぶりの授業に少し興奮気味のケイアは、早く始まらないかと忙しなかった。

 授業が始まる直前、ヴィリーとアサギリに呼び出されたケイアは問題でも起きたのかと思い静かに話しを聞いていた。先にヴィリーから話を切り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィリー「今回呼んだのは、ケイア君の授業が大幅に遅れてる事についてなんだけど……。これからは、私と師匠の個人授業がメインになるから」

 

ケイア「えぇ、本当ですか!?これからやっと、みんなと一緒に出来ると思ったのにぃ……」

 

 

 

 

 落ち込むケイアにアサギリが慰めるように言い放ち、今後について詳しく説明した。

 

 

 

 

アサギリ「今後についてだが、ケイア君は封印の儀に正式に参加させてもらえるように懇請するつもりだ。それに、君の『右手』についても向き合って行かなきゃいけないからね」

 

ケイア「はい、お願いします」

 

 

 

 

 ケイアは意を決した面持ちで応え、その後は二人からの特訓の日々が始まった。前にもアサギリから説明されたように、ケイアの魔力はドラゴンの祝福によって右手にしか宿らない為、ケイアの魔力は根こそぎ奪われている。

 その能力を利用し、今からライムに回復魔法を送る訓練を始めた。アサギリから回復魔法の詠唱の仕方を受けるが、ケイアは中々上手くいかず苦戦していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケイア「『彼の者を包み込む癒しを与えよ』……。アサギリさん、何回やっても全然ダメです……」

 

アサギリ「可笑しいなぁ……普通はこの詠唱で簡単に出来るのだが……」

 

ライム『ご主人、へたっぴ?』

 

 

 

 

 ライムの悪気の無い言い方に、深く刺されるケイア。そこでなんとなくケイアは目を閉じ、自分の右手に集中し相手を想いながらライムに手を翳してみた所、右手から緑色の光が灯りライムへと注がれてた。ライムは気持ち良さそうに体をくねらせたり、上下に揺れた。無詠唱で唱えるケイアに驚くアサギリとヴィリーの横で、ライムはケイアの頭に乗り喜びを表した。

 

 

 

 

ライム『ご主人の魔法、温かくて気持ちい~』

 

アサギリ「無詠唱でやるとは……驚いたな」

 

 

 

 

 続けて攻撃魔法を試してみたが、全く反応を示さず長時間やった事でケイアにも疲労が溜まり、訓練は終わりとなった。ケイアはフラフラになりながら、ヴィリーと歩きながら部屋に戻った。夕方部屋へと戻ると、中でホテプが外を眺めていた。そしてケイアが挨拶しようとした時、ホテプはケイアに抱き着いてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケイア「ただい…………どうしたの、ホテプ?」

 

ホテプ『……何でもない。ただ、寂しくなっただけ……』

 

 

 

 

 ホテプは時々暗い表情を浮かべ、ケイアに抱き着く事が多い。どうしたか尋ねても、何でもないの一点張り。何とかしてあげたいケイアにとって、辛い心境だった。そして廊下から、足音が近づきドアが開かれた。同室であるミラが戻ってきた事により、抱き合ってる二人を目撃してしまう。

 

 

 

 

ミラ「アンタ達……何してんの?」

 

ケイア「い、いや、これは……」

 

ホテプ『寂しかったから』

 

 

 

 

 素直な言葉が出たホテプにミラは、体を震わせ顔がドンドン赤くなり……。

 

 

 

 

ミラ「出てけえぇ!!」

 

 

 

 

 部屋から追い出された二人は、呆然とするしかなかった。それでもまだ、ホテプはケイアにしがみ付き放そうとしなかった。表情はずっと悲しいままで、ケイアはどうしていいか分からず一日を終えた。

 

 

 

 

 

 

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