タイトル通り遂に東方の主人公のあの人が登場します。
「着いたぜ! 博麗神社ー!」
あれから少しして、伊村を乗せて爆走していた魔理沙は緩やかに箒を停止し、地面へ降り立つ。
魔理沙が降り立ったその場所は、大きな赤色の鳥居とその先に神社らしき建物が建てられている。
恐らく彼女と慧音が言っていた博麗神社とはここの事なのだろう。
また、境内へ着く道中で百段以上はあろうかという階段があったが、何食わぬ顔で彼女はそれを無視して飛行して行った。
「もう降りて良いぞ綾太! ………あれ?」
魔理沙が伊村に呼びかけるが、彼の様子がおかしい。
「うっぷ……お、おお……、わかりました……うぐっ! ゔぉえっ!」
伊村は猛スピードで飛行する箒に乗っていた(というか乗せられた)せいなのか、顔を青くして気持ち悪そうにしていた。
魔理沙に見られたくない一心で我慢しようとするも、これまでよりも強烈な吐き気に襲われる。
慌てて口を押さえるがもう遅い。
伊村は魔理沙から背を向け、地面へ嘔吐物を撒き散らした。
「お、おい、大丈夫か綾太!? もしかして酔ったのかぁ!?」
そんな伊村を見た魔理沙が彼へ近付いて、心配と同時に驚きながらも声をかける。
「ご……ご心配なさらずっ、おれはこの通り、問題な……う、おゔぅぇ!!」
「いや全然大丈夫じゃねぇだろ!?」
自分は元気だとアピールする伊村だが、その言葉を言い終わるより早くまた嘔吐した。
全くもって無事じゃない伊村に魔理沙はツッコミを入れる。
「………、はぁ。人の神社で一体何を騒いでるのかしら?」
すると、神社の方から少女の声が聞こえてきた。
魔理沙がそちらへ顔を向けたので、伊村も身体を小刻みに震わせつつその方へ目を向ける。
「……おお!
そこには両脇と膝下部分が露出している随分と大胆な紅白の巫女服を着た魔理沙と同じ年頃の少女がおり、肩までの黒い髪を靡かせながら二人へ近寄っていく。
そして、魔理沙はその少女に気付くや否や、その名前を呼ぶと、嬉しそうな顔で彼女へそう言った。
「何が元気そうよ……。こちとら今日も参拝者0でいい加減嫌になってきたところなのに」
霊夢と呼ばれた少女は不満げな様子を見せ二人へ文句を口にする。
どうやら彼女は博麗神社の関係者のようで、あまり良いとはいえない神社の近況を伊村らに吐露してきた。
(……、これまた変わった女の子が来たな……。何だあの服装……? 変な大人が見たら如何わしい目で見られるぞ………)
少女の言葉を聞くさ中、伊村は彼女のその露出度の高い格好を見て眉を顰め視線を少し横に逸らす。
別に伊村には女性の脇や足を見て興奮するようなその手の変態の持つ性癖がある訳ではないのだが、魔理沙と話をしている少女の整った顔立ちと、綺麗な黒い髪の美麗さに、彼は少しばかり心を奪われそうになっているだけである。
「…………うっ!?」
(やば……は、吐き気が、また………)
だが、そんな事を考えている最中、再び伊村を吐き気が襲う。
「お、ぐっ………!」
先程と同様に口を右手で押さえ、吐くのを必死に堪える。
「!? り、綾太お前、また気持ち悪くなってきたのか!?」
伊村が吐き気を我慢しているのを見た魔理沙が慌てて彼から距離を取りつつ、じっとその容態を見守る。
「あら、誰こいつ? ……あぁなるほど、外来人のようね」
すると、伊村の存在に気付いた霊夢という少女が彼へ顔を向け、魔理沙へ彼は一体誰なのかを問う。
だがそれから間もなく、伊村の容姿へ少し視線をやっただけで直ぐに彼がこの近辺の住人ではない事を理解した。
「い、伊村綾太、です………。おれの事は気にしないで………うっ! それより、あなたの名前は……?」
少女の察しの良さに内心驚きながらも、吐き気を全力で押さえ伊村は自己紹介をした。
その後に少女の名前についても聞いておきたいと思い、今度は伊村が名を尋ねた。
「綾太、ね。わかったわ、私は"博麗霊夢"。見ての通りこの博麗神社の巫女をやってるの」
伊村から問われた少女が名を名乗る。
名前は"博麗霊夢"と言い、伊村の名前を復唱し覚えると自分こそが博麗神社を管轄する巫女であるという事を告げた。
「って、大丈夫? さっきからなんか具合悪くない?」
だが、霊夢の話を聞いていた伊村が口を押さえ汗を流しているのを見て、不安げに彼へ問いかけた。
「あ、あぁ、それはな霊夢………」
そんな霊夢と伊村の会話を横から聞いていた魔理沙が彼らの間に介入すると、博麗神社へ着くまでのこれまでの経緯を霊夢に説明し始めた。
「はぁ……。魔理沙、あんたのスピードで人を乗せてここまで飛んでくるなんて、無茶にも程があるわよ」
魔理沙から事のあらましを聞いた霊夢は大きなため息をついた。
そして、魔理沙へ伊村を箒に乗せて高速で走行するという移動の仕方に苦言を呈した。
「ははは……。一応速度は抑えてたつもりだったんだぜ………」
半分反省しているような態度で魔理沙が苦笑し、言い訳がましい言葉を口にする。
「お、抑えたのに、あんなスピードで………おうぇっ!!」
彼女の発言に納得のいかない伊村だったが、まだ吐き気が収まらないようで、嘔吐する寸前のところでどうにか踏ん張っている。
「………はぁ。とりあえず綾太。あんたはあっちで吐いてきなさい。ここは境内だし、今吐かれたら後で掃除するのが大変になるわ」
そう言って霊夢が指差したのは、博麗神社の周りを囲むように生い茂る森。
彼女は伊村にそこで吐くよう指示をした。
「わ、わかりました…………」
人の神社でこれ以上嘔吐するのも申し訳ないと思っていた伊村は無論逆らうにはいかず、霊夢のその言葉に従い神社近くの森に入りそこで嘔吐してくる事にした。
ストックがなくなったのでしばらく休みます。
ある程度余裕ができ次第投稿するのでよろしくお願いします。