東方貧弱男   作:K.R.

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お待たせいたしました。
今回は三回投稿しますのでよろしくお願いします。


11.「再会とお礼」

 

「……はぁ、治まった…………」

 

博麗神社を取り囲む森の中で伊村が一人呟く。

彼のその顔は、少し前の嘔吐寸前で如何にも気分が悪そうな表情とは異なり、憑き物が落ちたようなすっきりとした顔色になっている。

そう、伊村はつい先程、地面に向けて胃の中のものをぶち撒けたのである。

 

(危うく人前で吐くところだったな………)

 

どうやら伊村は、霊夢に神社付近の森で嘔吐するよう勧められるまでずっと吐き気を堪えていた為か、森へ入るとわずか10秒もたたずして腹の中のものを吐いたようだ。

それ故に、伊村はこのように安堵し、自身の嘔吐シーンを間近で見られずに済んだ事にホッと胸を撫で下ろしている。

 

(……さてと、そろそろ戻るか…………)

 

誰も居ない場所で吐くという目的を達した伊村は足早に、博麗神社の正面入口へ向かって行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(森を出た。よし、早くあの二人のもとに戻らなきゃ………)

 

博麗神社の境内に来た伊村は鳥居と階段のある正面入口へ向かい、霊夢と魔理沙の待つ場所へ駆けていく。

 

(…………! あれ、霊夢さんと魔理沙さんが誰かと話してる……?)

 

伊村が霊夢らのもとへ近付くと、二人が自分以外の何者かと会話しているのが見られた。

 

 

(………! あの二人は……"慧音"さんと、!? も、"妹紅"さんっ!?)

 

 

さらに接近してよく見てみるとそこには、伊村が今日出会って世話になった慧音と、竹林から人里までの案内をして別れたはずの妹紅の二人の姿があった。

 

 

「あ! おーーーいっ!! 綾太ーーーっ!!」

 

 

伊村が戻ってきた事に気付いた魔理沙が彼へ手を振って名前を呼ぶ。

 

「!! ど、どうも………戻りました」

 

魔理沙に急に名前を呼ばれビクッとしつつも、伊村は霊夢たちに帰ってきた事を告げる。

 

「そんなに時間はかからなかったみたいね。気分はどう?」

 

「ええ。スッキリしましたよ。気持ち悪さもなくなりました。………あの、待たせてしまい、すみません」

 

霊夢の問いに答え、一気に嘔吐した事によって吐き気が治まったと快調をアピールした。

そして、若干目を細め眉を顰めると、彼女らを待たせてしまった事について詫びた。

 

「何言ってんのよ。全然待ってないわよ」

 

「おう、そうだぜ! 気にすんなよそんな事!」

 

「……そ、そうですか。ありがとうございます」

 

しかし霊夢と魔理沙は特に気にしてない様子で返答した為、伊村は思わず安堵の表情を見せる。

 

「綾太。遅くなってすまないな。事の経緯は魔理沙から聞いた、だが……その様子なら何も心配はいらないようだな?」

 

魔理沙の隣に居た慧音が伊村へ話しかける。

どうやら伊村が嘔吐しに森へ向かったすぐ後に博麗神社へ着いたようで、伊村が嘔吐しに行った事情については既に魔理沙らから聞いていたようだ。

 

「あぁ慧音さん……、あなたの言う通り問題はありませんよ」

 

「………あの、妹紅さん、少しいいですか?」

 

伊村は慧音に特に吐き気等の不調はないと話すと、霊夢の近くでポケットに手を突っ込みながら話を聞いている妹紅へ声をかけた。

 

「ん? 何だ?」

 

「妹紅さん、何故あなたがここに居るのか……ちょっと気になりますけど、まずは言わせてください」

 

ここまで言うと、伊村は少し間を置く。

 

 

「妹紅さん……怪我を負っていたこのおれを永遠亭まで運んでくれて、ありがとうございましたぁ!!」

 

 

そして、妹紅へ一歩歩み寄ると、彼女へ頭を下げて自身を永遠亭へ搬送したそのお礼の言葉を口にした。

 

「お、お前………なに頭下げてるんだよ……。大袈裟な奴だな……」

 

戻ってくるなり自分に対して礼をしてきた伊村に、妹紅は明らかに困惑している。

 

「偶然慧音を見かけたから一緒に来てみりゃ……、まさか今日初めて話した外来人に二度も礼を言われるなんて」

 

慧音と共に神社へ来た理由を口にしながら、伊村へ珍しいものを見たかのような目を向けつつ妹紅がそう言った。

 

「いえ、ですが助けてもらったことには変わりないので、せめて言っておきたくてですね………」

 

伊村は律儀に妹紅へ礼を言った理由として真剣な面持ちでこう述べる。

 

「私にとっては当然の事をしたまでだけど……、まあその気持ち、受け取っておくよ」

 

その言葉に妹紅は当たり前の行動を取っただけと話すと、彼への感謝の意を拒否せず受け取ることにした。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

妹紅からの返答を聞くが否や、嬉しそうに伊村は再び礼を言った。

 

 

「ふふっ、さて伊村。聞くが霊夢からはもう"説明"は受けたか?」

 

 

そんな二人の様子を微笑しながら静観していた慧音が、妹紅へ頭を下げている伊村に再度声をかけて確認を取る。

その確認とは、霊夢から何らかの説明を聞いたかどうかというものだ。

 

「………へ? 説明? 何のですか?」

 

が、しかし慧音の問いに伊村はキョトンとした顔で疑問の言葉を口にする。

 

 

「……………。慧音。伊村にはまだ話してないわよ」

 

 

一瞬沈黙した後、二人の会話を聞いていた霊夢が話に介入し、何かを察したような表情をして慧音に告げた。

 

「なんと、そうだったのか!」

 

霊夢のその言葉を耳にした慧音は目を丸くして驚く。

 

「? あの……"説明"って、何なんですか……?」

 

二人の話を傍聴していた伊村は、霊夢からの説明とは一体何なのかが気になったのもあってか、その本人である霊夢へ直接その疑問をぶつける。

 

「………、そうね。じゃあ今から説明してあげるわ」

 

少し間を置いてから、霊夢は先程から言及されていた説明を始める。

 

「……ただ、これだけは言っておくわよ」

 

「今から話すことは全て本当の事。俄には信じ難いと思っても決して"嘘"とかじゃないから。………わかった?」

 

しかしその前にこれから話す内容が嘘ではなく本当の事だと伊村へ念押しするようにそう話した。

 

「うあっ………わ、わかりました……」

 

霊夢のその言葉に若干気圧されつつも伊村は返事をした。

 

「そう、じゃ話すわね」

 

「…………。まず、ここはどこなのか、その説明をさせてもらうけど」

 

早速霊夢は自分らの今居る場所がどのようなところなのかの説明を始める。

 

 

「………この世界の名は、"幻想郷"…………。まあ簡単に言えば"外の世界"から隔絶された"秘境"ね」

 

 

"幻想郷"。今までよりも真剣な眼差しを向けつつ霊夢が世界の名をそう教えた。

そして、その"幻想郷"が外界から"隔離"された環境であると明言した。

 




は、話が……話が全然進まない……!
けど今回の更新で一区切りつけるつもりだから……!
地の文難しいけど頑張らなきゃ……!(使命感)
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