東方貧弱男   作:K.R.

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お待たせです!
ようやく新キャラが登場します!


16.「散策」

 

人間の里、朝ーー。

 

「……ん、んあぁ……もう朝、か………」

 

前の住人が使っていたのか、所々にほつれのある布団に包まりながら伊村が目を覚ました。

 

窓から差し込む日の光に眩しそうに目を細めつつ、むくりと起き上がり軽く背伸びをして水洗い場へ向かう。

 

「………ふー。眠い………」

 

起きたばかりで眠そうな様子を見せる。

目を擦りながら洗い場にて顔を洗い完全に意識を覚醒させる。

 

(今日から本格的に幻想郷(ここ)で暮らすことになるんだなぁ………)

 

幻想郷という全く知らない世界……。

その住人として生きていく事に伊村は未だ現実味が湧かないようだ。

 

(この人里の人々の生活様式……それに、この世界の文明レベルは少なくとも現代基準より下か………)

 

(………買い物、洗濯、掃除、排泄、料理の仕方とかも現代とは結構変わってくるだろうし………)

 

(……………………)

 

幻想郷での食事やトイレ事情等を現代と比較して考え、深く悩み込む。

良い思い出が殆ど無いとはいえ、現代社会で生まれて十数年もの間暮らしてきたので、その生活様式しか体験した事がない伊村にとっては実に憂慮すべき事柄だ。

 

「慣れだ。………うん、慣れよう。きっとどうにかなる」

 

しばらく無言で考えた結果、伊村はそう結論を出した。

もうここまできたら悩みすぎても仕方ないと思ったのだろう。

 

「あー髪がボサボサじゃん。面倒くさいなぁ……」

 

と、一区切りついたところで伊村は自分の髪が乱れている事に気付く。

寝起きなのでそうなるのは当然なのだが、性格上面倒くさがり屋な一面を持つ伊村は何とも煩わしそうに思いながら髪を整えに行った。

 

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「んー、今日は何しようかな……」

 

寝癖を整え、顔も洗い終えた伊村は家の玄関近くまで歩いたところで悩んだ。

昨日慧音と妹紅の二人と話した事を振り返りながら再び考え始める。

 

(そういえば慧音さんが明日また会おうって言ってたな……。けどあの人は一体里のどこに居るんだろう……?)

 

思案する中で伊村は慧音が話していた言葉を思い出し、彼女が人里の何処に住んでいるかを推測する。

 

(うーん………、取り敢えず人里を散策してみるか………。今は特にやる事なんてないし………)

 

 

慧音の居場所がわからない伊村は一先ず人里内を歩いて回る事にした。

目的もない上誰かに会いに行くわけでもないが、人里を散策すれば何かが起こるかもしれないという思考のもと彼は早速住居を出て行動を開始した。

 

また、慧音の住所などはそのうち分かるだろうと伊村はそう考える事にした。

少し楽観的だが彼女は自分に親切にしてくれた恩人の一人、もしかしたら本人の口から教えてもらえるかもしれないという可能性があったからだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「いやぁ……いつ来てもまるでタイムスリップしたような感覚になるな………」

 

 

家屋から出て人里を歩く伊村。

和服を着た人々が行き交い一昔前の木造建築が建ち並ぶ里の景色に感慨深そうに呟いた。

 

(………、"あの人"も……あれくらいの時代から生きてきたのかな………)

 

そして同時に、彼自身に刻まれたある記憶を思い返す。

その記憶は幻想郷に来る以前(・・)の記憶………、彼にとっては忘れもしない大切な出来事………。

だが、その途中で伊村はふとある事に気付く。

 

 

(………、ん? 誰だあれ?)

 

 

前方に伊村の方へ視線を送る少女が居たのだ。

その少女は魔理沙やルーミアらと同じ金色の髪に青色のワンピースを着ていて、さらに少女の右隣には長い金髪をした小人のような謎の生物がふわふわと浮いている。

 

(何かおれの方をじっと見てる………? って、こっちに来た!?)

 

伊村はその少女を怪訝に思いながらも歩みを進めるが、その時その少女がこちらへ近付いてきたのを目にした。

 

伊村は驚愕し、心臓の音が跳ね上がるのが彼自身容易にわかった。

だがどうにか平静を装い何事もなかったように少女の左隣をすれ違うように歩いていく。

 

「……無視する気かしら」

 

「!?」

 

ビクッと肩を揺らす伊村。

すれ違った少女が立ち止まり、伊村へ声をかけてきた。

どうやら少女は伊村がスルーして行こうとした事を少し不満に感じたようで、その声は若干低くなっている。

 

「え、あ、あぅ……あの………な、何か、おれに、よ、用でも?」

 

明らかに落ち着きのないトーンで伊村は少女へ聞き返した。

 

「………。ええ。あなたが"噂"の外来人よね?」

 

「………え? そ、そうですけど?」

 

(この人、一体何でそれを知ってる?)

 

少女が伊村を一発で幻想郷外の世界から来た人間だと言い当てた。

伊村はその通りと肯定するが、どうして少女がその情報を知っているのか疑問に思った。

 

(それに噂って………もしかして紫さん辺りが誰かに言いふらしたとか……? いやいやそんな事……!!)

 

そして、少女の口から出た噂という言葉も引っかかった伊村は益々少女が自身について知っていたことについて謎に感じた。

 

「やっぱりね。……ああ、まだ名乗ってなかったわね」

 

 

「私はアリス。"アリス・マーガトロイド"。アリスって呼んでね」

 

 

考え込んでいる伊村に少しだけ笑みを浮かべつつ、少女は自分の名前を彼へ教えた。

 




アリスはたまに人里に来ている設定があるのでここで出さなきゃ勿体ないと思い、登場させました。
あ、因みにこの時魔理沙は紅魔館辺りに行ってると思います。理由はお察し
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