このあたりは正直書くのが楽しみだったので結構長くなる予定です
「赤、赤、赤……めちゃくちゃ赤い! 何この洋館!?」
(こ、ここに……あの"吸血鬼"が住んでいるっていうのか……!?)
ほぼ全てが紅色で統一された建物、何とも目に悪そうな紅魔館のその見た目に伊村が驚愕する。
また、館の門の側には赤髪の女性がおり、緑色の中華ドレスに中華帽を着用した容姿ではあるがしきりに周囲へ目を向ける様子から彼女が館の門番だと分かる。
「んー……ふわぁ〜………、あ!? な、何奴! この館に何の用だ!?」
眼前の館の中に、危険な吸血鬼が住んでいるという事に悪寒を走らせている伊村。
すると、門の前で見張りをしていた赤い髪の女性が彼の存在に気付いた途端警戒心を剥き出しにし、片足を上げ中国拳法の構えを取る。
瞼を擦りつつ何とも眠そうな顔で。
「え!? いや、お、おれはただ連れてこられただけで!」
門番の女性に疑われたことに慌てながら伊村が紅魔館へ来た理由を述べる。
「"美鈴"、客人よ。敵ではないわ」
と、そこへいつの間に居たのか、咲夜が横から門番の彼女をそう諭す。
「は!? 咲夜さん! ……なるほど、それは失礼致しました!」
「さあどうぞ、お通り下さい!」
咲夜から伊村が敵ではないことを教えられた、"美鈴"と呼ばれた女性は先程までの態度を改めると伊村に門の通行を許可。
敵意の表情から一転、和やかな笑顔を向けて彼らを歓迎した。
「………。あなた、とても眠たそうだけど、仕事はちゃんとやっていたんでしょうね?」
そんな美鈴の様子に、咲夜は不可解と思ったようでジッと鋭い目線を突き刺して彼女に問答する。
「は、はいぃぃ!! 寝てません、誓って私は寝ていません!」
「この"紅美鈴"……誰も来ないからって中庭の木陰で昼寝するなどといった愚行はしておりませんから!」
「ってあぁ! 口が滑っちゃった! そ、そうではなくてですね」
咲夜に問い詰められた美鈴は必死に舌を回して自らの仕事について弁解する。
自分は真面目に門番の任を務めていたと、しかしその途中で不要な一言が漏れ出てしまっていた。
側から聞けば不真面目と捉えられても当然の言葉が。
これに少し遅れて気付いた本人が急いで別の言葉を口にしようとするも
「美鈴……後でお仕置きが必要ね、覚悟しておきなさい」
既に手遅れ、何処からか出した数本のナイフを片手に、咲夜が憤怒の顔で美鈴にそう告げた。
「ひぇーーーご、ごめんなさーーーーいぃ!!」
頭を抱え美鈴が咲夜に向けて謝罪の言葉を叫ぶ。
「な、何なんですか……この方がも、門番?」
「……お待たせしました。ではそろそろ館へご案内します」
だが咲夜は見事にそれをスルー。
門番とは思えない美鈴の体たらくに引いている伊村に軽くお辞儀をすると、紅魔館の入り口へ彼を案内していく。
「う、うぅ……はい」
(やっぱりついていくしかなさそうだな………けど、どこかで必ず逃げられる隙はあるはず……!)
美鈴の時とは打って変わって律儀に案内をする咲夜に伊村は素直に従う。
彼女にもし逆らいその場から逃走しようとしても、結局は門番の美鈴に捕まるか、そもそも何かしらの能力を使われて全てが水の泡になってしまうと考えたからだ。
(今は我慢だ、おれ……!)
咲夜の後ろを追従し、伊村はいよいよ紅魔館の中へと入る。
彼は複数の自身にとって不利な可能性を考慮した末に彼女から離反するのを断念、何れ来るであろう絶好の機会を只管待ち続けるという作戦に出る事にしたのであった。