東方貧弱男   作:K.R.

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何気にスペカが初登場します。
スピード重視につきキャラ崩壊があちこちにあると思いますが、どうか読んでくだせい。



35.「咲夜vs魔理沙」

 

 

「はっ!!」

 

 

突風のような速さで投擲されたナイフ。それは真っ直ぐ狙いを定め一斉に襲いかかる。

だが魔理沙は強く地面を蹴りつけ横方向に飛び、咲夜の攻撃を難なく回避した。

 

「次は……どうかしら!」

 

自分の攻撃を躱された事に渋面を浮かべる咲夜、またもや懐からナイフを取り出し続けざまに四本投擲。

能力によるものか投擲した直後、空間を切り取ったように魔理沙の眼前へ移動し飛んで来る。

これらは前とは異なり二本は上半身、もう二つは下半身を狙ったものだった。

 

「また正面か……咲夜! 私をみくびりすぎだぜっ!」

 

「!!!」

 

 

「これくらいなら余裕で躱せる!」

 

 

しかしこの一手も魔理沙は身体を捻り、完全に躱しきる。

二度も回避された咲夜はこれまた意外そうな顔だ。

 

「流石の反射神経……しかし想定内よ。なら今度はさらに本数を増やしてあげる」

 

すると咲夜は三度目の攻撃としてまたもやナイフを手に取り投げた。

両手に計8本と、ただ数を増やしただけで単純そうに見えるものの、軌道の正確性はさらに上がっている。

 

「ホント、私も舐められたもんだな! こんなチンケな攻撃、どうとでもなるんだよ!」

 

当然魔理沙も、その場から退避し攻撃から逃れる。

これで何度目か、馬鹿の一つ覚えのように同様の攻撃を繰り返す咲夜に彼女は苛立ちを隠しきれない。

指差して咲夜へ宣言し、こちらも反撃に打って出ようとした。

 

 

「幻符「殺人ドール」!」

 

「………ッ!?」

 

 

ーーその時だった。

いきなり咲夜の周囲に無数のナイフが出現する。

それらは彼女を囲み円環状に展開され、突然の事に虚をつかれた魔理沙に向かって勢いよく射出。

しかもダメ押しとばかりに能力を使ったようで、ナイフ全てが一定の距離で瞬間移動し魔理沙の近くへ転移。

一斉に打ち出されたのだ。

 

さらに、このナイフ群は其々これまでのものと比べ明らかにサイズが大きい。

なんとも回避し辛い構造をしている。

 

「………さて、コレはどうかしら?」

 

薄らと自信を覗かせる表情を浮かべながら、咲夜は自身の放った攻撃に皆目する魔理沙へ口にした。

 

 

「魔符「スターダストレヴァリエ」!!」

 

 

と、魔理沙もこれに対抗するかのように声を張り上げて叫ぶ。

直後彼女の周りに星形の光体が幾つも出現し、自分目掛け飛んできた大量のナイフと衝突。

結果としてお互いの攻撃は相殺され、咲夜のナイフから身を守ることに成功した。

 

「アレは……!?」

 

(以前霊夢さんが言っていた、"スペルカード"ってやつか……!)

 

これらの応酬を目にした伊村が驚愕。

と同時に彼女達の展開した大規模な弾幕の打ち合い、これが数日前に霊夢が説明をしてくれた"スペルカード"だと理解した彼は、正に今行われている激戦に身震いする。

 

「能力使いやがったな咲夜! 痛いなコラァー!!」

 

弾幕に対し弾幕を用いてのガード。

それが功を奏し危機を脱した魔理沙だが、所々怪我を負い流石に無傷では済んでいない様子。

軽微ながらもダメージを受けた魔理沙が不満を爆発し、咲夜へ抗議の声をぶつける。

 

「ふふふふ! 避けきれていないようね! 360°全てが私の射程範囲、あなた如きに勝ち目などあるはずがない!」

 

これにご満悦の咲夜。

ほくそ笑んで、この事について煽る。

そして再びナイフを両の手に持ち、怒る魔理沙に問答無用で弾幕の攻防戦を再開した。

 

「くっ! ま、魔理沙さん! くそ……! おれなんかの為に……っ!」

 

(ここまで来たらもう、やるしかない……。一か八か………)

 

ナイフ、星型の光体、咲夜と魔理沙の両者に絶え間なく飛び交う弾幕合戦………。

自分を助ける為危険を顧みず戦う魔理沙を前に、伊村はある事を決意する。それは………

 

「あら、他人の心配をしてる場合? ここから逃げるのではなくて?」

 

「なっ!?」

 

(しまった! 先読みされた!)

 

それはこの場から逃亡する事だった。

だが、実際に考えるよりも早く、その作戦はレミリアに言い当てられてしまう。

心の内を見透かされ彼は酷く動揺する。

 

「………。そ、そうです。当たり前でしょう……! こんな吸血鬼の居る館なんて、ああっ! 恐ろしくて敵いません!」

 

「丁度おれ目当てで来た魔理沙さんが入口の方にいるんだから、ここを出るのが最善の策でしょ!」

 

暫しの沈黙の後、伊村が口を開く。

内容は逃走をしようとした理由、無理矢理平静を取り戻しこの館から出る意思を表明した。

 

「うふふふ……、そうね。貴方の言う事は理解できる。確かに吸血鬼は強く、人間に恐れられている………」

 

彼の言葉を受け何故か笑うレミリア。

そして、自分へ明かした"理由"に頷き理解を示した。

 

「え、えぇぇ………」

 

(ウソでしょ……理解したって、"ソコ"……?)

 

だが、その箇所は可笑しい。

彼女は吸血鬼の自身が強力で畏怖の対象とされてきた点に納得した、だけだった。

これには伊村もあり得ないだろ、と引いてしまう。

 

「……さっきも言ったけど、私は貴方の力を確かめる最適な方法を考えたの」

 

「………?」

 

前に一度述べた伊村にまつわる謎、それを解明する一番の方法を思いついたと語るレミリア。

その顔には笑みが浮かぶ。

 

「それは簡単な事よ」

 

次に彼女が口にした、その時ーー

 

 

「ぐがあぁッ!?」

 

 

伊村の左頬を何かが通り抜ける。

彼の後ろにあった……いや、刺さっていたのは紅く光る刃状に尖った弾幕。

この弾幕は、レミリアが撃ったものだった。

途端に流血する頬を押さえ、走る灼熱の痛みに伊村が悶える。

 

「吸血鬼たる私がこの力を用いて貴方と"戦う"」

 

そんな伊村の悶絶を気にも留めないまま、彼へ戦いを仕掛けると話し腰掛けていた椅子から立ち上がる。

 

「出し惜しみはしない。最初から全力、殺すつもりで勝負を挑ませてもらうわ!!」

 

一瞬で左右に複数、紅の弾幕を出しレミリアはこう言うと伊村へ近付いて行く。

 

 

「そ、そんな無茶苦茶なあぁぁぁっ!!?」

 

 

あまりにぶっ飛んだレミリアの物言いに彼は困惑。

結局自分も危険な戦いに身を投じざるを得なくなった状況を嘆く暇なく、館から逃走するハメになったのだった。

 

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