主人公に代わり魔理沙が脱出目指して動き出します。
「おーおーこわいこわい。彼の仇討ちがしたいの? 良いわよ。でも」
「私を含めて3対1……どう考えても貴方に勝ち目なんてある訳ないでしょ?」
自分らに対し浴びせられた言葉には意に介さぬまま、魔理沙を挑発するレミリア。
それを皮切りにじりじりと彼女らは伊村を抱える魔理沙へ詰め寄って行く。
「ぐ、うらあァー!!」
一気に彼女ら三人を相手取るのは無謀、だがそれでもこのまま黙って負ける気はない。
決意を固めた魔理沙は右手から数発、弾幕を放つ。
黄色のソレは迷いなくレミリアやフラン達へと飛ぶ。
「やめておきなさい、無駄な足掻きよ」
しかし……これらは全て咲夜の手により阻まれる。
一瞬のうちに投擲された複数のナイフで正確に撃ち抜かれ、抵抗虚しく爆散する。
「…………、ダメか!!」
(悔しいが、コイツらの言う通り今のままじゃ勝機はねェ………)
自身の弾幕を無に帰され、声を漏らして悔しさを滲ませる。
例えどう頑張っても自分一人ではフランやレミリア、咲夜の三人には勝てないと魔理沙は自覚させられた。
(次の弾幕を出そうにも、さっきマスパ撃ったせいで魔力をかなり消費しちまってる……)
(威力が落ちて、最悪スキを突かれたら終わりだ……!)
(それに逃げようにもアイツらが邪魔で通れないし、背中を見せた途端集中狙いがオチ………)
(わ、私もこのままここで死ぬしかねぇのか? 畜生……!)
只管に思考を巡らせるも、有効な手立ては浮かばない。
何をしようとも次の瞬間にはレミリア達の攻撃を受けるのが関の山。
「……………………」
とうとう諦めたのか、魔理沙はがくりと両膝をついて天を仰ぐ。
放心状態のまま呆然とし箒を床に落とす。
途端に辺りに流れるのは静寂。レミリアやフラン達は彼女の様子に少し驚きつつ試しに弾幕を一発撃った。
「…………? え?」
迫る敵の凶弾。対して反応が遅れる魔理沙。
相変わらず上を向いたままだった、が……
(な、何だ……? 今、一瞬だけ綾太の身体がぼんやりと煌めいたような………?)
そんなさ中、伊村の身体がほんの僅かに光った。
魔理沙の足元で倒れる彼の身体に奇妙な現象が起きたのだ。
「いや、あり得ない……でもさっきのは……っ!!」
「ぐぅっ!」
気のせいか否か……だが伊村はもう気を失っている。
何らかのアクションは起こせないはずだ。
魔理沙は動揺をしながら確かめる為に顔を向けるも、放たれた敵の攻撃に被弾してしまう。
「………。ねえお姉様、アイツ急にブツブツ独り言言い始めたよ」
「そうね。とうとうイカれたか、それとも幻覚でも見え始めたのかしら」
先程から続くその様子に、レミリア達は可笑しいものを見たと蔑みを含んだ声で一言。
弾幕が直撃した当の本人はと言うと、まだ動けるものの相当ダメージを受けていて出血量も多い。
次の一撃で間違いなく命を落とす事は誰もが予想できた。
(さっきのは………っ! だ、弾幕を形成する"エネルギー"………それに面白いくらい似ている……!)
だが尚も魔理沙の気力を支えるのは何か……。
その正体は伊村が生きているかもしれないという可能性。
(色は今まで見たこともないが、アレは正真正銘……"気"のエネルギー!!)
彼の身体に発せられた淡い光を弾幕と同質のものと断定すると、益々彼女の顔には元々の陽気さが戻ってくる。
(そういやあ言ってたな……前に紫が話してた綾太の内に眠る力、多分コレがそうなんだ!!)
(諦めるのはまだ………速えぇな!!)
完全に戦意と希望を取り戻した魔理沙は立ち上がり、箒を再度手に持つ。
「お、おおおぉぉっ!!!」
伊村の秘められた力を垣間見た彼女がその場で声を張り上げて叫ぶ。
次の瞬間、箒に跨ると伊村を担いで逃走を図る。
「!! 逃がさないわよ!」
無論それを見ていた咲夜は妨害の為の弾幕を放つ。
何十本ものナイフが真っ直ぐ二人に襲いかかる。
「全、速力ゥーーーっ!!」
魔理沙はなんと、上に急上昇して避けると高度を変えずに退散して行く。
(綾太は今、生きようと頑張っているんだ! 死なせてたまるかよ!!)
時速150キロは軽く超える程の速度を出し逃げる魔理沙達。
彼女が諦めず足掻くのは、何を隠そう伊村を生かし逃げ切る為。
館からの脱出を目指し二人は全力疾走して行った。