満足のいく仕上がりになったので上げます。
紅魔館編、いよいよ佳境です。
「おおおおーーー!」
伊村を担いだ魔理沙が音を置き去りにする程の速度で爆走する。
レミリア達から逃げ出し館の廊下を進む彼女は、曲がり角の多い入り組んだ道程を迷いなく飛行していく。
(次追いつかれでもしたら二人揃って確実に死ぬ……。咲夜たちを撒くまでは全速力で飛ばす!)
(急げ……! 綾太が死ぬ前に担ぎ込むんだ!)
("永遠亭"に!!)
もはや生きているかも分からない伊村を抱えながら決意する。
疾走する彼女の目指す先はただ一つ。
迷いの竹林にある"永遠亭"だ。
(たとえ何が何でも、私は生き残ってやるぜ!)
「!!」
生存への道の模索、魔理沙が意気込む。
すると、程なくして大きな両開きの扉が彼女の視界に入る。
「あのドアは……図書館の入り口か!」
ガチャ!
「ん!? こりゃヤベェ!」
その扉は紅魔館内に存在する図書館への入り口だった。
しかし特にこれといって用はない。今の切羽詰まっている状況なら尚更だ。
魔理沙はそのまま突っ切ろうとしたのだが……ここで予期せぬ事態が発生する。
なんと、自身の真下から青白い弾幕が大量に押し寄せていたのだ。
「コレを躱すとは相変わらずの身のこなしだわ」
「あー、やっぱりな……。流石に素通りはさせてくれねぇって訳か!」
緊急停止する魔理沙の下で図書館の扉が開く。
中から現れたのは紫髪ロングの少女。ナイトキャップを被り、魔理沙と年月の変わらない見た目に右手には分厚めの本を持っている。
周囲に展開された色とりどりの水晶と、彼女の反対側の手に出現した魔法陣からは弾幕が際限なく射出されて行く。
規則性はなくバラバラ、直撃を免れた彼女に追撃とばかりに仕向ける。
「そうよ。咲夜やレミリアはまだみたいね。なら私が相手するしかないじゃない」
「はぁ、また性懲りもなく侵入して来るなんて。実に面倒くさいわね……」
「はっ! それはこっちの"台詞"だっつーの!!」
面倒くさいとでも言わんばかりに眉を顰めると、彼女もまた宙に浮き魔理沙と向き合う。
対する魔理沙は勝負に付き合っている場合ではないと一蹴する。自分もそうだが何より伊村の命が風前の灯だからだ。
パチュリーの出した弾幕を横に躱し反撃の二発を射出する。
(こいつはあの図書館に居着いてる"パチュリー"、私と同じ魔法使いだ。今ここで戦っても簡単には決着が付かねぇ……)
(長引かせるくらいなら………)
「この程度では当たらないわ!」
が、相手も強い。魔理沙の弾幕を回避しつつ魔法陣より追加の弾を放つ。
そう、パチュリーもまた魔法使いである。
戦闘には慣れており、躱すに留まらず更なる連撃を加える。
「チッ! 悪いがもう出し惜しみはしてらんねーぜ!」
「この後行かなきゃなんねえとこがあんだよ!!」
魔理沙は舌打ちしミニ八卦炉を取り出した。
そう、彼女が使おうとしている技は、
「食らえ………恋符・"マスタースパーク"!!」
「……………!!」
自他共に認める彼女の十八番、マスタースパークだ。
しかも出力は咲夜へ使用した際と比べ格段に上がっている。
先んじて迫る相手の弾幕を避けつつ極太のレーザービームを発射。
それはパチュリーを覆い尽くし廊下の端まで到達し、鈍い音を奏で道を阻む全てを破壊した。
「はあ……! はあ……!!」
(やっぱ1日に二回も使うとなるととんでもなく疲れるぜ……!)
だが、高威力広範囲のスペルカードを発動すれば相応に疲労も溜まる。
平常時の彼女ならば些細な問題なのだろうが、負傷した今、このデメリットは十分な隙を生む。
「……、これ以上の長居は無用だな。さっさと出よう!」
「このくらいで倒れてやるほど、私は甘くはないわよ」
マスタースパーク発動の影響で起きた箒の傾きを修正し、気を取り直して館の脱出を目指す魔理沙。
その時だった。聞き覚えのある声が下から伝わる。
「!!?」
「くッ!!」
直後、魔理沙の上半身に細長い光弾が突き刺さった。
いきなりの事に驚く暇もなく彼女は強引に引き抜くと、攻撃した張本人に視線を向けた。
「月符『サイレントセレナ』………丁度二人居るんだし、纏めて葬ってあげるわ」
「ガフッ!?」
そう、先程魔理沙の攻撃をモロに受けたはずのパチュリーだ。
どうやらギリギリで回避していたようで、衣服に少しダメージがあるものの、まだまだ彼女は万全であった。
今回も主人公一切しゃべりませんでした。
もしかしたらこのまま年明けするかもしれませんね。