東方貧弱男   作:K.R.

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2ヶ月ぶりですね。
相変わらず投稿が遅れてすみません。
今回はいよいよ妹紅の本格的な戦闘シーンがあります。
前回は月曜日、そして今回は火曜日……なんだか妹紅に似合うタイミングだと思うのは俺だけ……?


44.「ラストワード」

 

 

「そういえば、今夜は三日月……。確か意味は"始まり"や"再生"、だったか」

 

「まさに死ぬにはいい日だな……。来世に行くまでの手向けとして、遺言は書いておいたか?」

 

 

低く、重圧のかかった声で問いかける妹紅。

重体となった魔理沙と、意識を失った伊村を背に、尖った眼光を正面に向ける。

その視線の先にいる咲夜の表情が、瞬く間に緊張に染まる。

 

「ふん、そんなモノ必要ないわ……」

 

「なぜなら、私はこの戦いに勝利する……。たとえ、どんな輩が相手だろうとね!」

 

極限と言えるプレッシャーを受けた彼女だが、怯まず強気な言葉を投げ返す。

そして、一切の遠慮なくナイフを妹紅に投げつける。

 

「なんて数……! まだあんな力を……!」

 

投擲された数は、計20本。

なんと、それらはたったの1秒で用意、姿勢を変えて様々な角度から放った。

その手数と小器用さに、これまで長く戦ってきたアリスが戦慄を覚える。

 

「…………」

 

(見える。防御は必要ないな……)

 

(今投げられた分は視界全て、取りこぼしはゼロにする……!)

 

自身の眼前へ風を裂いて接近する白銀の殺意。

しかし、これを前に妹紅は冷静に思考を巡らす。

時間がゆっくりと流れるような刹那のタイミング、その合間に……

 

「はあっ!」

 

彼女は咲夜の放ったナイフ、それを上半身を逸らし回避した。

二本、三本と迫る刃を、擦り傷一つ負わずして、難なく全て避け切る。

 

「あ、あの数を無傷でやり過ごすなんて……」

 

恐ろしく卓越した身のこなしに、思わずアリスの喉が鳴る。

空中にいようとも一目でわかる。

彼女の強さは比類なき次元にある、と……。

 

「……そんだけか?」

 

攻撃を凌ぎ、さらに咲夜との距離を詰めていく妹紅。

短く告げたその言葉に、猛獣をも凍てつかせる威圧が込められていた。

 

「もちろん……ただ投げるだけでは終わらない!」

 

「アナタ相手に少しでも気を抜いたら、危ないだろうし……ここからは、全力でやらせていただくわ!」

 

しかし、当然というべきか、咲夜の攻勢はこれで終わりではなかった。

再び両の手にナイフを握り込み、刃先を煌々と光らせる。

 

「そうかい」

 

「でも、これで死んだらお笑いだな」

 

だが、そのナイフが放たれるより先に、妹紅は地を勢いよく蹴り付ける。

天高く飛び上がると、瞬きよりも早く真紅の弾幕を咲夜に向けて撃つ。

数にして四発、少数ながらそれらは迷う事なく対象目掛けて飛んでいく。

 

「……ちっ! 速い!」

 

「はああっ!!」

 

咲夜は直前でバックステップを取り、全弾回避に成功するも表情に余裕は消え失せている。

弾幕の天才的なコントロール力、加えて人智を超えた射出速度……。

目の前の脅威と呼ぶに相応しい技量を持つ彼女に、警戒度を最大限に引き上げる。

 

「本命は"こっち"だよ」

 

「スペルカード、滅罪『正直者の死』……!」

 

その時、いつの間にやら妹紅は一枚の紙切れを指に挟んでいた。

 

「っ!!」

 

何を隠そう、それはスペルカードだ。

宣言から間も無く、彼女は両手を突き出しそこから無数の弾幕を射出する。

咲夜が気付いた時には既に、攻撃は視界全体を埋め尽くしながら、眼前間近まで迫って来ていた。

 

「くっ!!」

 

真紅や蒼に彩られた光弾の数々……。

咲夜は直撃を避けるも三発、腕や足を掠めた。

しかし無傷とはいかずとも、なんとかそれらを掻い潜っていく。

 

「この程度では終わらないことぐらい、わかってるわ……!」

 

例えるなら"嵐"のような弾の雨を躱し続ける咲夜だったが、険しい表情は変わらない。

なんとそこから、より細かく両手で数えきれぬ規模まで弾が分裂。

空間の密度を潰して、一斉に咲夜に襲いかかる。

 

「………来る!」

 

さらに、それだけには留まらず、妹紅は両手を力強く正面に突き出す。

程なくして生成されたのは、青白く細い光線だ。

これを横方向に動かし、弾の回避に全精力を注ぐ咲夜の逃げ場を失わせる。

 

「時よ……止まりなさい!」

 

カッ!!

 

「……なんだ?」

 

光線に触れる寸前、この時を見計らったかのように咲夜が叫ぶ。

無数の弾幕により移動先を潰され、回避も難しくなった彼女が取った選択は……能力の使用だった。

 

「おいおいアンタ、瞬間移動でも使ったのか?」

 

(こいつ、いつの間にここまで……!)

 

止めたのはほんの数秒、だがこのレベルの戦闘においては、ほんの1秒もあれば十分、体勢を立て直せる。

事実、咲夜の位置は妹紅の真上にまで移動を切り取られていた。

 

「今度こそ避けようは無いわ!」

 

ラストワード(・・・・・・)! デフレーション・ワールド!!」

 

妹紅が驚く暇すら咲夜は与えない。

素早くスペルカードを発動、弾幕を展開し始める。

 

「!!」

 

「ラ……ラストワード!?」

 

否、それはスペルカードではなかった。

アリスと妹紅の顔色が一変する。

 

(通常のスペカよりも強力な奥の手じゃない……! 咲夜は本当に殺す気だわ……)

 

"ラストワード"、それはスペルカードをも上回る最終必殺技。

まさに、全力をかけて戦う際の最後にして最強の切り札だ。

 

「こりゃ避けられねぇな……」

 

(アリスや伊村たちまで巻き込んだら面倒だ。前に出るしかないか………)

 

咲夜とは距離が遠くない為に弾幕では対応しづらく、また避けようにも、ちょうど妹紅たち二人のいる位置は魔理沙や伊村にほど近い。

妹紅にとって、詰みに等しい状況だった。

 

「も、妹紅……!!」

 

アリスの叫びも空しく消え、咲夜の弾幕が一気に膨大な数に増幅。

無論、これも彼女の時止めによるものだと理解できる。

問題は、それを一回のみならず何回も発動していること。

この度重なる時間停止を利用し、弾幕として放った青と黄色のナイフを大量展開。

しかも、ただ多いだけじゃない。時間停止の直後、そこから白色のナイフを妹紅へ追尾するように配置。

動くたびに連動して再び追加のナイフが絶えず足され続ける。

終始、避ける隙間を失くすのを前提に置き、さらに威力も最大化した凶悪極まりない大技……。

 

「そらあぁぁぁっ!!」

 

回避は不可能、ならばと今度は防御用に弾幕を張り巡らせる。

守備に重点を置く事にシフトした妹紅は、迫る絶望的な弾幕群を相手に足掻くも……

 

「ぐっ……!」

 

多数のナイフを捌ききれず、遂に腹部をまともに負傷してしまう。

だが痛がる時間は残っていない。

雨のように降り注ぐ攻撃の乱打、頬、脛、脇腹、腕、胸、次々と身体のあちこちを斬り裂かれていく。

 

 

「さようなら……不死人!!」

 

ドオォォォォォォォォォォォォン!!

 

 

地面に血が濁流のように流れるのも一瞬だった。

咲夜の攻撃が、ナイフが、妹紅の周囲全体を覆い、弾幕と激しく衝突。

命を奪う凶刃を容赦無くお見舞いしたのだ。

 




次回は10月までにはなんとか投稿、できるかなあ……
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