ガールズ&パンツァー  ~ 時空を超えた狼サムライ~   作:鷹と狼

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プロローグ

 

 

 ドイツ第3帝国  首都 ベルリン

 

 

 

「10時方向にT34、距離300、撃てぇ!」

 

 

パンターⅡの主砲が火を吹き、1輛のソ連軍の戦車が撃破した。

 

 

「よしっ!!ん…!?」

 

 

市街地の右方向の通路から年端もいかない丸腰の少年少女こと、ヒトラー・ユーゲント3人がソ連兵士に追われていた。

 

 

「助けて…助けて下さい…!」

 

 

「…私たちは兵隊じゃありません…!」

 

 

「逃がすか、ナチスの害獣を駆除だ!!」

 

 

5人のソ連兵がマンドリン銃を向けた時

 

 

「させるかっ!!」

 

 

「「 ぎゃっー… 」」

 

 

桜井勇介は車体から身を乗り出し、所持していたSTG-44突撃銃を発砲。ソ連兵を薙ぎ倒した。

 

 

「あ…ありがとうございます…」

 

 

「困った時はお互い様だ!このベルリン市街地に避難ができる場所はないのか、アリシア…?」

 

 

「…今、無線で…あぁ、ベルリン駅で避難民及び異邦人のスウェーデン行きの避難列車が停車しているとの情報が!」

 

 

「パウラ、純子、パンターの弾薬、燃料は?」

 

 

「砲弾があと12発、車載銃はまだまだ!」

 

 

「まだ燃料はあと半分です!」

 

 

勇介は目を閉じて考え、開眼して決断を下した。

 

 

「これからベルリン駅に向かうぞ!」

 

 

「ベルリン駅へ!?」

 

 

「そうだ、ベルリン駅に非戦闘員と民間人、異邦人の護衛に往くぞ!!その道中に非戦闘員の回収も着手する!」

 

 

「「「 り、了解!! 」」」

 

 

「純子、ベルリン駅に進路を執れ!」

 

 

「了解!!」

 

 

勇介たちが乗車するパンターⅡはベルリン駅へ走行中、逃げ遅れた幾人の難民を車体に乗せて向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベルリン駅ー

 

 

 

 

 

ベルリン市街から民間人と非戦闘員、異邦人が続々と集結。

 

使用する列車の車両は客車のみならず、貨物車も動員する。行き先はスウェーデン経由のキール港及びヴィルヘルムス・ハーフェン港行きの列車が難民を乗車させていた。

 

 

「急げぇ!」

 

「皆さん!急がずに乗車して下さい!!」

 

 

駅員が誘導する中、数発の砲弾が風を切って駅付近に着弾した。

 

 

「きゃあああー!!」

 

 

「大変だ!ソ連兵だ!!」

 

 

「に、逃げろ~!!」

 

 

「……もう駄目だ………皆殺しにされる……」

 

 

難民の大半が絶望、ソビエトロシア兵がベルリン駅の出入口に侵入を仕掛けた時だった。

 

 

 

「ウラー!!ウラー!!…………ぎゃああぁー…」

 

 

別の方角から砲弾が着弾、ロシア兵が薙ぎ倒された。

 

 

「……何が起こったんだ……?」

 

 

「戦車だ!ドイツ軍の戦車だ!」

 

 

「…助かった……」

 

 

パンターⅡの砲塔から勇介が拡声器を持って出た。

 

 

「『ドイツの難民、日本の異邦人の皆さん!我々が殿を務めます。慌てずに一刻も早く脱出して下さい!!』」

 

 

「桜井車長、ロシア軍中隊戦力がベルリン駅に行進しています!」

 

 

「わかったパウラ!ふぅ、晴香、純子、アリシア、パウラ。君たちは逃げ遅れた難民と異邦人を駅に誘導させて共にスウェーデンへ行け!!」

 

 

「「「「 っ!? 」」」」

 

 

勇介の突然の命令で大賀晴香、アリシア・フェアバンク、パウラ・オットー、豊田純子は言葉を失った。

 

 

「……車長…何故ですか…!?」

 

 

「この大戦で、俺の命令一つで君たち乙女の手を血に染めた責任がある。その責任を負う為に……」

 

 

「車長!あたしは残るぜ!!薩摩の意地を見せてやる!」

 

 

「わたくしも残りますわ」

 

 

「車長!あたしも残ります!この国の首都ベルリンは大事な故郷です!ロシアの好き勝手にさせたくありません!」

 

 

「…みんな……」

 

 

勇介が目元を拭いた時、豊田純子も手を挙げた。

 

 

「車長!私も残り戦います!」

 

 

純子も残留することを志した勇介は左手を差し出し、制止した。

 

 

「純子、君はスウェーデンへ難民たちと行け!」

 

 

「っ!?なぜ私だけなのでしょうか?私と共に戦い…」

 

 

「落ち着け!どちらに行ってもどっちかが生き残る!生きて残ることが人間としての鉄則だ!!」

 

 

勇介の言葉で純子は涙を堪え

 

 

「……車長……最後とは言いません、何か形見を下さい!!」

 

 

「…ふっ…わかった…」

 

 

勇介はドイツの留学時から支給していた、ノルマンディー攻防から被ってきた国防軍の戦闘帽を純子に渡した。

 

 

「……この帽子を、俺が日本に帰還するまで預かってくれ!そして、姉さんと兄貴、澪にもよろしく頼む。」

 

 

「車長、……武運を祈ります……」 ビシッ

 

 

純子は車長の勇介に敬礼、勇介も彼女に敬礼。

 

そして、無言のままベルリン駅のホームに向かい、侵入した数人のソ連兵を拳銃で薙ぎ倒し、スウェーデン行きの難民列車に乗車した。

 

 

 

勇介は車内に戻り、STG-44とWP-38拳銃、軍刀桜狼を所持した頃にソ連T-34戦車、数十人のソ連兵が接近した。

 

 

「車長!ソ連兵が!!」

 

 

「来やがったか……露助ども!ここから一人たりとも通さんぞ!!皆、弾薬を全て敵にくれてやれ!」

 

 

「「「 了解!! 」」」

 

 

「さぁ、露助ども……貴様らの骨を焼き付くすまで斬ってやる!!」

 

 

晴香とパウラは車内で砲弾が尽きるまでパンターⅡの火を吹き続け、何輛かの敵戦車を撃破。

 

勇介とアリシアは砲塔の背後で隠れながら銃撃、そして、パンターに接近した敵兵を軍刀の狼虎で何人か斬り倒した。その光景は戦場に現れたサムライだった。

 

「うおああぁ!!」  スパアァン  「はぁ…はぁ……がはっ!?」

 

 

勇介の左肩に銃弾が被弾して膝を着いた。

 

 

「車長!……ぎゃっ……」

 

 

「アリシアっ!?」

 

 

「……車長…(ステラ、シャル)…お先に……」

 

 

アリシアは凶弾に被弾して戦死。その時に、勇介の前方にIS戦車が出現した。

 

 

パンターⅡ車内ー

 

 

「晴さん、前方にIS戦車!(シャル、マリーさん、お先に)」

 

 

「まだまだだ!最後の一撃、喰らえ!!(兄ちゃん、さようなら…)」 

 

 ドゴオオン

 

 

パウラが装填した砲弾が、晴香の放った一撃でソ連IS戦車を撃破した引き換えに、ノルマンディーから搭乗して共に戦った愛車のパンターⅡが炎上した。

 

 

「…パンターが燃えて……晴香……パウラ……」

 

 

ベルリン駅の方から汽笛が鳴り響き、ヴィルヘルムス経由のスウェーデン行きの列車が出発した。

 

 

 

「純子、……行ってしまったか……もぅ……ここまでか……皆、……ありがとう……儚い人生だったなぁ~……晴香……アリシア……パウラ……純子…姉さん…兄貴……澪……済まない…ハイムマン…今、そっちに逝…」

 

 

 

 

勇介が微笑む時に空中から滑空音が鳴り響き、ソ連のカチューシャロケット数発が飛来してパンターⅡに着弾。

 

木っ端微塵に粉砕された。

 

 

 

その日、ドイツ第3帝国は連合国に無条件降伏。

 

桜井勇介帝国陸軍少尉以下、大賀晴香帝国陸軍曹長、アリシア・A・フェアバンク国防曹長、パウラ・M・オットー国防軍伍長はベルリン駅で戦死した。

 

 

遥か彼方のアジアにて、

 

 

 

彼らの家族である桜井洋介と大賀虎雄、敵国の友人であったステラ・A・エヴァンスとシャルロット・F・トラインは訃報で嘆き悲しんだ。

 

 

そして嘆き悲しんだ彼らも、後を追うかのように戦争末期のシンガポールとマラッカ海峡上空、終戦後の北方の占守島上空、枕崎台風で命を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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一人の少女が夢を見て、目を覚ました。

 

 

「…はっ!?……なに…、今の夢…?」

 

 

少女は先程見たベルリンの攻防の夢を思い出す。あの日本軍人がなんでベルリンで戦い、なぜ戦車で戦い、死ぬ直前の最後の最後まで微笑んだのか。

 

 

「……あっ!もう家じゃないんだ!」

 

 

その少女、西住みほは目覚まし時計を止めながらそう呟き、朝の準備をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

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