ガールズ&パンツァー ~ 時空を超えた狼サムライ~ 作:鷹と狼
勇介達との交渉に失敗し一時保留となって生徒会室から退室し、でんぐり返しで戻る為廊下を歩いている角谷達は
「…会長…彼ら本当に協力してくれますかね?」
「それはわからないよ河嶋、多分彼らはきっと事実的には戦争は終わっても、あの子達の心のどこかでは戦争は終わってないかもしれないよ。だから彼はあんな事を言ったんだと思うよ」
「ですが、もし彼等が協力してくれればもしかしたらこ
の学園は…」
「かもしれないよ河嶋。でも、私達が彼等にとやかく言う資格はないのかもよ」
「ですが、彼らは本当に協力してくれるでしょうか?彼等戦争で受けた心の傷が癒えてないなら協力してくれる可能性は…」
「大丈夫だよ小山そう言うのは時間が解決してくれる。彼らは、きっと協力してくれるよ。今は彼らを信じるしかないよ…今はね」
角谷はただ信じる事しか出来なかったのだった。
一方、角谷達の後方を歩くみほ達は、生徒会役員に連れられる形で生徒会室に向かいながら勇介の事を話していた。
「それにしても他の人達もそうですが…あの桜井勇介って人は、只者ではありませんよ!あれだけの数の勲章を授与されしかも私達と同いくらい年齢で大隊を指揮する尉官クラスの少尉と言う事はかなりのエリートですよ!」
「少尉って…軍隊でどれくらい偉いの?ゆかりん」
「現場部隊の小隊長レベルです。少尉の階級は普通なら20代後半から30代前半くらいなんですが、若干10代で20人の部隊を指揮率いる少尉なんてエリート中のエリートです!」
「…そうなの!?…それに…やっぱりあの時は顔が汚れてよく見えなかったけどさ、かなりのイケメンだったよね!1927年生まれで1945年から来たって言ってたからえっと…18歳か!ってことは、ちょっと年上の高身長イケメンエリートって事!きゃあ~超ハイスペックじゃん!」
顔を赤くする武部沙織。
「ちょっとところじゃないですよ沙織さん。あの人は70を越えていますよ…」
「ちょっと華~…」
「桜井さんは確かにかなりの美男子でしたわね。他の皆さんの女子隊員も優しそうな方でしたし」
「ねぇねぇ~みほは、あの人の事どう思う?こう、印象とか雰囲気とかさ」
唐突に沙織から勇介の第一印象を聞かれて面食らうみほ。
「え、桜井勇介さんの事?えっと…ちょっと怖そうな人って感じがしたけどでも、何処か思いやりのある優しい人なんだなぁって思うよ…だけど…どこかで」
「へぇ〜なんで…どこでなにであったの…?」
みほはあの見た夢を除き、頭を傾げながらも中々思い出せなかった。
「あの時、桜井さんの言った事は私達に戦車に乗る事はそれだけ大きな責任を背負う事だから遊び半分で乗るんじゃなくて真剣に考えて欲しいって言いたかったんだと思うんだ」
「ふむふむ、人に対して思いやりがあってそれでいて不器用な優しい人っ事か」
「あの人たちの証言としては…おそらくベルリンで消えた戦車隊員ですよ...!あぁ…ぞわぞわします…」
みほから見た秋人の人柄を何やらメモる沙織。
優花里は昨日、みほたちに唱えた言葉が事実だった事を、興奮し、身体が震えていた。
その後みほ達は、角谷から取り敢えず帰宅を言い渡され更に勇介達の事はまだ他言しない様に言って戻っていた。
そして勇介は、今校舎の屋上に留まった。
「車長…わたくしたちは…あの時代に戻ることはできないのですわね…」
「…恐らくな…アリシア……生き延びるには、この世界における庇護者が必要だ。我々自身がこの戦車道の競技をリードできる立場に立っておればいい!我々が競技に勝たせることは不可能ではない!その結果、我々は発言力を確保できるはずだ!」
「車長、あたしたちの介入で勝つかもしれないが、我々を見て大きく変わる。それでいいのか…?」
「俺は間違っているかも知れないが俺たちは70年前の人間だが、今はこの時代が俺たちの生存場所だ。ここでしか生きられないのであれば、この場所で精一杯生きようと思う。戦車道がどうの考える余裕はないゼ!」
「晴香さん、時代談議はどうでもいい、現実にあたしたちとパンターⅡはこの時代にやってきたんだ…」
晴香達と話した結果『私達は上官であり、車長の判断に従うだけだよ』と言われ、アリシアとパウラと同じ考えだったのだ。
そして
「この先は、生き地獄かも知れんぞ!」
「地獄ならとうに落ちてるんですよ!そのために、桜井勇介と言う車長についていきます!」
晴香、アリシア、パウラは彼に敬礼し、勇介も彼女たちに返礼した。
生徒会室
勇介、晴香、アリシア、パウラは生徒会長の椅子に座る角谷杏の前に立った。
「それで、君達の答えを聞かせてくれるかなぁ〜?」
「あぁ、俺達が、話し合って出した答えを伝える。…戦車道に入ります」
「そっかぁ、本当にそれでいいんだね〜?」
「あぁ、俺達には他に選択権がないしこの時代に頼れる人もいないからな。それになによりも、西住さん達には、助けてもらった恩義がある。彼女達から拾ってもらったこの命この学園を全国大会優勝に押し上げる為に使ってあげようじゃねぇか!!」
「そう。じゃあ改めてこれからよろしくねぇ〜桜井勇介君~♪」
角谷は勇介に右手を差し出し、勇介もそれに習って右手を差し出して互いに握手をする。
すると、勇介は
「それで、入るに当たってこちらからも少し条件を付けさせて貰いたい」
「何かなその条件って?」
「俺たちの愛車、パンターⅡ戦車の所有権と有事の際の指揮権は俺が執らせてもらう事、何かあればこちらは独断で行動する。構いませんかね?」
勇介は、角谷達に戦車道に入る際の条件を提示した。
「な!?貴様そんな勝手が許されるわけ…」
「むっ…」
河嶋が怒鳴り込んだ時、晴香は手を握り掛けた。
「いいよ」
「か、会長!?」
と、勇介の提示した提案は難なくOKが出たのだった。
「後で自動車部の子達に君達の乗っていた戦車に連盟公認の装甲材と判定装置を付けされてもらう様頼んでおくからねぇ〜」
「あぁ、分かりました、助かります。あと!」
勇介がお礼を言うとふっと何かを思い出した様だった。
「どうしたの?」
「俺達は、暫くの間どこに住めば良いのでしょうか?」
「あっ!そうだったねぇ〜ごめんごめん。河嶋何処かいい所ない」
「確か学生寮にまだいくつか部屋が余っていたと思いますが、彼等の存在は機密ですから他の生徒と接触する可能性があります」
「そこでいいんじゃない〜」
「しかし、会長…」
「大丈夫だ、住まわせてくれれば後の事はこちらでなんとかする」
勇介達は、戦争で何度も野宿を経験しているので問題はないが、甘梅雨しない屋根があるだけマシだ。
それに、角谷にしてみれば勇介達の存在は極秘だが、学生寮に置けば下手な行動も起こさないし監視しやすいのだ。取り敢えず角谷は、勇介に寮の鍵を渡しといた。
「あ、そうだ!これ、預かっていた君達の所持品と学園からの支給品を君達に返すよ」
角谷が出してきたのは、勇介達が着用する大洗学園の制服や銃だった。
「ありがとうございます」
「これが、未来の学園制服ですか~」
アリシアは、真っ先に制服を手に取りながら目を輝かしていた。
4人は試着し、勇介に関しては学ランの制服に軍刀狼虎を帯刀ていた。
すると、小山が帯刀する軍刀を目にし、不思議そうに訊いてきた。
「桜井さん、その刀…大切な物なんですか?」
「えぇ、この刀は死んだ父の…いや、先祖代々形見なのでこれだけはどうしても」
「そうなんですか」
「それで、取り敢えず俺は退室します」
そして、勇介は、紙袋に入れられたみんなの所持品を持って生徒会室を退室して保健室に戻り、怪我が完治していないので今日は安静にする様にする。