ガールズ&パンツァー  ~ 時空を超えた狼サムライ~   作:鷹と狼

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第6話 故郷と身内の経緯

 

 

洗車も終わり日が暮れ空は茜色に染まっていた。

 

勇介達は、角谷から渡された寮の鍵を持って学生寮に向かっていた。それまで勇介達は、戦車の中や格納庫で過ごしていたので部屋で寝泊りすると言うのは久しぶりだった。

 

角谷から渡された寮の鍵は一人一人違う番号が書かれ各人一人一人バラバラの部屋の様だった。

 

晴香、アリシア、パウラは、角谷に教えて貰った寮に向かっている途中に突然勇介が足を止めた。

 

 

「どうしたの車長?」

 

 

「ちょっと一人で考え事がしたいから君達は、先に行っててくれ」

 

 

「いいけど、すぐに戻って来るのよ」

 

 

勇介は、皆とは別に一人別行動を取ることにした。そして勇介は、学園艦のデッキに行きそこから海を眺めていた。

 

 

「ここが未来の日本の世界か…あのノルマンディー海岸で見た夕日…未来でも夕日は変わらないなぁ…しかしこの学園艦本当に街を丸ごと載せた船と言うより、海上の都市だな」

 

 

角谷から学園艦の事は聞いていた。

 

本当に巨大な船だった。全長が7600m・高さ440m・3万人を収容できると来た。超巨大な船でそこに街を丸ごと一つ載せているので、船よりは水上都市。

 

勇介は、物思いにふけりながら海を眺めていると向こうのデッキから声が聞こえて来た。

 

 

「港はどっちかな?」

 

 

「はぁー…そろそろ丘に上がりたい。アウトレットで買い物もしたいし」

 

 

「今度の週末は帰港するんじゃ」

 

 

「どこの港だけ?私港、港に彼が居て大変なんだよね〜」

 

 

「それは、行き付けのカレー屋さんでしょ!」

 

 

とみほ達が話し合っていた。すると、みほ達が勇介に気付いた様で声を掛けてきた。

 

 

「あ!桜井さん!」

 

 

「きみ達か、こんな所で奇遇だな」

 

 

「桜井さんは、ここで何をしていらしゃったんですか?他の皆さんとご一緒じゃないんですね」

 

 

「あぁ、晴香達は先に帰った。俺は、ここでちょっと夕日を眺めていたんだ。これから角谷から用意された宿舎にかれる所だ」

 

 

「そうなんだ。だったらさ桜井さんも一緒に帰らない」

 

 

一緒に帰らないかと誘われた。別に拒む理由も無いので承諾する事にした。すると、優花里が

 

 

「あ、あのよかったらちょっと寄り道して行きませんか?」

 

 

「え?」

 

 

「ダメですかね?」

 

 

そんなこんなで、優花里に連れられる形で5人は、とある店にやって来た。

 

 

「戦車倶楽部?」

 

 

プレートの看板を見てそう言う。中に入ると如何やら此処は戦車関連の商品を取り扱っている様だ。戦車倶楽部には、書籍やプラモデルの他に戦車の転輪や砲身まで販売しているらしい。

 

 

「こんな店があるんだ」

 

 

「凄いですね」

 

 

「でも、戦車ってみんな同じに見える」

 

 

沙織が言うと

 

 

「ち、違います!!全然違うんです!どの子もみんな個性と言うか特徴が合って動かす人によっても変わりますし」

 

 

優花里は、異議を申し立て戦車に対し熱弁する。

 

 

「華道と同じなんですね」

 

 

華がそう言うと、沙織はうんうんとなんか納得したかの様に頷く。

 

 

「うんうん女の子だってみんなそれぞれの良さがあるしね。目指せモテ道!」

 

 

グッドサインする沙織。確かに女の子には色々とその子の良い所があるが、モテ道ってなんなのか疑問に思う。

 

 

「話が噛み合っている様な?ない様な?」

 

 

「と言うか、話の内容ぐだぐだじゃないか!?思い切り話の路線が脱線してるんじゃないか?」

 

 

三人を見て苦笑いをする二人。その後優花里は、戦車倶楽部に設置してある戦車のシミュレーションゲームをやり武部と五十鈴の二人がその後ろから見ていた。

 

そして、勇介は戦車の歴史に関する書籍の増版を手にし、項目を開いた。

 

 

「…これは…」

 

 

みほは店内に設置してあるテレビに目を向ける。未来のテレビは本体が薄くカラー映像で鮮明に映し出される様だ。

 

 

『…次は、戦車道の話題です。高校生大会で昨年MVPに選ばれて国際強化選手となった西住まほ選手にインタビューしてみました』

 

 

画面に出て来たのはドイツ軍のパンツァージャケットを模した戦車服を着た茶髪の女性が映る。

 

 

「(西住?そう言えば西住さんと同じ名字だな。西住さんの身内か?)」

 

 

どこかみほに似て、そしてみほと同じ西住の姓である事から身内かと勇介はそう推測する。

 

 

『戦車道の勝利の秘訣とは何ですか?』

 

 

『諦めないこと。そしてどんな状況でも逃げ出さない事ですね』

 

 

アナウンサーが西住まほにインタビューをしまほは、カメラに向かってそう言う。みほは、ニュースを見て暗い顔になる。

 

 

「大丈夫か、西住さん?顔色が優れない様だが」

 

 

「うんうん何でもない。大丈夫だよ」

 

 

「そう…か…ん…?」

 

 

すると、沙織がみほの落ち込んでいるのを見ていると、テレビに顔見知りの人物らしき者が写っていた。

 

 

「どうしたのですか、桜井殿…?」

 

 

「いや…気のせいかな…?…何でもない…」

 

 

優花里が察したのか、勇介はみほにそっぽ向いた。

すると沙織が

 

 

「そうだ!みほの部屋遊びに行っていい?」

 

 

「私もお邪魔したいです」

 

 

「うん!」

 

 

とみほは嬉しげに頷く。

 

 

「あの…」

 

 

優花里が恐る恐る手を挙げる。

 

 

「秋山さんもどうですか?」

 

 

「ありがとうございます!!」

 

盛り上がる女子達。

勇介は場違いな様子だと感じ、退散すると思っていると急にみほに呼び止められる。

 

 

「あの!桜井さんもよかったら一緒にどうですか?」

 

 

「え!?…いいのか過去から来た得体の知れない男の俺なんかを家に招いて?」

 

 

「そんな事無いです!例え桜井さんが過去から来た人だとしても桜井さんは桜井さんです。それに、桜井さんは悪い人じゃ無いと思うんです。よく知りもしない相手を見た目で判断するのは良くないです!知った上でも他人が人を判断する事は間違ってます。無理か如何かを決めるのは自分だけです」

 

 

「そうだよ。こんなにイケメンの悪い人が居るわけないよ。だからさ桜井さんも一緒に行こうよ」

 

 

「私も桜井殿達が悪い人では無いと、信じています」

 

 

「わたくしもそう思います」

 

 

勇介は、この時みほが得体の知れない男を家に誘うなど警戒心がないので警戒心を匂わせる言葉を言う。幾つかの戦場で、多くの米英仏露兵や現地パルチザンやゲリラやレジスタンスを殺して来た勇介をいい人呼ばわりしたことに関して思っていた。

沙織は世の中には優しい言葉と綺麗な顔で近づいてきて女性を騙す男も居ることを実感した。

一方のみほは、他人と距離を取る勇介に心を開かせようと試みる。 そして、沙織や優花里や華も追随する。

 

 

「それに、桜井さん、今日の晩ご飯はどうするつもりなんですか?」

 

 

「一応、戦闘食があるから今日はそれで済まれるつもりだが?」

 

 

「ダメですよ!それじゃぁ栄養が取れないですよ。ちゃんとご飯を食べないと!」

 

 

食事は軍用食で済ませようとする勇介に、みほは軍用食だけでは栄養のバランスが取れないと言って尚更彼を誘って来る。

 

 

「あはは…俺の負けだ…わかったそれじゃあお言葉に甘えさせて貰おう」

 

とこの時ばかり勇介は流石に折れ、両手を上げながらみほ達の誘いに乗ることにした。

 

勇介の食事はドイツ軍に支給されたレーションしか食するのが無いから食事会に誘われて若干嬉しい気もする。

 

帰り道にスーパーで晩ご飯の材料を買ってからみほの住んでいる寮に向かった。

その途中では何人かの人からの視線を感じていたが無視する事にした。服装が目立つのは分かるが今の勇介にはこれしか着る物がないのだから仕方ない。

 

 

「散らかってるけど、どうぞ」

 

 

「かわいい」

 

 

「西住さんらしい部屋ですね」

 

 

「…可愛いな…」

 

 

みんながみほの部屋に入って行く。そこには、傷だらけで包帯グルグル巻き姿のボコボコのくまのぬいぐるみが沢山あった。

勇介は何がかわいいのかよく分からないがボコを見て何処となく魅了し、呟いた。背負っている雑嚢と軍刀、拳銃を下ろした。

 

 

「よし!じゃあ作るか。華は、じゃがいもの皮剥いてくれる」

 

 

「え?あ、はい」

 

 

「私ご飯炊きます」

 

 

沙織にそう言われて材料の入った袋を持ってキッチンに行く華、優花里は、そう言うと背負っていたリュックを下ろし、鼻歌で歌いながらリュックから飯盒炊飯を取り出す。

 

 

「何で飯盒?いつも持ち歩いてるの?」

 

 

「はい。いつでも何処でも野営出来るように」

 

 

そう得意げに言う優花里。

 

優花里の装備を目の当たりにした勇介は、兄の洋介や陸軍幼年学校時代の演習を懐かしく思った。

 

 

「うわぁ!」

 

 

突然キッチンの方から華の悲鳴が聞こえてきた。行ってみるとどうやら彼女は包丁で指を切ってしまったらしく血が出ている。

 

 

「すみません。花しか切った事ないもで」

 

 

「ああ!待ってて絆創膏何処にしまったかな?」

 

 

みほは、どこかにしまった絆創膏を探してあっちこっち引っ掻き回す。

 

 

「みんな意外と使えない、はぁ〜よし!」

 

 

コンタクトを外して眼鏡に変え溜め息を吐く沙織。

 

勇介は素早く腰に掛けている雑嚢から綺麗な白い布生地を取り出して水筒を持って華の所に向かう。 

 

 

「見せてみろ」

 

 

「え!?///」

 

 

勇介は華の手を取った。見たところ軽い切り傷の様だ。勇介は怪我をした華の指を水筒の水で血を洗い流して雑菌し、次に布生地を指に強く結び指を圧迫し止血して応急処置をする。

 

 

「これでよし!圧迫したから大体の出血は治まる。後は絆創膏を張れば大丈夫だ。後は俺が代わるやるから五十鈴さんは西住さんの所に行って絆創膏を張ってもらいな」

 

 

「ありがとうございます。桜井さん」

 

 

「華…いいなぁ…わたしも怪我して桜井さんに手当てして貰おうかな~…」

 

 

「…冗談じゃないぞ武部さん、負傷をしない方が良い!」

 

 

「…ぶぅ~…」

 

勇介が沙織に注意すると、彼女は膨れっ面になる。

お礼を言うと華はみほのところに行き絆創膏を貼ってもらう。勇介は華から受け取った包丁でじゃがいもの皮を剥いて切って行く。

 

 

「へぇー桜井さんって医学の知識だけじゃなくて料理とかも出来るんだ」

 

 

沙織が感心した様に話しかけて来た。

 

 

「医学って程じゃない応急処置を陸軍幼年学校でちょっと習っただけだ。料理も母から教養として教わった程度だし、軍隊生活でも当番制でやっていたからな」

 

 

「へぇーそうなんだ。じゃあ、桜井さんはじゃがいもの皮剥きと野菜の下処理をお願い。私は、煮込みと味付けをするから」

 

 

「分かった」

 

 

その後、買ってきた材料で、出来上がったのが肉じゃがだった。久しぶりに食べる日本食だ。

 

 

「じゃぁ食べようか」

 

 

「はい!」「はい!」「はい!」「あぁ!」

 

 

「「「「「 いただきます! 」」」」」

 

 

合掌一礼して肉じゃがを食べる。

肉じゃがは、勇介がドイツに居た頃、晴香と純子が作ってくれた事があった。幸いドイツにはじゃがいもがあるので材料は何とかなった。

 

 

「う〜ん美味しい!」

 

 

「いや〜あ、男を落とすにはやっぱ肉じゃがだからね」

 

 

「落とした事あるんですか?」

 

 

「何事も練習でしょ!」

 

 

「と言うか、男子って本当に肉じゃが好きなんですかね?」 

 

 

「都市伝説じゃないですか?」

 

 

「そんな事無いもん!ちゃんと雑誌のアンケートにも書いて合ったし。そうだ!男子の意見も聞いてみよう。丁度、桜井さんもいる事だし。ねぇ、桜井さんは肉じゃが好きだよね!!…え?」

 

 

沙織がなんか勇介に振ってきた。だが、勇介の目から涙が流れた。

 

 

「懐かしい味だな…俺は、2年も欧州に滞在したからそう言うのはよくは分からん、他の男は知らないが昔、母が作ってくれた肉じゃがに似ていて俺は好きだな」 

 

 

「本当!」 

 

 

「あぁ、これ程美味しい武部さんの料理を将来毎日食べられる男は幸せ者だな」

 

 

「やだもー////この料理を毎日食べたいって、それってもう完全にプロポーズじゃない!!そりゃあ私は、港に彼が居る恋多き乙女だけどさ///別に、いやって訳じゃないよ!!桜井さんとは、実質70歳の歳の差だけど全然私構わないから!!」

 

勇介が気の利いた言葉を掛けると沙織は顔を赤くしなにやらぶつぶつ呟いている。

 

 

「武部さん?」

 

 

「あ!でも、私はまだ花の女子高校生だから結婚は卒業するまで出来ないからそれまではお預けにしよ!桜井さんは、式はどこであげたいあと子供は何人ほしい!」

 

 

「あの武部さん!?」

 

 

「何ですか!旦那様」

 

 

勇介が声を掛けると、武部は顔を赤らめ満面の笑みで勇介を『旦那様』呼ばわりし、夫婦気取りでいた。

勇介は何のつもりで言ったかに傾いていた。

 

 

「あの、俺は何か誤解する様な事を言ったのなら謝るが、あれは、武部さん作った料理を褒めただけであって断じてプロポーズではない」

 

 

「誤解?」

 

 

「そうだ、すまん…それに、俺には婚約者がいる…///」

 

 

勇介は、誤解させた事を、赤面しながら謝ると、沙織は顔を真っ赤にさせて両手で顔を覆い隠す。

 

 

「///きゃぁ!!恥ずかしいぃ〜////」

 

 

その後は、何とか誤解が解けたが沙織にはこの事は、黒歴史になったのかも知れない。

 

すると、華が勇介の気になった言葉を質問した。

 

 

「あの…?桜井さん…いま、婚約者がいると…?」 

 

 

「…あ…あぁ…///」

 

 

「「「「 え…?ええぇっー!! 」」」」

 

 

みほ達4人は、勇介に婚約者がいることを驚愕した。

すると沙織は勇介の軍服の襟首を掴み、問い詰めた。

 

 

「さ…ささ…桜井さん、婚約者がいるの〜!?一体どんな女性~!?」

 

 

「お、落ち着け武部さん!ど…どんな女性って…今写真を見せるから…」 

 

 

そして勇介は胸ポケットから写真を取り出し、みほ達に渡した。

 

 

「こ…これは…?」

 

 

1942年12月、広島の呉写真館で撮った記念写真。

 

写っている人物はモノクロでありながら自身の姉、従軍看護婦の桜井志帆と兄の海軍の准士官、桜井洋介と恋人の従軍看護婦の神矢雪。

 

洋介の後輩である下士官の沖田進次郎と当時の大賀晴香と豊田純子。

 

そして、陸軍下士官時代の勇介と婚約者、従軍看護婦の西澤澪だった。

 

 

「…確かに当時の写真ですね…」

 

 

「桜井さんのお姉さんは綺麗な人〜!お兄さんと後輩さんもイケメンだ~!」

 

 

「だが武部さん、姉さんからの電報で兄貴は雪さんと結婚したからな…後輩さんは分からんが…」

 

 

「えぇ〜!うぅ残念…」

 

 

「だから沙織さん、桜井さんのお兄さんも70年前の人ですよ」

 

 

優花里は当時の写真で目を輝かし、沙織は洋介と進次郎の美男子であることを誉めたにも関わらず、結婚したことでガッカリした。

 

華も沙織の言葉に突っ込んだ。

 

 

「桜井さんこの方が澪さん…婚約者ですのね…」

 

 

「あぁ…俺が静岡の陸軍幼年学校の演習でちょっと負傷…当時の彼女は見習いの赤十字看護婦であったために、えっと…惚れた…///」

 

 

華の言葉で、勇介は赤面になりながら頬を掻いた。

 

 

「あぁ~わたしもそんな出会いがしたいなぁ~…だけどよく見るとこの婚約者、みほにそっくりだよ~!」

 

 

「あら…確かにみほさんにそっくりですね~」

 

 

「…桜井さん…だからあの森の中で…」

 

 

「あ~!思い出しました!!」

 

 

「「「「 !? 」」」」

 

 

突然、優花里が声を上げて、4人は彼女を注視した。

 

 

「桜井勇介殿は…つい最新の戦時資料で調べたのですが、戦車の武勇伝で、桜井勇介大尉殿とそのメンバーはベルリン攻防戦で、大多数のソ連軍戦車を前に、多くの民間人を救った英雄です!!そして、あなたのお兄さんの桜井洋介海軍少佐と大賀晴香少尉殿の兄、大賀虎雄海軍大尉も、海軍戦闘機乗りの凄腕エースパイロットですよ!!」

 

 

「え…俺が大尉…?メンバーとベルリンで民間人を救った英雄…兄貴と晴香の兄も…エースパイロットだって!?」

 

 

「えぇ〜!桜井さんとお兄さん、大賀さんのお兄さんも英雄〜!どうしよう…英雄の妻となれば…どんな女性になれば~…」

 

彼女の言葉で英雄と聞いた勇介は、目を見開いた。

あのベルリン攻防で戦死した勇介たちは二階級特進していたのを実感した。

 

 

 

 

 

 

歴女宅 ー

 

 

 

 

「やはりそうだったのか~!!」

 

 

「ん…?どうしたのだエルヴィン?」

 

 

「なにがやはりなのだ?」

 

 

エルヴィンは大洗の応援にやって来たパンターⅡの搭乗人物が気になり、戦時関連の本を開き、確認していた。

 

 

「あ…あのタイムスリップした者たち、メンバーの桜井勇介は旧陸軍大尉殿…ベルリン駅で敵戦車を撃破し、さらに民間人を守った英雄だ~!」

 

 

「なんだって!?」

 

 

「…桜井勇介…っ!?…もしかして、彼の兄は…零戦のエースパイロット、桜井洋介なんじゃ…」

 

 

「桜井洋介!?ラバウル六勇士の厚木十三大佐の部下、桜井少佐の弟ぎみ!?」

 

 

「あ〜っ!六勇士を思い出した!!パンターⅡの大賀晴香さんの兄が、ラバウル六勇士の一員の大賀虎雄大尉!!」

 

 

「なんと!?…しかし…激戦地のベルリンで戦った彼らはなんでここに…?」

 

 

「わからんぜょ…とにかく調べるきに!」

 

 

「「「 おぅ!! 」」」

 

 

次々とお龍とカエサル、左衛門座は驚愕し、彼らの経緯を調査するために資料を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

「桜井殿、あなたは戦場でどの位に戦車を仕留めたのでありますか…?」

 

 

優花里の質問に、勇介は天井に向けて語った。

 

 

「ん…?初陣のマレー作戦に関しては操縦手、今は車長、俺が少なくとも敵を直接仕留めた戦車及び装甲車は15、敵機は8機だ」

 

 

「15っ…それに航空機も…!?」

 

 

「あぁ、晴香とパウラも砲手に携わり、パウラは10、晴香は砲手を兼ねての敏腕狙撃兵だ。75を仕留めたな…」

 

 

「75っ!?」

 

 

「航空機を除いて、丁度100撃破!?それは凄い武勇ですね!!」

 

 

沙織は数に驚き、優花里は目を輝かしていた。

 

そして勇介は、家族に関して質問し、優花里は深刻な顔をした。

 

 

「秋山さん、その戦時で俺の兄貴は…姉さんは?どうなったんだ…?」

 

 

「はい、ですが…大賀晴香殿にも辛く残酷な事実になります…」

 

 

「…構わない…仲間の晴香にも事実を伝えなければならん……」

 

優花里の口から、勇介の兄たる桜井洋介は呉で別れた後、1943年1月に南方の最前戦、ニューブリテン島のラバウル基地に配属。

 

現地に配属していた晴香の兄、大賀虎雄の経緯もあり、山本五十六元帥の指示で特殊飛行部隊『ラバウル六勇士』を編成した。

 

結成してから翌年の2月、六勇士は戦局の濃厚で解散。洋介は空母部隊、虎雄はシンガポールに配属。

 

45年の戦争末期、7月末に大賀虎雄はマラッカ海峡で戦死。

 

本土防空と特攻隊の護衛を担い、終戦後の8月18日に、桜井洋介は占守島の戦いでソビエトロシア軍との戦闘で戦死した。

 

 

「…そう…か…兄貴が…晴香の兄貴も…戦死したんか…」

 

 

70年遅れの戦死通告を知った勇介は食事を止め、みほの部屋は静かになった。

 

 

「でも、お姉さんの桜井志帆さんは戦後生き延びました!」

 

 

「…姉さんが、そうか…よかった…」

 

 

姉が無事であったことは、何よりの気休めだった。

 

するとみほがテーブルに飾られている花に目を遣る。 

 

 

「お花も素敵」

 

 

「ごめんなさい。これぐらいしか出来なくて」

 

 

「うんうん。お花があると部屋が凄く明るくなる」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

みほがそう言うと華は嬉しそうに礼を言う。その後、食事を終わらせて皆は帰るため寮の入り口の前で別れる事にした。

 

 

「じゃあまた明日」

 

 

「お休みなさい!」

 

 

「お休みなさい!」

 

 

「桜井さんもお休みなさい」

 

 

「あぁ、お休み」

 

 

みほは沙織達に手を振って別れる。

 

 

「やっぱり転校して来てよかった」

 

 

と嬉しそうに言う。 

 

 

「桜井さんは、部屋の場所分かりますか?」

 

 

「いいや」

 

 

「それなら一緒に行きましょう!」 

 

そう言うとみほは勇介の部屋を探しにいく。

勇介も角谷から渡された鍵で部屋に行くのだが、部屋の鍵の番号を見て部屋に向かう。すると、そこは 

 

 

「ここが俺の部屋…」

 

 

勇介の部屋は何と先居たみほの部屋の隣だったのだ。

 

 

「此処って私の部屋の直ぐ隣みたいですね」

 

 

「そうだな…まぁなんだ、隣同士これから宜しくな」

 

 

「はい!こちらこそよろしくお願いします」

 

と軽く一礼した後、勇介とみほは自分の部屋へと入って行った。

 

 

勇介は部屋のベッドに寝転ぶと、あることを考えた。

 

 

「…なぁ姉さん…兄貴…澪…俺が呉で別れた後になにがあったんだ…?」

 

 

自身の家族と恋人が、あの戦禍で何があったのか、自ら調べに打って出るのであった。

 

 

 

 

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