大蛇丸って拾い癖あるよね。
少女は全てを諦めていた。
このまま奴隷として生き、使い物にならなくなったら母親のように塵のように捨てられるのだろうと…。
「反吐が出る」
だが、少女はある日救われた。
それまで少女を奴隷として扱き使っていた男達が次々と、小さな水の塊で頭を撃ち抜かれて死んでいき、少女は解放されたのである。
「大丈夫?」
チャクラを感じ取れる少女が何一つ感じ取ることができず、何もいないはずの目の前から聴こえてくる声。その声の主が少女を救ったのだろう。
「あ、ごめん。
術、解除するの忘れてた」
すると、白髪の少年が姿を露にする。
「こ…子供?」
「うん、子供だね。つか、君も子供だけどね。
僕と同じ歳くらいかな?」
少女と同じ歳頃の少年に、少女はただ驚いていた。
こんな少年が、大人の忍達を殺したのかと…。
「僕は水月。君は?」
「あ…ウ、ウチは、
白髪の少年が水月と名乗り、名を聞くと、赤い髪の少女は香燐と名乗った。
「香燐か。
ねェ、君がこんな場所に居続けたいなら、それはそれでいいけど…もし君がこんな場所に居たくないなら、連れ出してあげるけど…どうする?」
その香燐に水月は唐突に提案をする。
水月は自身の姿を消し、少しではあるが香燐という名の少女の置かれた現状をその目で見ていた。
自身と同じ歳頃の少女が大人の男達に噛みつかれ、回復役として奴隷のように扱われていた。水月はその光景に表情を険しくし、大人の男達を嫌悪し、憎悪を抱いたのである。
そして、水鉄砲の術で頭を撃ち抜き殺害した。
「ど、どうして…ウチを助けてくれるの?」
「うーん、どうしてかな?
ただ、君が奴隷のように扱われるのを見て嫌な気分になったのは確かかな。だから、気分?
まあ、安心していいよ。僕はそこに転がってる屍達のように君を扱うことはないし、師匠にも酷いことしないように言ってあげるから」
水月がたまたま目撃した光景が、たまたま水月の嫌いものだった。理由はそれだけ。
だがそれでも、香燐という少女にとって、水月は命の恩人であり、救世主のような存在だろう。
地獄から救い出してくれた神様にすら思えているかもしれない。
「お、お願い…ウチを…ここから連れ出して」
「うん、いいよ」
赤い髪の少女──香燐は夢を見ていた。
自身を地獄から救い出してくれた水月と出会った日の夢を…。
「水月」
だからなのだろう。目覚めた香燐の第一声は水月の名前だった。
「どうしたの?」
「!?」
ただ、水月がベッドに腰掛けていたのは想定外だったようだ。優れた感知術の持ち主でもある香燐だが、さすがに睡眠中には感知術は発揮されず、寝起きは精度が鈍くなっている。
「ど、どどど、どうしてここにいんだよ!?
よ、よよよ、夜這いか!?」
今すぐに会いたいと思いつつ、今一番会いたくないと思っていた水月がすぐそばにいたことに、香燐はいつになく動揺しており、変なことまで口にしてしまっていた。
もっとも、それはもしかしたら香燐が隠している願望なのかもしれないが…。
「夜這いされたいの?なら今度してあげるよ。
まあ、それはともかく…珍しく香燐がなかなか起きてこなかったからね。もしかしたら、体調が悪いのかも?って心配だったから…けど、大丈夫そうだね」
「え…あ、う、ウソ!
もうこんな時間!?」
香燐が水月に連れられてこの場所にやって来て半年。彼女も最初こそ、また同じような地獄か、それ以上の地獄を味わうことになってしまうかもしれないと毎夜毎夜恐怖で眠れなかったようだが、水月が香燐を傷つけるはずもなく、水月の師匠──大蛇丸も香燐の素性をすぐに見抜き、彼女はこの場所で大切に扱われていた。
「ご、ごめん…寝坊しちゃった」
「環境にも慣れて、少し気が緩んだみたいだね。
けど、悪いことじゃないと思う」
寝坊したことに落ち込む香燐だが、彼女がこの環境に慣れたことを嬉しく思う水月は、励まそうと香燐の赤い髪を優しく撫でる。以前の劣悪な環境のせいもあり、彼女は男に触られようとすると酷く震え怯えてしまう。だが、救い出してくれた水月に対してだけは、最初こそ震えてはいたが、全てを許すことができるまでになっていた。
「水月、ありがとう」
「ん?」
だからこそ、香燐は水月に感謝の言葉を伝えたくなったのだろう。
水月のおかげで、香燐は救われた。
不思議と、水月のそばにいれば大丈夫とすら香燐は思えてしまっている。
「僕は良い人材を求めてフラフラしてただけで、たまたまだよ。だから、香燐がそこまで僕に感謝することはないよ」
水月はこう述べているが、そのたまたまに……香燐は救われたのだ。そして、香燐は水月がそのように述べるのを理解していながら、感謝の言葉を述べた。
「ウチ、頑張って強くなる。
(ウチが水月を支えるんだ)」
香燐は強く決意する。
地獄から救い出してくれた水月の為に、香燐は強くなる。
大蛇丸の右腕──薬師カブトは深い溜め息を吐き、呆れた表情でこう述べた。
「水月…大蛇丸様の弟子だからって、
どうやら、溜め息の原因は水月にあるようで、水月がまた誰かを拾ってきたようだ。
「いやー、つい…ね。
それに、
だって、あの鬼人と氷遁の使い手だよ?」
しかも、相当な手練れと、香燐と同じく特殊な血族のようである。
同郷ということは、つまりは霧隠れの里の忍……いや、元霧隠れの里の忍だ。
「まあ、大蛇丸なら許してくれるでしょ!!」
「まったく君は…」
霧隠れの里の『忍刀七人衆』の1人で、鬼人の異名で恐れられる桃地再不斬と、再不斬の部下で霧隠れの里の暗部……追い忍部隊に所属していた氷遁使いの天才・白。
この2人は水月と旧知の仲で、水月の誘いならば悪いことにはならないだろうと誘いを受け、このアジトまでやって来たようだが…。
「大蛇丸だと!?
水月、お前の師匠ってのはまさかッ!!」
ただどうやら、水月の師匠が木ノ葉隠れの里の抜け忍で、S級犯罪者の大蛇丸だとは聞いていなかったようだ。
「そうだよ。
まあ、再不斬先輩と白も、絶対に悪いようにはしないって僕が約束するよ。再不斬先輩達があんな
恐らく、先に大蛇丸の名を出していたらついてこないだろうと思い、水月は教えていなかったのだろう。
現に、再不斬と白は強い警戒心……強い敵意を水月とカブトに向けている。
鬼人・再不斬が大蛇丸を知らないはずながなく、残忍さも再不斬の耳に届いているのだろう。
しかしまさか、霧隠れの里に在籍していた時分に可愛がっていた神童が、まさか大蛇丸の弟子になっていようとは…。
「テメエ…少し見ねェ間に外道に成り下がりやがって…」
「凄い言われようだね。
けど…外道はお互い様だし、再不斬先輩と僕よりも外道なヤツはこの世にわんさかいるよ」
水月が大蛇丸の弟子であることは疑いようのない事実だが、外道に成り下がった……それは少し違うかもしれない。水月は大蛇丸に拉致された被害者であり、弟子になり鍛えられてこそいれど、彼は未だに犯罪行為を犯してはいないのだ。
いや、一つだけ犯してはいるが、草隠れの里の忍を何人か殺害し、香燐を草隠れの里から連れ出したのが水月の犯行だと知る者はいない。
だが、大蛇丸に拉致されて以降の水月を知らない再不斬からしたら、悪名高い大蛇丸の弟子になった=外道に成り下がったということなのだろう。
「それと…多分、再不斬先輩じゃあ、もう僕には勝てないよ?」
「へッ、ガキが言うようになったじゃねェか!
面白ェ…外道に成り下がった後輩を再教育してやる!」
ただ、再不斬は気付いていない。
かつての後輩が大蛇丸の下でどれだけ実力を伸ばしたのかを…。もう、先輩風を吹かせることなどできないことを…。
香燐が水月を慕っている……幻術なのか!?
大蛇丸の影響か、各地をフラフラしては色々と拾っている模様。拾い癖も師匠譲り。
再不斬、白生存!
波の国編は途中で閉幕!
一度目の戦闘はあるも、二度目の戦闘前に、水月が再不斬と白のもとに赴きアジトに拾って帰った模様。
ちなみに、ガトーショコラは水月に殺され、チンピラ達も皆殺しに…おかげで、波の国の橋は完成。
しかし、二度目の戦闘がなかったせいで、第7班の成長がないという…。