残忍さ、冷静さ、賢さ、拾い癖、忍術の才能。
何だかんだでそっくりになりつつある忍界一傍迷惑な師弟──それが、
つい最近も、水月が霧隠れの里の抜け忍で、鬼人の異名で恐れられる桃地再不斬と、氷遁使いの白を拾ってくるなど、拾い癖は益々師匠譲りのものとなっているようだ。
数少ない違いは、水月がオネエ口調ではなく、自身の体に禁術をかけたり、様々な薬品を投与したりする変態……マッドサイエンティストではないことだろうか…。水月も弱点であった雷遁を克服する際、自身の体に雷遁を当てたりしているが、それは弱点を克服する為なのでまったく別である。
「水月…頼んだわよ」
「はいはい。
大蛇丸が御執心の
その傍迷惑な師弟は現在、今後の計画を入念に話し合っているところだ。
しかも、水月は大蛇丸に任務を与えられているようだが、またいつものように無理難題を押し付けられているらしい。とはいえ、その無理難題を難なくこなすのが水月で、大蛇丸も水月に絶大な信頼を寄せているからこそ任せるのだろう。
「返事は一回…何回も言わせるんじゃないわよ、まったく。
はあ…今はそれよりもサスケくんについてよ。
そして、今回与えられた無理難題というのが、木ノ葉隠れの里の下忍で、大蛇丸が欲する少年──うちはサスケの身に宿った強大な力を目覚めさせろというものである。
水月がこれまで与えられた無理難題の中でも、そこそこのレベルの無理難題かもしれない。もし、うちはサスケの身に宿った強大な力が目覚め、水月が殺されたらどうするつもりなのだろう。
「私の懐刀なら余裕よね」
「うっかり殺しちゃわないように頑張る」
「サスケくんを殺しちゃったら、私があなたを殺すわ」
どうやら、水月が殺される可能性など微塵も考えていないようだ。寧ろ、水月が対象をうっかり殺さないかを心配しているらしく、大蛇丸は釘を刺している。
それにしても、大蛇丸に狙われてしまうとは……可哀想の少年が存在したものだ。水月はそう思わずにはいられない。自身は、大蛇丸に拉致されるも、弟子となり、立派な懐刀になるように鍛え上げられ、様々な忍術も教えてもらい、『呪印』を刻まれることなく自由に行動させてもらっているが、うちはサスケという少年は水月と違い、大蛇丸に呪印を刻まれようとしているのだ。
蛇は執拗。
大蛇丸から逃れることはできない。
水月はその少年に哀れみを感じずにいられなかった。
「任せたわよ、水月」
とはいえ、水月は師匠の命令に忠実に行動するのみ。
「はいはい」
「返事は一回。守らなかったら、次からはその度に草薙の剣で刺すわよ」
「ハイ…」
師匠に本当に忠実なのかは怪しいところだが…。
「香燐は僕とセットみたいなものだけど…もう1人がよりにもよって
大蛇丸め…いつか絶対に殺してやる」
「そ、そう…なのか?
(ウ、ウチが水月とセット…それってつまり!?)」
水月が大蛇丸に狙われる少年に対して哀れみを感じたのはほんの一瞬のみ。香燐はともかくとして、無理難題を押し付けられた上に、嫌がらせのような人選をされたことで、大蛇丸に対して殺意ある悪態を吐いていた。
対して、水月と共に行動するのが常な香燐は、水月にセット扱いされていることに、運命共同体と言われたかのような気分になり、内心かなり舞い上がり有頂天状態である。
しかし、あともう1人は違う。
水月の言葉に激怒し、問答無用で斬りかかってきたのだ。
「水月、言葉に気を付けろ。貴様が大蛇丸様の唯一の弟子でなければ、僕は今ここで貴様を殺していたところだ」
「殺していたところだって…すでに殺そうとしてるよね?」
香燐は水月を慕っており、良好な関係を築き上げることができているようだが、もう1人は違う。瞳の下付近に赤い隈取りがある古風な外見の少年──君麻呂は、水月と犬猿の仲らしく、会う度に何かとこうして衝突しているようだ。
ただ実際のところは違う。大蛇丸を崇拝するあまり、大蛇丸の唯一の弟子である水月に嫉妬しているだけ。嫉妬心が強すぎてしまい、嫉妬心が殺意へと
「黙れ。口を開くな。喋るな。
陸に上がった河童如きが、あの方の名を易々と口にするな。呼び捨てにするなど言語道断。
次に、僕の前で大蛇丸様の名を呼び捨てで口にしたら…殺す」
その殺意は本物で、水月でなければ間違いなく殺されていただろう。
「さすがに今のはイラっときたなァ。
確かに僕は水分をよく摂取してるかもしれないけど…」
だが、君麻呂では水月を殺せない。
君麻呂は大蛇丸のお気に入りで、大蛇丸から力を分け与えられている。ただ、弟子ではない。そこが、水月との明確な違いであり、水月と君麻呂の差なのだ。
「君じゃあ、僕は殺せないよ。
大蛇丸を崇拝してる程度の君じゃあね」
「殺──ッ!?」
そしてその差を、君麻呂は身に染みて理解することとなる。
水月に斬りかかった君麻呂は一瞬で地面に仰向けに倒され、水月は馬乗りになって君麻呂の眉間に人差し指を突き当てている。
「言葉に気を付けるのはいったいどっちかな?」
目は一切笑っていないが、にこやかな笑みを浮かべた水月は、人差し指を眉間から肩へとずらし、君麻呂に問い掛けた。
━━ 螺旋水鉄砲
ただ問い掛けるのではなく、君麻呂のその身に理解させるように問い掛けた。
「ぐうッ!
(た、ただの水の塊が何て威力なんだッ!
僕の屍骨脈の硬度を上回り貫通した!?)」
鬼灯一族の秘伝の水鉄砲の術は印を必要とせず、チャクラ量も少なく、それでいて至近距離で絶大な威力を発揮できる暗殺や拷問にもってこいの水遁忍術である。
水月が今放った水鉄砲の術は、そこに更に螺旋回転を加えることで威力を底上げしており、あらゆるものを貫通してしまう。
水鉄砲の術は、水月が最も使い慣れた忍術であると同時に、最も頼りにしている忍術だろう。その忍術を同じ里の仲間に使うとは……水月の怒り具合がハッキリと現れているようだ。
「え!?
ちょッ、な、何やってんだよ水月!!」
「うーん…お仕置き?
僕のこと、陸に上がった河童とか言いやがったし」
そして、水月の言葉に浮かれて思考が別次元へと行ってしまっていた香燐がようやく異変に気付き動揺するも、その異変の理由を水月から聞き納得していた。
「あー…な、なるほど。
(君麻呂…水月に河童は禁句だ。
カブトですら危機感覚えたって言ってたくらいだし…)」
だからきっと、香燐が水月を止めることはないだろう。寧ろ、止められるはずがない。
「あと二、三発くらい…いいよね?」
「ッ!?
(な、何だ…こ、この…人間が抗うことのできない荒れ狂った大海のような強大で禍々しいチャクラは!?)」
君麻呂は決して弱くはない。大蛇丸のお気に入りの1人で、大蛇丸の護衛役として存在しているエリートだ。
だがやはり、大蛇丸お気に入りのエリートと、大蛇丸の唯一の弟子の間には明確な実力の差がある。水月がたった今それを証明している。
「安心しな…殺しはしないから」
それはまるで、広大な海そのもの。君麻呂には、水月を推し量ることなどできない。
忍び五大国の一つ、火の国の忍びの隠れ里『木ノ葉隠れの里』にて、中忍選抜試験が開催されることが大々的に告げられた。
今回、木ノ葉で開催される中忍試験には、同じく五大国の一つで、木ノ葉の同盟国でもある風の国の隠れ里『砂隠れの里』も参加を表明しており、その他にも小国の隠れ里が幾つも参加することとなっている。
「ここが木ノ葉か…和かだねェ」
「平和ボケ感が漂ってるな。
(ウチもこんな里に生まれたかった…あ、そしたら水月と出会えなかった?それは嫌だな)」
そして、近年誕生した小国の隠れ里──音隠れの里からも参加者がいる。
ただ、音隠れの里の忍を甘く見てはならない。油断したが最後……大波に拐われ、深海深くへと沈められることとなる。
水鉄砲の術っていいよね。
途中からほとんど印の設定がなくなりつつあったけど、水鉄砲の術は見るからに印が必要なさそうだけど、木遁を砕いたり威力は高いし。
━━螺旋水鉄砲
水鉄砲の術に螺旋回転加えて威力を上げている。砂漠大葬にも耐えた君麻呂の屍骨脈を簡単に貫通する威力。