幻術なのか!?   作:スージーサーモン

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呪印の状態1はカッコイイけど、状態2は……状態3が出ると思ってたんだけど、3はなかったね。




幻術なのか!?弱者

 

 

 左半身を覆う呪印。

 

 チャクラの大きさも、質も、すべてが以前までとまったく違う。

 

「サ…サス…ケ…くん?」

 

 その変貌に、ピンク色の髪の少女は驚き、震えている。

 

 ただ、少年の名を呼ぶ少女の声は一切届いていない。

 

 少年──うちはサスケは、歓喜に震えている。

 

「ふ…くくく…力がどんどん溢れてくる。今なら、全てを燃やし尽くせそうだ。今のオレの火遁は火遊びなんかじゃねェぞ…地獄の業火だ」

 

 大蛇丸に刻まれた呪印が、うちはサスケに新たな力を与えた。今までと何もかもが違うことを感じ取り、何でもできると錯覚してすらいる。

 

「さぁて…借りは返させてもらうぜ」

 

 呪印を刻まれる前に、圧倒的な力の差を見せつけられ敗北した相手に、今は勝てる気ですらいる。

 

「サ、サスケくん、待って!

 そ、その人達は敵じゃないの!た、確かに最初は襲われたけど、今は違うの!!」

 

 だが、その力は闇の力。力を得たことによる代償は大きい。

 

 そしてもう一つ……その力は仮初めのものでしかなく、真の力には到底及ばないものだ。

 

 助けにやって来たフリをし、少女を騙して様子見を行っていた水月は、呆れ果てた表情を浮かべながら前に出る。

 

「はあ…やれやれ。春野サクラ…だっけ?とりあえず、何か変なことになってるみたいだから少し相手するよ」

 

 深い溜め息を吐く水月は心底呆れているようだ。圧倒的な力は、まだ底を見せてはいない。うちはサスケが味わった力は、氷山の一角にすぎない。

 

 水月の力は深海の如く深く、推し量ることができないのだ。

 

「焼き尽くしてやる」

 

「(これで本当に強いなら凄いと思うんだけど、弱く見えるんだよね…どうしてなのか…。)

 ん?」

 

 しかし、うちはサスケは水月との力の差を痛感する以前に、他にも上がいることを味わうこととなる。

 

「香燐?」

 

「ウチがやる」

 

 赤い髪が靡き、強大なチャクラが荒々しくその空間を支配している。

 

 すると、前に出た香燐は後ろを振り返り、水月ににこやかな笑みを向けてこう告げた。

 

「水月…今のウチの力をしっかりと見てくれ」

 

 そして、うちはサスケへと視線を戻した香燐は、水月が水鉄砲が放つ時と同じように構え、印を結ぶこともなく人差し指から鋭く閃く一筋の炎を放つ。

 

 

 ━━ 火遁・閃火

 

 

「おお!

 香燐も印なしの術を開発したのか!」

 

 それは、水月の波動水鉄砲に酷似していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「地獄の業火?

 はッ、()()()の間違いだろ」

 

 赤い髪の少女──香燐は、うちはサスケの放った火遁の威力のなさを鼻で笑いながら素早く印を結ぶ。

 

 そして、印を結び終えた香燐は心底呆れた表情を浮かべており…。

 

 

 ━━ 火遁・双龍炎弾

 

 

 香燐から放たれた火遁は激しく、荒々しく、双頭龍の形を象ると、うちはサスケが放った複数の小さな火の玉を呑み込み、そのままうちはサスケへと迫って行く。

 

「地獄の業火とか言うんだったら、せめてこれくらいの火遁を使えるようになってから言えっての」

 

「!?」

 

 同じ火遁使い。だが、香燐とうちはサスケの間には天と地の差がある。

 

 弟子でこそないが、香燐も大蛇丸から忍術の手解きを受けており、彼女の忍術の才能はなかなかのものだ。そもそも、水月が見初めたくノ一であるのだから、うちはサスケの火遁忍術が火遊びに見えてしまうのも当然だろう。

 

「く、くそがァ!!

(ぐ…な、何故…だ…何故なんだッ!

 オレは復讐者だ!たとえ悪魔に身を委ねようとも強くならないといけない!だからオレは新たな力に目覚めた!それなのに…どうして勝てない!?)」

 

 ただ、このままでは香燐の火遁がうちはサスケを燃やし尽くしてしまう。

 

 そもそも、香燐の目的はうちはサスケを殺すことではない。大蛇丸から刻まれた呪印に適合できるかどうか……その経過観察のようなものだ。

 

「香燐、気持ちはわからなくはないけど…やりすぎ。

(というか、僕と同じこと言ってるし。そりゃあ、同じ火遁使いの香燐からしたら、あの程度(火遊び)で地獄の業火とか言われたらイラっとくるよね)」

 

 

 ━━ 水遁・双龍水弾

 

 

 すると、香燐がうちはサスケを殺すことだけは避けるべく水月が間へと入り、双頭龍の形を象った水遁を放ち、香燐が放った火遁を鎮火する。

 

 水月が行動を起こしてなければ、うちはサスケは焼き殺されていたはずだ。

 

「ご、ごめん」

 

「謝る必要はないよ…わかってるから」

 

 自身の浅はかな行動を謝罪する香燐に対し、水月は責めることなく、優しくフォローする。元々、原因はうちはサスケ達を襲撃した水月にあるのだが、今回先に仕掛けてきたのは水月を敵と思い込んだままのうちはサスケだ。香燐はただ、応戦したにすぎない。もっとも、水月が敵であることは疑いようのない事実である。

 

 そして、この忍の世界は弱肉強食。常に死と隣り合わせで、弱ければ死に、強ければ生きる。賢くない者はいいように利用される。

 

「うちはサスケ…忍の世界では弱ければ死ぬ。変な力に目覚めて強くなった気でいるみたいだけど、あまり強い言葉も遣わないほうがいいよ。弱く見えるし。というか、弱いよね」

 

 うちはサスケは大蛇丸の呪印に適合できたが、水月や香燐からしたら雑魚でしかなく、同じ歳頃ではあるが経験の差か……簡単に何色にも染まる利用しやすい子供だ。

 

「う、うおォォォォォ!!」

 

 自身の弱さを受け入れきれず、逆上して闇雲に突進してくる様がうちはサスケの幼さの経験の乏しさ、忍としての実力のなさを物語っている。

 

「愚かで弱く、殺す価値すらない。それが今の君だよ…うちはサスケ」

 

「ぐッ、あぐ!」

 

 水月は突っ込んできたうちはサスケの足を素早く払って転けさせ、人差し指を額に突き付け馬乗りになる。

 

 実力、経験、賢さ……うちはサスケは何もかもが劣っている。埋めようのないとすら思える現実(水月)が、うちはサスケの目の前に聳え立っている。

 

「(オレはアイツを…イタチを殺すまで、こんなところで立ち止まってられるか!)

 オレは負けるわけにはいかねェんだ!!」

 

 だがその現実が、うちはサスケに更なる力を与えるのだ。

 

「…!

(写輪眼は負の感情の大きさで瞳力が増すんだったっけ?

 二つ巴だったのが、()()()に進化したね)」

 

 水月に負け、大蛇丸に負けた上に呪印を刻まれ、そして水月と香燐にも負け、うちはサスケは三度の敗北を味わった。その三度の敗北で己の無力さを痛感し、うちはサスケの写輪眼は完成形へと至ったのである。

 

「進化した写輪眼の力がどれ程のものか気になるから、面倒だけどまた相手してあげるよ。

 けど…この短時間で四度も敗北を味わう忍も稀だよね」

 

 とはいえ、それで水月に勝てるのか…。

 

 うちはサスケは、額に突き付けられた水月の手を払いのけ、再び戦いを挑む。

 

「黙れ!

火遁・豪龍火の術 !!

 

「へェ…ほんの少しだけマシになったね」

 

 瞳力が増したことで、チャクラ量も増したうちはサスケは、水月から火遊びと言われないレベルの火遁を放った。龍を象った豪火……その威力はこれまでの比ではない。

 

「まだだ!!」

 

 更に、うちはサスケはその豪火の龍を連射する。

 

 三度の敗北が、うちはサスケをここまで成長させるとは…。

 

「けど、まだまだ香燐には劣るね」

 

 

 ━━ 水機銃

 

 

 それでも、水月にはまだ勝つことはできず、香燐の火遁にも劣ると告げられてしまう。水鉄砲を連射させ、うちはサスケの豪火の龍は瞬く間に鎮火されてしまった。

 

「はあ…はあ…く…くそ…」

 

 今の火遁の連射で大量のチャクラを使い果たしてしまったうちはサスケは、チャクラも残り少なく満身創痍。チャクラ量も増しこそしたが、水月と香燐に比べたらチャクラ量の差も大きい。

 

「香燐、御手本を見せてあげたら?」

 

「えー…仕方ねェな」

 

 香燐は気怠そうにしながらも、複雑な印を素早く結んでいき、寅の印で締めると、今度は先程の二の舞にならないように、うちはサスケにわざと当たらないように火遁を放つ。

 

 

 ━━ 火遁・五龍連天火

 

 

 香燐が放つ五つの火龍。それは、うちはサスケが連射した豪火の龍を遥かに凌ぐ大きさと威力を持ち、着弾すると同時に爆発を起こし、その余波でうちはサスケは吹き飛び、大木に叩きつけられてしまう。

 

 これぞまさしく業火と呼ぶに相応しい火遁。

 

 もっとも、香燐にとってそのようなことはどうでもいいことだろう。彼女にとって何よりも大切で重要視するのは、己の力が水月の役に立つのか、水月を支えるに相応しいのか…サスケはただそれだけなのである。

 

 復讐の為に力を渇望するうちはサスケとは違う。

 

 香燐は大切な者の為に強くあろうとする。

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 中忍試験第二の試験のゴール地点となっている中央の塔。

 

「ご苦労様。

 あなた達のおかげで、サスケくんは今まで以上に力を渇望し…ふふふ、闇に堕ちるわ」

 

 中央の塔にて、水月達を待ち構えていた大蛇丸は、呪印を刻んだうちはサスケの現在の状態を聞き、嬉しさのあまり狂気に満ちた笑みを浮かべ、感極まっている。

 

 獲物が自分好みに染まるのが余程、嬉しいのだろう。

 

「大蛇丸って趣味悪いよね」

 

「それはウチも同感。

(あんなガキのどこがいいんだ?まァ、どうでもいいか…)」

 

 水月と香燐からは趣味の悪さを指摘されているが、大蛇丸はまったく気にしていない。

 

「大蛇丸様…。

(くッ、あんな弱いガキよりも僕の方が…いや、大蛇丸様が決められたことだ。僕は大蛇丸様の命令に従うのみ)」

 

 今回ばかりは、君麻呂も大蛇丸の趣味の悪さに思うところがあるらしく、水月と香燐に珍しく絡んでいない。うちはサスケの弱さを目の当たりにしてしまったのが原因だ。

 

「ああ早く…()()()()()()()()()()が欲しいわ」

 

 ただ、大蛇丸が欲しているのはうちは一族の身体と写輪眼で、強大な力を秘めていることは事実。そして、写輪眼の瞳力は闇に堕ちることで増す。大蛇丸の狙いはまさにそこにあり、うちはサスケは今回の四度の敗北で己の無力さを痛感し闇に呑まれ、今まで以上に力を渇望していることだろう。

 

 力を渇望するあまり、力を得る為に手段を選ばない可能性もある。

 

「あんなに嬉しそうな大蛇丸見るの初めてかもしれない」

 

 事は大蛇丸の計画通り。愚かな子供は、何色にも簡単に染まるのである。

 

 






香燐の性質変化の一つは火遁。

火遁・閃火
水月の波動水鉄砲の火遁版。

双龍水弾と双龍炎弾。
双頭龍の形を象った水遁と火遁。水遁・水龍弾、火遁・火龍炎弾の上位版。

火遁・五龍連天火
豪龍火よりも大きい龍を象った炎を五匹放つ。
着弾と同時に爆発する。

水月の水鉄砲シリーズ。
水機銃。
水鉄砲を連射する。

サスケくん、闇堕ち進行。
水月に負け、大蛇丸に手も足も出ずに呪印を刻まれ、呪印に目覚めたのに水月と香燐に負け、写輪眼が完成形に至ったのに水月に負け…短時間で四度も負け…。

サクラは水月に表向き助けられたことで、騙されております。
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