オラリオの覇王   作: 朔夜

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高評価とお気に入り登録されるって、こんなに嬉しいんですね(;´・ω・)

明日から平日ですけど頑張ります。


覇王、ファミリアを結成する

 

シンドバッドとアリーゼが運命の出会いと別れをした翌日の朝、シンドバッドは迷宮都市オラリオのメインストーリートから1つ外れた裏路地の教会で、健やかに寝ていた。しばらくすると、朝市の時間帯になり、メインストーリートが次第に活気を帯びていく。その活気は裏路地の教会内にも聞こえ始める。

 

ガンガンと激しい頭痛と騒音、そして教会のステンドグラスから差し込む眩しい朝陽によって無理矢理に眠りから起こされる。

 

 

「…痛てて、頭がカチ割れそうだ。たしか昨日は酒場で出会ったドワーフたちと意気投合して飲み明かして…」

 

 

 あのドワーフたち、「これがオラリオの洗礼だ」とか言って、秘蔵のドワーフの火酒を七樽開けたところまでは覚えているんだが…次、酒盛りする時は覚えとけよ。絶対に負かしてみせる。オラリオへの旅路では、酒豪、蟒蛇などの二つ名を欲しいがままにしていたシンドバッドにとって昨夜の出来事は悔恨が残った。

 さらに昨夜の酒場での記憶を掘り起こそうとするが、激しい頭痛に苛まれ、それどころではなく記憶を思い出すのを諦める。

 

 

 「もう酒は飲まない。特にドワーフとは。」

 

 

 二日酔い時の定番の言葉を吐きながら、一週間以内に破られるであろう約束を己に課す。昨夜の記憶は曖昧になっているが、昨日のギルド内での記憶は覚えているため、思い返す。

 

 昨日はアリーゼと別れた後、ギルドへ向かった。ギルド所属の受付嬢からは2つの提案をされた。

 

 ①自分自身でファミリアに売り込みをかけ、入団すること

 

 ②ギルドに団員募集をかけているファミリアに入団の志願をすること

 

 結果として、俺は①を選んだ。というのも、②のギルド内で募集されているファミリアに運命を感じなかったからだ。

 最後に受付嬢から、ファミリアに所属し冒険者になったとしても必ず冒険はするなと忠告を受けたが、なってもいないので軽く流しておいた。

 ギルドを訪れた後、最大手と説明されたゼウスファミリアとヘラファミリアに訪れたが、門番に門前払いをされた。その流れでヤケクソもこめて酒場に入り、今に至る。

 そのため、ギルドでは満足できるほどの情報を得ることが出来ず、酒場では言わずもがなだ。

 

 

「さて、今日は何をしようか…やっぱり、ファミリアさが「キャー!変態!」

 

 

 今日の予定を考えていると、教会の入り口から女性の悲鳴が聞こえた。女性の悲鳴とあらば、東西南北どこへでも駆けつけて助けるのがモットーのため、シンドバッドは二日酔いの身体に鞭を打ち駆け出した。

 

 

「…お嬢さん、もう大丈夫だ!俺が助けに来た!…こんな聖なる場所で朝から不貞を行う罪人はどこだ!俺が相手をしよう」

 

 

 シンドバッドは教会の入り口に着き、悲鳴声の主を探す。

 周囲を警戒しながら対象の人物を探していると、視界の端から特徴的な真紅の髪と剣筋が見えた。しかし、その剣は己に向けられており、意表を突かれたシンドバッドは無理な姿勢を取りながら、躱す。

 

 

 「てんちゅーう!…あなたが聖なる教会の朝にてシスターと我が主神を辱めた変態なのね!私が来たからにはもう好きにはさせないわ、我が主神に誓って。いざ、せーいばーい!」

 

 

 シンドバッドは己に向けられた連続の剣戟を躱していく。

 シンドバッドの視界の先には、昨日互いの未来と希望と再会を誓い合った少女がいた。

 

 

 「あ、アリーゼ!俺だ、シンドバッドだ。なぜ俺に剣を向ける!やめてくれ、今は悲鳴を、変態に襲われている女性を助けなければいけないんだ」

 

 

 「知っているわ!だからこそ、私は…シスターの悲鳴の原因である変態であるシンドバッドを断罪せねばならないわ!シンドバッド、あなたとは…高め合えると競い合えると思っていたのに!…劇的な再会でも、こんな再会になるなんて!」

 

 

 「だから、剣を向けられる身に覚えがない。冤罪だ!俺は助けに来たんだ!変態は他にいる!」

 

 

 自身の冤罪をアリーゼに訴えかけるが、アリーゼの剣は止まることはない。それどころか、剣筋は更に鋭く、更に多彩になっていく。

 

 

 「シンドバッド、一体なにを言っているの!自分の姿を見てみなさい!」

 

 

 アリーゼの忠告を聞き、シンドバッドは自身の姿を確認する。

 

 なんと、自身の身には装飾品・服・荷物入れ等全て無くなっており、身に着けているのは股関部を隠している大葉のみであった。

 シンドバッドは頭が真っ白になりかけるが、多彩な剣筋が自身に向けられている以上、思考を加速させる。そして、再度自身の服装を注視する。シンドバッドは状況を整理でき、アリーゼの説得に試みる。

 

 

 「こ、これは違うんだ、アリーゼ!一度落ち着いて釈明させてくれ。この姿は女性を襲うためにしているわけではないんだ、他意はない。こんな姿で説得力はないかもしれないが、数少ない俺の尊厳に誓って襲う気など毛頭なかった」

 

 

 アリーゼに釈明の機会を訴えかけるが、アリーゼの猛攻は止まらない。

 そんな絶体絶命のシンドバッドに救いの声、救いの手を差し伸べる1人の女神がいた。

 

 

 「アリーゼ。剣を収めなさい。この男の子、嘘は言っていないわ。そして、あなたはまだ私の眷族にはなっていないじゃないの。」

 

 

 「え~っ!アストレア様!既に、私の心はあなたの眷族です。そしてシンドバッド、あなた、その大葉1枚の類いまれなる性癖の姿を晒して、本当に襲う気がなかったのね。……や、やっぱりね。わ、私はシンドバッドのことを最後まで信じていたわよ。あなたはそんなことしないって。」

 

 

 ‘自称’真紅の美少女剣士アリーゼの猛攻は、1人の女神によって止められ。シンドバッドは己の尊厳と威厳を少しだが保つことが出来た。

 

 

「ふーっ。た、たすかった…女神様、ありがとうございます。あなたのおかげで我が人生を終えることはな‥‥!!

 

 

 

 

 

 

 

 

麗しき女神アストレア様。不肖、私シンドバッドはあなた様に仕えるために、全てを捧げるために、このオラリオの地に導かれたようです。そう、これは運命。そうに違いない。昨日の屈辱も昨夜の過ちも、今この時のための前座。ぜひ、私をあなた様の眷族にさせてください。必ずや、あなた様の絶対無敵の楯となり、無敗の矛となりましょう。かの三大クエストのベヒーモス・リヴァイアサン・黒竜、全ての敵を屠ってみせましょう。」

 

 

 「い、いや。アリーゼもそうだけど、まだ私ファミリアもないのだけれど…今日だって教会の孤児院の炊き出しに来ただけだし…」

 

 

 「ならば、今ここで創りましょう。アストレア様と俺の冒険譚の始まりを。永遠に語り継がれる神話譚の始まりを。」

 

 

 シンドバッドはそう決め台詞を述べて、女神アストレアの前に跪き、女神の御手に誓いの口付けをかわした。

 

 

 「い、いや、シンドバッド。あなた、なんて格好でアストレア様の御手に口付けをしているのよ。そ、それに私が先に眷族の願いを伝えたのだけれど…!」

 

 

 アリーゼの言うとおり、シンドバッドは全裸に近い姿で、女神アストレアの前に跪き、女神の御手に口付けをしていた。その様子は、神話をモチーフにした絵画のようでもあった。…只の全裸の変態男が女性の手に口付けをしているともみられるが。

 

 

 それが、将来「オラリオの覇王」と名を馳せるシンドバッドと正義の女神アストレアの出会いであった。また、「オラリオの正義の砦」として名を馳せるアストレアファミリアの誕生であった。そして、これが痴態とファミリアの恥という理由から語り継がれることのないアストレアファミリアの誕生の秘話であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …その後、シンドバッドはアリーゼとアストレアの誤解を解くため、大葉1枚の姿になった経緯と、現状一文無し、宿無しの説明をした。誤解は無事解くことが出来たが、場所と恰好が社会的に良くない為、アストレアファミリアの一行はアリーゼの宿に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いや、その…私はファミリアもホームもないのだけれど

 

 

 

 

 

 

   …え、本当に眷族になるの?今日ファミリア結成するの?」

 

 

 

 

こうして、零細ファミリアであるアストレアファミリアは2人?の眷族によって、女神の意思関係なく結成されたのであった。

 

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