花騎士とレズ団長とセクハラ六人衆   作:イッチー団長

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遂に始まるバニラちゃんVSムラサキ姐さん、因縁の戦い


冬の夜の決斗

「こんにちは、アクア団長」

 高級レストランにてアクアとソヨゴを待っていたのは、ベルガモットバレーの花騎士ブリオニアだった。

 

「ブリオニアちゃん、今回は共同戦線の申し出、ありがとうございます」

「今は春庭が力を合わせる時だからね……他国家からも頼もしい助っ人が来てくれてるよ」

「他国家から……?」

 アクアが辺りを見回すと、こちらへ駆けてくる黒髪の少女が見えた。

 

「アクア団長!」

「お~、あなたは新米のクロ団長。バナナオーシャンに帰ってたんじゃないんですか?」

 そう言われ、クロは恥ずかしそうに頭をポリポリと掻いた。

「えへへ……バナナオーシャンを代表してアクア団長に協力してこいって……いきなり重大任務ですよ」

 

 元々クロが他国のアクア騎士団で研修していたのも、バナナオーシャンがアクアとのコネを作るのが目的だった。今回は丁度いい機会だからと、アクアの知り合いのクロを派遣したというわけだ。

 

「幸い、バナナオーシャンはまだ襲われてませんからねぇ」

「でも油断は禁物。セクハラ六人衆の内、後一人の正体が掴めてないからね」

「後一人ですか……」

 アクア達の喉がゴクリと鳴った。

 

「まぁ、こちらもそれなりの戦力を用意してるんだけどね」

「戦力?」

「これから来るよ、『あの花騎士』がね」

 

 

 


「たぁぁぁっ!」

 バニラの連打がムラサキを襲う。

「ふっ! 中々やるようになったわね、お嬢ちゃん!」

「余裕ぶってるのも今の内ですよ!」

 

「ふんっ!」

 バニラのローキックが決まり、ムラサキは体勢を崩した。その顔面目掛け、バニラのアッパーが繰り出される。

「がっ……!」

 

 パンチをもろに受けたムラサキは、鼻から血を吹き出した。その返り血はバニラにも浴びせられる。

「ふふ、学習しないわね。私の血は媚薬だって言ったでしょう?」

「ふぅ~! ふぅぅ~!」

 バニラの息が荒くなる。だが彼女はポケットから瓶を取り出し、その匂いを嗅いだ。すると、

(息が整った……?)

 

「バニラちゃんは調香師ですよ。このくらい……全然平気です」

「なるほど、匂いで暗示をかけているわけね」

 バニラは子供の頃害虫に襲われたトラウマを、匂いによって消していた。それほど強い暗示が可能なら、媚薬の効果を消すことなど容易いだろう。

 

「でもそれ、相当身体に負担が掛かるんじゃない?」

 バニラの額に冷たい汗が流れる。

「それでも……あなた一人を倒すくらい問題ありません!」

 

 

 

 バニラの激しい攻撃に、ムラサキは防戦一方となる。何度か打撃を受け、顔からは血が大量に流れている。

「はぁ……はぁ……」

 だが、追い詰められているのはバニラの方だった。

 香りで暗示をかけていると言えど、ムラサキの媚薬はバニラの身体を蝕んでいる。その身体を無理矢理動かしているのだから、体力の消耗は激しくならないはずがなかった。

 

「……ふんっ!」

「ぐっ……!」

 ムラサキのアッパーがバニラの腹に決まる。うずくまる彼女の顔面に、ムラサキの膝が襲い掛かった。

「がぁっ!!」

「ほらほらどうしたの? 動きが鈍くなってるわよ♪」

 

 戦いは一方的なものとなった。ムラサキは倒れるバニラの髪を掴み、無理矢理立たせる。そしてその顔面に打撃を放つ。それを何度も何度も繰り返した。既にバニラの可愛らしかった顔は血塗れになっている。

 

「辛いでしょ? 私のペットになるのなら、これで許してあげてもいいわよ?」

 ムラサキがバニラの髪を掴みながら言う。

「だ、誰があなたなんかの……」

 バニラは鋭い目付きでムラサキを睨み付けた。

「良いわね、その眼……ゾクゾクしちゃう♡」

 

 ムラサキは自分の腕を噛むと、血の流れる腕をバニラの面前に持ってきた。

「さぁ飲みなさい。この血があなたの体内を回るころには、あなたはもう私の性奴隷♡ たぁくさん可愛がってあげるわ♡」

 

 バニラは抵抗しようとするも、ムラサキの腕力から逃れることが出来ない。血が近付いてくる。

「くっ……」

 バニラの全身から力が抜けた。

「あら、諦めたのね。良い判断だわ」

 ムラサキがその血を飲ませようとした、その時だった。

 

「ごぁぁっ!」

 ムラサキの鼻がへし折れた。バニラの頭突きが直撃したのだ。

「はぁ……はぁ……」

 両者共に地面に倒れ込む。先に立ち上がったのはバニラだった。

 

「あ、あたしは……最後まで諦めない!」

「ふふ……優しくしてあげようと思ったけど、そうもいかないようね……」

 

「いいわ……心も身体も壊して、死んだ方がマシと言えるくらい凌辱してあげる♡」

 

 

 


 ムラサキがバニラの首を掴む。

「ぐ……ぁぁ……」

 もがき苦しむバニラに、ムラサキは指を2本突き立てる。狙いはバニラの目だ。

「その綺麗な眼、くり貫いてあげましょうね♡」

「ぐぅ……!」

 

 指はバニラの目元にピッタリとくっ付けられた。だがバニラの闘志は決して消えることはない。

「やれるものならやってみなさい! 例え目が失くなっても、バニラちゃんは屈服なんてしません!」

「あらあら。それじゃあ遠慮なくやらせて貰うわ♡」

 

 ムラサキが指先に力を込めたその時、

「ぐぁぁっ!」

 ウィンターローズの寒空の下に女の悲鳴が轟いた。バニラではない、ムラサキが悲鳴を上げたのだ。

 

「くっ!」

 ムラサキの腕がミミズ腫れのような痕が出来ていた。細長い何かが強烈に打ち込まれた痕だった。その痛みで思わずバニラを放してしまった。

 

「誰っ!? 人の楽しみを邪魔する奴は!」

 その声に応じるように、闇の中から人影が表れた。白地に金の装飾を散りばめた服が、闇の中に異様な存在感を放つ。小さく華奢なシルエットは少女のようだが、その女から放たれる威圧感は尋常ではなかった。ムラサキの腕に鳥肌が立ったのも、その威圧感のせいであった。

 

「あ、あなたは……」

「バニラとはまた闘う約束をしてるんだ……あなた何かに殺らせない」

 その女の赤い瞳が、闇の中に妖しく光り輝く。バニラは白い息を吐きながら、その女の名前を叫んだ。

 

「スイカズラさんっっっ!!」




バニラちゃんとスイカズラの因縁は本編のテニス回をご覧ください(宣伝)

ムラサキ戦は次回くらいに決着が付く……かな?

ここまで読んで頂き、ありがとうございました
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