セクハラ六人衆はまだ五人しか出てませんが、六人目も濃いキャラにする予定です
警報が鳴り響く城内。
「何だ!」
「何があった!?」
屈強な警備員達が次々と集結し始める。その標的はたった一人の女だった。
「流石聖女の城、少しは楽しめそうですね」
そう言って銀髪の女、グレーは微笑んだ。
「ぐぁぁっ!」
軽々と吹き飛ばされていく警備員達。
「ば、馬鹿な……世界最高のセキュリティがこうもあっさりと……」
驚くのも無理はない。ここに集うのは様々な格闘技を極めた者達。それがたった一人の女に手も足も出ないなど、誰が想像出来ただろうか。
「皆、下がってな」
「アタシ達が蹴りをつける」
他の警備を下げ、二人の女がグレーの前に立った。
「ほぅ……アマチュアレスリングのウマザワ選手と柔道のハタケ選手。共にリンゴピックの金メダリストですか。世界最高の警備は伊達じゃないようですね」
「余裕こいてられるのも今のうちだぜ」
「だぁっ!!」
最初に仕掛けたのはレスリングのウマザワだった。素早く強烈なタックルがグレーの左足を襲う。しかし、
(な、何て体幹だ……ビクともしねぇ……)
「背中が隙だらけですよ」
「なっ……がぁっ!」
グレーのエルボーが垂直に振り下ろされる。ウマザワは血を吐いて倒れた。
「くっ……!」
柔道の構えを見せるハタケにグレーは間合いを詰めていく。彼女の目前に迫ると、不敵にニヤリと笑った。
「すみません。さっきのは私が大人げなかった……」
そう言ってハタケの襟を掴む。
「さぁ、あなたの得意な柔道ですよ。これなら少しは楽しめるでしょう?」
「こ、この……ちゃぁっ!」
重量級のハタケが仕掛ける大外刈り。世界大会でも幾度となく一本を取ってきた必殺技だが、
(う、動かねぇ……潰され……!?)
大外を潰し、ハタケを地面に押し倒したグレーは、そのまま彼女の首を絞めに掛かった。
(片羽絞め……!)
代表的な柔道の絞め技だ。それを柔道金メダリストが素人に掛けられている。あまりにも屈辱的な事実に涙しながら、ハタケはグレーの腕をタップした。最早戦意は残っていなかった。
「……ちっ」
タップされたことなど構わず、グレーは彼女を絞め落とす。
「所詮はスポーツ選手ですか……」
そんな捨て台詞を吐いて城の中へ足を進めるのだった。
同時刻、警備員達は新たなる4人の侵入者に翻弄されていた。
「ぐぉぉっ!」
「この程度か。期待外れだな」
「もっと楽しめると思ったのに、残念なのね」
「うわぁ~、ここの警備弱~い♡ ざぁこ、ざぁこ♡」
「うふふ、後で可愛がってあげるわね♡」
真紅、ハニー、アンズ、ムラサキ、そしてグレー。セクハラ六人衆の内五人がこの城に集結していた。
別に示し合わせたわけではない。ただ強者故に引かれ合うところがあるのだろう。
「よく来たわね、五人とも」
五人の中心に、聖女がふわりと降り立つ。遅れてアクア達も駆け付けた。
「皆、ここに何をしに来たの?」
「決まっているでしょう。強い者と戦うため。私の行動目的はいつも同じです」
「そうだね。今日は運が良い……強そうな女をこんなに喰えるなんて」
真紅の鷹のような鋭い瞳がグレー達を見回す。その視線に答えるように彼女らも殺気を送る。正に一触即発。
その張りつめた空気を壊したのは、聖女の一声だった。
「こらこら、あなた達。仲間割れは良くないわよ」
「別に仲間意識はありませんが……」
六人衆と呼んでいるのは便宜上で、彼女達が顔を合わせるのはこれが初めてなのだ。
「でもどうせなら戦って見たいでしょう、『あなた達より強い女』と。ね、アクア?」
「何でそこで私に振るんですか……」
五人の視線が一斉にアクアに注がれる。
(うわぁ……めっちゃ見られてる……あ、この熊のロリっ子可愛いな)
「あなたが噂のアクア団長ですか」
「しかしあまり強そうには見えないな」
「アクアは私の子供達の中でも上位の存在、舐めて掛かると痛い目を見ることになるわよ」
「あらあら、私は最初からアクア狙いよ♡」
そう言って一歩前に出たのはムラサキ。その豊満な胸がぶるんぶるん揺れている。
(羨ましいな、あのお胸……)
ソヨゴの視線はその一点に釘付けになっていた。
「今この場でヤリましょう♡ いいでしょ、アクア♡」
「えぇ……でも私達姉妹じゃないですか……姉妹と戦うなんて……」
「いいじゃないの、ね?」
笑顔で距離を詰めるムラサキ。しかし隠しきれない程の殺気が漂っている。アクアも意を決して構えたその時、
「待ちなさいっ!」
「バニラさん……!」
天井から降ってきたのは白いツインテール、花騎士のバニラだった。
「あらあら、またお姉さんに相手して欲しくなったの? 物好きなお嬢ちゃんね♡」
「あまりバニラちゃんを甘く見ないことです。貴女ごとき、団長さんが相手をする必要もありません!」
「へぇ……やんちゃな娘ね……」
一歩、また一歩距離が縮まっていく。次の瞬間にも戦いが始まるかと思われた時、少女の通りの良い声が部屋に響いた。
「失礼します。ここにハニーさんはいますか?」
「ヒーローの力が必要だと聞いて、スカシユリ推参したのだ!」
「真紅さんにチャンプの借りを返しに来た」
「サントリナちゃん、スカシユリちゃん、ブリオニアちゃん……まさか母様が呼んだんですか?」
「そうよ。面白いものが見れると思って」
向かい合う花騎士達とセクハラー。
「お姉さん、またハニーに負けに来たのね?」
「今度は負けませんよ、絶対に」
「うわぁ~、この前の雑魚お姉さんだ~♡ またアタシに抱かれたいの? 仕方ないなぁ♡」
「ぐっ……この前の借りは必ず返してやるのだ」
「まさか自分から会いに来てくれるとは、嬉しいね」
「チャンプと約束したからね、必ず勝つって」
「お母様は中々粋なことをなさる……で? この花騎士全員、私が喰らっていいんですか?」
「待つのね。ここのお姉さん達は皆ハニーの獲物なのね」
「まったく……あなた達ったら……」
大きく溜め息を吐く聖女。その表情は何処か嬉しそうにも見えた。
「いいでしょう。これは喧嘩、ルールも糞も無いわ。今ここで始めても良し、街中でおっぱじめるも良し、食事中や寝込みを襲うも良し。花騎士もそれでいいわよね?」
「え~、でもソヨゴちゃんとの時間を邪魔されたく「「「「はい! 問題ありません!」」」」
「全会一致で可決ね」
「……」
「それじゃあ既に戦いは始まってるということだな?」
「そう言うこと……ですね」
ぐにゃりと空間が歪むような威圧感が、その場の全員から発せられる。その空気の中、アクアが手をあげてポツリと呟いた。
「あの……もう時間が時間ですし、今日はこれでお開きにしませんか?」
「……それもそうですね」
「解散……するのね?」
若干名残惜しそうな者、不敵な笑みを浮かべる者、それぞれ反応は違ったが、この場はこれで解散となった。アクア達もセクハラー達も各々の拠点へと帰っていく。
「何とも締まらない始まり方ね……」
翌朝。
「はっ、はっ!」
アクアの上司であるオリビアが、日課のランニングを行っていた。既に年齢は30後半に差し掛かるが、肉体的には全く衰えることを知らない。それも日頃の鍛錬の賜物であった。
いつものコースの10km地点、河川敷の辺りに差し掛かった時だった。オリビアは突如足を止めた。
「……何か用かね?」
白い息を吐きながらゆっくりと振り返る。そこにいたのは杏色のショートツインテール、小麦色の日焼け跡の残る肌を露出させて、大人を挑発しているような少女、アンズだった。
「一目見た時からビビっと来ちゃった♡ おばさん、あの中で一番強いでしょ?」
「どうかな? 私は花騎士でも騎士団長でもないし、君の期待に沿えるか分からんぞ?」
「もう……猫被っちゃって♡」
「それは君も同じだろう?」
「うふ♡」
二人の距離は5m程。アンズがじりじりとその距離を詰め始める。
「楽しませてよね……おばさん!」
走り出すアンズ。それに応じ、オリビアも腰を落とし、迎撃体勢を取るのだった。
いきなりオリビア大佐に喧嘩売るメスガキの運命やいかに
ここまで読んで頂き、ありがとうございました