その時、艦娘達に衝撃走る。

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あぁ、あそこの鎮守府ね…

 

 

その日、執務室には提督の片腕とも言える艦娘達が集められていた。

 

「それで、提督、今回はどのような任務でしょうか?」

 

艦娘達の中の一人、大淀が提督に尋ねる。

その場に集った加賀、ビスマルク、足柄、あきつ丸、島風は提督の返答を固唾を呑んで待った。

提督の信頼の厚い、任務に忠実な艦娘達であった。

 

 

やがて少しして、提督はデスクから重い腰を上げて、告げた。

「…我が子が艦娘に狙われている」

 

 

艦娘達に衝撃走る。

提督は続ける。

「先日、食堂にこんな本が落ちていた…っ!」

 

『このオスガキ♡!分からせてやるぴょん!!』

 

艦娘達の足元に一冊の薄い本が放られた。

艦娘達は一気に顔面蒼白になった。

 

普段は温厚だが武闘派叩き上げで名を上げた女提督、雷同提督の逆鱗。

愛する我が子の勇ちゃん(9歳)を汚された彼女は静かな怒りを発しながら艦娘達を見つめた。

「て、提督、こ、これは一体?」

 

誰だ?、いや、コレを執筆した者は見当がつく。

一体誰がそんな所にこんな劇物を置いて行ってしまったのか?

「どうやら我が鎮守府には私の勇を不埒な目で見ている者がいるようだ」

 

瞬間、艦娘達に動揺が走る。

次に声を上げたのはビスマルクだ。

「な、なんですって!?提督!冗談じゃないわ!あの天使を不埒な目で見るなんて!許されることではありませんよ!」

興奮のしすぎで少し口調がおかしくなっていた。

 

 

「そうだ。私は今怒りに怒っている。私の子だ。勇は幼く可愛く素直な天使だ。艦娘達の趣味嗜好はそれぞれだ、勇に懸想したとしても良いだろう。私に見えない所でならな」

だが、と提督は続ける。

「薄い本とはいえこうして我が子が凌辱される様を見せつけられるとは、ショックが大きかったよ」

 

提督は再びデスクに頭を落とした。

ショックが伝染したのか、凌辱〜のくだりで島風が「うっ」と呻き屈み込んだ。

「諸君らにはコレの持ち主が誰なのか探ってもらいたい」

「なるほど。…提督、その聖sy、いえ、書物を詳しく拝見しても?」

加賀が瞳孔の開いた目で薄い本を見つめる。

そうとうキてる目だ。

提督は言葉無く頷いた。

 

 

 

 

「…………ほぅ、……ん〜、……ほうほう」

 

一冊の薄い本を艦娘達が囲み、ペラペラと紙を捲る音が執務室に響く。

やがて艦娘達は本を読み終えた。

「それで、何か手がかりや心当たりはあるか?」

提督の言葉に艦娘達は顔を見合わせる。

心当たりがない訳ではない。

というかありすぎる。

 

 

 

 

 

 

 

なぜなら、この薄い本は雷同提督の部下の艦娘達ほぼ全員が所持しているからだ。

だが万一提督の目に入らぬよう各々プライベートルームで保管し楽しんでいるはずだ。

 

この薄い本の出処やその他諸々が提督にバレて禁止されでもしたら次に勇とイチャイチャキャッキャウフフできる艦娘が誰なのか(薄い本の中で)気になって眠れない。

もしかしたら自分かもしれないという楽しみも無くなる。

 

どうすれバインダー。

というか一体誰なんだ食堂なんかに置いて行ってしまったヤツは!?

艦娘達は窮地に陥ったのである。

 

 

「ふむふむ、これは精査に時間がかかるかも知れませんなぁ。提督殿、この書物少しお預かりするであります」

 

いつもよりも青白い顔のあきつ丸が薄い本を懐にしまおうとした。

「待て、あきつ丸。それは許可しない。懐にしまうな」

 

提督があきつ丸を止める。

しかしあきつ丸はそそくさと薄い本を懐にしまい執務室を後にしようとした。

「大丈夫でありますから、必ず手がかりを掴むでありますから」

「待て、本を返しなさいあきつ丸、お前達、あきつ丸を捕らえなさい!」

 

「ッ!こ、この本は自分のであります!!食堂に置き忘れたのは自分であります!ごめんなさいであります!!」

加賀とビスマルクに捕らえられながらあきつ丸が声を荒げる。

 

それを聞いた提督はバン!とデスクを強く叩いた。

「お前だったのか、あきつ丸。

しかも食堂でっ!?ッハ!!勇が凌辱されるのをおかずにしたってわけかっ!!」

 

 

凌辱〜のくだりで再び島風が屈み込む。

大淀と足柄がドン引きした目であきつ丸を見ていた。

一拍の間、誰も言葉を発せず、沈黙していた。

「………って……」

 

やがて放心した顔のあきつ丸が言葉を発した。

「…だって!だって勇殿のおしりが可愛かったんだもの!!勇殿のおしりがカワイイのが悪いんでありますぅ!!」

 

それはあきつ丸の心からの叫びだった。

慟哭だった。

あきつ丸を押さえながらビスマルクは静かに肯いていた。

 

 

「あきつ丸に一週間ドックと食堂の清掃を命ずる。その間出撃は無しだ」

 

提督は涙と鼻水で汚い顔になったあきつ丸にそう命じた。

そして艦娘達に告げた。

「今後はこういったモノは私や勇の目に触れる場所に置かないで貰いたい」

 

 

「て、提督…、作者を突き止めたり、コレを禁止したりしないの?」

 

足柄が恐る恐るといった具合に提督に訊ねた。

 

 

「さっきも言ったが、誰でもみんな、艦娘達も、趣味嗜好はそれぞれだ。勇に懸想したとして、私が何を言おうが止めさせたりは出来ないだろうよ」

 

「…提督」

 

「ただ、私からすると我が子が、というのはショックがデカすぎるし、勇もまだ幼いんだ。だから私と勇には見えない所でなら、許そう」

 

提督の言葉に艦娘達は安堵した。

これまでどおりプライベートで楽しむ分にはお許しが出たからだ。

しかし、このような事件がまた起きたら次は無いかもしれない。

そう思うと再発防止のためにみんなに言って聞かせなければと執務室の艦娘達は決意したのだった。

 

 

 

 

おしり


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