どらごんれでぃいらばーず!!!~現代日本で竜娘にTSしたけど同じ超可愛い竜娘(問題児)と支え合ってハーレム生活を満喫します!~ 作:囚人番号虚数番
朝九時、通勤通学が落ち着く時刻にて。俺とニエは電車に乗って街へと向かっている。平日の上りの社内は混んでいて、二人が隣同士で座れたのは幸運だった。俺は窓の外を眺めながら今日をどう乗り越えるかを考え、ニエはそんな心配をよそに俺のスマホでゲームに興じている。
「ふーん、結構簡単にクリアできるシステムなんだね」
「誤操作で課金しないようにな」
電車には驚かないのか、と俺は疑問に考える。聞くと逃亡中に何度も見ていて今更見ても何も思わないらしい。しかし実際に乗車は初だそう。
ひいろの家のある地帯は鳴葉でも田舎の観光地に近い位置である。電車から見える景色には乗車から暫くは木々の緑が混じる。その背景に段々と背の高い建物が混じり始め、比例して乗車する人々も少しずつ増えていく。ニエも変わる雰囲気を察知しゲームを止めてそわそわし始めた。
ついでにケータイを返してもらいメールを確認する。予想通りナツメに予約してもらったホテルからの連絡とひいろからの怒涛の催促だった。そうだ、救出の時の為に今夜のホテルの場所を蕾さんに送っておこう。よしこれだけあれば安心だ。丁度目的の駅に到着した。
席を立ち、ニエ連れて電車を降りる。そして人ごみに揉まれて遂に街に辿り着いた。
ー--
ー鳴葉駅前
高層の建物が乱立するこの街でもかなり発展した一帯。この街で何かをするなら最後には大体ここに来る。勿論娯楽施設も充実していて遊びには困らない。俺も何度も訪れたなじみの街だ。
「おお……昼間の街ってこんなに大きかったのね」
「夜には来たのか。逆に凄いな」
「まあね、騒がしいと昂ってきちゃうし動くなら夜が肌に合ってたの。それに光って目立つし流れを辿ってたらここにいた。歩いたのは路地裏ばっかだけどね」
なるほど。流石は竜というべきか、本能的に危険を回避する能力が高い。けれど一度来たのとがあるなら話は早い。
「で、今日はどこまで逃げるの?」
「うーん、実は数日はここで情報を集めたいんだよ。ほら、ひいろに隠れて動くなら逃亡先はしっかり吟味したいだろ」
詭弁だ。実際はただこの辺りが都合が良いだけだ。
「確かにそれは重要よね。私も協力する。じゃあ今日はこの街を探検ね!」
彼女も納得してくれた。話しぶりからして俺の話を信じ切っている。こいつ絶対騙されやすいタイプだぞ。彼女が騙されないよう俺が気をつけないと。さて、まずは何しようか。この時間帯だと遊べる場所は大体色々は開店している。
「行く先は決めてないの?ならこの辺りで気になるお店があるの」
「そうなのか?」
街を知らない彼女が?疑問を抱くが彼女が妙に自慢げだったから面白そうなので案内してもらう。曰く目的地は以前街に訪れた際に見かけ、同年代の若者が激しい音と光を放つ場所に入ったらしく訪れてみたかったそう。更に数分大通りを進みニエは足を止めた。
「着いた。一応聞くけど危なくないよね?」
「ああ、寧ろ丁度行こうとしてたところだ」
中に入ると喧騒とした音が耳に入る。奥の方ではアーケードゲームや音楽ゲームの筐体が並び、入り口付近にはクレーンゲームが置いてある。つまり、よくあるゲームセンターである。俺は映画同様たまに友人達に誘われる程度なのでそこまで詳しくない。ニエは物珍しげに辺りを見回して色々見ているが実は俺も密かに期待していた。
「筐体の配置また変わってるな。バージョンも上がってるし俺も事が済んだら通ってみるかな」
最新のゲーム機を見ていたら俺も1つ遊びたくなってきた。折角来たのだし、金もあるなら遊ぶしかない。興味津々とばかりにあちこち歩き回るニエを引き留めて適当なゲームをプレイする。
「おすすめはあるの?」
「うーん、定番はクレーンゲームと音ゲーだな。後は……いや、それで全部だ」
「じゃあ全部で遊びましょう。近いしまずはクレーンゲームをするわ!」
「逃亡の為にも手元に残らないお菓子類だけにしてくれよ……って無視かよ」
彼女は乗り気なようで早速クレーンゲームに足を向けた。そしてニエは小銭を入れてボタンを押してアームを操作する。小さなぬいぐるみが景品として置かれたケースに狙いを定め、ボタンを離すとアームがゆっくりと降りていく。そして見事獲物を捉えた。しかしアームの位置が悪く持ち上がる途中でぬいぐるみが落下した。
「むぅ~!取れないわ!もう少し右に動かしたら……」
「でもいい筋だな。数回もすれば取れそうだ」
2人がかりだが中々取ることが出来ない。俺もやってみたが結果は惨敗。元々こういうものは苦手だ。ニエは諦めず何度も挑戦し、500円使い切る頃にやっと取ることができた。
「やった!取れた!これで私の勝ちね!!」
「おお、結構短時間で取れる物なんだな」
「ふふん!この子は私の親友の代わりだからね。特別製なのだ!大切にしないとね!……えへへ、ありがとね。ユウト君のお陰で親友と会えた気がするの。あの子の分まで大事にするね」
「そっか。良かったな」
笑顔で抱きしめる彼女に少し照れくさくなりながらも頭を撫でた。すると彼女は嬉しさのあまり更に強く抱きついてくる。ちょっと苦しいけど、でも我慢しよう。そしてニエは手に入れた子を大切に抱えながら次の音ゲーに向かった。
音ゲーはゲームセンターのゲームでは俺もよくやるけどニエは初見で難なくこなした。音感は良いようだ。その後もダンスゲームもやって、ニエは俺より上手かった。これは腕前の上手い下手というよりニエと自身との体力差であるだろう。冗談じゃなく俺が1曲踊る労力で3曲全部を踊り切るような華麗な舞である。
「はぁ……はぁ……ゴホッ。ニエ、お前凄いよ」
「はぁ……はぁ……ありがと。でも、私……このゲーム、向いてない……」
流石に疲れたのか肩で息をしながら俺にもたれかかってきた。俺も正直かなりキツイ。普段使わない筋肉が悲鳴を上げているようだ。今日はこれで最後だから少し休んでから外に出よう。
「さて、次はどうする?もう見るものは無いだろ?」
そう言うとニエは黙って考え込む。そして何か思いついたのか口を開いた。
「ねえ、あの角にある箱に行きたい」
彼女が指さした方向には若い女性が数多く集まるゲーセンの区画、即ちプリクラのコーナーであった。
「入ってから時々アレに女の子のグループが入ってるから私達も平気なんじゃない」
……ああ、遂に気が付いてしまったか。
「あれか……。分かった行こう」
プリクラコーナーには当然女性客だらけの空間が広がっていた。特に若い女子が多い。恐らく中高生くらいだろうか。皆スマホ片手に楽しそうにはしゃいでいる。だから元男の俺はここの雰囲気はあまり好きでない。居心地の悪さを感じそそくさと移動して目的の機械に小銭を入れ適当に操作をしてから中に入る。ニエはキョロキョロと見回して不思議そうな顔をしている。俺も内部に入るのは初だがニエの前だから玄人ぶってみる。
『はーい、ポーズを取ってね!』
お決まりの声と共に撮影が開始される。最初は戸惑っていたニエだったが、やがて慣れてきたようで自然な表情で撮影を楽しんでいた。その光景を後ろから見ていて、その無邪気さに思わず笑みが零れる。
それから数枚撮り終えると今度は落書きタイムだ。ニエはペンを持つと何を書くか真剣に悩み始めた。……うーん、俺は写真なんて撮らないし文字も書かないんだよなあ。とりあえずニエに任せてみるかな。
「ふーん、じゃあ自由にさせてもらうわ」
彼女は筐体の画面の案内を見つつ画像の加工をする。数分経って加工が済み完成したプリを2人で見てみるとぎこちない笑顔の「手下」と書かれた少女とその少女の腕にくっつくように可愛い顔の「ニエ」と書かれた少女がピースサインをしていた。
「うわ、俺の顔すげえ引き攣ってるな。こんな風に写るもんなのか」
「私は……うん、上手く出来たと思う」
2人の距離が近い。それにニエも俺も初めて撮ったにしては良い出来だと思う。そして出来上がった写真を眺めているとニエは満足気に微笑んでいた。