どらごんれでぃいらばーず!!!~現代日本で竜娘にTSしたけど同じ超可愛い竜娘(問題児)と支え合ってハーレム生活を満喫します!~ 作:囚人番号虚数番
惚けた目で餐龍は剣を抜く。そして帰宅ラッシュの駅前の人だかりに突入し、目に見える全てを無数の肉塊に変えていく。人知を超えた身体能力による接近は誰の目にも止まらず、ただ成すすべもなく血だまりが広がる。
「うわああああ!と、通り魔だああ!」
「キャー!殺される!」
駅前は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。絶叫を聞いた無関係な群衆は蜘蛛の子を散らすようにあたりに逃げていく。当然だ、誰も無関係な物から殺されたいとは思わない。しかし情けない逃亡がかえって彼女に存在を知らせ、逃げる彼らにも目を付けた。
餐龍は自身の腹に剣を突き刺す。そして多量の出血と共に剣を振りぬいた。剣は血を帯び、固まって刀身を大きく伸ばし周囲のビルを一掃する。小爆発と共にビルは真ん中から斜めに切断された。そして崩れたビルの残骸は逃げようとした人々を巻き込んで道を塞いだ。
「あぁ……ふふっ久しぶりね。この感覚……ふひっ」
彼女は傷口を抑えながら笑みを浮かべる。ああ、心地がいい。血を浴びせ、自身も血に汚れる様に自らの力ではどうにもならない高ぶりを感じ、遂に決壊した。情けない声を上げて全身を震わせる。
「んぅ”……はぁ、はぁ……はぁ……いひっ、そうそう、この感覚が欲しかったのよ」
彼女の股間からはとめどなく体液が流れ出ていた。それは止まることを知らず、勢いを増しながら太腿を伝い地面に血に混じって水たまりを広げていく。
「……でもまだ足りない……」
目の前の惨劇を眺めながら考え込む。そうしている間にも次の電車から降りた人々が駅からどんどん集まってくる。
「ああ、丁度いいタイミングね。あははははは!」
彼女は舌なめずりをしながら次の標的に検討をつける。そして折れた駅ビルの壁に突っ込んで衝突の直前に壁を切り裂き中に入る。休日ということもあり家族連れやカップルが多くいる。彼らは突然現れた血濡れの殺人鬼を見て悲鳴を上げるがすぐに切り刻まれた。
「さっきよりずっと多いじゃない!ひゃはははは!!」
彼女は狂った笑いを上げながら人々を惨殺していく。あるのは熱い下半身を鎮めるという本能のみ。彼女は自身の欲を満たすためだけに殺戮を続ける。その姿はもはや人間ではなく獣だった。
「はあっ……はあっ……もう我慢できないぃいっ!!犯したい!殺りたい!血が足りない!!」
彼女にとって一般人などいくら殺しても足りないほど価値のないゴミだった。しかしそれでも彼女は満足していた。彼女にとっては殺しの貴賤こそ、それ以上にゴミ以下だ。しかし、今の彼女には全く自覚は無い。ただ、心の赴くままに血に乾いた体を潤すのだ。
ー--
Prrrrr prrrrr
「はぁ……はぁ……早く、早く、返信してくれ……」
俺は殺人の現場から逃げなかった。否、逃げられなかった。恐怖で足がすくんでしまっていて動かなかったのだ。俺だってこんなことしたくない。でも体が動かないのだ。
血の海と化した駅前の向こうでは絶望と怨嗟の混じる声がする。時々する逃げ道を案内する声はおそらく警察だろう。だが、そんなことは関係ない。今は一刻も早くこの状況から抜け出したいという気持ちしかなかった。
俺は震える手でスマホを操作し蕾さんにhelpのメールを惨状を映した写真を添付して送る。普段の彼女の返信速度ですら今は永遠にも感じる。
「お願いだから……誰か助けてくれ……」
今更何を願っても無駄だと分かっていても願わずにはいられない。俺は膝を抱えて目を閉じていた。
俺が絶望したと同時に場違いな明るい電子音が鳴る。蕾さんからのメールだ。俺は急いでメールを開いた。
『了解、緊急で待機させておいた水竜の特殊部隊を派遣する』
ただそれだけ書かれていた。しかしその一言だけで十分だった。
「ありがとうございます……」
俺は思わず涙ぐむ。これで助かるんだ……しかし、メールの続きで俺は更なる絶望に落ちた。
『ただし、到着まで1時間かかる。一応私と恐らく狐共が出るからそれまで持ちこたえろ』
「嘘だろ……」
つまりあと1時間はこの地獄を見続けなければならないということだ。
俺の心は既に折れかけていた。ニエは何故暴走したんだ。原因は間違いなくあの車両事故だ。車が壊れたあの瞬間に彼女はおかしくなった。もしかして運転手が死んだから?そんふなふざけた理由なのだろうか。仮にそうだとしても何も知らない無関係な人間を殺すなんて間違ってる。そう思いたかった。だが現実は非情である。彼女は突如豹変していきなり殺戮を始めたとしか考えられない。
「あぁ……なんでこうなるんだよ……」
俺は何も悪くないはずだ。なのにどうして俺だけが苦しまないといけないんだ。理不尽すぎる運命を呪っていると再びメールが来た。
『追伸:もしお前が大怪我しても私は責任を取らないし、取るつもりもない。ただし死体は原型は保ってくれ。以上』
「……ふざっけんじゃねえぇ!!!」
俺は怒りに任せてスマホを投げ捨てようとスマホを持つ手を掲げる。しかし今は彼女の連絡こそが希望であり、逃したらそれこそおしまいなのだ。理不尽に怒れる心情を深呼吸で沈めて改めて冷静さを取り戻した。しかし今度は忘れていた絶望が更に勢いを増して重くのしかかる。
「もう嫌だ……全部夢なら覚めてくれ……」
「あの」
「ひっ!?」
背後で声がしたので振り向くとそこには黒髪の少女がいた。彼女は18歳程度の若い女性で巫女服を着た変わった少女で血の海でも場違いな姿をしている。だがそれ以上に彼女には目を引く箇所がある。
「……狐耳?」
そう、彼女の頭頂部からは狐のようなふさふさとした毛に覆われた獣耳が生えており、腰の下あたりからも尻尾が見える。彼女はまるで本物の狐を擬人化させたような見た目をしていた。
「私に着いて来て下さい」
「あ、待ってくれ!」
彼女は有無を言わさず俺の手を引いて走り出す。
「ニエが、あそこに行ったんだ!」
「お知り合いですか!?どこです?」
「駅の向こう側のビルだよ!ニエが見境なく人を殺してる!」
「!? あなたのお知り合いが犯人ですか。そういえば先日……」
彼女は一瞬驚いた表情を見せるがすぐに冷静さを取り戻す。そして少し考える素ぶりを見せてから口を開く。
「あなたの名前は?」
「黎人、洋野黎人です」
「では黎人さんに尋ねます。あなたも竜として彼女の討伐にご協力お願いします」
!? 何で俺が竜だと知っているんだ。それに討伐とはどういう意味だ。嫌な予感が頭によぎり俺は協力の意図を問う。
「鳴葉の神として、この地の為に彼女を殺します」
ー--
彼女が次に狙う獲物を決めるべく辺りを見回すとちょうどいいターゲットがいた。血を求め殺し回る内にいつの間にか建物を出てまだ人の残るオフィス街まで来ていたようだ。
彼女はそこにいたOL風の女性に目をつける。
女性はまだ事態を把握していないのか呆然と立ち尽くしていた。しかし彼女の姿を見て我に返ると必死になって逃げ出すが無論遅い。一瞬にして女性の背後へと回り込み首を掴む。
「ぐぅ!?は、離して「やだ」
言葉も待たず首を握り潰して殺した。そして全身に吹き出る血を浴びて快楽を得る。そして勢いが弱まると死体を投げ捨て再び歩き出す。その時、彼女は気付いた。先程から自分に向けられている視線があることを。
「誰?」
彼女は振り返るがそこには人影はない。だが確実にこちらを見る何かがいる気配を感じる。その正体を探るため周囲に意識を向けると、それはあっさり見つかった。
「あら?あなたも遊びたいの?」
「お主の悪趣味に付き合うつもりはない。我は人を殺すなら一気にぶち壊したいからな」
彼女が目にしたのは1人の白髪の少女だ。年齢はおそらく12、3歳くらいだろう。それだけであれば特に気にする価値もないが彼女には只ならぬ気配を彼女から感じていた。それは見た目も例外でなく両足義足で狐の耳と尻尾が生えた全裸の、一糸纏わぬ姿だった。
しかしその少女にはどこか人間離れした雰囲気があり、まるで神話に出てくるような神々しささえ感じる。
「ふーん。じゃあ遊んであげる」
彼女はそう言うと両刃剣を出し斬りかかる。少女はそれを軽くかわすと右手を突き出してきた。すると少女の手から紫炎が出現し、彼女を包み込んだ。
「あっつ!」
「ふん、他愛ない」
彼女はその炎から逃れようと身を捩らせるが、強力でなかなか消えず仕方なく彼女は竜の体に姿を変えた。
「ほう、それが本性というわけか」
「(……えぇ、これで少しは楽しめるでしょう?『神様』)」
「如何にも!我は鳴葉の……」
餐龍は少女に飛びかかった。そして鋭い爪を振り下ろす。
「ふんっ」
少女は鼻を鳴らすとその攻撃を難なく受け止めた。そして拳を振り上げると餐龍の腹を殴る。しかし餐龍は拳を見切り回避する。
「ほぅ、流石は竜と言ったところか」
「(ふふっ褒めてくれてありがとう。でもね、私はそんなんじゃ倒せないよ)」
彼女は再び飛びかかり、今度は剣を振り回す。少女はそれらを捌きながら隙を見て反撃する。突き、弾き、掴み、殴り、だが一度も当たらない。互いに実力は均衡し激しい攻防が繰り広げられた。そしてしばらく打ち合いが続き、遂に謎の狐は体勢を崩した。
「なっ!」
「(今度こそ終わりね)」
餐龍はその好機を逃すまいと両手の武器を振り下ろす。刃は容赦なくその小さな体を引き裂き、血飛沫が上がる。胸を大きく斜めに一線、そしてのけ反る前に素早く肩を掴み心臓に剣を刺した。刃は狐の体を貫き、地面にまで達していた。
明らかに致命的な切り傷は相応に激しく出血し、バケツの水をかぶるが如く竜の体を温かく濡らす。と同時に餐龍が人の体に戻り下半身からも洪水のように水が噴出する。その液体は倒れた狐の彼女の顔面に全てかかり、加えて黄金色の液体も彼女の口に向かて綺麗に注がれた。
「んっ……ああ、漏らしちゃった。はあ、厄介なのと会っちゃった。けど神様の散り様ってのも案外人と変わりないのね」
彼女はそう呟いてその場を離れようとする。が、またもや背後から声が聞こえてきた。
「いやぁ、中々面白いものを見せてもらったよ」
「!? あ、あんたは……」
振り向くとそこには2日前にひいろの家で顔を合わせたメイド、蕾の姿があった。街には場違いなメイド服であり化け物2人の前なのに目に見える武装は無い。彼女は餐龍を軽蔑の視線を向けていた。