どらごんれでぃいらばーず!!!~現代日本で竜娘にTSしたけど同じ超可愛い竜娘(問題児)と支え合ってハーレム生活を満喫します!~ 作:囚人番号虚数番
振り向くとそこには2日前にひいろの家で顔を合わせたメイド、蕾の姿があった。街には場違いなメイド服であり化け物2人の前なのに目に見える武装は無い。彼女は餐龍を軽蔑の視線を向けていた。
「随分と派手に散らかしているみたいだ。短時間でのこの殺戮と君の性癖は賞賛に値する」
「……ふーん、ありがとう(武器も無しに私の前に現れた。やっぱり実力者だったわね)」
「で、今君に負けた狐を逃がしてはくれないか。色々と刺激のある匂いが刃に移るのは嫌だろう?」
餐龍は剣を振り刺さった狐を雑に振り飛ばした。狐は血だらけの地面に転がり蕾の目の前に転がる。蕾はその狐のボロボロの体を一瞥した。
「酷い有様だな。しかしその様子だとまだ動けそうだ。信仰が足りているなら友人を連れ帰ってくれ。彼女は獣ごときに殺されるのなら困るのだよ」
声をかけてしばらくは死体のように動くことはない。だがピクッと指先が動いてゆっくりと狐は立ち上がった。餐龍はあれだけの出血でまだ生きているのかと生命力に戦慄し後ずさる。
「ゔ……ああ……済まぬな。お主がここに居るのならば相当に重要なのだろう。いいぞ、あ奴にはお主がカタをつけると伝えておく……にしても口の中が酷い味だ。赤いの、何か飲ましたか?」
「さあ?」「知るか。早く去れ」
「そうか」
そう言い残し狐の彼女は去って行く。
「全く、どうして私の知り合いは血潮が盛んな下賤連中ばかりなのだ。皆蛮行など止め私のように知性という物を理解してほしいものだ」
蕾は不機嫌そうな表情で愚痴をこぼす。一方、餐龍は警戒を解かずに彼女の出方を伺っていた。そもそも何故彼女がこんな場所にいる?狐はどうでもいい、蕾は絶対にあの体に何を隠しているのは確定だ。疑問は尽きないが今は戦闘に集中しなければならない。
「まあ良い。とりあえず君の相手をしようじゃないか。どうせ、まだ疼いて仕方がないのだろう?」
彼女はそう言って一歩近づく。それを合図に餐龍は剣を抜き一気に蕾との距離を詰めた。そして袈裟斬りを放ち胴体に当たった。しかし固い感覚を剣を通して伝わり、想定外の事態に距離を離す。
餐龍は驚きつつも冷静になり剣を構え直す。彼女の刃が弾かれるということは相当な装甲を体の内に仕込んでいる。しかし蕾の剣が当たった部分の服の破れた部分から見える肌は傷1つ付いていない。切った感覚はまるで鋼鉄のような硬さだったのに。それを見た餐龍は理解した。
「あんた、まさか竜でもないの!?」
「竜だ、正し水竜コーポレーション特殊機動部隊技術担当のな」
その問いに対して彼女は不敵に笑みを浮かべるだけで何も答えなかった。それからしばらく睨み合いが続いた。互いに隙を探り合い相手の攻撃を見極めようとしている。
そして先に動いたのは餐龍の方であった。彼女は再び距離詰めると今度は剣を横薙ぎにする。だがそれも避けられてしまう。それでも彼女は止まらない。立ち上がりまた攻撃を仕掛ける。何度も、何度も、二つの刃が複雑に入り混じる連撃を繰り返す。そして遂に彼女の剣が蕾を捉え始めた。一撃、二撃、三撃、四撃と当たる回数が増えていく。
「ふっ!」
だが五発目の直前に逆に蕾の反撃を受ける。拳が腹部に当たり、蹴り飛ばされ、肘打ちを食らう。その度に口から胃液と血液が混ざったものを吐き出し、全身に痛みが走る。
「(ぐっ……!)」
このままではまずいと思い一旦間を取る。だが蕾は追撃を仕掛けてこなかった。ならばこのまま痛みに耐えながら最後に一撃、強打を叩き込んでやる。彼女はそう思い最後の力を込めて間合いを詰めた。
「はぁ……愚直だな」
だがそれは悪手だった。彼女はため息をつくと左手を前に突き出して構えた。すると腕全体が幾つかに割れるように開き、その中から無数の弾丸が飛び出した。とっさに餐龍は両刃剣を回して弾き全てを防ぐ。
しかし防いだのも束の間
「捉えた」
変形し終えた右手が彼女を襲う。接近の間合いのせいで避けようとするも間に合わず、刃が肩口に突き刺さった。無数の小さな刃に刺さり回転しながら肉と骨を削る。血肉全てが汚く入り混じりさっきまで体だった物が飛散して、そしてそのまま振り抜かれた。餐龍は地面に倒れ込み、川一つで繋がった自分の体が壊れる音を聞きながらも意識を保っていた。
「こんな低俗な竜に使うつもりではなかったのだが……まあ、成果は良しとしよう」
「(何、あの体……)」
今の蕾の体には明らかに人の物ではない異物が両手についている。左には散弾銃、右腕にはチェーンソー。黎人の家で見た物の中で見た気がする。
しかもどちらも人を殺す用途の為に仕込まれた物である。そんな物を体の内部に仕込んでいた。初めから只者ではないと知っていたが、それでもまさかこんな物を仕込んでいるとは思いもしなかった。
「さて、そろそろ発散できたであろう。君を待つ者が家にいる。私も汚れ仕事には長く就きたくないのだよ」
そう言うと彼女は倒れた餐龍を担ぎ上げた。薄れゆく意識の中、餐龍は未だ絶えずに煮えたぎる欲望に今だ苦しんでいた。
「しかし君は変態的な趣味を持つのだな。分かるよ、異様な物に欲情してしまうのは辛い物だよな」
「…………」
「……遂に喋れなくもなったか。まあ、そちらの方が都合がいい」
「……いいや、寧ろ滾ってきた」
「え?」
「もっと、酷く、痛めつけて……」
そう言った瞬間、彼女の顔つきが変わった。そして次の瞬間、彼女は餐龍を思いっきり投げ飛ばした。
「何を言っているんだこの馬鹿者は。既に満身創痍なのに未だ果てないのか」
「(お願い………あと少し……)」
蕾は両腕を構えると、そこから大量の銃弾を撃ち出した。それらは地面に当たると同時に爆発を起こし、爆風と共に土煙を巻き上げる。
「(ああ……美しい……)」
「……全く面倒臭い奴だ」
蕾は再び攻撃を開始する。今度は先程よりも更に強力な攻撃を。爆炎の中から現れた彼女の右足から鋭い刃物が現れ、それが彼女の体を貫いた。
「(散る様が……潰える様が……)」
彼女は口元を歪ませ、そしてその刃を振り抜いた。すると彼女の体は大きく吹き飛ばされ、近くの木に衝突した。
「(……ありがとう……これで私は……)」
「ふん、本当に気持ち悪い女だ。前言撤回、やはり君というのは理解に苦しむ生き物だ」
「別に、それでいいじゃない」
彼女がゆっくりと起き上がる。その表情からは苦痛を感じられない。それどころか笑みすら浮かべている。しかしその笑みはあまりに穏やかで蕾に嵐の前の静けさのような物を予感させる。一体何を隠している、警戒する彼女を尻目に餐龍は突如全身から大きく出血した。
「……!」
彼女の体を見て蕾は思わず息を呑む。何故ならそこには今まで見てきたどんな生物にも当て嵌まらないような異形の姿があったからだ。自らに幾度も剣を刺し、さっきとは打って変わって無表情で自傷する様は別の意味でのおぞましさを感じる。その姿はまるで祀り上げられた贄である。
数分の自傷の後、段々と出血の勢いが落ちる。ついに全身の血液が尽きてきたのだ。顔色も悪く、よく見ると手も震えている。だがそれでもなお彼女は笑っていた。
そして遂にその時が来た。餐龍は剣を持つ力も力も無くなり倒れ込んだ。
「ぁ……ぅぁ…………っ…………」
「………………………………」
「……死んだのか?」
蕾は倒れた竜に近づきそっと手を伸ばし脈を測る。すると触るまでもなく彼女の腕には温もりが無かった。どうやら完全に事切れてしまったらしい。蕾は竜の死体を見つめ、何故か不思議とこの状況に笑いがこみ上げてくる。
「は、ははは、まさかあの餐龍という者の最後が自殺だなんて。あっはっは!傑作じゃないか!自分の排泄の後処理もできぬ愚か者には相応しい末路だよ全く!」
しかし彼女は笑ってはいたが内心では動揺していた。何故なら彼女にとってこの結末は予想外だったからである。確かに彼女は自身に拷問紛いの事を行い、最終的に死に追いやった。それは紛れもない事実であり、今更覆すことは出来ない。
だが意味もなく死んだのだろうか。もしそうだとしたら、彼女はただ無意味な命を奪った事になるのではないか?そんな考えが頭を過ると、途端に不安になってくる。
「…………まだだ」
すると彼女の予感の通り餐龍の指がぴくっと動く。
「まだ、これからよ……これで、私は至れるんだ……」
そう言って彼女はふらふらと再び立ち上がる。
「チッまだ起き上がるか。これではひいろへの土産にならないな。済まないがもう一度倒れてくれないか」
彼女は左腕の銃を構えて攻撃しようとする。しかし……
「はっ?」
ー--
「こ、殺すって……」
目の前の狐の少女は今確かにニエを殺すと言った。
「鳴葉に仇名す者は居てはいけません。だから何としてでも彼女は止めるべきなのです」
「で、でも、殺すのはやり過ぎじゃないか!?」
「私も交渉が可能であればそうします。ですが私には今の彼女に話が通じるとは思えません」
「ッ……!」
彼女の意見はごもっともだ。第一俺が止めようとした時点でニエは既に冷静さを欠いていた。そして殺人衝動のままに彼女は理性を失った。だから俺だってたまたま生き残っていただけで本来は無残に殺された彼らと同じように死ぬ筈だったのだ。
「……分かった。誰だか知らないけど一応竜だから協力はする。ただ戦えないから戦力にはならないぞ」
すると狐の彼女は意外そうに眼を見開いて驚き、残念そうにそうですか、と呟く。
「戦えないのを知らずに無理強いしてごめんなさい」
「俺も先に伝えられなくてごめん」
「あなたに責任はありません。だから私が安全な場所まで案内します。死んでいった彼らに代わりにあなただけでも生き延びて下さい」
彼女は俺の手を引きニエが去った方と真逆に連れて行く。彼女は武器も持たず、俺よりも小さな少女である。なのに不思議と身を任せてもいいような女神のような安心感がする。きっと彼女に着いていけばここから逃れられるのだ。ならばお礼を言わないと……
「俺をニエの場所まで案内してくれ!」
口を衝いて出た言葉は自身にとってもおかしな言葉であった。
「ニエが暴れだしたのは元はと言えば俺のせいでもある。こんな時間に連れ出して、いや脱走を無理矢理にでも止めなかった時点で俺は有罪だ」
自分でも理解できない。彼女には無理矢理連れ出されたし、この時間にここに来なければ明日に来るはずだった救助に影響が出ると考えていたのだ。
「だから、俺がニエの面倒を最後まで見るべきだなんだ。ここで逃げ出したら死んでいった人も救われないし、やったことの責任は身勝手だけれどもとらないと絶対に後悔する」
狐の彼女に着いていけばきっと生き残れる。だからこの場に留まる必要もない。第一ニエは偶然の交通事後のせいで暴走したのだから責任を感じる必要もない。
「それに、俺も何でニエがああなったのかこの目で確かめたいんだ!たった5日、一週間にもならない短い時間だけど、俺はニエを知らないといけないんだよ!お願いだ!」
俺は彼女の手を振り払い、頭を下げる。狐の彼女は困惑ししばらく黙ってこちらを見ていた。
「頭を上げてください」
「……っは!?な、なーんちゃって。早く安全な場所へ逃げましょう」
「………………黎人さん」
「な、何ですか?」
「無惨に死ぬ覚悟はお有りですか?」
狐の彼女の空気が一変した。それはまるで俺の死期を告げる死神の声のように感じた。
しかし、
「おう燐火、無関係な者は殺すべきでないぞ」
突如現れたもう一人の狐の少女が現れ、彼女の様子も元に戻る。
「鳴葉さん!?もしかしてもう終わったんですか?」
今までの狐の彼女は燐火、そして突然現れた白い狐の彼女は鳴葉というらしく会話的に知り合いみたいだ。鳴葉は狐耳に巫女服と燐火と似ているが髪色が白く、足が義足である。戦闘後のようで酷い怪我で全身が血に濡れている。
「いいや、死にかけたから逃げてきた。代わりにアレと蕾の奴が知り合いだったから任せてきた」
……蕾さんがここに来ているのか!?メールの内容には確かに此処に来ると書かれていた。そして、狐もここに来るとも。もしかして彼女らは蕾さんの知り合いなのか。
「そうだ。してこちらからも忠告する。お主、あの竜の知り合いと申したか。ならば相応の覚悟をしておけ。アレはもう理性の欠片もないただの猛獣ぞ。燐火の言葉の通り無惨に死ぬ覚悟で迎えに行け」
「うむ、では我らは行くぞ」
そう言って二人は俺に背を向ける。
「我らに会いたくば鳴葉の社へと参れ。じゃ、達者でな」
彼女らはそれを最後に夜の闇に姿を消した。
「……誰だったんだ、あいつら」
だけど、これでニエの下に向かう覚悟が出来た。一度深呼吸しニエがいる場所へと走り出す。
「ニエ……待ってろよ!」
既に何人もの人が殺され、ビル街の道の真ん中には死体は山積みになっている。えづくような鉄臭さの街を駆け抜け、ニエが居るであろう方へ一心不乱に走り抜ける。途中何度も吐きそうになるが必死に耐え、ニエを探し続けた。
「ニエェエ!!」
声を上げて叫ぶが返事はない。だがその変わりに聞こえたのは何かが壊れる音と悲鳴。間違いなくニエが人を襲っている証拠だ。
「ニエェ!!どこだァア!」
ニエの姿を探して街を走り回るが、どこにもいない。ニエは一体何処にいるんだ?その時だった。横から凄まじい爆発音が鳴る。咄嵯に伏せると爆風が吹き荒れ、瓦礫の破片が飛んできた。
「クソッ!なんなん……だ……」
奇跡とはある、そう思った。俺は見てしまったのだ。音速を超え、飛来する物体を。それは人の頭ほどの大きさがあり、弾丸のような速度で飛ぶ。だけど何故だろう、俺は彼女と目が合った。
「…………あ」
つい数日前に出会い、ひいろにも上から目線で誰にでも高慢だった、蕾さんの生首と目線が合ってしまった。
「……ぁああああああ!?」
あまりの恐怖に腰が抜けた俺は地面に座り込む。そして、蕾さんの首が俺の目の前に転がり落ちた。
「いゃああああああ!!!」
俺は絶叫し、その場から離れようと走る。しかし、一歩踏み出した瞬間、背後から小さく俺を呼ぶ声がした。
「レイト」
振り返った先にいたのは、俺が知っている姿より少し成長したニエがいた。年齢は18歳程度だろうか。出る所は出て細い所はすらりと細い。赤髪は白に変色し服も白のドレスとなっている。全体から醸し出す雰囲気も年齢以上に妖艶で見る者の心を奪うだろう。しかしそれ以上に目を引くのは血に交じり全身から流れ出る白濁した液体だ。
「ニエ、お前どうして」
言い切る前に彼女は俺を地面に叩きつける。背中を強く打ち付け息が出来なくなる。
「グフゥウウッ!!!」
俺の上に馬乗りになった彼女の表情は、とても嬉々として笑みを浮かべていた。
「やっと会えたね。会いたかったよ」
俺の頬に手を当てて顔を近づける。
「ねえレイト、やっぱりあなたじゃないと駄目みたい」
耳元で囁くように喋りかける。
「あなたには死んでもらわ」