どらごんれでぃいらばーず!!!~現代日本で竜娘にTSしたけど同じ超可愛い竜娘(問題児)と支え合ってハーレム生活を満喫します!~ 作:囚人番号虚数番
朝食後、俺はニエの部屋に向かう。彼女の部屋はひいろの部屋のすぐ隣にある。俺が知っているのはこれだけで中までは見ていなかった。だか彼女の部屋に何があるのか実は密かな楽しみだった。
「(でもニエには私物も無いしどんな部屋か全然想像つかないな)」
普通の部屋なのか、はたまた悍ましい部屋なのか。裏をかいて女の子らしい部屋なのか。廊下を歩きながら色々な例を考えてみるも全く想像もつかないまま部屋の前に着いた。ノックをして暫く待つと中から物音がする。きっと片付けをしているのかと思い暫く扉の前で佇む。5分程経過して物音が止んだ。
「ニエ、入っていいか?」
ドア越しに声をかけるも返事はない。代わりにまた物音がし始めた。諦めてドアノブに手をかけると鍵がかかっていた。何回か試行錯誤してドアノブを回しても扉が開くことはない。うーむ、蕾さん経由で開けてもらうのはひいろに失礼だよな。スマホ片手にどうするか考えていたらドアが開きひいろが出てきた。
「黎人さん、おはようございます。私達に何か御用でしょうか?」
「この前の事についてニエと話がしたくて」
「少し聞いてみます」
ひいろは部屋の奥に戻る。空いた扉から中を覗くと整理された綺麗な部屋である。自分の部屋より一回り大きく、ダブルベッドとその他私物からニエとひいろと同室で生活しているらしい。流石夫婦だ。
ひいろは部屋に戻った後、横の扉から更に隣の部屋に入る。その部屋は暗く角度的にも見えづらい、加えて現在位置から考えるに廊下からは入れる扉はない。扉は開けたままだったから耳を澄ませて中での会話を盗み聞く。
「緋刃さん、黎人さんがお見舞いに来ましたよ。話せそうですか?」
「…………」
「……はい、分かりました。メイド、暫くお世話は頼みます」
そして、ひいろが戻り部屋の中に招かれる。俺とひいろは部屋に入り椅子に腰掛けニエについての話を始めた。
「緋人は先日の騒動で出来た傷と心理的なストレスのせいでまだ体調が優れないそうです。彼女も今は誰とも会いたくないそうなので面会は明日以降にして下さい」
「ああ、そうか。体調はどうだ?」
「鎮圧に動いた機動部隊と現地の民兵の狐さん達からの攻撃で満身創痍、体も傷だらけで今も辛うじて首が動かせる程度です。それに私製の特性のご飯もお皿ごと投げ捨てて食べてくれないのです。精神的にも相当なようです」
精神的、というのは単にひいろ相手だからだろう。それでも誰にも会いたくないのはあんなことの後だから顔を合わせずらいのかもしれない。怪我についても俺自身が傷ついた体を見るのは得意ではない。覚悟はしているけれど2日経っても治らないならもう少し待つべきだ。というかニエに殺された身として彼女を殺す為には相当な労力化化け物じみた兵器が必要だろうに機動部隊は一体誰で何をして怪我させたんだ。
「体の怪我はひいろでも難しいのか?」
「最低限の臓器の治療は終わりました。残りも怪我こそ大きいですが完治は時間の問題です」
「俺みたいに一気に全身一気にで良いじゃないか。俺も今回もひいろの体で再生したんだろ?」
彼女の体には何度も復活にお世話になっている。今回の死亡も確認して聞くと今回の再生も彼女の体を移植して再生したと確認が取れている。ニエも一度腕を再生しているから腕の一本や最悪半身程度であればもう治っていそうだ。ひいろは俺の疑問に申し訳なさそうに答えてくれた。
「それも悪くはない提案ですが……彼女にはあまり勧めたくはありません」
「どうして?」
「実は私の竜体は破片でも一度に多くと接触すると私の子供になってしまうのです。それこそ全身を短期間でとなると今の彼女では逆に私の体に飲まれてしまうでしょう」
……それは初耳だ。彼女が言うにそもそも自分の体でない物で体の大部分を再構築するのは危険であり、俺に関しては更に種族もが違い再生は困難を極める。しかし始めて俺が再生した時の条件が良かったから偶々助かったそう。
「その条件というのは?」
「話すと長くなります。ですから今は彼女の現在についてだけお話ししましょう。とは言っても、実はもうあなたも気が付いているでしょう」
彼女に笑みに怪しさが混じる。
「黎人さん、もし多くの竜が知る餐龍の姿があの夜の彼女だとしたらあなたはどう思いますか」
「っ!?」
彼女と初めて出会った時に聞いた竜としての生活からも快楽と何かの為に殺戮を繰り返していた像は簡単に浮かぶ。同族を殺し、皆殺しまで侵し尽くす。ならば彼女は恐ろしい化け物、これ以上の言葉は存在しない。同族や知人すらも殺しを厭わないのであれば中合う力追い出されても当然だ。だからニエは俺の中で化け物ではなくあの生意気で自分勝手な姿こそ彼女なのだ。
「美しく、誰もが心奪われる。あの状態の彼女こそ私が真に好いた餐龍の姿です。だからあなたの家でニエと話した時、内心とても驚いていました。あそこまで人間性の残る彼女は美しいよりも愛らしいと言ったところでしょう。彼女は彼女で可愛らしいくこれはこれで好みの姿ではあります」
ひいろの笑顔がどんどん黒く染まっていく。やはりこの女はただ者じゃない。俺の知らないニエを知っていてそれが彼女にとって魅力的に映っている。俺には全く理解できない世界だ。いや、理解したくない。
「あなたならきっと分かる筈です。殺されたのなら尚更。今も頭から離れないのでしょう。脳を焼く美しさとはそれほど強烈に映るのです。あなたも愛した人はいつだって美しくあるのを願うでしょう」
そんなの当たり前だ。例え醜悪であろうと美を求める、その点だけは同意する。だからもう何も言わないでくれ。今はニエはニエのままでいいのだ。
「……ひいろはニエをどうしたいんだ?」
この話を断ち切るのに最後にこれだけ聞いて最後にする。
「どうする、と聞かれましても家族のように一緒に暮らしたいと初めから言ってるじゃないですか。幸い実現する財力は水竜コーポレーションがある限りほぼ無尽蔵に供給できます」
ひいろからすればニエがどんな存在であれ彼女の言葉通り家族として迎え入れたいらしい。理由は分からないけれど二面性を知った上で喜々として受け入れてニエの拒絶を振り切ってまで自分の家に住まわせるのは並大抵のことではない。ニエが人を殺したと聞いても変わらない様子からニエに対するひいろの想いは相当深いものだ。ひいろはニエの事をどこまで知っているのか、そもそも何故ニエのことをここまで想っているのか。
ひいろは俺の質問にいつもと変わらない誰にでも向ける外向けの笑顔を向けて答える。語る言葉は優しく、隠された真意はきっといつになく真剣だ。
「分かった。ひいろは本当にニエを愛してるんだな」
「ええ、そうです」
「なら俺からのお願いだ。彼女を少し一人にしてあげてくれ。ずっと傍にいたんだろ」
ニエのいる部屋のドアの周辺だけ他よりも際立って整理されている。床にはホコリ一つなく水拭きした跡がある。ゴミ箱にも赤い血の付いた使用済みの包帯と箱が捨てられていた。ついさっきまで熱心に治療していた証拠だ。
加えてひいろ自身とこの部屋から僅かな血の匂いがする。ここ数日で血の香りに慣れたせいか血のしみ込んだ手は特有の悪臭を放つ。恐らく長時間血に触れたのだろう。更に彼女自身の顔も化粧で隠しているが目の下に隈があり、最悪の事態を考えると彼女が出て行ってから心配で何日も寝ていないみたいだ。
「精神的に苦しいのはニエもお前もだろう。だから少しでもいいから休んでくれ」
「ご忠告を頂けるのは有難いですね。ですが私は夫婦として、彼女とはいつでも一緒に寄り添っていたいものですからそれは出来ません。たった数日寝ていなくとも私は彼女が大切なのです」
彼女はあくまで俺の提案を断る姿勢を取る。だがこれは予想できていたこと。ひいろが無理をしないのなら俺の方で勝手にさせて貰う。俺は席を立ってひいろに近づき無理やり彼女を立たせる。
「え?え?ど、どうされたのです?」
「どうしても言うことを聞かないのなら家族らしく息子権限だ。母さん、いい加減に寝てくれ」
強引に手を掴んでベッドに彼女を連れる。ひいろは数日の徹夜で判断力が衰え抵抗する判断が追い付かず、俺にされるがままベッドに連れてこられた。そのまま彼女を押し倒し布団をかけてやりひいろが横にした。これでやっと静かになる。
「ちょっと!黎人さん!?何をするのです!」
突然の状況で動揺しているひいろを無視して今度は俺の方に向き直す。彼女の肩に腕を置いて逃げられないようにする。
「まあまあ。こうでもしないとお前寝ないつもりだっただろ」
「ち、違いますから離してください。私が餐龍を……」
「はいはい、でも今のお前の顔見たらニエも同じこと言うぞ。あと蕾さんも」
彼女の表情を見ていればすぐに分かった。ひいろはニエの為ならどんな事でもする気だったのだ。だから俺はそれを利用する。ひいろは俺の言葉を聞いて渋々納得したらしく抵抗を止めて目を閉じた。
「……あなたは意外に強引でしたね。でも嫌いではありませんよ。それにあなたの手は温かいですからこのままおやすみします。それと……」
彼女は一息ついて、
「彼女を知るにはまず竜が何たるかを知るべきです。本来はこの家に付いてすぐにお話する予定でしたが些か予定が狂ってしまいました。一度頭を整理してあなたにとって本当に必要な物を考えてみてはいかがでしょうか」
そう言い残して眠りについた。きっと彼女の言っていることは本当だと思う。だからこれ以上は何も言わず、彼女が望むままにすることにした。
「分かった。今はとりあえずゆっくりしてくれ」
俺はそう言って部屋を後にした。
『あなたにとって本当に必要な物』ひいろの言葉を思い出す。
本当に俺に必要なもの。人として生きる手段か、その他の俺の知らない何かか。今はまだ何も分からない。ただ分かることと言えばひいろのニエに対する気持ちは本物だ。
「はぁ……」
俺も人に戻る手段を本気で考えないとな……
ー--
「(…………黎人さん)」
無理やり連れ込まれたベッドで一人寝ながら考える。あの人の言う通り、きっと私には餐龍が分からないと駄目なんだと思う。
私の愛しい妻、餐龍。こんな私にも愛を向けてくれる。それがどれだけ嬉しかったか。
ああ、でも、とても幸せだ。壁を隔てて彼女が眠っていると考えると心が暖かくてずっと愛に包まれていたくなる。
私はこの愛を信じたい。だから彼女に愛想を尽かされないようにもっと強くならなければ。
「私はこれからも彼女を愛し続ける」
愛とは見返りを求めないものだと人は言うけれどそんな事は嘘だ。人間は欲深い生き物だから、相手からの愛情を当然だと思えばきっとその感情はすぐに消えてしまう。
だから私はこの気持ちをいつまでも持ち続ける。彼女から与えられる愛情以上のものを彼女に与えてあげたい。
でも、どうしてだろう。
「(……ああ、駄目ですね。先ほどから眠れる状態ではありませんね)」
娘の彼、黎人さんが触れた部分がどうにも熱くて仕方がない。全身も火照ったみたいに顔まで真っ赤になっている。でも不思議と嫌な気分ではない。寧ろ心地よい感覚だ。
この正体はきっと愛だ。彼の事を考えるだけで愛しくなって自然と口元が緩んでしまう。でも彼女には勝てませんよ。だって、彼は弱いですから。
彼に触れられた部分をそっと撫でる。彼の手の温もりが残っている。胸が苦しい。頭がボーッとする。この苦しさの正体は分からないけど不快じゃない。むしろこの感覚はずっと味わっていたい。
こうして彼の余韻に浸りながら考え事をした私はいつの間にか眠りに落ちた。
ここまで読んでくださり、有り難う御座います! もし面白いと思って頂けましたら広告下より評価★・レビュー等にて応援していただけたら幸いです!! 作者のモチベーションが爆上がります!!!