どらごんれでぃいらばーず!!!~現代日本で竜娘にTSしたけど同じ超可愛い竜娘(問題児)と支え合ってハーレム生活を満喫します!~ 作:囚人番号虚数番
約束の午後となる。結局あの資料には時間的にも難易度的にも手も足も出ず俺は頭を痛めていた。現在の大学で履修した知識では不可能で、理論を除いたとしても知らない用語が多すぎるしネットでも全く記事が無いものばかりである。当然半日で簡単に知識を掴める筈もなく、午前中はほぼ何もせずに過ごす。
途中眠りから目覚めたひいろが俺の部屋に尋ねてきた。曰く俺の言いつけ通り休憩ついでに雑務をする蕾さんが珍しく俺に聞きにここに来たと。あの人マジで何でメイドやってんの。
「勉強だよ。竜について知ろうと思って」
「勉強熱心ですね。これも緋刃さんの為ですか」
「いいや、いつまでもこの体で居続けるのも嫌だからな。お前にも頼んだけどお前に言われてやる気になった」
彼女は机に積まれた資料の山を見つける。そして俺の手にある一枚の書類を覗いてから見比べた。そして憐れんだ目で俺を見る。
「……進捗、どうです?」
「見ての通り散々だ」
「でしょうね。彼女の資料は大学の履修範囲を大きく超えています。それにそもそもこれは独自理論に基づいて構築されていますから理解には長い時間が必要です。ですが概要だけであれば単純ですよ」
じゃあそんな物俺に理解できる筈も無いか。諦めて机に置いてふて寝する。が、さらっと流されそうになったひいろの言葉に飛び起きる。
「ひいろ、その中身が分かるのか」
「はい、私も竜体に関しては一通り学びました。しかし大変興味深いですね。いつの間にかかなり研究が進んでいるから私も驚きです」
彼女がペラペラ書類をめくりながら読み応える。ええ……前々から多才だとは知っていたけれど人外の知恵まで精通しているとはたまげたなぁ。これでは竜そのものを理解する知識を習得するだけでも年単位はかかりそうだ。
「年単位まではかかりませんよ。黎人さんも大学での成績は悪くはないと自身でおっしゃっていましたし先生様も付いてくれるのですから」
「ああ、お前に言われると何だか自身が沸いてくるよ。でも、もし行き詰まったら頼ってもいいか?」
「はい、喜んで!」
そして扉がノックされ蕾さんが俺を呼び出す。とうとう講師が来たみたいだ。彼女から書類を返してもらい蕾さんに案内されてついて行く……ひいろも一緒に連れて。
真っ先に反応したのは蕾さん、苦虫を嚙み潰したような顔をしている。
「おい、君はもう講師など必要としないだろう」
「いいえ、黎人さんの資料、テキストにはまだ私には未知の知識がありました」
「チッ黎人、余計な事をしたな」
そして嫌悪の視線は俺に移り変わる。え、あれそんなに見られちゃいけない資料だったのか。てっきり俺に渡したのだから見てもいい物だと思っていたのだが。見かねたひいろは俺に小さくご安心ください、と耳打ちする。
「はぁ……まあいい、今更何を使用が困るような事態にはならない。苗床、今回だけだ」
結局蕾さんは諦めたように彼女を連れて広間に向かう。途中、すれ違った使用人達が皆一様に頭を下げているのを見て少し緊張してきた。来客があるから皆仕事が丁寧になっているのかいつもよりメイドを見かける気がする。
そして、俺達は客人のいる広間にやってきた。
屋敷の一番奥の広い部屋。豪華な洋館らしく、大きな暖炉にシャンデリア、赤い絨毯に絵画と上等な調度品が並ぶ。そして壁には巨大なステンドグラス、中央には大きなテーブルが置かれており、、そこでパソコンを操作する一人の奇妙な人物。
「ここも何時振りでしょうか。彼女が実務ばかりで私も多忙でしたし、1か月程ですか」
扉を開く音と2人の足音に気づくと客人は立ち上がり振り返る。
白いローブに身を包んだ女、年齢は10代後半くらいだろうか。学者というにはあまりにも幼い。髪は白に近い銀で腰まで伸び、瞳は深い海のような光の無い蒼色、肌の色は雪のように白く、唇だけが血の様に紅い。顔立ちは整っていて、神性な雰囲気を纏っている。
「ああ、あなたが洋野さんと苗床ですね」
俺達に気付くとにこりと微笑む少女。
「はじめまして。月輪 皐月(つきのわ さつき)、神学者です」
この人が俺達の講師。見た目だけは完全にコスプレのようで俺の考えていた講師とは像が大きくずれる。年齢も俺と同じくらいで本当にこの人で良いのかと疑問思う。だが月輪、その名前を思い出した。
「神殺しと竜因果の覚書」、その著者が「月輪」だった。鳴葉の言語を用いて本を書いた張本人である。
「月輪、彼にはまず本業を教えてからだ。貴様の知名度は寧ろそちらだろう。彼女の本業は新鳴葉駅前歴史記念館館長だ」
歴史記念館は俺も小中学生で授業の一環で入った事がある。確か去年の大災害で駅前が崩壊して、つい半年前再建された最新の歴史館である。そんな施設の館長が俺と同年代だった少女とは感心する。きっと実力も相当だろう。
蕾さんは俺達の挨拶を済ませると講師に何か話して去っていく。それと入れ替わるようにメイドがホワイトボードを運び俺達の前に配置するその様子を見届けてから彼女は俺達に座るように促す。
「それでは私は黎人さんのお隣で。よろしくお願いいたします、先生、黎人さん」
「ああ、お願いします」
「では二人共、早速講義を始めましょうか」
ー--
月輪さんはパタンとノートパソコンを閉じるとホワイトボードの前に立つ。そしてホワイトボードに『竜』と文字を書くと説明を始めた。
「竜とは一体何なのか?簡潔に表すのなら因果、ですが竜自身も自覚している事ではないのでここは飛ばします。苗床、洋野さんのペースに合わせますね」
「(早速飛ばすのか)」
「彼らは通常、人とは異なる次元に存在します。だから通常彼らと人は絶対に出会うことも無くただ架空の存在でしかありえません」
だが彼女の言葉は隣の存在と矛盾する。彼女にこれを指摘すると以外にもすんなりと、だがあり得ない答えが返る。
「簡単な話です。それはこの世界の因果は諸事情で崩壊かかっているだけです」
信じられずにひいろに聞いても事実だそう。
「さて、話を戻しましょう。彼らの生態ははっきり言って様々です。同族同士での簡単なコミュニティで生活したり群れずただ孤独に彷徨ったり、あるいは自分の良くを満たすために心のままに戦いに興じたり。共通する点は多くの竜は未発達の文明であるのみです」
「文明が未発達な竜は一個人とするより単に竜としての側面が強い為その分の多様性は発達しています。個人的には発達は区別でき生態系に適した進化と進化の過程で特異的な特性を持った種に区別できます」
「(……なるほど)」
難しいと警戒したものの今はまだ理解できる内容だ。しかし、同時に似た内容を以前ニエから聞いたことがある。その時は確か講師の月輪先生が示した2種意外に技量特化と分類していた。しかしその先を暫く聞いてもそこに触れられることはない。
「さて、ここで洋野さんの為餐龍について少し備考をしておきます。緋刃は竜の中でもかなり特異です」
「……?」
「とはいえ発生の原理は私の例の範疇でこの方向に進化した生物も人の住むこの世界にも存在します。最もその種も同じく現在ではもう片手未満の種類しか残存していません」
月輪先生はデフォルメされた竜の真ん中に「竜秘宝」と文字を大きく書き込む。
「竜が生物とはまた異なる存在として最も特異的な物が竜に存在する『竜秘宝』と言われる存在です。竜秘宝とは全ての竜に存在し生命の危機に陥った際の回避手段として使用するものです」
竜と宝、どこかで聞いたことがあるような響きだが、どこの漫画で聞いたんだろう。
「竜秘宝の使用条件は今も尚研究中です。使用方法、原理など全て解明できてはいません。そもそも竜自身が殆どの場合1回目の消費の前に死亡します。しかしそれでもその効力は絶大。その力は使用者の願いに応じてあらゆる現象を引き起こします」
「(願い……)」
竜は竜秘宝を用いれば何でも願いが叶う。つまり、俺がその竜秘宝を使えば簡単に人に戻れるのではないのだろうか。元人間のせいで生粋の竜の感覚は分からないが幸いここには竜が3匹、いや3人いる。自力での使用に協力してもらうのも、彼女らに頼み込んで願いを叶えてもらう手も考えられる。一つ問題解決を見つけて俺は少しだけ希望を抱く。
「しかし竜秘宝はこれ以上誰の手であっても使用されるべきではありません」
しかし俺の考えとは裏腹に月輪先生の口調には明らかな拒絶の意志が感じられる。
「……そう、ですよね。やはり今でもどうにもならないのですね」
「(ひいろ?)」
残念そうにひいろが呟く。言葉は短く、だが彼女の悲しげな雰囲気は伝わってくる。彼女の様子の変化は気になるが月輪さんはどうするのか。月輪先生が返した言葉は淡々としたものでひいろの問から少し間を開けてから
「あなたは洋野さんとは別です。あなたにあなたの生き方があります」
とホワイトボードの文字を消しながら答えた。月輪先生の言葉の意味を考えると俺とひいろとは何か明確な線引き、あるいは区別をしているようだった。その答え方はあまりにも冷たく突き放すものだった。ひいろは俺達の視線に気づくといつものように微笑む。
「竜秘宝、夢がありますよね。何でも願いが叶うなんて使い道は慎重に考えませんとね」
目をにハートを浮かべた彼女は今も頭の中はニエの事でいっぱいなのだろう。もし許可されたのなら真っ先に彼女は竜秘宝でニエを思うがままにするだろう。しかし俺も使いたい物だから何故使ってはいけない理由は知りたい。
「先生、俺もこんな体から早く人に戻りたいから今すぐにでも使いたいですですがどのような欠点があるんですか」
「竜秘宝は改変の原理に因果律操作が働くため小さな改変でも法則が乱れます。書き換を繰り返し因果の乱れが限界を超えてしまえば結果何が起こるかは不明です」
竜秘宝で世界を壊せる、そんなスケールの話に思わず身震いした。納得した、道理でニエやひいろですらも使用を躊躇したわけだ。気軽に使って世界が終わりを迎えてしまうような物体はたとえ自身の為でも使うわけにはいかない。同時に最初の説明で既に壊れている、の意味はつまりこの秘宝を既に誰かが使用してしまったのか。
「(少し……理解して後悔したな)」
もしかしたら竜の知識は俺が思っている以上に危険な内容なのかもしれない。この後の1時間程続いた講義で月輪先生に教えてもらっている内容は説明で今後絶対に必要になることも分かっている。だが同時に俺はこの知識を得ずに今まで通り生きていける気がしなかった。
「それではこれにて講義を終わりにしたいと思います。
ご清聴ありがとうございます」
「ありがとうございます」
一礼すると椅子に座る。竜秘宝の話から脱線していたが竜の生態に関する話はどれも面白く、それ以上に恐ろしかった。だがそれと同時に疑問点も多く残った。特に『因果』とか『因果律』と言う用語については聞き覚えがなかった。月輪さん曰く研究性の高いの元で定義されたからか理解しずらいのは承知だそう。
月輪先生はホワイトボードを消してからメイドを呼んで運ばせる。ひいろは
先ほどからずっと頭を抱えているが、月輪さんの講義は難解で分かりにくい部分が多かったらしい。神妙な顔つきで自室に戻った。一方俺は俺で月輪さんには聞きたいことがある。
「あの、月輪先生」
「はい?」
「『神殺しと竜因果の覚書』は先生が書いたんですか?」
俺の質問に月輪さんの顔が一瞬強張った。そして、月輪さんは俺の問いにしばらく黙り込んだ後、小さく首を横に振って否定しその表情のまま数秒の間を置いて口を開く。
「いいえ、私はその本の著者ではありません」
その返答は予想外であり俺はすぐに聞き返す。
「本当にですか?」
「はい。寧ろ竜に関しての著書があるのなら私も拝見したいですね。今その本はどこにありますか?」
「それがまさか先生が来るとは思わず神職の友人に解読を依頼してしまいました」
「そうでしたか……」
残念そうに月輪先生は呟いた。どうやら月輪さんの書いたものではないようだ。しかしそうなるとこの本の作者は一体誰なのか。そもそもこれはどこから来たものなのだろうか。
俺と月輪さんの間に沈黙が流れる。どうしたものかと考えているうちに月輪先生の方から話を切り出した。
「そのご友人は何方でしょう。もしよければご紹介していただけますか」
「はい。黒姫ナツメっていう鳴葉大社でバイトしてるやつです」
「鳴葉稲荷の黒姫……」
月輪先生の目が少しだけ細くなる。何かまずかったかな、と不安になる。
だが月輪先生はすぐに元の優しい笑顔に戻る。
「彼女のご友人でしたか……大変な思いをされましたね」
「彼を知ってるんですか!?」
「彼には色々とお世話になっております。ええ、本当に色々と。おしりを触られるのは当たり前、盗撮や盗難未遂も際限ない淫奔極まりない方です」
具体的な彼を語る言葉には怒りと俺と同類の苦労がにじみ出ている。見た目では冷静を装うも目は笑っておらず激しい憤りを感じる。事実彼女のスタイルはスレンダーの美人で彼からしたら恰好の餌食だろう。
「ですが悩ましい事に彼女は非常に優秀な協力者です」
月輪先生は俺に向き直る。副業として鳴葉の歴史館を運営しているから鳴葉稲荷として彼とは浅からぬ縁があるのだろう。彼は月輪家にとってどういう存在だったのか、気になった俺は尋ねてみることにする。すると月輪さんはまた困ったような顔をする。
「話せなくはないのですがこの後桐生さんとの用事がありますので……申し訳ありませんが日を改めていただいてもよろしいでしょうか」
それは仕方がないなと思い俺は素直に諦めた。しかし月輪さんは何やら言い辛そうにしている様子だ。もしかしたらあまり人に知られたくない内容なのかもしれない。これ以上聞くべきではないと判断した俺が謝ろうとすると先に後ろから声がかかる。
「月輪、彼も連れてこい」
振り返ればそこにはいつの間にか蕾さんがいた。
相変わらずの無愛想で不機嫌そうだ。
「彼の同行を私が許可する。それに貴様について話さねばならない事もある」
「わかりました、少々お待ちください」
「いや、まだ待て。先に本当に彼に聞く意思があるか確認しておこう」
蕾さんは月輪先生の方に歩み寄り、唐突に彼女のローブをめくる。月輪先生は抵抗する事もなくされるがままだ。そして露わになったのは月輪さんの下着だった。月輪先生は白のレースのついた可愛らしいデザインのショーツを履いている。俺は思わず目を逸らすが、逸らす前にそれ以上に異常な物が見えてしまった。
「えっ……?」
彼女の最も特徴的な部分は足だった。彼女の両足は膝から先が獣の物となっていたのだ。爪は長く鋭く金属質の光沢を持ち、白と黒の毛に覆われている。構造は犬科の動物の脚に似ていた。
「黎人、君はこれを見ても「きゃあああああああああ!?!?」
俺が驚くより早く月輪先生が悲鳴を上げる。そして蕾さんに詰め寄り頬を思い切りビンタした。
パァン!といういい音が広間に響き渡った。
「あ、ああ、ああああああ!!」
恥ずかしさと驚きで顔を真っ赤にした月輪さんはまましゃがみ込む。そして涙目になりながら自分の足を必死に隠す。
「大丈夫ですか?」
「はいぃ……すみません……」
俺は慌てて駆け寄るが月輪先生の反応を見る限りどうやらかなり動揺しているようだ。蕾さんの方はと言うと特に気にした風もなく平然とした顔で月輪さんを見下ろしている。
「別に肌着一枚くらい見られてもどうってことないだろうに。何をそんなに騒ぐ必要がある」
「貴方はデリカシーというものが無いんですか!?」
「私にだって一般常識はある。ただ効率を少し優先した」
「そういう問題ではありません!」
「はぁ……」
この二人の間には何か深い溝があるようだなと感じる。
「まあいい、とにかくこれで良いだろう。お前もいつまでも泣いてないで立ち上がれ。それと黎人君も私の私室へ来てくれ」
蕾さんはそう言って月輪先生を引きずるように部屋から出て行った。
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