どらごんれでぃいらばーず!!!~現代日本で竜娘にTSしたけど同じ超可愛い竜娘(問題児)と支え合ってハーレム生活を満喫します!~ 作:囚人番号虚数番
蕾さんたちの後を追いかける。広間から離れるように普段向かわない方に向かう彼らはどこか不気味に思えた。まるでこの洋館には相応しくない人物をこの屋敷に招いているように。そして二人はある扉の前で立ち止まる。月輪先生は一人入室し蕾さんは俺を待ってくれた。
「ここは……」
「私の私室だ。表向きにはな。実際は私の仕事場を兼ねている。講師は先に中に招いている。早く入れ」
「ひいろとニエは連れてこないんですか?」
「緋刃には竜の知識など要らないし現在も危険な状態だから言語道断。苗床はそもそもここには近づけない」
そして彼女は「ああ、それから」と付け加えてこう言った。
「ここから先は機密事項だ」
そう言い残して彼女は鍵を開き中へ消えていった。
取り残された俺はしばらくその場で固まった後、覚悟を決めて扉を開いた。彼女の部屋は最低限の物が置かれた簡素な殺風景な部屋だ。使用感も殆どなく家具には埃が被っている。たった一つ、壁に埋め込まれた謎のICカードリーダーを除いては。
彼女が素手でカードリーダーに触れると、ピピッという音と共に壁が開き、そこには鉄扉が隠されていた。
「こっちだ」
鉄扉の先は長い階段が続き、先は暗く見えない。明かりという明かりは壁に埋め込まれた心もとない青白い非常灯のみ。彼女は躊躇なくその暗闇へと進んでいき俺もそれに続いて降りていく。
地下深くまで降りると今度は大きな両開きの鋼鉄製のドアが待ち構えていた。壁に埋め込まれたICカードリーダーと今度はキーパッドにパスワードを打ち込んで扉を開ける。空いた隙間から冷気が漏れ出して来る。その奥に見えた光景に俺は言葉を失った。
「本来これらにはもっと別の場所が適すのは承知だ。しかし地下はいざとなれば廃棄がしやすいし丁重に隠すならば山中の地下以上に好ましい場所は無い」
「これは一体……!」
「ただの女型アンドロイド機体の残機だ」
広い空間には所せましと人の入れる大きさのカプセルが安置され、その中には人の形をしたものが入っていた。カプセルの中の人は概ね女性が多く、その女性の多くはどこかで見たような覚えがある顔な気がした。でも一体どこで……?
「こっちだ」
「えっちょ………!」
「百聞は一見に如かず、今は話が優先だ」
彼女はスタスタと歩き始め、俺も慌ててそれについていく。カプセルの間を縫う様に歩く。カプセル以外に部屋にあるものは「工務室」「サーバールーム」「倉庫」と書かれた扉3つと何も書かれていない扉が一つあった。
「あの部屋は私の私室だ。基本入れない様になってるからメールをお願いする」
鉄扉で中は見えず、彼女の自室はどういう物か全く分からないまま俺達は工務室に入る。そこは無機質な材質の巨大なパソコンと大量の工具が棚に並べられ、多くの作業台と一つの手術台が設置されている。奥には更に部屋が分岐し「倉庫」「精密作業室」「実験室」に続いている。
「(手術台……血の臭いはしないけど物騒な部屋だな)」
そこから更に「実験室」に入る。地上の洋館の広間並の広さに匹敵し、内装も広間に似た豪勢な雰囲気の部屋である。
「ここが実験場ですか?」
「そうだ」
「実験室にしてはちょっと豪華ですね」
「当たり前だろう。本番を想定すればこうなる事は必然だ。それよりも席に座れ」
蕾さんの指差す方向に目をやると月輪先生が椅子に座り微笑みながらこちらを見ていた。俺達も適当な椅子に腰かける。すると月輪さんが俺に向かって口を開く。
「あなたはここまでにこの豪華な洋館には似つかない存在見たはずです。」
「それは……」
「まぁ、大体想像がつくでしょうね。この洋館は水竜の研究施設も兼ねています。」
月輪さんの言葉に蕾さんは少し眉間にシワを寄せたが特に言及する事もなく話を続けた。
「私もただ歴史館の館長をしているわけではありません。あの資料館も水竜コーポレーションの施設です。私もまた竜に関わる研究をしています」
「何をしてるんですか?この洋館を使って……」
「黎人君、先に私の話を聞きたまえ」
蕾さんは俺の質問を遮り語り始める。
「君はその体から本当に人に戻る気なのかい」
「はい、世間体もありますし早く社会復帰して大学に戻りたいです」
「それは君の本心ではない。あくまで『世間』の為の答えだ。私は君がどうでありたいのか知りたいのだよ」
被せ気味に否定された俺の願望は否定された。でも俺のこの願いは思えば彼女の指摘する通りなのだ。よく考えなくても俺はニエとひいろの仲を取り持ち続ければ何不自由なく生活できる。
そして改めて考えるとこのまま現状を維持すれば生活にも困らないのだ。先日の逃避行で街へと出歩いても大した問題とはならず年齢以外は特に問題は無い。つまり竜でいることに欠点は存在しないのだ。
「…………」
それも、少なくとも先程の月輪先生の足を見るまでは。彼女の足は明らかに人外であり異形である。それを蕾さんが態々見せた。加えてこの部屋までの道中からも考えるに俺は良くて警告、悪くて脅されているのだろうか。黙り込んで答えを考えていると痺れを切らした蕾さんが再び話す。
「沈黙、と。ならば聞き方を変えよう。君は人に戻って何がしたい。家族に会いたい、友人に会いたい、恋人が欲しい。君にそんな願いはあるかね」
「! それは……」
それは決して無いとは言い切れない当たり前の願いだ。しかし本当に親しい仲の友人には打ち明けているし、家族にも特に執着は無い。俺には竜から戻る理由だけでなく人でいる理由もあいまいな物であったと自覚してしまった。俺の中で最後の人間の尊厳が崩れかかったその時、
「だから私は君に願いを与えよう」
蕾さんが机に瑠璃色の水晶を置いた。深海のような透明な暗色は只美しいだけでなく普通ではない感覚を感じる。そして俺は本能的にそれが何なのかが理解できた。
「これは私の竜秘宝だ。只鑑賞するためだけの意味の無い物では決してない」
「桐生さん!?いくら何でも代価として差し出す物ではありません!」
月輪先生は慌てて止めに入るが、蕾さんは竜秘宝をしまいながら首を横に振って止めるように促す。そして確信めいた応答に月輪さんは押し黙った。
「君は竜に興味があるかね。もし君が利用法を解明してくれるのならば私はこれを喜んで君に差し出そう」
「……本当にですか」
「君が竜の叡智をどう使うのかかはっきり言ってどうでもいい。しかし君が竜を望むのであればお互いに仲間として協力してもらう」
俺はその提案に思わず唾を飲み込む。この人が味方になってくれるのは正直ありがたかった。何せ今までメールで何度もお世話になって正体を知った上で協力してくれるという事は信用していいと思う。だけど一応はこれを聞いておく。
「断ったらどうなりますか」
「騙して悪いが……とは苗床がうるさいからな。単純に何もなかった体で過ごしてもらう」
蕾さんは表情一つ変えずに答える。物騒な冗談以外は嘘をついてるような様子はない。しかしもう後戻りはできないと悟り俺は覚悟を決める。
「分かりました。竜秘宝を俺にください。人に戻る必要が無くたって俺は俺の意思で人に戻ることを願います」
俺の言葉に蕾さんは微かに微笑むとポケットからIDカードを取り出して俺に手渡してきた。「水竜」のロゴと俺の名前が書かれている。
「では契約成立だ。それはこの部屋へのIDカード、私の部屋以外はどこにでも入れるようにできている。これで君も私達の仲間入りだ」
こうして俺は本格的に人に戻る為の活路を見出した。竜秘宝の謎を解き俺は人の体を再び取り戻す。それがどれほど難解でこれから先どうなるかは分からないけど、それでも前を向いて生きていこうと思った。
で、第一歩は踏み出せたとして彼女らからはまだ話があるらしい。というより仲間になって初め話せることを今から教えるそうだ。俺は少し緊張しながら彼女達の話を待った。彼女らは俺の事をじっと見つめる。さっきまでの雰囲気とはまた違い真面目な雰囲気だった。蕾さんはしばらく俺を見ていた後に視線を外し、そして一呼吸おいてから口を開く。
「さて、まずは私の正体について少し話す。月輪が水竜の者であるように私もただ苗床の世話をしている訳でない」
「まあ、ですよね」
寧ろ道中であれだけの怪しい物を見せられてただのメイドだと信じる気は揺らいでいる。工房とサーバールーム、そしてメイドの「予備」が置いてある地下室を見ればそれは明らかだ。
彼女は席を立ち俺達から少し離れると服の袖をめくる。一見すると多少筋肉のついた普通の腕だが彼女が腕を勢いよく振るとまるで液体のように形を変えて、そして一瞬にして機械の腕になった。左腕には銃、右手には細く長いチェーンソーが腕の代わりに生えている。蕾さんの体は全身が義手、義足、そして機械のパーツで構成されていた。その姿を見た俺は思わず息を呑んだ。
「改めて紹介しよう。私は水竜コーポレーション特殊機動部隊所属対神戦闘部隊技術部担当『機龍【激雷】』だ」
彼女は水竜コーポレーションが極秘で所有する特殊部隊のリーダーで技術開発と人外との戦闘を担当する。普段はメイドの義体の開発を進める一方で今回の駅前のニエの鎮圧も彼らのお陰であった。
彼女の自己紹介を聞き、驚きつつも内心どこか納得しいている。あの時ニエが彼女が竜だと指摘したのは本当だったのだ。それでも人外のベクトルがこうであるとは思っていなかったのだが。
「でも、どうして今まで正体を隠していたんですか? 別に隠す必要もないじゃないですか?」
「竜に二回殺された人間が初対面の竜を前に何をするかまでは私にも分からなかった、それだけだ」
彼女は腕を仕舞いながら答える。確かに、状況が状況であれば俺なら絶対に逃げ出してる。それを思えば彼女達が俺の前にこの姿を現さなかった理由は理解できた。
彼女の紹介が終わりお次は月輪先生の番だ。
「私は新鳴葉駅前歴史記念館館長兼水竜コーポレーション特殊部隊神学研究部神学部門にに所属しています」
彼女は主に竜と竜の住む次元について研究しているらしい。彼女曰く獣の足もその過程で手に入れたものであり特徴的な服装も色々あったらしい。
「そういえば、あの足って本物の動物の足なんですか?蕾さんみたいな義足とかじゃなくて」
俺はふとした疑問を口にする。
「えぇ、本物ですよ。もしよかったら触っていますか?」
彼女は自分の足を指差して言う。正直、少し興味があったのでお願いした。彼女は椅子に座りながらスカートを少したくし上げる。下からちらりと見える足先は毛皮に包まれた獣の物で、毛並みはとても良く、手に触れる感触はふかふかしていた。
「これは何の動物ですか」
「狐の仲間です」
「狐、こんな触り心地なんですね」
俺はその手触りの良さに感動しつつこの感覚を堪能し続けていると時折くすぐったそうな声を上げる。感覚はあるらしいからやはり本物らしい。
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「さて、新たな仲間が我々に加わったことでやっと本題に入れるな」
蕾さんは真面目な雰囲気で話し始める。
「まずは月輪にいい報告がある。黎人は神の可視領域だった。しかも2柱どちらの姿も見えている。戦闘能力には乏しいが即戦力の人材だ」
蕾さんの言葉を聞いた月輪先生の顔がぱっと明るくなる。どうやら俺の存在は嬉しいようだ。
「ありがとうございます。これで私の研究も捗るでしょう」
「次に、ニエの件だが治療ついでに奴の血液サンプルを採取することに成功した。これにより我々は苗床に対しての有効だがまた一つ増えるかもしれない」
蕾さんの表情からは自信が伺える。だがどこか言葉に違和感がある。まるで何かひいろが敵みたいな言い方だ。嫌な予感が頭をよぎる。
「あ、あの!」
俺の声に皆がこちらを見る。
「有効打って、ひいろは俺達の敵なんですか」
「いいえ、彼女は敵ではありません。ですが……」「彼女は敵でもなく見方でもない。ただ厄介で処理に困るだけだ」
「そんな言い方しなくても!俺はひいろを大学で見てきたから知ってる。アイツは悪い奴じゃない!ニエの事になるとかなり性格が荒れるけれど、根っこの部分はかなり優しいはずだ!」
俺が熱くなっている横で月輪先生はとても悲しげな顔をしていた。
「黎人君、ここまで手の内を見せたのなら遅かれ早かれ知ることになるだろうが君には伝えておく」
蕾さんは相変わらずの無表情で彼女は口を開く。それは、簡潔で分かりやすく、あまりに衝撃的な内容であった。
「私達の任務は『苗床の処分』と『竜秘宝の利用』だ」
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