どらごんれでぃいらばーず!!!~現代日本で竜娘にTSしたけど同じ超可愛い竜娘(問題児)と支え合ってハーレム生活を満喫します!~   作:囚人番号虚数番

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追憶

「ニエの過去?」

 

「ええ、私って結構適当にあっちでは過ごしてたの。まさか後をつけるようなのがいる事自事結構の衝撃だったわね」

 

「過去……」

 

俺が彼女についていくつか知っている事がある。彼女が自ら触れた殺戮の末竜の仲間内から追い出された事と、つい数時間前のひいろから言及された情報だ。

 

 

 

黎人さん、もし多くの竜が知る餐龍の姿があの夜の彼女だとしたらあなたはどう思いますか

 

 

 

「……」

 

「私も苗床から伝え聞いたのかなってはじめは考えてたけど……そもそも苗床とは比較的最近出会ったばかりなの。あ、最近と言っても人間からしたら相当長い期間よ」

 

「じゃあ、苗床は出会う前なのにニエを知ってたのか?」

 

「概ね、そういう認識でいいわね」

 

ニエは腕を組んでうんうんと相槌を打つ。だがその表情はすぐに曇ってしまった。

 

「だから不思議だったのよねまさか……」

 

彼女はそこで言葉を切ると黙り込んでしまった。何か考え込んでいる様子だ。しかし俺にはそれが何なのか分からなかった。

 

「……いいや、ここから先は一旦私が自力で調べてくる。」

 

ニエはそう言うなり俺の部屋から出て行った。去り際に扉を閉める音が妙に大きく響いた。

 

「結局どういうことなんだろ」

 

俺は一人残された部屋で呟く。

 

 

 

バンッ!

 

「レイト!ゴメン!」

 

直後、勢いよくドアが開くとニエは息も絶え絶えに入ってきた。額に汗を滲ませて息が荒い。どうやら全力疾走してきたようだ。ニエが呼吸を整えていると扉の向こうからひいろの声が聞こえてくる。

 

「緋刃さーん♡勝手に病室から逃げ出すだなんて余程飽き飽きしていたのですね~。なら私がお相手いたしますよ~♡」

 

ガチャリと音を立てて扉が開かれる。満面の笑みを浮かべるひいろがいた。そしてそのままニエの元へ駆け寄るとその首根っこを掴み引きずって行く。

 

「ちょっ!?離してよ!!」

 

「外出は傷が塞がってからですよ♡」

 

抵抗するニエだったが、ひよりの力の前になすすべなく連れ去られていくのであった。そして廊下からニエの悲痛な叫び声だけが虚しく響き渡っていた。

 

「あれがヤンデレって奴なのか?」

 

俺の問いに答える者は誰もいなかった。

 

ー--

 

あれから数時間、ニエは俺に泣きついてくることはなく日が暮れた。それから一人で夕食を取り

風呂に入る。

 

脱衣所で服を脱ぎ広い浴室に入ると湯気が身体を覆う。少し熱めのお湯に浸かると全身の疲れが取れて行くような感覚を覚えた。しばらく浸かると、心理的にも落ち着いたのか蕾さんと月輪先生との事を思い出す余裕ができた。

 

「苗床、ひいろの『処分』。水竜特殊部隊が抱える長年の課題……」

 

彼女らとの会話を反すうしながら天井を見上げる。そして目を閉じて思考を巡らせる。確か彼女はこう言っていた。

 

 

ー--

 

 

『え?どういう事ですか?苗床の、処分?ひいろを殺すって意味ですか!?』

 

蕾さんに詰め寄り真意を問う。俺は間違いであってほしかった。いくら不死とはいえ友人のひいろが物のような扱いをされるのに心底腹が立つ。だが煮えくり返る腹の内を本当に言葉の通りなのかすがるように彼女に真実を求めてしまう。それでも彼女から返ってきた答えはあまりにも残酷だった。

 

『そうだ。君からすれば友人を殺すと同義だが私達水竜にとっては彼女は忌むべき者でしかない』

 

淡々と事実を述べるように告げられるその言葉を聞いて俺の中で怒りが爆発した。

 

『ふざけんな!!何だよそれ!!!』

 

感情のままに怒鳴り散らす。今この場で殴りかかってもおかしくないくらい頭に血が上っている。それほどまでに彼女の発言は俺にとって許せないものだった。

 

『落ち着いて下さい、洋野さん。お気持ちは良く分かります。ですがこれは必要な手順なのです。それに、ひいろ自身も了承していますよ』

 

咄嗟に立ち上がり俺の肩に手を置き宥める月輪先生。だが俺の心はまだ収まらない。

 

『納得できるかよ!!!』

 

そう言って手を振り払い、蕾さんに掴みかかろうとしたその時、俺の手が届く前に蕾さんの拳が眼前に迫っていた。鈍く重い音が響き、目の前で火花が散る。そのまま壁に叩きつけられ背中を強く打った。一瞬息が出来なくなり、呼吸困難に陥る。

 

『実験プロトコルの完遂には私達が必要だ。仕事の邪魔をするのであれば私も君に容赦しない』

 

『洋野くん、落ち着いてください!今のあなたでは勝てません!』

 

月輪先生の声を聞き冷静さを取り戻す。確かに今の状態で戦っても勝ち目はない。俺は深呼吸をして心を落ち着かせると蕾さんに向かって頭を下げた。

 

『す、すみませんでした』

 

謝罪の言葉を口にすると『早く座れ』と遮られた。そのあまりに淡々と話す彼女の口調がより一層真実味を増していた。俺には彼女がそこまで冷酷になれる理由がわからず、事実を受け入れられなかった。

 

『屍龍【苗床】は先代の水竜の研究者が生み出した竜だ。彼は生物学と神学の分野で多大な功績を挙げ、だが今の苗床という竜を作り部隊を退いた』

 

一拍置くと、ひいろ月輪先生の顔を見て話を続ける。

 

『しかし、彼の研究には不可解な点が多くある。とりわけ彼は生物学的な死を超越する事に重点を置き、遺伝子操作から竜の体の移植、禁忌とされているものに手を出すのもいとわない。そして何より何故彼がそのような事をしたかは不明だ。ただ最後に私達に彼を預け、処分できずに彼女をここに閉じ込めている』

 

そこまで言うと再び口を閉ざしてしまう。その顔は相変わらずの無表情で詳しく何を考えているか読み取ることは出来ない。彼女の言葉が止まったら続けて月輪先生が語りだす。

 

『神学の方面でも彼は原初にして異端でした。竜の研究と並行して、彼は何かに取り憑かれたように研究に取り組んでいたそうです。結果彼女は竜秘宝の外部への影響の大きさを見抜き、その欠陥を研究しました』

 

そこで言葉を区切ると苦笑いを浮かべる。

 

『ですが彼がいたからこそ、私のような新たな神学者が誕生しました……って』

 

『おい、黎人君、さっきから呆然としているみたいだが大丈夫かい?』

 

突然話しかけられハッとする。どうやら考え込んでいたらしい。

 

『えっと、はい、なんとか理解できています。ただ、少し混乱してまして』

 

そう言って曖昧に笑うことしかできない。正直なところ俺はまだ完全に納得出来ていない。それどころか、未だに受け入れられない部分もある。そんな事を考えながら視線を落とす。

 

そこには先程までなかったはずのものがあった。それは俺の手の中で強く握り締められている拳だった。爪が深く食い込み血が流れ出ている。

こんなにも痛むならいっそ夢であって欲しいと思う。だけどこれは紛れもない現実なのだ。

 

『君、今日はもう帰りなさい』

 

唐突に言われた一言に思わず顔を上げる。すると、目の前にいる蕾さんは無表情のままこちらを見ていた。

 

『君は今冷静じゃない。それにこれ以上ここにいても時間の無駄だろう。今日の所は帰って頭を冷やせ』

 

『え、で、でも!』

 

『洋野さん、私からもお願いします。あなたには休息が必要です』

 

俺の言葉に続くようにしてひいろ月輪先生の声が聞こえてくる。俺は何も言えず黙り込むしかなかった。確かに二人の言っていることは正しい。俺だって本当はわかっているんだ。今はどんなことをしても意味がないということくらい、だからといってこのまま引き下がるわけにはいかない。

 

『分かり……ました』

 

しかし、俺はそれだけ言うのが精一杯だった。それ以上何も言わず立ち上がると扉に向かって歩き出す。

 

ー--

 

「あの時俺は何をすれば良かったんだろう」

 

俺は自分の無力さを改めて実感した。俺には戦う術がない。だから俺には何もできないのだ。

 

「せめて俺にできることは」

 

俺はふと、彼女の角に触れる。

 

「この角さえなければ俺は普通の人間として生きられたかもしれない」

 

そう思うと俺は急に恐ろしくなった。

 

「こんな化け物になるくらいだったら俺は」

 

俺は角を握りしめるとそれをへし折ろうと力を込める。力を入れて角を握ると水風船のように形を変えて弾け飛んだ。角から白い液状のものが飛び散り床一面に広がる。

 

……あ、やっべ。衝動的にやったけどこれ掃除しないとヤバいよな。でも今から拭いたらまだ平気だろう。 俺は慌ててモップでそれを拭く。幸い誰もいないからいいものの誰かに見られたらどうなるか分からない。

 

そんな事を考えながら作業をしていると何故だか気分が少し晴れた。

 

「これでよしっと」

 

それから何事もなく俺は部屋に戻る。そして月輪先生からのテキストをまた読み返すと2回目だからか以外にも簡単に読むことが出来た。まるで俺の頭から悪い門のがスーッと抜けたような感覚だ。だからか読み終えた後そのまま寝ようと思ったのだが、なんだか落ち着かない。俺は仕方なく布団に入ったがまだ眠くないのでスマホで動画を見ることにした。

 

「うーん、やっぱりアニメって面白いなぁ。深夜枠も侮れないぞ」

 

俺が見たのは異世界ファンタジーもので勇者が魔王を倒すというありきたりな内容だったがそれが逆に面白かった。こういうのを見てると自分がいかに狭い世界で生きているのかがよく分かる。

 

そして次の動画に進もうとした瞬間広告が流れてくる。それは鳴葉稲荷の観光案内であった。

 

「…………鳴葉稲荷、狐のあの人達にお礼に行かないとな」

 

その動画を見た途端、俺は自然とその言葉を口にしていた。あの駅前で出会った彼女らは俺に救いの手を伸ばし、その後もニエの鎮圧に協力した。俺は黒髪の狐の子が逃げろと言ったのに俺は態々断って挙句死んでしまった。もし出会えるのならそれだけは伝えておくべきだろう。確か白髪の子が我らに会いたくば鳴葉の社へと参れ、最後にこう言って去って行ったと俺は覚えている。

 

「週末に行くか、神社」

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