どらごんれでぃいらばーず!!!~現代日本で竜娘にTSしたけど同じ超可愛い竜娘(問題児)と支え合ってハーレム生活を満喫します!~ 作:囚人番号虚数番
滝沢夫妻に俺の発見経緯と経過を聞く。
曰く散歩の最中に神社前で血だらけで倒れる俺を見かけたそうだ。救急にも連絡しようかと考えたものの俺の只ならぬ容姿と恐らく自身の物ではない腕を抱えた様子から自宅で匿う事にしたらしい。身体的には体を拭いて止血と消毒をして、一応の救援として医学に強い知り合いに連絡したりしていた。
ひいろに関しては目を離している時に物音がした際いつの間にかいたそう。同時に俺の腕も再生していたらしい。
彼らは「不思議な事もある」と、特に気にしないでいてくれたけれど……
「ありがとうございました」
「いえいえ、気にしないで」「体が休まるまでここでゆっくりしていいぞ」
今は人のご厚意に甘えておこう。
それから暫くは滝沢夫妻から俺についての事と経緯を質問された。どうやってここまで来たのか、何故重症で倒れていたのか、そして俺の人外の混じる容姿に関して。俺はそのすべてを明確な言及をせず、多くを分からない、話せないで通した。
正直俺が短い間で経験した行為の全てがあまりにも非現実過ぎて信じてもらえるとは考えていないからだ。それにここに来た経緯の中で水竜が関わっている為あまり多くを言ってしまうと何が起こるか分からないのだ。責任が持てない以上、危険な行為には走るべきではない。
結果彼らには非常に頭を抱える事になった。本当に、本当に申し訳ない。
「ごめんなさい。自分でも何が起きてこうなってしまったのか良く分からなくて」
「う、うーん。話せないなら仕方がないよね。でも無理はしなくていいから」
「はい……」
俺は心の底からの謝罪をする。こんな得体の知れない奴を家に匿ってくれるなんて優しい人達だ。そして彼らの話から察するにどうやらここは俺が居た世界とは違う世界の様だった。
壁掛けのカレンダーは数年前の同じ月で掛けられている。置き型の電波時計の日付表記と同月で、かつ俺の知っている今日の日付でありここが改めてここが異空間だと認識する。
念の為ここらの地図をスマホで見せてもらったら全国地図からの相対位置から考えるに稲荷の近くである。あの廃墟の神社は「鳴葉神社」、管理者が放置したままかなりの年数が経過している。勿論人もあまり寄り付かない。観光地の鳴葉稲荷とはまるで対極だ。
彼らにもこの違いが分かるようにスマホのから数年前の稲荷の画像を見せる。あのボロボロの社とは似ても似つかない荘厳なお社。フィルターも何も掛けてない素のままでもこれなら伝わるだろう。
「おお、これは観光し甲斐のある神社だ。今度の休みに旅行に行きたいな」
「良いね!私も行きたいなー!」
夫婦は楽しげに話す。仲睦まじい様だ。これが異次元に存在する観光地でなければ観光雑誌でも紹介してあげられるのだが。
「まぁそれはさておき、君はこれから行く当てはあるのか?」
「えっ?あー……無いですね……。とりあえず家に帰ろうと思います」
「家はどこにあるんだ?ここから遠いのか?一人で大丈夫なのか?というより君は学生だよな。学校はいいのか?親御さんとか……」
「っ親には!親には絶対に連絡しないで下さい!」
思わず声を荒げてしまう。しまった、と思った時にはもう遅い。二人は驚きこちらを見る。
「す、すみません。大きな声で。ただ、お願いします。両親にだけは知られたくないんです」
それだけは、それだけは絶対に嫌だ。携帯の電波が繋がらず、連絡など取れないのに。額をテーブルにつけるまで体を倒し懇願した。
竜となって性別も、年齢も、種族も何もかも別人となった俺を家族には知られたくない。今の姿を家族に見せて一体誰が信じてくれるだろうか。今の俺はバイトも辞め、学校にも行かず、社会的から半部乖離している。資格も証明も今は意味を為さないかあっても信頼からは程遠い結果となる。
そんな俺を両親はどう思うのだろう。俺の事を心配してくれていた母さんに、俺の帰りを待つ父さんに、俺の変わり果てた姿を見られるのは何よりも辛い。
更に今の俺は追われる身だ。俺のせいで家族がどんな扱いを受けるか分からない。最悪俺のせいで迷惑をかけてしまうかもしれない。
だから、どうか……
「分かった。親には内緒ね。拓海もそれでいい?」「ああ、俺も同じ意見だ」
俺の必死さが伝わったのか夫妻は顔を見合わせると優しく微笑みかけてくれた。
「人間誰しも秘密の2,3個ある生き物だ。だから君の事はご家族には秘密にしておく」
「ありがとうございます」
……この人達はどうしてここまでしてくれるのだろう。俺は感謝と共に疑問を抱く。
「君が腕を無くした経緯は聞かないよ。でも、これだけは教えてくれ」
拓海さんは俺を真っ直ぐ見据えて言った。
「君は竜か、それとも神かを信じた事があるか」
__!?
「ッまさか!「はいストップ」
俺が咄嵯に立ち上がろうとした所をドラコさんが抑える。おかしい、俺と彼女は机を挟んで対面して座っていた筈だ。なのに彼女は今俺の後方で肩に手をかけて俺を押さえつけている。焦り判断力が一瞬鈍った事を考慮した上で目にも止まらない驚異的なスピードと反射速度に戦慄した。嫌な汗が額から流れ落ちる。
「その反応、図星?」
俺は答えを返さない。肯定も否定もせずただただ沈黙する。
「種までは特定できないまでもその角と尻尾、気配は間違いなく同族の雰囲気だよ。黙ってても私の目は誤魔化せない」
そう言って彼女は自身の目を指差す。彼女の目に迷いはなく俺が人外だ確信している。だが同族とは?蕾さんと同様に体に加工を施しているのだろうか。見た所角も何も見えない。
「ドラコ、止めろ」
拓海さんの制止で彼女が手を離す。そして彼は立ち上がり俺の隣に立った。
俺はようやく落ち着きを取り戻して席に着いた。同時に確信する。彼らは敵でも味方でもない、竜だ。
俺は彼女から解放されると扉の前まで距離を取る。警戒し、半ば怯えるように彼らを見る。しかし彼は何故か俺に憐れむような目線を向けている。
「プッふふ。やっぱり隠し事はよくないや」
緊張を破ったのは彼女だった。突然に笑ったと思ったら吹っ切れたように明るい声で語り掛ける。今までも親しげだったが一層にこちらに気を許したような態度だ。
「ねえ、そろそろ探り合うのは疲れたんじゃない?ここは一度落ち着いてお茶でも飲もうよ」
彼女は新しくコーヒーを2杯淹れ片方を俺の席の前に置いた。そしてソファーに足を組んで座った。彼女は一口飲んで顔をしかめた後砂糖とミルクを新たに入れた。
……俺も一口飲む。インスタント特有の何とも言えない風味がする。
「私達は初めから君が人じゃないって予感してたよ。洋野君」
「(動揺するな、警戒し続けろ。相手の出方を疑え)」
「君が恐らく人間だったでしょ。実は私も人間のフリをした竜、『水竜【水槍】』」
彼女は元竜。俺はそれを聞くと一度深呼吸してから一度冷静に話を聞く事にした。竜にはあまりいい印象を抱かない。「水竜」の名に嫌な悪寒を感じる。だから俺は真っ先にそこを尋ねた。
「『水竜』の関係者か?」
「お、何かを察したようだね。関係するも何も私こそ水竜コーポレーションの元CEO、現特殊部隊司令官兼会長だよ」
「じゃあひいろ、俺が持ってきた苗床を知っているのか?」
「苗床?うんうん、知ってる。あの子私よりお金の扱い上手だしお世話になってるよ……ってああ成程。アレのお友達なら激雷も知り合いだね」
因みにやはり彼女は事実上のひいろの上司だそう。
「緋刃という竜は?」
「それはちょっと覚えてない。多分激雷の管理記録に備考で書かれてたのを少し知ってるくらい」
?水竜の課題とか言われていたのに意外と知らないのか。考えてみれば彼女の日常で水竜に関わる人物は蕾さんと最近は月輪先生だけだ。加えて彼女は結構動く時は動くタイプだ。プライベートは知らないのだろう。
そして最後にこれ。
「俺については?」
竜を最も知る組織、そのトップだ。殆ど水竜と無関係なニエですら多少の情報を残す組織だ。俺についても何かを知っているかもしれない。
彼女は席を立ち、棚の中で充電されたタブレットの一つを取り出し操作する。彼女が何かをしている間、俺はいつの間にか拓海さんが部屋から居なくなっているのに気がついた。そして彼女は少しの時間で再び席に戻り机にタブレットを置いた。
「君の事はよく知ってるよ。でも安心して。君だけは今は水竜とは関係ない」
「知ってるって……」
タブレットには年代別に分けられた20個のフォルダが表示されている。名前は西暦と括弧つきの±の数字で統一される。最後の年はカレンダーに書かれた年代、問題は最初の年だ。そのフォルダの年代から±の数字を加算するとなんと俺の生まれた年になる。
振るえる指で俺はフォルダに手を伸ばす。不気味だ、この上なく気味の悪い感覚である。20という数字に生まれた年、だから俺には分かるのだ。遂に画面に触れ、瞬間画面に数々の写真が広がる。でかでかとはっきり表示されたそれは家族の写真だった。父と母、そして子の3人が笑顔で映る写真。場所は様々で家族団欒や旅先の写真、行事等、総合して一般的な家族写真である。
だが俺はかえって戦慄した。何故なら……
「何で俺の家族の写真を持ってるんですか」
「君の家族から貰った。成長する孫の姿は楽しみだから頼んだの。でも君と実際に合ったのは初めてだね」
脳が理解を拒んでいる。写真はどれも確かに俺が映る写真だ。成長の過程を記したデータの数々。不気味所ではない。スーッと血の気が引いていく感覚がする。因みに鳴葉神社での写真もある。
何が隠し事だ、これじゃ初めから何もかもおかしいじゃないか。水竜は初めから全部知っていたのか。
タブレットを虚ろに見つめる。その後方で二人の足音と3人目の気配がした。一人は拓海さん、彼は別に今は重要ではない。問題は残りの二人だ。
「海月」
「分かってる。俺が全部説明する」
海月、俺の父の名だ。彼の言葉に反射的に後ろに振り返る。
小さな頃から何度も見てきた俺の親父。顔は俺に似ていて、俺と違って優しい性格だった。俺が物心ついた時から既に俺よりずっと大人びていて、でも俺が困った時には助けてくれた。俺の憧れであり自慢の父親だった。
「何で」
それがどうしてだろう。
「……なんて事してくれたんだ親父」
「……」
「何で、何で!何で教えてくれなかった!?」
彼は見覚えのある防護服に頭以外を身を包み、青い竜を抱きかかえていた。竜は防具はそのままに頭だけを彼と同じく外し顔が顕になっていた。寝ているように静かに動いていて、だが目を開けたまま何をするでもなく父に抱かれていた。夢ならば覚めてほしい。
「母さん、どうして……」
仮面の下の顔は虚ろな目をした母であった。