どらごんれでぃいらばーず!!!~現代日本で竜娘にTSしたけど同じ超可愛い竜娘(問題児)と支え合ってハーレム生活を満喫します!~   作:囚人番号虚数番

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そして運命は動き出す

駅のホームで一人ベンチに座り帰りの電車を待つ。ゆっくりと白い尻尾を揺らし、角を収縮させながら私は眠気から静かに目を閉じていた。午後の人が再び動き出す時刻であるのに、不思議とここには私以外にはいない。不気味な程に静まり返ったホームは世界に私一人しかいないと錯覚させる。

 

「(あんな奴でも……一応、友達だったのに)」

 

夢現の最中に思い浮かぶのはナツメへの尽きぬ疑問だった。神出鬼没な面があったのは認める。しかしそれ以上にまた自身が原因で死亡した事を悔いている。私が原因でもう何人死んだ。駅の騒動に親しい友人、母親も今だ意識がない。

 

「(竜になんて知らなければずっと幸せだったのかな)」

 

考えている内に目的の電車がホームに止まる。私は飛び起きて乗り込んだ。電車の窓から見える街はたった数日で惨状を忘れている。だけど事件は確実に起きたのだ。あの夜、街が落ちたように。

 

ただ少しだけ面白くも感じる。ニエと出会い、命を賭し、落とした存在はきっと私だけだ。ひいろの本性も苦しみも知らなかっただろうし神様もきっと架空の存在としか考えなかった。そう考えると以外と悪い話じゃないのかもしれない。

 

「今日はいいデートだったかも♪」

 

大切な友人が死んだのに不思議と気分は場違いに高揚していた。ここ最近の鬱気味な気分を切り替える役目はしっかりと果たしてくれた。あの本が借りパクされちゃったのは残念だったけれどナツメならまたふらっとどこかで会えるかな?

 

「~~♪」

 

誰もいない電車で一人揺られながら鼻歌を歌う。騒音にかき消されながら流行りの歌のうろ覚えの歌詞が車内に響く。

 

そこに更にスマホから電子音が響いた。誰もいない車内だしそのまま電話を取る。

 

「もしもし、黎人君!?」

 

すると通話を始めた途端どうやら月輪先生の解読が大声で呼ばれた。音量を下げて要件を再び尋ねると蕾さんに伝わったらしくその詳細について私に話を聞きたいらしい。

 

 

「今すぐ帰ってきてくれないか。君の貸した『竜殺しと……」

 

「その本、借りパクされました。今は行方知らずです。ごめんなさい」

 

「うそっ……!?すまない、少しだけ席を外す……ホアアアアアア!!シリョウガアアアアジンルイノエイチソノモノガアアア!!フンショハ、フンショダケハアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

電話の向こうからヒステリックな叫び声が上がる。多分、先生の予想を大きく上回る被害が出てしまったらしい。蕾さんの電子音にも似たバグった声初めて聴いた。私は少し罪の意識を感じながらも電車の中で愉悦に浸っていた。

 

「ははっ。蕾さん、落ち着いてください」

 

「君、随分と落ち着いていられるな!こっちは一世一代の研究成果に繋がりかねない資料を焚書されかねない状態だぞ!」

 

「原板の情報はあるんですし翻訳法も今月輪さんが検証中だそうです。特に問題はないかと」

 

「そ、そうだけどねえ!とにかく帰ってきたら会議だ!」

 

雑に電話を切られ通話が途切れた。この前から段々と可愛らしいというか、やっと人間らしい所を見ている気がする。賢い人は好きだけれど、やっぱり興味深い人はそれ以上に好きかもしれない。ひいろも私の基準では彼女側だろう。

 

ただニエだけは違うと思うな。ニエは何をするか分からない自由さと気ままさが今思えば恋しいのだろう。ニエの様態が落ち着いたらまたゲー厶や漫画でゆっくりしたい。知らない場所にお出かけでもいいかな?

 

「今思えばあの逃亡生活も悪くなかったなー」

 

最寄り駅に着くまでをスマホで最新のゲームを調べながら過ごす。全てが終わって、体を元に戻して、大学生活と人外とも楽しく生きる。そんな空想を懐きつつ私は帰路に着く。

 

蕾さん経由で迎えの車を頼み屋敷に戻る。ついでにいつの間にか送信されていた事前の詳細資料を確認しておくか。

 

「えーっと、実験室だっけ。要件は……」

 

スマホを出して覗き込む。と同時に凄まじい破壊音が森に響いた。音源は屋敷の中からだ。走ってそちらへと向かうと破片がいくつか飛び散り、どれもが綺麗な切断面であった。

 

「っニエ!」

 

「あ"あっ誰?!……あ、レイトじゃん!久しぶり!」

 

彼女は俺を見つけると鬼の形相から一転いつもの無邪気な笑顔に戻ってこちらにやってくる。しかし私はすぐに視線を彼女から逸らした。あの、正直裸ならまだ何度か見ているんだけど療養中の恰好なんだ彼女。うん、療養中なら裸におむつだけなのも納得……うん、納得しておこう。手足の痣はきっとさっき暴れたせいで付いたものだろう。

 

「こっち見なさいよ。何目反らしてるの?」

 

「服着て!」

 

指摘して自身の格好の異常さに気がついたらしくそうね、と履いていた物を眼の前で脱ぐ。一切の躊躇もなく自然に脱いだもので少し見えてしまった。役目のないそれをそこらに投げ捨て血で服を作り出してやっと真面目に私達は数日振りに顔を合わせる。

 

「レイト、雰囲気変わった?成長?妙に落ち着いてるわね。下僕の癖に気持ち悪い」

 

口では酷い言われようだけど彼女の顔は先程までの修羅から一変、普通の少女の嬉しそうな笑顔である。私も久々に元気そうなニエと会えて心から嬉しい。

 

「気持ち悪いはないでしょ。私はただ自分が竜の子供だと知って両親が兄弟で母親を病院送りにして……ニエの療養中に色々あったんだ」

 

「ふーん、随分楽しそうに話すじゃない。元気だったなら私も引っ張り出して欲しかったんだけど!」

 

「暴れたら傷口開くよ」

 

「苗床使えばどうせすぐ治るわ」

 

そういう問題ではないと思うけど、まあいいか。動きに不自然な点はないし身体も健康そうだ。本当に良かった。体について知り、次にどうして屋敷を壊したのかを問う。また何か暴走で模していたのか、と心配だった。

 

「苗床が余りにもウザくて今からぶち殺すとこだったの」

 

が、思っていた方向の心配ではないがまた何かしようとしていたらしい。ニエの世話にひいろが頻繁に訪れていた。だから相当のストレスが溜まっている分が終に爆発したのだろうか。

「ちょっと、早くしてよね」

 

「なんのつもりだよ」

 

「決まってるでしょ!あんたが連れ出したらいいだけじゃない」

 

「あー……あー……うん、そっか。もしかして、私も?」

 

ニエは少し頬を赤らめつつも当然とばかりに胸を張る。なるほど、殺すのは自分の手でして移動と厄介事をさせる気だな。

 

「勿論!ぶち殺す以外の面倒はレイトに全部やってもらう予定だからね!」

 

前言撤回。やっぱり彼女はニエだ。人の都合など考えない自己中心的な思考回路をしている。私はため息を吐いて、仕方ないと覚悟を決めた。それに、これはこれで面白いかもしれない。

 

 

……って出来るか!

 

「なーに、簡単よ!ちょっと神域経由で向こう行って本体から蹴散らすだけ」

 

「待て待て待て!引っ張らないで!?せめてもっと相談してから!」

 

「なーにビビッてるの。私が負けると思ってる訳?」

 

「ニエなら多分できそう」

 

「OK、レツゴー!」

 

慌てて繋がる手で綱引きをする。が、全く動かない。流石に力勝負じゃ勝てる気がしない。こうなったら力業以外の何かで止めるしかない!私は必死に頭を回転させ、ニエが喜びそうな言葉を探す。そして、あった!

 

「まだ今じゃない!蕾さんに相談しよう!」

 

ニエの体がピタリと止まる。彼女は興味深そうにこちらを見つめる。息を整えてから私は更に続ける。

 

「苗床を殺したいのはお前だけじゃない。ひいろを殺せば竜秘宝に一歩近づく、『元に戻れるかもしれないんだ』!俺を元に戻すって約束しただろ!」

 

効果は抜群か!?私を掴む手が緩んだ。今なら行ける。そう思った時、ニエは俯きながら呟く。あれ?なんか嫌な雰囲気。私は冷や汗をかきつつ様子を伺っているとニエは大きく笑い始めた。え、嘘でしょ。まさかの逆効果!?

 

「あっはっは!ここに来てアイツが仲間になるの!?さいっこ!」

 

どうやらお気に召してくれたらしい。彼女は嬉しそうに笑いながら屋敷中に戻る。私も後を追った。

 

 

 

 

 

 

ー--

 

現在時刻 同刻

 

現在位置 実験室

 

 

 

地下深くの実験室に一人、蕾の体は実験用にて倒れていた。

 

 

 

「(不味い)」

 

机上には白く強い粘性を持つ溶液が倒れた小さなビーカーから零れている。零れた粘液はメモ代わりに使ったであろう文字の書きこまれたレポ―トを濡らす。内容は数体のマウスの死体と粘液の注射器、計量器具、それと竜の生態データがまとめられたパソコンがある。

 

 

 

「ぴぃ……ぴぴっ……」

 

その道具に紛れ珍しく本体を露出させた激雷がじっと丸まり呻いていた。

 

「(頭が割れるように痛い。身体に極力影響が出ないように抑えてもこれだけ変質するとは計算外だ)」

 

先程まで彼女は注射のシミュレーションをマウスで行った後に自身に粘液を飲んだのだ。この粘液は黎人の角の内部から採取した成分を培養、精製した物である。結果は割れるような頭痛と若干の意識の混濁、幻覚と幻聴、彼女には経験は無いがきっと薬物の後遺症には相応しい副作用だと症状から感じとった。

 

一方で凄まじい副作用に犯されつつもその中に僅かな作用を彼女はまた感じていた。脳の中身をかき回す高揚感と心拍の増加、心身で感じ取れる興奮という興奮を苦痛と同時に感じる。苦しく、快い。相反する二つの感情の中で僅かな理性でこの現象について考察を巡らせた。

 

 

「(詳細な性質は不明、だが私達竜には恐ろしい代物に踏み込み過ぎたのだ。しかし確信は出来た、これは神性そのもの、神から言わせれば空の信仰そのものだ)」

 

脳が焼かれるというのも納得だ。こんな物を原液のままで感じてしまえば焼き付いたまま離れないのは同情する。しかし得体のしれない物を実験目的とはいえ自ら進んで飲んだ事を後悔していた。

 

「(緋刃や苗床には馬鹿だ馬鹿だといいつつも私も同じ穴の貉だな)」

 

いつまでも寝ているわけにもいかない。時間をかけて蕾の義体を遠隔操作し自身に症状を抑える薬を投与した。5分程で効果が表れ彼女は蕾の義体に乗り込み蕾は息を吹き返した。関節の挙動を確かめてため息交じりに実験道具の片付けを始めた。

 

 

 

「今後は黎人君と緋刃との接触は抑え……」

 

パソコンの画面が表示されメールの連絡が通知される。送り主は黎人、要件はまた緋刃の面倒事であった。

 

 

 

……不運とは続く物だ、改めて彼女は実感した。

 




尊厳破壊はいいぞーこれ
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