どらごんれでぃいらばーず!!!~現代日本で竜娘にTSしたけど同じ超可愛い竜娘(問題児)と支え合ってハーレム生活を満喫します!~   作:囚人番号虚数番

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「鳴葉大社」月に吠える獣

現在時刻 同日深夜

 

現在位置 鳴葉市街 車内

 

空席のあるマイクロバス中、竜の関係者人が久しぶりに1箇所に集まっていた。鳴葉稲荷を過ぎ人気の少ない方へと進む車は運転手の一人を除き苗床を殺す為にここにいる。月輪先生だけは別に目的地に向かっているらしい。

 

「遂にこの日か。苗床」

 

「ええ、いよいよですね。皆様にご迷惑をおかけするのは今日が最後になりますね」

 

前方の席に列を挟んで蕾とひいろは最後への相談をしていた。

 

「作戦の最終確認をする。事前段階として苗床、やり残したことはないか」

 

「はい。既に全ての指揮権を本体と分体の私に移行しました。この状態で私と本体が死亡すれば個体ごとの相互性は消滅し、会社の中枢に関わる分体指揮権が移ります」

 

蕾は窓の外を眺めため息をつく。屋敷周りの木々が市街に入れ代わり景色が開ける。空は月の無い曇り空で、暗く、予報では今すぐにでも雨が振りそうだ。家の明かりも消えており、人々の多くはもう寝静まっているだろう。神域で大規模に活動を行うには最適な条件である。

 

「遺書は残したか」

 

少しの間会話に間が空く。そしてひいろが少しずつ意図を理解し優しく微笑んだ。

 

「珍しいですね。あなたから聞かれるとは思いませんでした」

 

「……実験体には感情移入するつもりない。ただ大学の友人へだったり、プライベートな処理はお前に任せた筈だが」

 

蕾は研究者としては優秀でも表現は不器用である。勿論通報のプロトコルでは想定されていない。一人の実験体への人として終わるがための唯一の情けであった。

 

元々蕾自身、実験までの数日はひいろが何を起こしても見逃す気でいた。しかしむしろ立つ鳥跡を濁さず、今まで通りの生活と会社の引継ぎをして過ごす彼女に疑問を抱いていた。無論、情など持っても良いことはないと当の昔に知っている、自身も何度も実験の為に犠牲を増やしてきたものだ。

 

「必要ありません。彼らはあくまで普通に生き、私を忘れて人として生きぬいて欲しいのです」

 

「そうか。態々監視して損した」

 

「それに、最後の言葉を伝えたい人はすぐ後ろにいますから。一人の実験体として最後までお付き合いしていただきありがとうございます」

 

そう言うと蕾は深く頭を下げた。死ぬには潔いその姿勢は、人の為の実験体ではなく、一人の人間としての意思表明であり、決意でもあった。

 

「……ならこれも伝えてほしい」

 

「なんでしょうか?」

 

「嫁に黙れと」

 

 

 

ー--

 

 

 

「レイトレイトレイト!明日の朝どこ行きたい?私は海を見たいんだけどお勧めはある?」

 

「鳴葉駅から一本で句蔵の海水浴場が一番近い。今の時期なら水族館が閑散期で人もいないな。今度の休みに2人で行ってみようよ」

 

「うん、楽しみだね!」

 

バスの後部には私とニエ、それと月輪先生が私達の後ろに座る。ニエが勝手に出してきたスマホで旅行先を楽しげに調べ見せてくるので一緒に考えていた。

 

「贄龍!こっちは真面目に仕事してるのだ!遠足か!?」

 

声が大きかったのか真面目に仕事してないのがバレた。椅子から身を乗り出した蕾さんから怒られる。私はスマホをニエから取り上げて元の場所に戻す。眠気を覚ますのにもちょうどよかったのにちょっと残念だ。

 

「あ、スマホ返しなさいよ!」

 

「蕾さん、すみません」

 

「黎人君も話に乗るんじゃない、まったく」

 

スマホを取られたニエはすぐにスマホを取り返そうと私をポカポカ叩く。だがニエは窓際の席で通路側は私が座って道を塞いでいる。静かにさせるための行為がより一層騒がしくしてしまいそうだ。

 

「やだやだやだー!明日は久々にレイトと一緒にいたいのー!!」

 

見た目より幼く駄々をこねるニエに思わず苦笑いを浮かべる。出会った頃から本当に自分勝手な性は変わらない、むしろ悪化した?昼間から車に乗る前も何かしら理由を付けて側を離れず振り回され続けている。

 

きっとこれも数日間の監禁生活でストレスが溜まっていたせいなのだろう。騒ぎ立てる中で語られた愚痴の数々はどう考えても医療目的からはかけ離れていた。

 

「可愛いな、ニエ。子供みたいだ」

 

つい本音が口から漏れる。時は深夜、少しおかしなテンションで頭が緩みかけている。まるで悪酔いのように自分が自分でないような不思議な感覚だ。

 

「子供は余計よ!可愛いだけでいい!」

 

子供扱いが気に食わずそっぽを向く。しかし顔は赤く傍から見ても分かるくらいニヤけている。元気なニエが近くにいると私も落ち着くな。

 

……と、前方から様々な視線が刺さり落ち着いてもいられない。大通り前の赤信号で止まった車にエンジン音、それから蕾さんの咳払いが響いた。いよいよ私達の運命が動き始める時だ。

 

「全員、作戦の最終確認だ」

 

蕾さんの提示した作戦はこうだ。これから鳴葉大社の神域を経由して苗床の急所周辺の座標に移動する。大社は現在鳴葉市、神社運営の3団体で共同に管理している。翻訳の解読結果の事実確認をしたところ覚書が事実と発覚、蕾さんの上司がつい5時間前に緊急で手配したらしい。

 

また内外問わず非常に重大な案件である為、増員は輸送担当一人以外されず、物資の支給等の援護は最低限に留められる。実質この車と先に現地に向かっている月輪先生以の持ち込み品以外は物資はない。しかし本当の問題は他にあるようだ。

 

蕾さんは深くため息をついてからタブレット端末を取り出し操作する。

 

「しかし移動に関する懸念点として神域の管理は神社所属の狐が管理している。黎人君はすでに見せたがこいつらだ」

 

彼女が見せたタブレットには鳴葉稲荷前の大通りを二人で観光する写真が表示されていた。撮影日は鳴葉駅前の1ヶ月程前だ。

 

「彼らは形式上神社側には所属しているものの実質はどこの組織にも属さないフリーだ。彼らの管理者にコンタクトを取り一応の参加は確認できたが……不思議いざとなれば武力行使もいとわない」

 

「(そんな危ない人達には見えないけどな)」

 

物騒な発言に反し写真ではクレープの買い食いをしている年頃の少女にしか見えない。狐の耳と白髪と金髪の組み合わせは珍しいのだがそれでもだ。

 

あれ、でも私が以前出会った時は……

 

「……神域侵入後は餐龍に一任する。苗床を殺害の後、分体の状態の確認が取れた後ひいろを殺害して欲しい。竜秘宝の回収、その後の調査はこちらが持つ。作戦は以上だ」

 

バスが神社の石段の前で停車すると共に作戦の確認は終わる。車内はいつになく真剣で皆俯いて重い空気に満ち、蕾さんの説明を最後に言葉は続かない。鬱蒼と茂る木々のように暗く淀んだ重圧は私の体にまとわりつく。

 

これがきっと人の死に直面するという事なのだろう。覚悟はしていたがやはりまだ恐怖が抜けきらない。

 

「ところで……黎人君、私から質問がある」

 

沈黙の中、口を開いたのは蕾さんだった。

 

「君の正直な意見を聞きたい。プライベートな質問で無理に答えなくていい」

 

彼女は私を見つめたまましばらく無言だったが意を決したように言った。

 

「黎人君、君は何故私達に付いてきた。元々一般人である君は特定の技能に秀でる訳でもない。なのに何故危険を冒してまで神域に向かう?君が望めば安全な場所へ送り届ける事も出来るし、今回の件を忘れるのも一つの選択肢だと思う。その気がないなら君だけは今すぐ作戦から降りてもいい」

 

彼女の目は真剣そのもので嘘偽りを言っている様子ではなかった。恐らく私の安全を本気で考えてくれている。

 

「私が一緒にいて欲しいからよ」

 

ニエが会話に乱入してくる。

 

「レイトにコレから離れるのと体をどうにかする約束してる、ね?」

 

ひいろを指差しながら得意げに言う。対して蕾さんは頭を抱えながら大きなため息をつく。

 

「君はそれで充分だろうが……黎人君はどうなのか?」

 

そう言われても特に思いつかない、ニエが一緒だからという理由もどこか違う気がする。ただ、私自身がどうしたいのか分からないだけだ。それでも私が唯一心の底から言える事は……

 

私は蕾さんの目を真っ直ぐ見据え、迷いなくはっきりと言う。

 

「友人の最後をこの目で確かめたいんです。例えどんな結果になってもそれが私の選んだ道です」

 

私の意思を聞いた蕾さんは顔を伏せて黙り込む。ひいろもニエも黙って見守っている。数秒か数分経った後、顔を上げてこう言った。

 

「……ありがとう。すまない、君のような優しい若者を巻き込んでしまって」

 

彼女の決意表明を受け全員が車を降りた。

 

ー--

 

「鳴葉大社」は近年公開された鳴葉で最も古い神社である。過去の災害の後、禁足地として指定されていたこの神社は数年前の陥没の供養の一環として何故か解放された。「鳴葉稲荷神社」と名前が似ているためか同じく紹介され始めてはいるものの知名度はあまりよろしくない。当然こちらの神社は参拝客は滅多にいない。

 

しかしそれも納得だ。見かけは完全に廃墟で全てが酷く劣化している。ゴミも酷くコーラのペットボトル、コーラの缶、2リットルコーラ……何故にコーラが多いのかは不明だが、とにかくそこらゴミが落ちている。これが観光地の姿か?

 

枯れ葉と整備の不完全な足元に慎重に石段を登る。しかしその途中で先を歩いていた蕾さんとひいろが立ち止まる。突然で、私は気づけず彼女の背中にぶつかった。

 

「あの、行かないんですか?」

 

回り込んで二人見ると蕾さんは顔面蒼白、ひいろは恍惚していた。ニエはチグハグな反応の二人に私と同じく困惑していた。

 

「血と……レイトみたいな雰囲気がする」

 

ニエが小さく呟いた一言で石段の先の闇の中に何があるのかを想像してしまった。全員が息を殺し、武装のあるニエと蕾さんは戦闘可能な状態で石段を再度登る。

 

血の生臭い鉄臭さが段を上がる度に強まり中腹に差し掛かると足元の不安定さがただのみ整備ではないと嫌でも教えられた。石段や木には何かが貫通したような痕跡が幾つか見つけた。それらは到底人が可能な物とは思えず、経年劣化の類ではないのだろう。

 

 

 

頂上の鳥居が見えてきた頃、私の目に映ったのは地獄絵図だった。石畳は赤黒く染まり、所々に大きな穴が空いている。辺りは酷い有様だ。折れ曲がった柱は地面を突き刺し、屋根瓦の一部は吹き飛び無惨にも壊れていた。

 

そしてその光景の中心に一人の黒髪の少女がいた。私が駅で出会った狐だ。四肢が欠損し、体からは赤い液体が出ており、肌は月明りの様に青白い。彼女の体は至る所に大小様々な傷跡がありそこからは未だに血が流れ続けている。少女は焦点の合わない瞳孔の開ききった瞳で宙を見つめていた。

 

しかし、彼女などどうでもいい程に私達は「彼女」に目を奪われていた。

 

 

 

「母さん、おまたせ!私でも神様を殺せました!醜く、独善的で、何も知らない畜生を今概念に昇華してやった!」

 

死体のそばで獣の様に月に絶叫する一人の白く醜い彼女。その瞳は真っ赤に染まり全身に穴が開いている。左腕はなく、右腕は肘から先がひしゃげて潰れていた。

 

「あっはっはっは!こんの畜生め。あの夜お母さんと私の足を潰しやがって。時間も空間も年も心も、何もかも何もかも何もかも!お前と出会い殺すだけにぶっ壊して!やっと、やっと何もかもを奪い返せましたあぁ!」

 

彼女はそこで言葉を止めた。そして私達に気が付いたらしくこちらに顔を向けて何事も無かったかのように微笑みで挨拶する。

 

「こんばんは、皆さん。いよいよ作戦結構ですね」

 

 




豆知識

「つゔぁいごっどねす!ふぉっくすふぁいあ!!!」時代から月輪は出ています。当時は名前も決まっていない一モブでした。

が……。
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