どらごんれでぃいらばーず!!!~現代日本で竜娘にTSしたけど同じ超可愛い竜娘(問題児)と支え合ってハーレム生活を満喫します!~ 作:囚人番号虚数番
視点変更 餐竜【緋刃】
激雷ぃ……爆発なんて聞いてないよー!せっかく意外と話が分かるって気が合い始めたのに!
「あの野郎、全部終わったら皮剥いでやろうかしら」
血の服を再生成し砂埃を払う。見上げれば雲ひとつない綺麗な空だ。爆発で体が削れ周りも平地になっている。すっかり元の地形の面影は無くなってしまった。
ここからどうやって帰るのか私には最早分からない。近場の移動できる場所もここまで崩れたら役に立たないと思う。ま、そういう時こそ激雷とかレイトと一緒に……
「って私は帰える必要ないじゃん」
元々私はこっち側の生き物だったしむしろ神域にいるのが自然なのよね。どうせ帰れないなら逆にレイトをこっちに引っ越してもらおうかな。
「レイトー?クソメイドー?苗床ー……はいいや、皆ー死んでないよねー?」
大岩の転がる荒野に一人で叫ぶ。苗床は死んでてもいいや、レイトと激雷を探して面倒事させないと。こういう時にすぐに私のもとに来ないからレイトは下僕なのよ!
アイツは私より弱い。出会い頭での反応は遅い、判断も微妙、でも動くときには考えなし。だから私がちゃんと面倒見ないと危ない。
けれど私が出来ないことはレイトに安心して任せられる。頭を使ったり、人と話したり、あと面白い事はよく知ってる。逃げる場所も遊ぶ場所もレイトの向かう先はどこも楽しかった。
けれど、多分私一人じゃつまらないんだろうな。街も山も海も私が立てば狩り場にしかならないから。
足元には飛べない竜が落下死した死体がいくつかあって壮観だ。岩で潰れてるの含めてここまで積み重なると私の剣じゃ骨が折れる。意識をふっとばして本気を出せば多分同じの状態には出来そう。
「おーい、どこー?」
二人を探して彷徨い続けて日が暮れ始めた。神域の時間経過は不安定だ、いつの間にか空は赤く染まり月が登っていた。夜は竜の活動が増す。危なくなる前に帰れればいいけれど……
「うーん、どこだろう……?」
現在位置 叡智の終着点、あるいは虚無の産む呱々
餐龍【緋刃】
紅く血の双刃を操る竜。竜の体を捨て得た人体は卑小で、だが己の知能と戦闘能力から生き抜く術を見出した。
その体を得た過程は不明瞭で出自にも諸説がある。故に彼女の自由のための生贄から跡を辿る他ない。
ーーー
しばらく歩き続けてどうやら私は爆発によって吹き飛ばされたらしい。だからもう無い穴の深く、深くへと走り続ける。理由はないがあそこに行けば誰かがいるだろう、無根拠な直感を頼りは走り続けた。
顔を見上げて方角を見ると見覚えのある山が夕闇に紛れて影を映す。となると距離はあんまり離れてないわね、方向を変えギアを一つ飛ばして速度を上げる。
流星の如く地を駆ける一人の竜、白い月明かりが照らすその竜は赤と白の髪を靡かせ二人を探す北極星にすら見えただろう。差し色のように血に交じる白は彼女が暴走した時の色である。
「……?(また意識が飛んでた?にしては戦闘したような感覚が無い)」
何だか普段のルーティンの1つが無くなった空回りな違和感を感じていた。私の知る永い人生の中でもこのような感覚は初めてだった。
しかしそれはそれ、これはこれ。
「(ま、そんなことどうでもいいや。レイトどこかなー)」
諸々の雑さは誰にも負けない。そこは私の強みだ、激雷曰く。
「……っとと、何これ?」
走り続けて穴のあった場所への窪地に白い泥が溜まっていた。触れてみると生暖かくドロリと白濁していた。レイトの角の液体に近い感覚かな?
「レイトー?」
ちょっと量は多いけどレイトっぽい何かがあるらしい。底の深さを剣で確かめると膝くらい。そのまま中に入ってゆっくりと歩む。
沼の泥を足でかき分けながら奥へ、奥へ。
静寂に水の音が響く、時折聞こえる虫の声も風が吹く音もない。まるでこの世界に私だけしかいないような錯覚と孤独感に少しだけ背筋がぞっとした。でもそれも一瞬のこと。すぐに私はいつも通りになる。
馬鹿さえ殺せばレイトと激雷が影でこそこそしてるから体の問題は勝手に解決してるでしょ。後は帰る方法だけど、レイトに頼めばいいかな?それとも激雷に頼むべきかしら。
中心に近づく度に地面の傾斜は緩まりやがて平らな場所になる。そこには小さな肉塊の陸地があって、その中には2匹、一人は苗床、そして「何か」がそこにいた。
「ははは……本当に死んじゃいましたね、私」
心身共に弱々しくなった正気の苗床は「何か」の腕に抱かれていた。多分剣を使わずとも体をを少し締めるだけで簡単に脆く砕けてしまいそう。
ゆっくりと細腕を「何か」の顔に伸ばす。愛おしそうに、つい数日前まで私に向けていたような、だがそれよりも胸を締め付ける痛々しさすら感じる。
「あとは私が死ねば全てが終わります」
「ふふっ、もしかしてニエが来るまで待てないですか?」
笑った、大好きな人の声で。紅い瞳の「何か」は妖しく微笑んだ。不定形な管が幾重にも重なり編まれた美しく醜い4枚の翼、肩からは羽衣のような襞、破裂した片角からは絶えず白い液体を流し二人を溺れさせる。濡れて艶めく青白い肌が不気味だ。
「いいえ……出来ることなら、黎人さん。最後にはあなたに殺されてみたいです。彼女も大切ですが……彼女の次に、あなたは信頼していましたから」
……レイト?
「いいですよ。私に任せてください」
レイトはそっと苗床の首に手を伸ばし力を込める。
「ぐぅ……ぁ"……」
顔に苦痛を浮かべながらも彼女は抵抗しなかった。彼の手の中で徐々に力が込められ、喉が潰れていく。それでも、彼女は笑顔を絶やさなかった。最後まで、彼を信じるように。最後の最後に、クソみてえに幸せそうに。
気がつけば地面を蹴り一直線に剣でレイトを突いていた。
「かはっ……ごほっ……!」
絞首から開放され苗床は呼吸を整える。その終わりを待たず彼女を担ぎ上げて白い沼を走り去った。
「はぁ……はぁ……緋刃さんっどうして!?」
「正気に戻れアホ!」
ザバザバと沼をかき分けて少しでもアレから離れよう。身長差で苗床の下半身は沈んでいるがあのまま放置するよりはずっといい。で、どうして助けたのかだって?実のところ私もさっき決めたからちょっとだけ頭を動かした。
「あんたに閉じ込められてさっきまでは怒ってた。けれどさっきので気が変わった」
「気が……変わっただけ、あなたまで私を愚弄するつもりですか!」
普段温厚な苗床の数少ない怒りは激しい。
「ここで生きたらあとどれだけ死ねばいいんですか、もう嫌なんです!あなたが殺してくれるって期待してたのにどうして生かしたのですか!?」
「……」
「私は……死ぬ為に生きて迷惑をかけ続けてきました。だから……!」
しかし体が弱り涙声の苗床にはそれ以上の明瞭な言葉は続かなかい。啜り泣く声彼女が落ち着いてからポツリと小さく呟いた。
「助けて欲しそうだったから」
今まで散々言ってきた相手だから顔を合わせづらい。少し顔を赤らめて顔を苗床から反らした。本当にただ同情したのよ。目の前の問題全部背負って潰れる馬鹿にちょっと横に引っ張ってみたくなったのよ。
「バカね。竜なら逃げたきゃ逃げなさいよ。そんで頼ればいいじゃない」
「私は水竜の機密の塊です。幾ら親しいとはいえ頼ることなど出来るはずありません」
「そこが馬鹿なのよ!私なら全部殺せるのよ、指示だけ貰えたら水竜も全部やってやるわ。そ、れ、に!レイトなら最後の最後で文句の一つ言ってるでしょ。私でも思いつくのに私の下僕が知らないとでも?」
返事はない。代わりにまた苗床が泣き出してしまった。本当体ばっかり大きいだけの子供ね、全く。涙が私の体にも伝い、呼吸を荒らげ、ヤバイ時の吐息が耳に吹きかかって気持ち悪い。この野郎ここに来て発情してるの!?
「せめてこんな時くらい盛らないでもらえるかしら」
「はぁ……はぁ……ごめんな、なさい、あなたのせいじゃないんです……」
「どういうこと?」
「実は……先程から耐えてはいたんですけれどね、体が熱いんです」
「っんとに盛ってんの!?」
半分冗談だと振ったのに本当にしているとは。けれど何だか様子がおかしい。暴走気味の状態とは違い抑えがたい衝動を理性で留めている。
「多分この白い液体のせいです」
「あ?この泥?」
そういえばこの泥、私の戦闘後のアレに似ているような。でもこれがそんな危ないものだったの?もう足とかずぶ濡れだから色々手遅れだ。今何も起きてないし今更っぽい。
「あの感覚、実は全く無関係な場所で感じたこともあります。思えばあなたの美しさとはまさにあの高ぶりです。今更ですが謝らせてください」
……珍しく正気じゃないコイツ。で、当然のように今まで関わってきたこの白いのが危ないと。私は普通に触れてたしレイトなんて何回も角潰す度にぶち撒けてたしあんまり実感ないなー。
緊迫すべき自体なんだろうけど今一気が抜けたまま泥沼を歩む。その時、私の前はの水面から波紋が広がってくる。暗い中目を凝らして先を見ると……
「激雷さん?」
「違う、雰囲気が別人」
見かけこそ激雷でも体が不自然だ。なんというか体中から生気を感じる。雰囲気も何だか不気味で気持ち悪い。
「ねえ、血は好き?」
闇の先からそれは問いかける。知ってる人の声なのに知らない誰か声がする。一応、不気味で意味の分からない問いだか私は答えることにした。
「嬲るのも嬲られるのも嫌じゃない」
私の答えにそれはしばし黙る。そしてこちらが視認できる距離まで近づき答えた。
「群れの虐殺は楽しいよ
混血は特に凄い
多種族混合特有の異常な発色の血が嵐みたいに散って水たまりで混ざるの
そのとき肉と一緒に砕けた甲殻と骨が体を貫いて更に傷を増やして興奮で血が出る
首を狩った時の吹き出る血を浴びるのもいい
さっきまで生きてた生暖かい血で濡れて
時々水圧で私も大けがするけれど痛みなんてどうでもよくなるくらい楽しい」
目を見開き狂気的な笑顔で語られる言葉には確かに私も同じことを言った覚えがある。しかし明らかに幼くなった言い回しだ。普段まともなのがこんなことになると面倒くさいな。
「……気が合うじゃない。苗床、これで分かったでしょ」
「ええ、彼女は激雷さんではありません。あなた、誰です?」
「智竜【白痴】赤い私の中にいたの」
私の……中?どういう訳?苗床は驚きのあまり言葉を失っている。とりあえず殴って切ってとは私も違うし何をするにも躊躇する。
「つまり敵?味方?」
「んー、私は敵であって欲しい。一応どっちも芯は同じだろうし頭よりこっちで分かり合いましょ」
目の前の竜、白痴の両腕が割れ右手にチェーンソー、左手に銃に変化する。そういえばこんな武器使ってたわねアイツ。私も血で両刃刀を造り出し構えると、向こうも同じように武器を構える。
緊迫した空気の中、私達はどちらも一向に動かない。だからどちらか一方が少しでも動いた瞬間に戦いが始まる。苗床は私の背中の上に背負ったままだ。正直邪魔で戦いづらいけれど降ろしたら絶対に殺される。
「来なさい」
「そっちこそ!」
互いに間を取りながらジリジリと距離を詰めていく。
「白痴、待ってください」
だがその緊張も新たな竜の一声に解けた。
「あ、ママ。また遊んでたの?」
「ええ、とても楽しかったですよ」
現れたのはレイトに似た誰か。態度、立ち振る舞い、一挙一動全てが別人の白い竜は顔や姿は大切な姿だった。今まで見たことのない優しく、悪意に満ちたレイトを見せるな。気持ち悪いったらりゃしない、今すぐ切り捨てて殺したかった。
「緋刃さん、冷静に!」
けれど知らなきゃ、殺すか助けるか、それから決めないと。震える刃を抑えて私はそいつに話しかける。
「誰なの。レイトの体で何をしてる」
「ああ、ごめんなさい。白痴、久々の再会を喜ぶのはお話の後にしましょう」
「はーい」
そう言うと白痴と呼ばれた竜の姿が消え白い竜が残った。
「さて、自己紹介が遅れました。私は『智龍【黎明】』、自称『世界一自由な竜』です」
そう言って白い竜、黎明は無邪気に笑った。年相応の少女らしいある意味レイトとはかけ離れた表情だ。無駄に余裕のある態度に無性に腹の立ち私は距離を詰めて刃を喉元に突きつける。それでもこいつは怯むことなく、むしろ嬉しそうな顔をしている。それが一層不気味で、気持ち悪くて、吐き気がする。
「待って!黎人さんの体を「分かってる!苗床は黙ってて!」
分かっている。この体はレイトのもの、だから殺せばきっとあいつも死ぬ。そんなこと分かっているんだ。でも、でも……!! 私が迷っている間に、彼女はそっと剣を退けさせた。そして私の頬に手を添えて微笑みかける。
まるで子供をあやす母親のような優しい手つきだ。
「流石あの子の素体です。不出来とはいえ目元が私とよく似ています」
そして、そのまま唇を重ねられた。
……そして、そのまま唇を重ねられた。何が起きたのか理解するのに時間がかかり、やっと頭が追いついた頃には本能的に彼女を殴り飛ばした後だった。こいつ頭おかしい。何でいきなりキスされたの?意味不明こいつの何もかもが意味不明だ。
私は怒りに任せてもう一度斬りかかろうとする。しかし背中からひいろが自ら降り、私の前に立ち塞がった。
「ッ……ああっ!?ふーッ……ふーッ……!」
「ひいろ!?」
「いいです!黎明、黎人さんはまだ……まだ生きていますか!?」
嬌声混じりの絶叫での問いかけに彼女は一瞬きょとんとした様子を見せたがすぐに笑顔に戻る。
「残念ですが彼の人格は完全に私に上書きされ消滅しました」
興味なさげに告げられる言葉は残酷で非情なものでしかなかった。
同時に私の中で何かが壊れる音がした。
彼女の言葉を聞いた瞬間に私の理性が砕けた。