どらごんれでぃいらばーず!!!~現代日本で竜娘にTSしたけど同じ超可愛い竜娘(問題児)と支え合ってハーレム生活を満喫します!~   作:囚人番号虚数番

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あなた達への説明

「うぅ……くっ…………あっ♡……」

 

熱い、体が焼ける。脳が焼けるだの綺麗事を並べ有難がっていたけれどいざ原因が分かると邪魔でしかない。無力ながらでも緋刃さんの助力になる為に案が得ないといけないのに焼ける脳が邪魔をする。本能的な衝動が抑えられない。常に理性崩壊寸前の衝動を抱えながら陸地を目指し沼を歩く。

 

「はぁーーーーッはーーーーッ」

 

息が上がる。足取りは重く、激しく昂る体に力の抜けた足腰では意識が遠のきそうになる。それでも進む。進まなければ愛している人が死ぬ。それだけを胸に抱えて、ただひたすらに。

 

「(けれど……ちょっときっついかな……あ!)」

 

地面の石に足をとられ白い泥に頭から突っ込んだ。あ、限界だ。そう思った時、後ろから抱き上げられた。温かく冷たい、優しい抱擁の主が誰なのかはすぐに分かった。

 

「レイトさ……」

 

「ごめんなさい、人違いです」

 

黎人さんと同じ顔だけど違う人。

 

「……黎明さんですか。」

 

「はい、白痴もとい緋刃の母です」

 

憎いくらいにいい笑顔な彼女は私の体を抱える。そして恐らく敵対しているにも関わらず陸地まで運んでくれた。降ろされてしばらく呼吸を整え興奮を抑えている間彼女は私の隣で座り緋刃さんと白痴の戦いを闇の向こうに見ていた。

 

「大変そうですね。私の撒いた種といい壮観です」

 

冷酷に、だがどこか楽しげで無責任な感想を黎明は漏らした。

 

「実は私、恥ずかしながら戦闘技能はからっきしなんです。戦えない者同士ここで彼らの戦いを観戦しましょう」

 

 

 

 

 

金属音と爆裂音が闇に響く。満月の月明かりすら無く舞う二人、心を通し祈りを捧ぐ。何をすべきかまだ分からない私はただ隣の愛した人と安全圏から闇の奥を眺めるしかない。

 

「おー、あんな映画みたいな効果音初めて聞きました」

 

「……気楽ですね」

 

「まぁ、どうせ娘は止められませんし息子は見つかりませんし私もなーんにも動けないんです。楽しまないと損ですよ?」

 

「……」

 

「あれ?もしかして乗り気じゃありません?」

 

言いようもない不気味さを彼女から感じる。諦観でもなく傍観でもなく、本当にただこの状態を気楽に楽しんでるらしい。

 

「じゃ、私と黎人さんについて少しだけ面白い話をしましょう」

 

彼女はその場で立ち上がるとぐるぐる周回りながら話の順序を考え込んでいる。遅れて私がハッと彼女の方を見た。

 

「私はかつての神から発生した概念の神にして因果の竜です。人類が文明を築き、理論という存在に目覚めた時に生まれました。その生き様は……息子を見て頂けると大体分かってくれるでしょう」

 

適当な説明なのに出てくる情報は上位者のそれであった。竜の知識でも大学までの知識でも確かに神の特性もあるのだがどこか俗らしさが抜けていない。しかしこの空気、昔どこかで感じたことがある。

 

「しかしある日私は竜秘宝を研究し作り出そうとする者が誕生してしまいました。当然因果に依存する神でもあるので根幹も揺るぎ、一時はあなたの肉体の一部として取り込まれる可能性すらありました。実際取り込まれてましたし」

 

「取り込まれたとして、意識が残っているとは思えないのですが……」

 

「さあ?私としてはどうして突然巻き込まれたんだ、とも思います」

 

そんな話あり得るのか。触れれば同化してしまう特性上自己を保つなど考え難い。が、私の誕生に関しては不明な点も多い、概念や因果律を巻き込んだ改変が発生した……?

 

 

 

「さて、ここからが本番。私があなたの発生に巻き込まれてピンチです。そこで私は何をしたでしょう」

 

白い泥の沼の中に入り歩きながら彼女は問いかけた。授業の後の復習を出し合うような軽い感覚で出すには難しい。答を少し考える。

 

「正解は役割別に3つに分割しました」

 

しかし黎明は私の言葉を待たず目の横に指で3を作りながら振り返った。

 

「一つは竜としての存在と現実の改変です。目の前の娘、白痴がその竜です」

 

ざばざばと闇の奥に進み指を指す。時々大きく動かし、恐らく彼女らを示しているのだろう。

 

「彼女は貧弱ながら私の神秘を生成する力を使い因果律の改変が可能……ですが固めて武器にしているだけとはもったいない。彼女は今以外の全てが眼中に無いみたいですね。楽しんでる最中には無粋でしたか」

 

彼女は説明が済むとまた陸地に戻り私の隣に座る。ずぶ濡れの服のままで土が尻についているが気にしていない。関係なしに指で2を作り説明を続ける。

 

「2つ目は時空間の干渉能力、これは息子の【不羈】が継ぎました。最も彼は私が考えた以上に自由な性でやりたい放題で役に立ちそうにありません。何なら教えてもないのにこれを読んでる方々も認識してますし」

 

彼女は深いため息を付く。ただでさえ掴み所のない彼女が明らかに嫌そうな顔で語る「息子」とは一体誰だろう。今回の戦闘に参戦していないことだけが救いである。

 

「そして最後に神としての神性です。神秘や信仰ともいいます。これは私が本体として成立するためにずっと私が保持していました。自己生産できるとはいえ一応神様なので信仰がないと死んじゃいますし」

 

「神様……」

 

「不満ですか?」

 

「いいえ、むしろ神様らしいです。神話上のトリックスターらしい性格です」

 

すると彼女はいえいえ、と謙遜する。しかしとても自慢げな表情でよほど嬉しかったのだろう。もしかして意外と単純なのかな。

 

 

 

「……で、どうして彼を乗っ取ったのか答えましょう」

 

「興味があったから」

 

黎明が答える前に即答。彼女は呆然としてからつまらなそうにした。そして大の字に地面に寝転がる。

 

「あ"〜先を越されたっ!どうして当てられたました!?」

 

「緋刃も今の白痴とよく似た知人も、本質的に表せば自らの好奇の赴くままに簡単に一線を越します」

 

人は規範が無ければ簡単に深淵に踏み込む。それが自分の求める物ならばたとえ規範の中であっても簡単に邪魔を排除してまで行うだろう。

 

私の体も散々弄ばれ、侵され、殺された。誰も私の扱いに何の躊躇もなかったのは邪魔だったから以上に私が弱者であり、彼らは強者だ。苗床に収穫物以上の情を抱くことはない。

 

緋刃さんは彼女自身もそうだが私の罪も重い。今でこそ美しさと神秘が同質と見抜けなかった私も悪い。だが独りよがりに暴走し、追い詰め、挙げ句友人を失った。

 

誰も彼も自分勝手で跡を濁す。それが誰かを狂わすとも知らずに。

 

 

 

「だけど楽しかったでしょう?」

 

心の中を的確に射貫く黎明の一言に何も返せない。

 

「まあ、落ち込まないで下さい。私が現れてしまったのはこの体の前の持主である黎人さん自身が『啓蒙されて(わかって)』しまったのもあります。私みたいに手段だけに抑えられれば楽だったのでしょうけれど……」

 

彼女は寝転がりながら月の登る空を見上げていた。湖から延びる足元の白い濡れた跡までも月灯りが反射していた。

 

「自分勝手なのはこれに関わった人と同じです。たまたま面白そうな物語があって、たまたま続きを読んだり、私の場合少し手が出せる立場だからたまーに遊んでたりした、それだけです」

 

「そうですか」

 

「怒ったりしないんですか?」

 

「まだ、今は怒れません。でも教えてください……彼は無駄でしたか。誰か生き様を見世物にして満足しましたか?」

 

その言葉に彼女の動きが止まる。しばらく沈黙が続き、自傷気味に軽笑した。

 

「私さえ出てなければ面白かった気もしますね。突然私みたいな何でもありな全能が現れたら誰だって興ざめするかと」

 

彼女の語る小説や映画のような人生はきっと楽しかったのだろう。誰だって彼女の立場であれば同じことをしていたかもしれない。

 

しかし、私はどうだろうか。

 

私は、この世界に来て何を成せた? 私は、この世界に何を残せる?

 

私は……

 

私は…………

 

私は………………

 

私……

 

私……

 

私……

 

気付けば体は動いていた。

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