どらごんれでぃいらばーず!!!~現代日本で竜娘にTSしたけど同じ超可愛い竜娘(問題児)と支え合ってハーレム生活を満喫します!~   作:囚人番号虚数番

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ハレの日ケの日、饗宴の終わり

寝て起きて、朝日が登っていた。

 

白い泥は焦げ臭く地面に残り香を残すがその姿は無い。私の体も無事だけど……ま、たまたま都合よく私は燃えず蒸発したでいいじゃない。

 

ゆっくりと体を起こし辺りを眺める。穴に差し込む日の光が暖かく眩しい。こんなに穏やかな神域も久々だ。私以外の誰もいない世界とは意外と心休まるものね。

 

安心すると今度は風の音に腹の音が響く。どんなに辛くてもお腹は無常に減るものだ。ここに来て何時間経過しただろう。朝ごはんにはきっともう遅いだろうな。

 

「……帰ろう」

 

取り敢えず帰ろう。体の中の苗床もレイトもまだ近くにに感じるから帰るまでは安全だろう。崖を登り、歩いて歩いく。日が暮れて元いた場所を思い出し同じ道のりで歩み続けると白昼の神社の境内に出た。

 

……赤い跡は最早残っていない。積もった雪が穢も神秘も覆い隠して見えやしない。肌を刺す寒さに震えて薄い服で新雪に一歩踏み出す。

 

「さっむ……鳴葉って結構冷える……」

 

積もる雪の冷たさに耐え、敷地を出た後は建物の屋根や木々の上、暗い路地裏を経由してなるべく人目の付かない道のりを直線に動く。この神社から家までは徒歩だと流石に遠い。勿論、今度は多少見られても誰も殺したりはしない。

 

人の世界に来たばっかりの時は勝手が分からなくて見られた先から殺していた。人を食べるのにも抵抗が無かったから隠蔽も楽だったし。

 

けれど私は変わった。人って意外と食べられる部分が無いのよね。それに同じ事をするならお金の方を……って、やっぱり変わったというのは嘘かもしれない。レイトならきっと物騒だって止めるだろう。屋根の上から大通りの人らを横目に思い出した。

 

あの先には何があるのかしら。大通りに近づいて見下ろすと、道には紅白の飾りと木が飾られていた。明らかに場違いなそれらの意味は分からない。でも道中に掲示されたクリスマスだのお正月だの、それらに関係しそうとは考えた。人も道の端から端までみっちり埋まっていて買い物だったり店に入ったりしている。

 

「……あれ?」

 

人混みの中で誰かと目が合う。こちらをじっと見つめる彼女は狐の耳が生えた他とは違う雰囲気である人外である。だが彼女も人混みには抗えず人の流れに沿ってすぐに建物の影に隠れてしまった。

 

「竜、久しいな」

 

「こちらこそ、神様」

 

と思ったら都合よく彼女の方から来てくれた。よく見れば彼女に見覚えがある。神域に行く前にいた狐だ。以前とは違い頭から足元まで温かそうな洋服で神様らしい雰囲気は見た目からは感じない。

 

「あれからどれ位経った?」

 

「お主の仲間と仕事をして3年、先に言うが彼は生きておる」

 

「どうも」

 

7年か、神域にしてはまあまあ短い。年数は私にとってそこまで問題にならない。それよりもこの寒さの中に長時間屋外で話し込む方が辛い。神様が竜に用なんて余程の用なのだろう。

 

不意に北風が吹く。雪の残る曇り空で風の通りの良い高所のコンクリートの屋上だ。体を震わせて身を縮めた。

 

「ヘキチッ……寒。狐、今何℃?」

 

「ここ数日毎朝霜が降りている」

 

狐は自身の上着を脱ぐと私に羽織らせる。人肌の体温の残るそれは私には小さいがとても暖かく、それだけでありがたい。ふわふわと柔らかな質感は血の服では作りにくい。慈しみとは、孤独では知れぬ物。一応私も上着以外を自分で作った。

 

「神として積もる話も多くある。ここは一度暖かな室内で話がしたいのだが。竜、いいか?」

 

「朝食も付けてくれるかしら。まだ食べてないの」

 

ー--

 

 

 

「ここは?」

 

「巫女の家だ。血で汚さぬように頼む」

 

「ふーん、邪魔するわ」

 

連れられた場所はそう遠くない一軒家。怪しい気配はしない。本当にただの家。玄関には2種類の大きさの靴が並んでいる。誰かは検討つかないけれどもう一人が巫女なのだろう。

 

奥の部屋に通されソファーに足を組んで座る。狐は冷蔵庫の中身を温めている。

 

「お主、名は?」

 

「私?ニエ」

 

「我は鳴葉、土地神だ」

 

土地神ねぇ、どうでもいいや。頭を支配するのは淀んだ感情の処理とレンジからの香りの生理的欲求。どこまでも自分勝手な体は目の前の問題から逃げ出している。ああ、目の前に置かれた物からいい匂いがするよ。 

 

「握り飯と昨日の肉じゃが、味は保証する。熱い茶はもう少し待て」

 

「……ありがとう」

 

レイトと食べた物はおいしかった。この料理だって、きっととてもおいしい。渡された箸を手に取り口に運ぶ。暖かいご飯が喉を通る感覚に安心感を覚えながら食べる。

 

「うまいか」

 

「……味がする」

 

味の染みた芋が温かく美味しい。きっとおにぎりは狐がさっき作ったみたいだ。不格好で味も場所によりまばら。だがどちらも腹は満たされ頭が回る。すると途端に空虚になる。

 

味の染みた芋が温かく美味しい。きっとおにぎりは狐がさっき作ったみたいだ。不格好で味も場所によりまばら。だがどちらも腹は満たされ頭が回る。すると途端に空虚になる。

 

今までは殺して食べて寝れる事が唯一と思っていたけれど、今は人に慣れ過ぎた。人並みの幸せを知ってしまった。レイトとずっと一緒に居たかっただけなのに。

 

鳴葉は席を立ちお茶を入れ私の前に湯呑を置く。湯気が立ち昇り到底飲める筈もないそれを冷ます。息を吹きかけ、少し口をつけ、また吹きかける。繰り返して最初に飲んだ一口は薄く涙の味がした。

 

「何も見とらん」

 

「……」

 

「竜、これから話す事は他言無用で頼む。約束出来るか?」

 

狐は私の向かいに座り、姿勢正しく正す。

 

「我の助けた人間は無事引き渡した。体調も大分マシになって復帰したらしい」

 

そんな奴どうでもいい。知らない奴の話をしたいならもっと適任がいるだろうに。

 

「まあまあそんなに気を落とさんで。それよりお主、帰る場所はあるのか」

 

「……一応」

 

嘘をついた。帰る場所も迎え入れる人も誰も彼ももういないのだ。レイトも苗床も今は能力だけで帰ってこない。もしかしたら都合よく激雷が拾ってくれればいいのに、そうすら思ってしまう。私は目を逸らして俯き、鳴葉も察してかそれ以上は聞いては来なかった。

 

「して、本題はこれだ」

 

テーブルの上には一つの原石。白く透き通ったそれは滑らかで何とも言えない形状だ。照明の光を反射し輝くそれは神秘的で見たことのある白だった。これが何故ここにあるのか、どうして狐が渡したのか、疑問ばかりが頭に浮かぶ。私は確信する。これはレイトの一部だ。

 

狐は私にそれを布袋に入れて手渡す。手に取って見ると「良縁祈願」と袋に書かれていた。どうしてこれを私に渡すのか、狐の意図が分からない。

 

「恩を売るのが仕事なんでな。意図は知らん。むしろ我が尋ねたい。その信仰の塊は一体如何なる物か?」

 

「……竜秘宝」

 

だけど、これ自体が幸運だった。何故幸運なのか知らない、分からない。だけど使い方とその先の結末は本能が知っていた。狐にお礼を言い今度こそ私は家に帰る。貰ったそれを握りしめ、寒空の下あの屋敷へと走る。

 

しかし……

 

「誰も……いない」

 

苗床の屋敷の中は無音だった。窓や扉には鍵が閉まり表からは入れそうにない。仕方なく裏口から入ると中は最低限の管理がされているだけで人の気配は無く、全ての部屋に入っても誰ひとりとして見つからない。

 

レイトの部屋はその中でも特異であった。レイトの部屋には何も無かった。文字通り、ベッドや家具、私物、服、その全てがまるで初めから何もないような、あるいはもう出払った後のようだ。

 

「……」

 

私はその部屋の真ん中に立つ。袋から竜秘宝を出して右手に握りしめていた。私は何も知らない。竜秘宝のある意味も、何で出来ているのかも、私は求めてこなかった。だけど私はひしひしと感じていた物がある。

 

孤独な私はなんと惨めなんだろう。

 

悲しい詩の最後に私は願いを語った。

 

「因果よ、私達を救え」

 

 

ー--

 

 

 

 

ー現実改変発生

 

ー因果律改変

 

ー黒龍【不羈】が世界崩壊に介入、一部の因果律を改変

 

 

 

現在時刻 現実不全の発生から6時間後

 

 

ー--

 

屍竜【苗床】の処分についての報告書

 

責任者 雷竜【激雷】

担当エージェント 月輪皐月 黒姫ナツメ

外部協力者 贄竜【緋刃】 洋野黎人

技術協力者 鳴葉 燐火

 

作戦概要

 

本作戦は屍竜【苗床】の本体の処分を行う。本作戦前に試験的に開発された専用の薬品を苗床の本体を連鎖的に化学変化を発生させ本体の再生を阻害と分解を同時に行う。薬品の詳細な作用は別途資料を参照すること。また本作戦は主に時間経過倍率が1s:0.XX^-XXX〜1.XXXsまでの範囲が観測された場合に行う。

 

〜中略〜

 

結果報告

 

作戦は成功した。計画の通り苗床に薬品を散布し苗床の肉体は神域の広範囲を巻き込み爆発を発生させながら消滅した。詳細な被害状況は別途資料を参照すること。

 

しかし作戦外で発生した技術協力者とのトラブルにより作戦前に3名が参加不可、その内技術参加者の1名が死亡。トラブルを起こした月輪博士の事情聴取を実施した結果、参加した技術協力者との過去の接触の際の私怨から殺害したとの事。

 

また竜1匹との交戦により参加エージントの一名は死亡、もう一名は神域の時間経過倍率が上昇する危険性から帰還を放棄した。

 

備考

 

資料a 作戦で発生した諸問題についての処理

 

技術協力者1名は殺害した月輪博士との面談で重篤な精神疾患が認められ現在は専門施設で療養中である。後の交渉で協力者とは和解した。

 

資料b 次ページに詳細を載せる。

 

ー--

 

 

 

「お姉ちゃん、また宿題サボって秘密結社みたいなの作ってる」

 

夕食前の6時半、お姉ちゃんの作ったプリントの束をベッドに寝ながら読んでいた。相変わらずそれっぽい文章書くのが上手い。分量もクオリティもあるし高校に進学してからクオリティも上がっている。本当の事って言われたらちょっと信じちゃうかも。

 

「(こういうのがホラーSFって言うのかな。私も中学から高校に入学したいなー)」

 

「仁恵、そろそろ夕食だ。ってまたか」

 

「あ、蕾姉」

 

お姉ちゃんが私を呼びに来た。蕾姉のベッドを使ってたから不満げ。いつも通りプリントを取り上げベッドからもお姫様抱っこで床に降ろされる。

 

「毎度思うがなぜ私の?同室とはいえ別にベッドはあるだろう」

 

「さーね、何となく気分がいいの」

 

蕾を置いてリビングに走る。廊下にも夕食のいい匂いが少し漏れていた。うーん、このトマトの香りはいい物の予感がする。普段はパパと私、たまに蕾姉で料理を分担する。昨日は私、だから今日はパパが作る番だ。きっと帰りのスーパーで良いものを見つけてきたのかな。期待を込めてリビングの扉を開けると予想と反してソファーで寝ていた。

 

「お疲れ。パパ、今日のご飯は?」

 

「今日はママと帰ってきたんだ。珍しく料理を作ってる」

 

へぇー、ママも一緒なのは珍しい。お母さんは社長業が忙しくて一度家を出ると3日以上は見る日が無い。だからただでさえ家の中では珍しい存在なのに料理は珍しいのだ。

 

「ママって料理できたんだ。上手いの?」

 

「仕事が楽だった頃はパパよりも上手だった」

 

テーブルに目を向けると4人分の食器と料理が並んでいた。鍋か大皿が丁度一つ入るようなスペースがあるだけだ。

 

「まだ出来てないの?」

 

「いやもう出来たよ。後は盛り付けて完成です」

 

キッチンから数日振りのママの声が聞こえた。

 

「今日はトマトパスタですよ」

 

えっへんと胸を張るママ。久しぶりに見たな、ドヤ顔。大体ああいう反応をするときは思いつきで何かしらふざけた事をする時の暴走モードである。事実、ゴミ箱の中には1kgの太麺のパスタの袋が2つ捨ててあった。

 

「パパ、ちゃんと止めなさいよね」

 

「まあまあ、明日の朝にでも食べればいいじゃないか」

 

「私は良いとして蕾姉は絶対胃もたれするじゃん」

 

私は席について大人しく席に座るのを待つことにした。しばらくするとパパとママも席に座り奥の部屋からお姉ちゃんが出てきた。案の定呆れていた。

 

「……」

 

そんなこんなで食卓の準備が終わったところでみんな席につく。手を合わせていただきますをして食べ始める。

 

パスタは絶品だった。トマトソースの酸味と甘みのバランスがちょうど良くていくらでも食べられそうな味だった。多分パパが買ってきたトマトも使ってると思うけどそれでも十分過ぎるくらい美味しい。

しかし減らない。

 

早々に父と母は離脱した。姉も部活動の仲間との電話で離席したまま戻ってこない。各々が一皿を分け合いながら麺の山を崩すが半分まで高さを低くした所で手が止まった。

 

「いやー、久し振りの一家団欒に久々に本気を出してしまいました」

 

その山を前にママが一言感想を漏らす。うん、やっぱりママはちょっと変わっている。パパもどうしてママと出会い好きになったのか私には理解できない。

 

だけどきっとこの家族は運命なのだろう。例え世界中が敵に回ってもこの3人がいれば幸せだ。だからこの幸せな日常はきっと世界が代っても何も変わらないんだと思う……って柄にもなく思ってしまった。

 

だって、こんなに楽しい日々なんて今まで無かった気がするから……ま、そんな訳無いけど何故か、ね。

 

明日の朝の分を残して夕食を食べ終える頃には夜の9時を回っていた。お風呂に入って歯磨きを済ませ自室に戻りベッドに寝転ぶ。

 

ふと机の上の写真立てを手に取る。

 

写真に写っているのはパパとママと私とお姉ちゃん、そして蕾姉。これは去年、私が中学に入学する時に記念撮影をしたものだ。

写真の中の皆は笑顔だ。

 

「……おやすみ」

 

 

 

ー--

 

 

 

現在位置 鳴葉市街 天菜家 ベランダ

 

 

 

「もしもし、私だ。3年、いや2年と1か月か。久しぶりだな、狐。こうやって話すのは仕事以来だ」

 

「どうして私が電話番号を知っているのか。どうやら妹、餐龍が狐の友達なのは……思い出して何よりだ。どうやら私達2人だけは平行世界の自身に憑依したらしい」

 

「ああ、言いたい事は同じだろう。つい6時間前に世界が崩壊した」

 

「待て待て、そう捲し立てられては話も出来ない。まずは一旦お互い知っている事を話し合おう」

 

「…………今までの信仰を感じられなくなった、と。狐がいうならばつまりはそういう事だろう」

 

「ああ、実を言うと前々からこうなる事は予想していたが如何せん私も管理しきれなかった。まだ竜秘宝を使う物がいたとはな」

 

「実は私も竜の肉体を捨てた、というより今までの義体だった物が今の肉体になっている。今となっては確認の余地も無いが今の私の体は竜よりも人間に近い物だ。竜だった時に使えた能力も今では使えない」

 

「……ああ、狐は神だから因果律改変については耐性があるだろう。混乱を招いて済まない、能力が変化しただけで本当に良かった」

 

「ところで今もまだ人間の世話になっているのか」

 

「……私と同じか。黒い方と巫女、それに月輪と……はは、中学が楽しそうでよかった。是非とも家の妹をよろしく頼む」

 

「……妹のあの赤い竜は仁恵と名乗っている。私は蕾だ」

 

「……ああ、ここは一度あの神社で待ち合わせをしよう。不思議とあの神社だけはいつでもあるみたいだ」

 

「それでは、神秘亡き世界をお互い楽しもう」

 

【END】

 




普段このようなあとがきを書く事はありませんが久しぶりに書きます。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

これで完結した作品は5本目となります。その内の3本がどらごんれでぃいらばーず!!!へと繋がる作品です。もし気になるのであればそれらを読んで、感想や評価を貰えたら泣いて喜びます。
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