どらごんれでぃいらばーず!!!~現代日本で竜娘にTSしたけど同じ超可愛い竜娘(問題児)と支え合ってハーレム生活を満喫します!~   作:囚人番号虚数番

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流石金持ち、やることが派手だねえ

ニエとひいろとの結婚から次の日の午後、俺たちはひいとの家に引っ越す事になった。俺の家は3人で暮らすには手狭だ。その上ニエの凶行が生活上問題になるからバイトの話が無くとも近い内にどうにかして引っ越したいとも考えていた。だから時間も地位も無い俺は彼女に頼ることが一番と考えたのだ。既に荷物の大半は送りあとは俺達が家に行くだけ。送迎の車に乗る時、ニエの最後のささやかな抵抗にドアの前で立ち止まった。

 

 

 

「おい、乗れないんだけど」

 

「くっ……何で態々嫌いな奴と一緒にならなきゃならないのよ」

 

「文句言うな。逃げた所でどうなるのか知ってるんだろ。大人しく諦めな」

 

 

 

悔しそう彼女は車に乗り俺もそれに続けて俺も乗った。黒塗りの高級車に乗って距離にして数駅、街の光景に段々と緑が混じる。ニエは窓の外に見える景色が変容する様を眺めそれを見てひいろは微笑む。一方で俺は人生で一生乗ることのない筈だった高級車にがちがちに緊張していた。乗ってから気が付いたけど普通の車とはまるで雰囲気がまるで違う。少し現実から逃れるために大きくなったスマホに逃げた。天菜家については旧自宅のアパート少しでも調べたけど如何せん調べれば調べる程謎は深まるのだ。

 

 

 

「……ふーん、つまらない街ね。前の家の近くの方が人がいて賑やかだったわ」

 

「でもここの近くは人気のない森に囲まれていて緋刃さんには魅力的だと思いますよ。黎人さんは鳴葉に訪れた事はありますか?」

 

「……え!?あ、ああうん。年始にお参りに来たりするぞ」

 

 

 

突然話を振られ変な声になってしまい二人に笑われた。

 

そうしている内に神社前の大通りを通過し次第に景色に緑が増えていく。大通りを外れ山の見える方向の道に逸れると更に緑が増え森の中に入った。そこから更に十数分もすると高い塀と金属の大きな門が見え始めた。遂に来た、いよいよ後戻りが出来ないと覚悟する。

 

 

 

「さて、そろそろ建物が見えてくるはずです。ここが今から一生家族仲良く生活する我が家ですよ」

 

「そう、どんな貧相な家か隠者の家かは知らないけど私を満足させられなかったら殺すわよ」

 

「いや、門から建物が見えない時点で現代日本としてはヤバい。この塀の中全部が私有地ならマジでヤバイぞ」

 

「ふふふ、黎人さん。敷地自体にはちょっと前から入っていましたよ。具体的に大通りから外れた道の先からです」

 

「ニエ、訂正する。もう逃げられないぞ」

 

 

 

門の前まで着いて車を降りる。重厚な門が開き、木々に囲まれた広大な家の中にいよいよ足を踏み入れた。

 

 

 

「ようこそ、我が屋敷へ」

 

 

 

目の前に広がるのはまるでヨーロッパのような庭園。石畳の道に噴水があり色とりどりの花が咲き誇っている。庭だけでこれなのだから奥にある建物はどれだけ大きいのか想像すらつかない。さらに歩くと今度は巨大な洋館が現れた。洋館は白を基調とした造りになっており正面玄関まで続く階段の手すりには細かい彫刻が施されている。

 

そして扉を開くとその先に広間が広がっていた。天井からはシャンデリアが吊るされ床一面には真っ赤な絨毯が敷かれている。まさに絵に描いたような豪邸という感じだ。

 

そして扉を開けた先に一人のメイドがいた。青い髪に白いカチューシャをつけた少女は凛々しい美形の顔で大人びた雰囲気を持っている。だが身長は高くなく160センチ程度だろう。しかし胸は大きくエプロンドレス越しにもはっきりとわかるくらいである。そして彼女はメイドはこちらを見ると開口一番

 

 

 

「苗床、君は随分と厄介なのを連れて来たのだな」

 

 

 

明らかにメイドとは思えない失礼な発言をしてきた。

 

 

 

「蕾、言葉を慎みなさい。それとあなたも客人の対応に応じるように」

 

 

 

いつもの笑顔のままひいろはメイドに注意した。しかし笑顔の裏に怒気を感じ取れ、しかしメイドは表情を一切変えずめんどくさそうに呆れている。

 

 

 

「態々私が直々に来たんだ。君用か部下のメイドならともかく私まで行動を決められる筋合いはないと何度も言っているだろう。ああ客人、準備は出来ているから応接間に来てくれ。苗床、部下が客に冷えた茶を出す前に早く連れてこい」

 

 

 

彼女はそれだけ伝えると本当に屋敷の奥に歩いて行った。俺は想定した非現実の更に斜め上の光景にあっけにとられて動けずにいる。

 

 

 

「……家のメイドが失礼しました。でも元から蕾の紹介の為に応接間には通す予定でしたし着いて来て下さい」

 

 

 

気まずそうにひいろは謝罪した。正直出会い頭であんなことを言うメイドという概念がそもそも希薄だったから結構ショックを受けている。あの容赦ない言葉遣いを主人だけでなく客人にまでするのかと……まあ、童貞臭い妄想は崩れた。まあ気にしてもしょうがない。蕾という彼女以外にもメイドはいるようだし単に彼女と話さなければいいだけだろう。

 

 

 

俺たちは長い廊下を歩く。いくつもの部屋に続く扉があり、多くの人が住んでいそうな屋敷だ。だけど家に来る途中にもこの家に入ってからも誰一人としてすれ違わない。疑問に思いひいろに聞くと今は家族とメイドしか住んでいない、詳細は後で話すそう。そうしている内に廊下の中ほどにある応接間についた。ひいろが部屋に入り、俺も入ろうとすると突然ニエが袖を引く。

 

 

 

「ニエ、どうし……「蕾は竜。怪しければ動く」

 

 

 

小さく呟くとニエは俺を押しのけ部屋に入る。彼女の忠告に不安感を覚えつつ、覚悟の上で応接間に入った。部屋の中は上等なソファーやテーブル、調度品などが置かれており高級感がある。そんな部屋にいたのは青髪のメイド。彼女はティーカップを傾けながらこちらを見つめていた。

 

 

 

「やあ新入り、きっと禄でもない騒動に巻き込まれてここに来たんだろう。同情はしない、あくまでも新入りとして私は歓迎する」

 

「あの蕾……さん?何で飲んでいるんすか?」

 

「単なる好奇心。ああ、毒見という見方もある。緋刃には余計なお世話だったかね?」

 

「ええ、殺したいのはすぐ隣にいるからね」

 

 

 

蕾とニエはお互い皮肉めいた言い回しで会話している。早速お互い共通の話題を見つけて幸先がいい。最もそれが俺の友人の悪口じゃなきゃ俺もよかったが。蕾はカップの紅茶を飲み干すと俺たちの分の紅茶を入れた。その横でひいろがソファーに座り引きつった笑みで彼女を睨む。

 

 

 

「ごめんなさい黎人さん、この子昔からこんな感じなのです……」

 

 

 

申し訳なさげに謝るひいろ。別に気にしていないことを告げて座るように促され俺達は座る。

 

 

 

「本題から話したかったですが……彼女h「私は桐生 蕾(きりゅう つぼみ)、メイド長だ。この屋敷の管理と人事をしている。雑用は専門ではないから面倒事は他のメイドに当たってくれ」

 

 

 

ひいろが話を始めようとする前に蕾は自己紹介をした。

 

 

 

「緋刃の話は聞いているよ。曰く背徳の犬、血に飢えた殺戮者、物騒な話ばかりだがね。私としては君みたいな野蛮人などと関係を持つなどごめんだが友の夫であるならば話は別だ。共に仲良くしよう」

 

「ふーん、舐めた口きく嫌な奴ね。自分勝手でめんどくさそう。でも安心しなさい。面白みの無い奴はどうでもいいわ、でも仲良くしましょ」

 

「社交辞令も知らぬとは噂道理の畜生だ」

 

 

 

先程と打って変わってバチバチと火花を散らして睨む二人。相性が良いのか悪いのか分からないなこいつら。だが険悪な雰囲気の中、蕾は俺の方を見る。そしてまるで新しい玩具を見つけた子供のようにニヤリと微笑んだ。そして蕾は「後は3人で話してくれ」と言い席を立つ。

 

 

 

「蕾、後で自室に来るように」

 

「断る。下らないままごとに巻き込まないでくれ。嫁だ婿だはどうでもいい。茶と名乗りは済んだのだ、早く仕事に戻る。ああそうだ。君たち、私はいつも使用人室にいる。備品が破損したら先に誰でもいいからメイドに一声かけてくれ。こっちも準備が何かと忙しいからな」

 

 

 

その言葉を最後に退出した。嵐のような少女だった。数日前のニエよりかは数倍マシだがそれでもキツイ人だった。

 

 

 

「ごめんなさい。彼女は少し気難しい子で、ちょっとした事でもすぐに機嫌が悪くなるんです……」

 

「そう?あんたより話が通じそうでいいと思うけど」

 

 

 

みんなどんだけお互いにいがみ合うんだ。もしかして竜同士って結構仲悪かったりするのかな。今後の生活を進める上で人間関係は良好に保っておきたいがこの家に話せそうな人はいるのかな。

 

 

 

話すといえばひいろの家族の誰かに顔を合わせておかなければならない。今日から世話になるんだし俺自身が問題を抱えているのだ。だからお礼と謝罪を兼ねて挨拶に伺いたい。しかし相手は現役の資産家の家系だ、車のスマホでの下調べの時点で関係者は皆一流、親族も多いだろうし、何より日々忙しそうで顔を合わせる機会がないかもしれない。だが、それは意外な解決法で片付いた。

 

 

 

「それは必要ありません。この家には家族とメイドしかいないので」

 

 

 

「どういう事だ」「ねえ、まさかこの家の中には『私達とあのメイド以外の人物がいない』って言いたいの?冗談じゃないわ!」

 

 

 

ニエが強く机を叩く。机が割れそうな勢いで叩かれ、衝撃で空のティーカップが音を立てて落ちる。幸い地面に落ちる前に俺がキャッチしてことなきことを得た。

 

 

 

「ニエ、それは?」

 

「コイツの体から作った子供がコイツの親のフリしてるかもってことよ」

 

「はい。緋刃さんのおっしゃる通り私の一族全員は私の子です。私には公的には6人の兄弟姉妹、それと数多の血筋の者が世界各国に散っています。彼らは無意識化の制御の下、私の子というのを忘れ人として生活しています。だから彼らには竜の特性は無いし意識も同一ではありません」

 

 

 

そしてその基本から外れた例外が本体との意識を共有し驚異的な再生能力を誇る苗床の竜のひいろ、という事らしい。彼女本体の操作がされていない親族は遠くに引っ越してもらって、家族も長期の仕事や引っ越しで遠くにいるそう。それからニエは更に質問を投げかけた。

 

 

 

「蕾は?あいつだけ暴走しているのかしら」

 

「彼女は協力関係にある竜の仲間です。一応屋敷の管理を頼んでいます。詳しいことは直接聞いて下さい」

 

 

 

それから今後の事について話し合った。暫くは新たな環境に慣れる為来客は減らすそう。大学も裏工作が終わり気にしなくてもいいし時間は出来ているから自由に過ごす事にした。そして肝心の元の体に戻る事に関してはというと。

 

 

 

「分かりません」

 

「お前の体で再生したのにか」

 

「あなたの体に関しては再生の過程が通常とは異なっていて私の知識では手の打ちようがないのです。なので少しだけ待っていて下さい」

 

「そうか……ニエ、解決策が見つかったら勿論協力してもらうからな」

 

「う、分かっているわよ。ゴメンってば」

 

 

 

というわけで体は元に戻らないらしい。

 

俺も自分の体に関わるから竜体に関して知識を身に着けたい。参考文献は一応用意してくれてメイドさんに持って来てもらい新たな自室の一人ベッドでそれを読む。それは分厚く重い古い書籍であった。幾何学的な装飾と竜の絵が描かれ、内容は知らない言語で書かれている。図やグラフも使われているものの何を現すか分からない。すぐに俺には理解できないと一目でわかった。ため息をついて本棚にしまっておく。

 

今いる自室も中々に豪華だ。部屋の広さは10畳ほど。壁紙は白で統一され家具はアンティーク調で統一されている。本棚には俺が所持していた本と教科書、エロ本に加え様々な種類の本が追加され、並べられていた。

 

クローゼットの中には俺の為の新しい服が用意されていた。男女どちらが着ても違和感のない服から女の子らしい可愛い服、さらに黒姫が選んだような下着の数々までそろっている。思えば今まではずっと男の時の大きすぎる服で過ごしてきた。試しに着やすそうな服に着替えてみた。フードの付いた黒いパーカーとジーンズ。精神的に着やすく女体でも動きやすい。それと外出用の帽子もあった。どれもサイズがピッタリで角と尻尾を出す穴も開いている。ケモ耳ジャンルでよく見る奴だこれ。

 

 

 

「(下着には意外と興奮しなかった。あ、そうか。今着てる服の形状がタンクトップに似てるからだ)」

 

 

 

自分で適当に選んだから男性的な方向になっているかと思ったけど思いの他結構可愛く出来た。今後の参考に一枚写真を撮っておくかな。スマホを出しカメラを起動しようとしたらいつの間にか一通のメールが届いた通知が来ている。送り主は蕾さんだった。どうやらメイドに直接会わなくても要件をここに送信してもいいという趣旨とインターネット回線のパスワード、それと以下の文が書かれていた。

 

 

 

『貴様は一時とてあの駄犬の飼い主だった。この私の尊い命が狩られぬように首輪をつけておけ。首輪持ちがあの者ではこちらの気が狂ってしまう』

 

 

 

つまり要約するとニエは俺が管理してくれと頼まれている。俺は思わず頭を抱えてしまった。正直彼女はひいろに丸投げしてしまえば楽だ。ひいろのあの狂気的な愛であれば拘束は容易いと頭では知っている。しかし同時にストレスが爆発した時殺人癖が再発する危険性があるのだ。

 

 

 

「……仕方ない。一度一線を越えた仲でもあるし俺だけでもマトモな話し相手でいよう」

 

 

 

何だかんだで時刻は夕方、会議や家の設備説明で歩き回っていたらいつの間にか日が傾いて来ていた。あと1時間もすれば夕食だと思う。時間はあるから一度ニエの部屋に行こう。ベッドから起きて外に出る。だがその前に窓の方から物音がした。振り返ると丁度今会いたかったニエが開いた窓の前にいた。

 

 

 

「せめて扉から入ってくれ。窓が入口だと思ってるのか?」

 

「あなた持ってるマンガじゃよくある事よ。じゃなくて!」

 

 

 

ニエは俺の近くまで走り俺の手を引き窓へと引っ張る。力は凄まじく咄嗟に踏ん張った俺の反射神経を一蹴しずるずると窓へと連れて行く。

 

 

 

「ちょ、何するの!」

 

「逃げる、アイツから逃げる為にここに来たのにそいつの世話になるなんてゴメンよ!ここから森でも街でもさっさと出ていくわよ!」

 

「え、今から外出するの!?ならせめてバッグ持ってかせて!財布と帽子が無いと俺が死ぬ!」

 

 

 

彼女の腕を叩き必死に懇願する。彼女の身体能力では手を放されて逃れられるとは考えていない。だけど外へ出るなら最低限竜であることを隠してから外へ出たい。それに逃げるのであれば資金は絶対的に必要だ。唯でさえ考えなしに出ていくのに何も持たないのは危ない。

 

 

 

「だからさ、頼むうぉ!?」

 

 

ニエは腕を引くベクトルを180度回転させ俺は体勢を崩して床に転んだ。

 

 

 

「30秒!荷物纏めて!」

 

「は、はひぃ!」

 

 

 

急いで立ち上がり引っ手繰るように愛用のバッグを背負う。今の背丈では大きすぎる鞄だが今はそんなこと気にしてられない。中には財布と気休めの身分証、更に机に置いた充電器とスマホを放り込んで彼女の手を握る。すると彼女は俺の体を担いで

 

 

 

「飛ぶから口閉じて!」

 

「飛ぶ!?一応ここ2階だよ!?」

 

 

 

日が落ち月の登る暗い夜に屋敷を飛び出した。




追記 突然出てきた神社とは:もしかして「つゔぁいごっどねす」
追記 誤字修正

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